第1話:とりあえずの日常
見切り発車感バリバリですができるだけ早く更新していきたいと思いますので、御意見ご感想がありましたらドシドシ言っていただけると嬉しいです!!
「大人しくしてください!」
「いいから足を動かせ!早く行け!私だって恥ずかしいんだ!
誰かに見られる前に急げ!ノロマ!!」
ピシッと後ろから頭をはたかれる
なぜか初対面の女の子をおんぶする羽目になるとは・・・
きっかけは半日前にさかのぼる
二学期始まった、今日はその始業式
もちろん授業はなく、午前中で今日は終わった
さらに台風が近づき関東全域に直撃コースらしいため全ての部活が休みだという
まあ帰宅部である神山真吾には関係ないのだが
「真吾〜、帰ろうぜ〜」
授業が終わった。そこへオシャレ坊主な男が近づいてきた
「あぁ了解〜今日は太陽は部活休みだってのにまたアレかな?」
太陽といっても星ではない、斉藤太陽という名前の親友の名前だ
男前、クール、そして実直な性格、
男らしい自慢の親友だ
その分、なかなかに、というか学年一モテるんじゃないだろうか?
「知らねえ、また告られてるじゃねえの?授業終わって速攻で出て行ったし」
軽く嫉妬してんな・・・こいつ・・・
そういうこいつは浜田秀吉、・・・まあ・・・幼馴染だ
かなり軽い性格でサボり魔ではあるが、根はいい奴だ
女好きでコロコロと隣にいる子が変わってるのが難点だが・・・
「それじゃしょうがないね、長引きそうだし2人で帰ろうか」
中学校工始めくらいでは、告白現場を覗きに行ったりと面白がってたのだが
太陽への告白が高校では日常茶飯事になっていちいち騒ぎ立てる奴もいなくなった
「帰りゲーセン寄って行かね?今日新作の音ゲーが出たらしいんよ」
帰ってもさしてやることのないため秀吉の提案どおり駅前にあるゲーセンに行くことに
2,3時間ゲーセンで遊んだあと台風が接近しているため少し時間が早いが家に帰る
「秀吉・・・出たばっかりのゲームを3時間でマスターするってどうなんよ」
「ん?今回のは、ギターにしては5本の弦をかなりリアルに再現されてたし良かったんじゃね?」
「いや、そうじゃなくてさ、マスターするのが早すぎだって言ってんの」
秀吉はゲームマニアでもあるんだが、RPG、音ゲー、戦略シミュレーション、格ゲー
ゲームと名の付くものはあっという間に全クリア、もしくはマスターしてしまう
対戦物では負けたところを見たことがない
これはもう天性のものとしか言いようがないが・・・
もう少しそれを真面目な方向に向かえば天才と呼ばれたかもしれないのに
「ん〜まあ楽しいから良いんじゃね」
まあほどほどにダメ人間だ
秀吉とだべりながら家に向かう
秀吉と俺は家が近い、俺の家の右斜向かいが秀吉の家
「今日は台風だけど、今日は来るのか?」
真吾の両親は妹が海外に留学中のため付いていってしまったし
姉は一人暮らしの大学生
放任主義というわけではないが、両親は妹を溺愛しているため優先順位順位というものがある
というわけで真吾の家は夜、幼馴染たちのたまり場になる
「さすがに今日は家でまったりしてるさ、久しぶりに妹と猫で遊ぶのも悪くないしな」
「妹『で』!?妹『と』だろっ!?
はぁ・・・だから沙耶ちゃんも猫もお前には懐かないんだよ・・・」
秀吉には一つ下の妹、沙耶がいる。
こいつの妹は「バカヒデみたいにはなりたくないし」
と見事、反面教師に育った優等生、性格もとっても大人びている
そういうこともあって飼っている猫ともども、秀吉は懐かれていない
容姿も年下とは思えないくらい美人であるため、1年の間だけではなく
2,3年のクラスでも人気は高い
秀吉はそんな妹に絡んでは、嫌がられているのだが
リアクションを返せば返すほど秀吉を増長させていることはまだ沙耶は気づいてないようだ
今度、沙耶にあったら忠告してあげねば、と決意を新たにする真吾であった
「まぁほどほどにね、んじゃまた明日ね」
「おーーす、善処しまっす!!んじゃな」
秀吉には困ったものだとため息を付きながら家の戸を開ける
「ただいまー」
と言った所で、誰もいないのだから声が返ってくるはずもない
と思いきや
「おかえりーーー!!!」
奥から、返事が返ってきた
幻聴というにははっきり聞こえる
真吾はダッシュで居間まで上がると
「おいっす〜真吾!だいぶ帰り遅かったじゃん!おいらが先上がってお菓子食ってっからね!
お構いなく〜」
「何がお構いなくだよ!!」
ソファに寝っころがってポテトチップスをバクバクと食いまくっているバカがいた
周りにはお菓子の食いカス、食い終わった空の袋、漫画が散乱している
朝出るときには綺麗だったのに・・・
そこにいる元凶を睨みつける
「ん?真吾も食べたいの?」
まったく的がずれている・・・それに一気に脱力する
「バカ姫・・・とりあえずそれ片付けて帰れよ・・・」
元凶=椎名姫(17)=幼馴染・・・
認めたくないが女だ
俺から見るに女としての魅力は皆無だが
周りから見ると可愛い部類に入るらしくよく告白の橋渡しを頼まれる
それだけならまだしも近くにいるというだけで付き合ってると勘違いされることこともある
確かに今日のように勝手に人の家に上がりこみだべってはいるが
アメリカの首都をイギリスというバカなど冗談ではない
「あぅ!バカって言うなよ!バカって!!姫だけでいいじゃん!
なんだったら姫様〜って呼んでもいいんだからね」
「何を言ってるだ・・・バカ以上にお前を表す表現がないことに感謝するんだね」
「がーーーぅ!食うぞ!コノヤローー!!待ちやがれーーー!!」
ソファの上で咆哮する名前だけ偉大なバカはほっといて自分の部屋に向かった
私服に着替えた後に、居間に戻る
姫は相変わらずポテチに手を伸ばしながら漫画を読んでいる
女の子にしては長い足がソファからはみ出している
頭に血液が行かない分手足が成長し、身長は女子の中でトップクラスに高い
まあ真吾の身長より低いことは唯一の救いだ
それに加え、運動神経もいいため、バレーボール部のアタッカーとしてエースをはっている
まあ真吾にしてはただの寄生虫としか見ていないのだが
「あれ?そういや太陽は?一緒じゃなかったの?」
姫が食っちゃ寝しながら器用に聞いてくる
「太陽は今日はまたお呼び出しだよ
それよりお前、そんな食い方してたらブタになるぞ・・・」
「おいらは食ってもすぐ消費するからいいんだよー!
てか太陽、人気あるねー、なんで付き合わないのかな?」
さらっと全国の女子に恨み買いそうなことを言ったな
「太陽は、硬派だからね、好きでないのに付き合えないんだと」
「ふ〜ん、勿体ね〜なぁ」
「お前こそ、告白には困ってないじゃないか、何度俺が橋渡し頼まれたと思ってるんだ?」
「おっおいらはいいんだよっ!!おいらに釣り合う男子なんてホントにどっかの国のおっ王子様レベルでないと」
何どもってんだ、こいつ?
「それよりしっ真吾はどうなのっ!?」
どもりながらも矛先を真吾に向けてきた
「俺は浮いた噂なんてさっぱりだよ、好きな子できても、基本は太陽への橋渡しして終わりだよ」
「ふ〜ん、難儀な性格してるね〜、さすが「いいひと」真吾
チキンだね」
「うっ・・・イタイとこつくね、キミ・・・」
真吾の代名詞は「いい人」である、
愛情よりも友情を取る
自分を殺して、相手を立てる
処世術に長けた人物なのだ
おかげで相手に嫌われることはないが、愛情まで発展することはほとんどない
それでも、そこで満足してしまう真吾がいるのだった