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黒薔薇の仮面

作者: 翠華

ある日の昼下がり、雨の香りが残る頃、私は歩き慣れた道を歩いていた、すると見慣れない路地が、その路地を覗き込むと白猫と黒猫が二匹「にゃーん」と私についてこいと言わんばかりにこっちを向いて鳴いている、私は手を引かれるようについていった、すると面積に合わない豪奢な洋館が出てきた、私は古めかしい雰囲気に恐怖を少し感じながらも好奇心に抗えずその扉に手をかけ開いてしまった。

エントランス変わりの階段を登る、すると登るうちにみるみる二匹の猫は白い服の少女と黒い服の少年へとなった、双子に案内されたのは店主らしき男の場所(30くらいに見える)

「いらっしゃいませ、300人目のお客様」

どうやら私は記念すべき300人目らしい、なんか少し嬉しかった、特別感を感じながら店主に話を聞こうとした時だった、煙と共にその店主が消えたではないか、すると煙は私の横に、ゆっくりと隣を見ると30くらいだったはずの店主が80くらいの老紳士へと姿を変えたではないか、私は思わず目を擦った、すると

「驚いたかい」

と店主、私は声が出なかったが店主は

「無理もない皆驚くよ」

と言って平然とした様子だった、そして、続けて店主は

「ここは骨董屋、この世界だけでなく様々な世界の物を取り扱っている。」

と言うではないか様々な世界に引っかかりながらも店内を見渡した。

黒く艶やかな死神の鎌

妖精の涙

赤黒い表紙の予言書

魔法のランプ

血に飢えた白銀の甲冑

様々な品が置いてある、その中で私が目を惹かれたのは『黒薔薇の仮面』だった、すると店主は言った

「おや、その子がお気に入りかな?」

と少し不気味な笑みを浮かべ

「その子は他の子と違って、一緒にいる主人を自ら選ぶんだ」

私は思わず何を言っているんだ、と言わんばかりの顔を浮かべていた、その顔が『死神の鎌』に怪しく写った。

「分からないよね、ごめんね、上手く説明することができないんだ」

と店主、続けて

「その子がもし君を選んだとしたらお代はいらないよ、それは然るべき時に支払われる」

私は『黒薔薇の仮面』から目が離せなかった

「本当に気に入ったようだね、さぁつけてごらん、買うかは試しにつけた後で決めてもらって大丈夫だよ」

私は試しにつけてみることにした、その仮面を手に取ったとき黒い服の少年が言った

「その仮面は今まで誰も選ばなかったよ」

続けて白い服の少女が言った

「本当にその仮面が選ぶ人って存在するのかしら」

私は妙な緊張感を覚えながら仮面をつけた、すると、すんなりとちょうどいい大きさに仮面が変化したではないか、そして白黒の双子は驚きを隠せない様子で

「仮面が選んだ」

「初めて見た」

店主は微笑みながら

「仮面は君を選んだようだ、よかったねぇ」

私はなんとも言えぬ感情に少し困っていたが先程まで感じていた妙な緊張感はなくなっていた、そしてそれと一緒に選ばれなかったらどうなったのだろうと言う興味が湧いて出てきた、そんなことを考えているとふと『死神の鎌』が気になった、そしてその鎌を見ると、なんと『黒薔薇の仮面』に赤い薔薇が増えているでないか、正しくは沢山の黒薔薇だったものが何本か赤い薔薇に変化したのだ、そしてそれは不思議なことに私がこの仮面を見た時にこの配分の方がいいなと思った配分であった、店主は

「その仮面は持ち主の望む姿に変わるんだ」

と言った、なんとそんな仮面が存在していたのか、私は驚いた、きっと顔に全て出ていたのだろう

「驚いたかい」

と店主は笑いながら言った、少し恥ずかった、だが仮面が選んでくれた嬉しさの方が大きかった。

せっかく選んで貰えたんだ、ありがたく貰っていくことにした、私は店主にお礼を言うと

「いやいや、仮面は君を選んだんだ、もう君のものと言っても間違いはないよ」

そう言って貰えるとなんだか得をした気分になった、私は店主にまた来てもいいか尋ねた、だが店主は

「このお店は2回目は来れないよ、1回来れただけですごく幸運なことなんだ」

と言った少し残念だったが良いものを手に入れたし文句は言えないなと思い、店を後にすることにした。

「ありがとうございました」

と店主と白黒の双子が出迎えてくれた、深々とお辞儀をした後、路地を戻った、路を歩いている途中あったことを思い出しながら路を戻った、路地から出るとその路地はなくなっていた、そして私の手には『黒薔薇の仮面』がしっかりとあった。

私はこの出来事を永遠に忘れないだろう、なぜなら嘘のような本当の出来事ですごく印象に残っていたからだ。

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