あそびたりない
「もっと遊びな」
専門時代からの友人が言った。
彼氏がほしいけど、出会いがない、好きな人もいない。
「どうしたら出来るの?」
私の素朴なその問いに友人はそう答えた。
「君は真面目すぎる、もっと遊びな」
好きな人や彼氏がいた事もほんどなかった。
彼女が居ない時の方が少ない彼から見たら、私はきっとそうなのだ。
友人との飲み会を終え家に帰り、しばらく好きな人は出来ないだろうし、若い内に一度遊んでおこうと思った。
よくあるアプリを入れてみた。
さっそく色んな相手からメッセージが来た。その中で面白いものがあった。
「笑顔えっぐい可愛くて呼吸止まりかけました」
シンプルに気持ち悪かった、けれど他の生々しいキモさよりも大分マシだった。
「ありがとう、そのまま止めてみて」
止まりかけたなら、止めてみてほしいと思い返事をした。
「死んじゃう」
うん、それはそう。
なんとなくやり取りが面白かったので、会うことにした。
会ってみると、思っていたよりもかっこよかった、でも背が小さくてなんだか可愛かった。
彼の家について行き
彼の手作りのカレーを2人で食べた。
彼はカレー作りが好きらしく、普通の茶色いカレーと白いカレーをご馳走してくれた。
久しぶりの手料理だったので、とても美味しく感じた。
お互いの仕事や兄弟、休日の過ごし方、今までの恋愛など色んな話をした。
そして、ロフトに上がり、キスをした。なんだかしてしまうと本当に好きになりそうで怖くなった。
それに彼が気づき、帰る?と聞いてきた
誰かと一緒にいたいけれど、やりたくはなかった
でも帰るのも嫌だった。
このまま帰るなら、もっと一緒にいたいと思い
キスをした。
帰りは、駅まで送ってくれた。
もう一度遊びたかった。
けれど彼にとって私はもう興味のないものになってしまったので、それ以降連絡を取る事はなかった。
遊んだりするんじゃなかった。