転生したらバイトをした!
「すみません!おはようございます!」
90°の綺麗なお辞儀をしながら挨拶をする僕を、少し呆れた感じて、30代前半位の女性が見てた。
「初日から、3分前に出勤って……まぁいいわ、私は店長の大白よ。時間も惜しいし早速色々説明しながら、案内するからこっち来なさい」
ため息をつきながら、店長が歩き出したから、申し訳ないと思いながらも慌てて着いていった。
こんなはずではなかったのに……
昨日早めに寝て、アラームもセットして、ちゃんと朝起きれたまでは良かった。いや、その時点で違和感はあったんだ。
何故か起きて部屋を見渡すと、嫌悪感を感じたし、朝ご飯を自分で用意すると思ったら、何故か物凄くイライラしたのだ。
まるで昨日までの気持ちが勘違いと感じるほどに、朝起きて抱いた気持ちで満ちていた。それにバイト先に向かおうとしたら今度は、物凄く面倒に感じ、そのままサボろうかすら思ってしまったのだ。
それでも、向かわないとって思い外に出ると、今度はさっきまで感じていた、面倒に感じる気持ちやサボろうと思う気持ちが嘘のように無くなったのだ。
「ねぇ君私の話ちゃんと聞いてるの?」
「えっ?は、はい!」
「なら良いけど、今みたいに最初からちゃんと聞く態度でいた方がいいよ?さっきまでの君は、ダルそうにしながら聞いてたし」
「すみません気をつけます」
店長の言い方にイラつきを感じながらも、一旦自分の体に起きている異変について考えるのをやめ、店長の話に集中する事にした。
その後もロッカーの場所やバックヤードの説明、そして制服を渡され着替えたりしたのだが、ちゃんとやろうと思ってるのに、何故かダルそうな態度をしてしまい、途中から店長に睨まれながら話を聞き、店内へ向かった。
父親が用意してくれたのは、コンビニのバイトだった。前世でも、働いた事があるので、安心したし、違いはあるけど、慣れたら問題なく働けると思ってたのに、実際店内で品出しなどを教わりながら作業し始めると、仕事に身が入らない、いらっしゃいませと元気に言おうとしても、適当に言ってしまったり、挙句にお客への対応がメチャクチャ無愛想でお客が怒ってきたり、最早思考と行動のズレとかってレベルを超え、勝手に身体が動いてしまう状態だった。
それに加え、店長やお客にイライラし、何度もキレそうになるのを必死で抑えてた。
「まぁ初日だし、君の父親から君をなぜ働かせたいかは聞いてたから、何となく予想と覚悟はしてたけど、流石に酷すぎね」
「本当にすみません……」
シフト時間が終わり、バックヤードに戻った僕に大白店長は、怒るというより不思議そうにそう話しかけてきた。
僕は、なぜあんな態度や気持ちになったのか、分からず仕舞いだけど、お店に迷惑をかけたのは事実だし、素直に謝り肩を落としてた。
それに今は、大白店長の言葉を聞いてもイライラしたりもせず、それが余計に僕はわからなかった。
「なんか君不思議だよね」
「えっ?」
「だって今の君と、仕事中の君は、話し方に姿勢に態度と、まるで別人みたいじゃない?」
「すみません……」
「怒ってるとかじゃなくて、なんでそうなるのか不思議に思っただけよ。今日は初日だったし緊張してる部分もあっただろうし、明日からまた頑張ってくれたらいいから」
「ありがとうございます!」
「それじゃ今日はもう帰っていいよ」
「今日はすみませんでしたお先失礼します。お疲れ様でした」
コンビニを出て、今日自分に起きた事を思い出しながら、何故そうなったのか考えながら帰った。