転生したら美少女だった件
10話位で完結の予定です。
よろしくお願いします。
普通こうゆう転生物って
性別はそのままなんじゃないの?
え? 違うの?
どうやらオレはうっかり死んで、
そして転生してしまったらしい
この、めちゃめちゃ美少女に!
鏡の中に映る美少女を色々な角度からまじまじと見つめる。
髪の毛さらさらツヤツヤ
ロングのストレート
これが、天使の輪ってやつか
肌も真っ白でスベスベ
毛穴レスってか毛穴なんてない?
前世あんなに悩んだニキビも一個もないぜ
キレイな二重のぱっちりお目目は長い睫毛に縁取られて、キラッキラしてる。
さくら色の頬と、形のいいうるうるぷるぷるの唇
え、マジこれ、マジこれ?
これオレが見たり触ったりしてもいいのか……
いや、いいのか自分の身体なんだし、おっぱ…いや、ダメだろ、それはさすがに、人道的に…て言うか、オレなんだけど。
ふわふわのネグリジェ
この壁掛けの鏡もなんか立派な装飾が施され
天蓋付きのでっかいふかふかベッド
何より、壁にかかった聖フランメル女学院の制服
日本中の憧れの的
ずえっっったいにお嬢様だ
このルックスでお金持ちって、人生楽勝イージーモード、確実に勝ち組だろ
やべぇ、オレ前世ですげー徳を積んじまったのかな
いや、別に大したことはしてねーな
普通の家に産まれて、虐待も溺愛もされず、
特に頭も良くなく、スポーツが出来るわけでもなく、
普通の公立高校に通う普通の生徒で、
いじめられもせず、人気者でもなく、
そして彼女もなく、……童貞のままうっかり転落死
クラスに好きな女子はいたけど、オレが死んでちょっと悲しいとか…思ってないかー、思ってないよな。あんまり話したこともなかったし。
好きだって伝えたかった、とかもない。
大体オレなんかに告られても戸惑わせて困らせるだけだよな。
まぁ、いっか。
前世のことは、もう。
オレはこの美貌と実家の太さを武器に幸せを手に入れる。
今世こそ可愛い彼女を、んで童貞卒業……てか、ちっ、がーーーう。
オレは女子なんだから、彼女は出来ない。
ちょっと待て、するってーと、まさかオレ、男に言い寄られたりすんのか、おっえー、キモキモ……野郎とキ、キ、キス…とか、それ以上とか……。ムリ、ムリ中のムリ。
だから普通こうゆうのって性別はそのままなんじゃないの
めっちゃ金持ちのイケメンに転生したら、生徒会長かなんかになって可愛い女の子たち全部オレのもん、ハーレム確定だったのに…(涙)
いや、でも今は多様性の時代だし、可愛い女の子と美少女のオレとの百合展開とか……うぉっ、いい!それいい!めちゃめちゃいい!
可愛い後輩ちゃんのセーラー服のリボンを外して、柔らかい胸をツンツンと触ったりして……そんで、「あんっ、先輩…私も触っちゃう」とかなんとか言ってスカートの中に手を入れて、やべっ萌える。
つうか、勃つ……ものはないのか、
だよな、やっぱり。
いや、……オレとしたことがうっかりしていた、この美少女の、パ、パ、パンツの中……見たり、触ったりなんかしちゃったりしても、問題ナッスィングってこと? マジで?
サイコーーー!
マジサイコーーー!
転生サイコーーー!
大ー成ー功ーーー!
ひとしきり感慨に浸ったあと、ハタと現実に戻る。
今日は何年の何月何日なんだ
そろそろ学校に行く支度とかしないとなんないのか……?
机の上のスマホをスワイプする。
指紋を押しつけ、なんだ日曜日か……、と安堵……
ん?
んん?
んんん?
待て待て待て
2024年4月21日(日)
めちゃめちゃ最近過ぎるだろ
確かオレが死んだの4月10日で、まだ49日すらも過ぎてなくないか
転生ってこんな雑な感じなのか
スマホのホーム画面に表示されてる天気情報は世田谷区
東京都……ってことは、行こうと思えば新幹線1時間半で地元に行けんじゃねーか。
うっかり死んじまったことを親に謝って、友達に借りっぱなしだったAV返して、あと出来れば…優奈ちゃんに会いたい、チラッと物陰からでもいいから、っていきなりこんな美少女が「オレです」って行っても、家族も友達も一体誰が信じるんだよ
まぁ、いいか
オレにはもうこっちでの生活がある
そんな前世に未練があるわけじゃないしな
バフン、とふかふかベッドにダイブして寝転ぶ
「麗華ちゃん、お母様よ。ちょっといいかしら?」
部屋の扉が3回、コン、コン、コンとノックされた。お母様ってことは母親だな。
「なんだよ」と言いかけて、ハッとする。
違うな、うちの母ちゃんじゃないんだし、えっとなんだ、お嬢様っぽく返事しねーと。
「はい、お母様、どうぞお入りになって」
え? なにこれ、めっちゃ可愛い声
鈴を転がすような透き通って、それでいて甘い声
めっちゃ可愛い…これオレが?出した?
オレっていうか、この子っていうか、いや、オレか。
部屋に入ってきたのは……超、美人じゃねーか、おっぱ…い、でっか…い……マジうちの母ちゃんとは雲泥の差…いや、そりゃ母ちゃんにもちと悪いか。
母ちゃんも別にブスじゃねーけど、商売もしてたから、とにかくなんつうかガサツなゴリラだ。
こんなおしとやかな品のいい奥様、今風に言うなら美魔女? 見たことねー。ついでに言うと、こんなでっかいおっぱいも見たことねー。
驚いているオレの目の前で、そのおっぱ…いや、美魔女はいきなりわぁわぁと泣き崩れた。
「あのね、麗華ちゃん、ごめんぬ、ごめんなさいっ」
「どっ、どうなさったのお母様」
「パパの……お父様の会社が…」
「お父様の会社が?」
「乗っ取られたのよーーー」
マジかよ……え、ってことは?
倒産? 父さんが倒産?
違うか、倒産と乗っ取られたって違うの?
オレのお嬢様ライフはどうなっちゃうわけ?
泣き崩れる母親の背中を擦りながらおどおどと口にする。
「これからどうなってしまうの?」
白いレースのハンカチで涙を押さえ、すんすんと鼻をすすりながら、母親が告げた言葉は……更にオレの度肝を抜いた。
「この屋敷も差し押さえられてしまうから、麗華ちゃんはママと、お母様と一緒に、ママの実家に行きましょう。こちらのお友達とお別れになってしまうのはかわいそうだけど、お父様がお迎えに来てくださるまで、ママと一緒に、我慢してくれる?」
かなり年上だけどおっぱいの美魔女が涙ながらに訴えているのに頷かないわけにはいかないだろう、男として。
あ、いや、オレ女の子だったわ。
「ママの実家…?」
「麗華ちゃんは行ったことなかったわね、宮城県の仙台市って言うところなの」
めっちゃ、地元ーーー!
いつか新幹線で行ってみようか、と思っていたりしたけど。
「急なんだけれども、今から出発するから急いで準備をしてね、執事もメイドたちも連れていけないから、荷物は自分で持てる程度にまとめて、ママも…ウェッジウッドのカップもソーサーも……全部置いていくわ…って、わぁ~ん…悲しいわ」
めっちゃ、急ーーー展ーーー開ーーー!
オレの人生楽勝イージーモードが…はかなく消えた。
それからあまりにもバタバタ過ぎて記憶が定かではないが、オレは可愛らしいピンクのキャリーバッグとリュックサックに着替えやなんかよく分からないクリーム? 化粧品? を詰めて、2時間後には新幹線の中だった。
東京駅までは執事らしきおっさんと数人の可愛らしいメイドさんが荷物を持って見送りをしてくれた。
「奥様、お嬢様…なんとおいたわしい。どうかどうかお身体をお大事になさってくださいませ。旦那様のお仕事がまたうまくいきましたら、わたくしまた奥様にお仕えしたく存じ上げます」
で、今、隣の席で泣き続けている母親の背を撫でながら、地元へと向かっている。
大宮を過ぎれば新幹線はノンストップだ。
あっという間に350km
新幹線は滞りなく到着し、オレは今地元、仙台駅に立っている。
「麗華ちゃん、ママの実家は榴岡というところなの。ハイヤー……はないから、タクシー使いましょう」
よりによって榴岡……めちゃめちゃ地元なんだが…なにこれ、一体なんなのよ……。なんかの呪いか?
「いや、いいって、タクシーなんか勿体ねーだろ、歩いて行こうぜ、荷物持つから、ほら」
「え?」
「え?」
「麗華ちゃん?」
やっべー、やっべー完璧に素だった、地元の匂いやべー。
「もっ、もうやだ、ママったら。こっ、こ、れからはパパがお迎えに来てくれるまで節約して、頑張ろ、りましょう?ね、ママ」
「そ、そうね、ママが間違えてたわ、贅沢は敵よね」
良かった、なんとか誤魔化せた。つうか、この美魔女ちょっと天然さんだな。
ぼんやりしたド天然で、巨乳の奥様が口先八丁の男に手篭めにされて、って熟女もののAVにありそうな。
って、いねーーーーし!
あっという間に見失った。
あいつ、どこ行った?
キョロキョロと辺りを見回す。
「麗華ちゃ~ん、やだ、やっと追い付いた。麗華ちゃん、足が早いわ、それに出口の方向どうして分かるの?」
そっ、それは、オレがこの駅を使ったことがあるから……。
「それに、歩き方が……ノシノシって、まるでゴリラさんみたいよ」
やっべー、やっべー、そうだ、歩き方も男と女の子じゃ違うよな、気を付けねーと、マジで。
「や、やだ、歩くの早かっ、たかしら? 早くお祖父様やおばあ様に会いたくって、オホホ」
とっさにごまかす。
「おばあちゃんはきっと貴女を優しく迎えてくれると思うわ」
おばあちゃんは、って言うことはじいさんの方は違うのか? さっき一瞬だけ美魔女の顔が曇ったような?
「お祖父様は少し気難しい方だから……もしかしたら……」
なんだ? なんかあんのか? そう思った瞬間、改札の外から大声が聞こえてきた。まだこちらは余裕で改札の内側だ。
「おっおーい、良子、それから麗華ちゃーん、よく来たな、よっく来たなーーーー疲れたろう、早く荷物を寄越せ、ロワイヤルなんとかでお茶でも飲むか、トライアル? トライアングル? でスパゲッチ食うか? それとも早く家に行くか? 寿司でもとるか? 特上寿司」
1メートル以内の至近距離になったら話すようなことを、20メートルは優にある距離から腕をブンブン振りながら叫んでいるじいさんがいた。となりにちょこんと立っているのが、ばあさんかな。
とりあえず、全然気難しくはなさそうだな、うん。
ロワイヤルテラッセへもトライアングルへも寄らず、じいさんの運転する車で自宅へと向かう。開けた窓からいい風が入る。地元の匂いだ。
車は、仙台駅から楽天生命パーク宮城へと向かう宮城野通りを進み……母親の実家へ着いた。
今朝目覚めたお屋敷とはもちろん比べ物にはならないが、普通にキレイな戸建てで、オレたちは2階の部屋を使わせて貰うことになった。
てか、あの部屋に二人で枕を並べて?
布団が別とは言え、眠れるのかオレ
ポッ、ポッ、ぽろりとか……しはるんじゃないでっしゃろか、この天然奥さん
普通の母娘なら同じ部屋で寝起きしても勿論何も不思議ではない、でもオレは、今日出会ったばかりのこの美魔女のことを母親とはどうしても思えないっ。
つうか、その胸!でっかくて真っ白で柔らかそうで……触りてぇーーーとか普通に考えちゃうだろ。
ダメだ、隣でこんな美魔女が無防備に寝ていたら、とても安眠できる気がしない……。
精神的にも、お肌的にもよろしくない。
「あ、あのさ、じいさ……おじいちゃん、2階のもう一つのお部屋、あそこを私のお部屋にしてもいいかしら?」
「えっ、どうして、麗華ちゃんママと一緒のお部屋はイヤなのっ!?」
途端に涙目になる美魔女、いや、母親
「ちっ、違うのママ、お勉強、そう、お勉強が、遅い時間まで電気が点いていたらママ眠れないでしょう?」
我ながらナイス言い訳!うん、学生の本分は勉強だ!
「じいさん、麗華ちゃんの好きにさせてあげたらいんでないの? あの部屋も一応、風を通しておいたすけ」
「まぁ、二人で一部屋って言うのも手狭だろうしな、しかしばあさん、なまって喋ったら麗華ちゃんわかんねすぺ」
ん? 県北の訛り?
「あ、大丈夫です、分かります、お二人ともご出身は県北なんですね」
「やー、良子は私らがなまってんの恥ずかしいってやんだがったのに」
「麗華ちゃんが聞き取れんなら、良子も家で使ってたんでない?」
オレの父親も県北の人だから、その言葉は懐かしく……は、ないっ、つい最近まで普通に聞いていたのだから。
「んだ、麗華ちゃんの転校の手続きも済んどるからな、この近所に榴岡東高校ってのがあってな」
ってかーーー
それはーーー
オレのーーー
つい二週間前まで通っていた高校に出戻ることになってしまったオレの人生これからどうなるのか。
麗華:超絶美少女
オレ:転落死のあと転生
良子:麗華の母親、巨乳、天然、美魔女
聖フランメル女学院:日本中の憧れの的、お嬢様学校
名前は「フランメ」と「ヒンメル」を組み合わせました。二度と出てこないかもしれないのに、無駄設定。葬○のフリ○レンが好きです。