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8 レガシースキル

 俺は自分自身のスキルカードを今一度よく見てみた。しょぼいユニークスキル以外にマシなスキルはないものかと思ったからだ。スキルの下にレガシースキルという項目がある。これも初めて聞く。

「あのさあ、レガシースキルって何?」

 ノエルは、はて?という顔をする。俺はノエルに自分のスキルカードを手渡して確認をしてもらう。

「えーと、あ、ユニ君って21歳なんだ。私より二つ上だね。それで・・・レガシースキル?こんなスキル今まで聞いたことないよ。レガシースキル・・・言語マスター、ドレスメイカー・・・・・、あっ」

 ノエルは何か思いついたような声を上げると、レガシースキルの項目にある二つのスキルを指で押してスキルの情報を確認する。仮説は確信に変わった様な表情をして俺に顔を向ける。

「馬車で話したこと覚えてる?服のこととか言葉のこと。ユニ君が服をつくれたのも言葉を話せるのもこのスキルのおかげだよ。なんでそれらがレガシースキルっていうのに割り振られているのか、そもそもレガシースキルっていうのが何なのかはわからないけど」

 ノエルに言われて俺もそれぞれのスキルの効果を確認する。確かに言葉に関すること、服に関することのスキルだった。俺自身のことについての謎が解けたわけではあるが、やはりしょぼいとしか思えない。

「俺のスキルってやっぱりしょぼくない?レガシーとかって大げさなこと言ってるわりには」

「でも、このスキルのおかげでユニ君は寒い思いをしなかったし、こうして私と話せてるんだから得したと思おうよ」

 ノエルに励まされる。正直なところ、この国を守るために協力を頼まれたのだから何か強力なスキルの一つや二つあればと期待したのだが、そう上手くはいかないようだと現実の厳しさを実感する。

「スキルに納得いかないなら魔法を覚えてみない?ユニ君けっこう魔法の適正多いみたいだから覚えれば強力な武器になると思うよ。何より、私は魔法部隊の副隊長だからね」

 魔法か、確かにその発想はなかった。魔法という言葉は知っていたが、俺とは縁遠いものだと考えていたからだ。しかし、今目の前には魔法のエキスパート様がいらっしゃる。だとすれば魔法を覚えるのは無理ではないのではないのだろうか。

「ノエル、魔法を覚えてみたいから教えてもらってもいいかな」

「もちろんだよ」

 自信満々に答えるノエルに頼もしさを感じる。

「練習は城の訓練場でやろう。それと、ユニ君と一緒に特訓させたい人がいるから呼んでくるね。ユニ君、城まで一人で戻れる?」

 俺は大丈夫と返事をして一人で城へと向かう。



 城へと行く途中、俺は街の様子をぼんやりと眺めながら歩いていた。よく見ると今まで気づかなかったものが見えてくる。

 ノエルはたしかこの国は人間と魔族が共に暮らしていると言っていた。確かに道行く人には魔族的な特徴のようなものを持った人がしばしば見られる。翼がある人、肌が緑の人、しっぽがある人、ネコのような耳を持つ人など見ていて楽しくなる。 

 こんな光景もいいものだなと物思いにふけていると、突然男の人に話しかけられた。

「あの、もしかして暗黒の守護者様ですか」

 突然の暗黒発言に俺は動揺をする。やはりそのネーミングには未だに慣れることができない。それに、なぜこの人は俺のことを知っているのだろうとその男の人のことを観察する。

 髪は緑っぽい色をしていて、顔は若干の子供っぽさを感じるので歳は十七くらいだろうか。耳がとがっていてエルフの特徴を兼ね備えている。

 考えているとふと思い出したことがあり、思わず口に出してしまった。

「君、もしかして二、三年位前に暗黒の森にいなかった?それで魔物に襲われるとかしてなかった?」

「そうです!、三年前に薬草採取のために森にいたときに魔物に襲われて、そのときにあなたに助けられたんです。あのときは本当にありがとうございました」

 彼の目はとてもきらきらしている。この姿を見ると助けてよかったと思う。

「無事でよかったよ。それにしても大きくなったね」

 本当に大きくなった。助けたときは160とかだった気がするが今は180近くある。俺は170しかないから本当に大きくなった。うらやましい。

「今の自分があるのは守護者様のおかげです。あ、俺アサヒって言います」

「俺はユニだ。守護者っていうのは恥ずかしいからできれば名前で呼んでもらえると嬉しいかな」

 俺はいつも通り守護者呼びをやんわりと否定しながら自己紹介をする。きっとこの先も何度もこうしないといけないのかと思うと少し億劫になる。

「わかりました。ところで、今ユニさんがいらしてるってことは戦争関係ですよね?俺はあなたがいればきっとこの国は大丈夫だと信じています。俺は戦闘向きじゃないのであまり役には立てないんですよね、なので、俺の分までどうか、お願いします」

 深々と頭を下げるアサヒを見て俺は自分自身が背負っているものの重さを実感する。

「できる限りがんばるよ。でも、忘れないで欲しいのはアサヒだって力になってる。君の集めた薬草が誰かのためになってるだろ?自信を持ってお互いできることをがんばろう」

 アサヒは最後に改めて俺にお礼を言い、その場を去った。集めた薬草で薬をつくらなければならないらしい。

「俺も、俺にできることをやらないとな」

 正直、今の俺に何ができるかはわからない。魔法だって上手くいかないかもしれない。それでも俺は目の前の可能性に賭けていこうと思った、俺を信じてくれる人たちのためにも。

 

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