一目惚れ
K高校へ入学して初めての登校だった。期待に胸を膨らませ、教室へ入る。中は想像通りの静かさで、ぱっと見た感じ不良らしき容姿の人が二人いた。この学校は倍率高い上に、ここは特進クラスだぞ⁉︎ なんて思いながらも自分の席に着いた。
偶然にも前の席が知り合いだった。俺はコミュ障だから胸を撫で下ろす。仲の良いメンバーはみんな隣のクラスで、少しばかり不安であったのだ。
まぁ、何にせよ、これから俺の青春が始まるんだ……! そう意気込んだ。
***
授業が終わり、次の授業の準備をしていた時だ。前から不良(?)の一人がこちらへと近づいてきた。
当然、俺は表情をそのままに警戒した。でも、変に絡まれるという雰囲気を感じなかった。
「ねぇ、軽音楽部に興味ない? もしあったら、今日の放課後、一緒に見学行かない?」
意外な質問であったが、俺としてはとても嬉しかった。友達を増やすチャンスだと思い、一つ返事で「行く!」と答えた。
放課後になり、軽音楽部の部室である視聴覚準備室へと向かった。ドアが閉まっていたので、ノックする。
「はーい」という声が中から聞こえ、ドアが開く。そこに立っていたのは眼鏡をかけた女の先輩であった。見たと同時に、俺は先輩に恋をした。一目惚れだった。
小中学の頃から恋多き人生になるであろうことは薄々気づいていたが、今回は恋に落ちるまでの時間が最速であった。それに、それまで眼鏡に対してマイナスのイメージを持っていた。しかし、眼鏡への偏見も一瞬のうちに消えてしまい、心も目も意識も、全て彼女へ奪われてしまった。
一瞬という言葉を実感したのもこれが初めてだろう。今までの傾向は夏休み前後で恋が始まり、その三ヶ月後には散るというものだった。だが、今回はいつもと違う散り方なのだろうとすでに予感していた。
それでも諦めるわけにはいかなかった。俺の生きる意味とは恋愛であると思っていたからだ。今までの失恋だって、今回の恋と出会うための道であったのだと考えた。
しかし、この恋が始まるのは早すぎた――




