第4話:俺達って有名人!?
「はぁはぁ・・・死んだかと思った・・・」
さすが頼りになる奴ら、あっという間に引き上げられた
「ひっ秀吉・・・ゼェゼェ・・・それは、俺の台詞だろ・・・」
息もおぼつかぬままツッコミ
しかしなんとか大ピンチを見て全速力で助けに来てくれたのはありがたかった
よほど全力で来たみたいで、真吾だけでなく3人は橋の上で全員大の字で横たわっていた
「まったく・・・私も寿命が縮んだようだ・・・
こいつらはお前の友達か?」
橋の上で一人だけ胡坐をかきながら座っている女の人が尋ねた
ん〜やはり普通の女の人ではない
「まぁ、友達というか・・・兄弟みたいなもんですよ」
真吾は大の字になりながらニカリと笑った
「仲がいいのだな、うらやましいな」
それを見て、女の人もフッと笑った気がした
「それよりも・・・足は大丈夫ですか!?」
真吾はヨロリと起き上がり
先ほど痛めただろう足が気がかりだった
「たいしたことはない、なあに、スネの骨が一本ヒビが入ったくらいだ」
「いや、十分たいしたことですが・・・」
一味も二味も違う人だ
「そういや真吾、その女の人誰?」
秀吉もムクリと起き上がり聞いてきた
「ついさっき会ったばかりだけど、チビを助けるのを手伝ってくれた人だよ
きちんとお礼言っておきなよ」
秀吉は、立ち上がり女の人の手を取ると
「本当にありがとうございます!!ウチのチビを助けるために怪我までして・・・
良ければ、お礼させてください!!そこのホテルで愛をかわ、グホゥ!!!!」
顔に太陽、腹に俺の拳が炸裂していた
ったく女には節操ないな、こいつ
「誠に申し訳なかった」
太陽は深々と頭を下げる
「いやいや、私も猫は好きなのでな、問題はない
しかしビックリしたぞ、スーパーから帰る途中に私のアパート近くから猫の鳴き声がするのだからな」
「本当にスイマセン、結構ヤンチャな奴なんで」
本当に申し訳なくなった
「では、私は帰るとしよ、ツゥ!?」
女の人が立ち上がろうとしてよろけた
「病院行きましょう!!しっかり治さないと!!」
ヨロヨロと真吾もない体力を振り絞り、女の人を支える
病院はここから歩いて10分くらいだ
「ん・・しょうがないな・・・では頼む」
女の人が寄りかかってくる
「しょーがねーなぁ、真吾、その人頼むぜ、俺らは帰るからよ
沙耶っちも心配してるだろうしな」
「真吾、終わったら連絡しろ」
「ちょっ・・・待・・・」
2人はこっちが言う余裕もなく、チビを背負って行ってしまった
一人では正直、体力的にはキツイのだが・・・
しかも、秀吉が帰り際ボソッと
「チャンスだぞ(笑)」
と言ったのは無視しよう
「んじゃ行きましょうか」
「ん」
真吾の肩に寄りかかりながら病院へとすすむ
女の人は、遠慮しているのか、あまりこっちに体重をかけてこない
それに、真吾の身長が175cmに対して20cmぐらい小さい
そのため、肩を貸して運ぶには少々骨がおれた
「あの非常に言いづらいんですけど・・・」
「ん?何だ?」
・・・結果
「大人しくしてください!」
「いいから足を動かせ!早く行け!私だって恥ずかしいんだ!
誰かに見られる前に急げ!ノロマ!!」
ピシッと後ろから頭をはたかれる
なぜか初対面の女の子をおんぶする羽目になるとは・・・
息を切らしながら女の人を担ぐ
先ほどの真吾を引き上げてたパワーは今背負っている軽さからは想像も付かない
さらに背中から伝わる柔らかさは女の子を意識させるには十分であった
意外に胸あるんだな
そんな不埒なことを考えてしまい、思わず赤面してしまう
「そう言えば、名前を聞いてなかったな」
女の人が上から尋ねた
今、顔を見られてなくて良かった
「あぁ、自己紹介が遅くなりましたね、俺は神山真吾と言います
この近くの霧山高校の2年生です、家はこっから20分くらい歩いたところです」
恥ずかしさのあまり聞かれてないことまで答えてしまった
「ん?じゃぁ私の一個下だな、というかお前、あの神山だったのか・・・
お前らは何かと有名だぞ」
げっ!?同じ高校の先輩だったのか・・・
って待て!?
「俺なんて有名じゃないですよ!!むしろ周りが厄介なのばかりだから!!」
「確かにグループとしはもっと有名だぞ、お前らのグループは
しかし、お前が有名なことには変わりはない」
何故に!?
「神山真吾、霧山高校2年3組11番、通称:『ネゴシエイター』、学校一の仲人、学校内で仲を取り持ったカップル累計、57組
他にも相談者は数知れず、その手腕より学校外から依頼がくるほど、成功率31%
しかし、成功率より特筆すべきは満足度、依頼した99%がその依頼による結果に満足している・・・ぐらいか」
「詳しすぎ!?」
何だこの人!?何故俺のことこんな知ってる!?俺のファン・・・のはずもないが
にしてもちょっと背筋に冷たい汗が走った
「お前のデータだけじゃないぞ、お前のツレは2人ということはさっきのは浜田と斉藤だな
浜田秀吉、霧山高校2年3組25番、通称:「サボり屋」学校一の問題児、学校を昨年進級ギリギリの出席日数で進級したサボり魔
さらに、女好きで、あいつと付き合った女の子は去年だけで13人、しかし不思議と恨まれたりはしていない
なかなか喧嘩も強く、学年で張り合えるのは、同じグループの斉藤太陽くらい
そしてもう一人
斉藤太陽、霧山高校2年3組15番、通称:「侍」、学校一の硬派な男、剣道部所属、現在副主将
性格は実直、真面目、無口なところがあるが、信に厚く、先生、生徒、老若男女からも絶大な支持を得ている
そのため、学校内外から告白されている、その実数を把握することはもはや不可能
お前の成功率も斉藤を除けば、60%だしな」
さらっと言ってくれる・・・
俺らのストーカーと思ってしまう
「なっ何でそんな詳し・・」
「ん、着いたな、また後でな」
胸に想像以上のモヤモヤを残しながら病院の前にまで到着していた