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ルーンと異界の旅日記  作者: 墨崎游弥
序章~異界まで~(ゲロ注意)
6/107

暗示と異界人 (ここまで改稿済)

やっと元の世界編が書き終わりました。次回、ついに転移します。

 午後7時。4人がドミトリーに集まった。


「お前らの成果はどうだ? 」


 と、まずはシオンが尋ねてきた。すると、グランツは地図とアタッシュケースをシオン達に見せる。


「まずは異界への穴の場所を突き止めた。どこかっていうと、この海岸線……もとい釣りの名所付近だ」


 グランツは地図を指差した。そのエリアはスリップノットの南側にある砂浜、その先にある釣りの名所。桟橋近くに異界への穴を示す印がつけてあった。


「あとはジョエルさんから偽硬貨を預かってきた。ひょっとしたら異界の硬貨かもしれないということで」


 杏奈はアタッシュケースを開けた。コインケースには、午前中に見た偽硬貨がぎっちりと詰まっており、それが5つ。


「でかしたぞ、二人とも! 」


 シオンは言った。


「私達なんですが、霧が出たカフェで旅行中の占い師からドロシー・フォースターの居場所を聞き出しました」


 と、ノエルが言った。そういえば、今回の任務は異界の調査とドロシー・フォースターの討伐だ。ドロシーの居場所のヒントを得られるということも大きな収穫であることには間違いない。


「異界のタリスマンの町にあたる場所だと聞きました。異界はこのレムリア大陸と同じ形の大陸が存在するそうで、地形はすべて同じだと聞きました」


 ノエルは続ける。


「あとは信じるかは貴方達次第ですが、ルーンが私たちのイデアに加護を与えるとも聞きましたね。なんでも、暗示によって加護を与えるイデアが変わるそうです。杏奈とグランツの暗示も出されました」


 ノエルは文字の書かれた石を4つ見せ、他の3人に石を3つ渡す。


「私の暗示が調節の暗示のアルジズ。杏奈のが希望の暗示のジェラ、グランツのが挑戦の暗示ティワズ。どう対応しているかわからないけれど」


「俺のは確か……ウルズか。輪廻の暗示だよな。加護については信じてねえけど」


 4人はルーン石を手に取る。


「先輩、あながち外れていないかもしれませんよ。私に出た暗示はこのイデアが出たことを……」


 ガッシャァーン。


 下の階から音がした。グランツは窓から外を見る。不自然な場所から不自然な角度で突っ込んだ車。スリップノットには車の通行が禁止されているエリアも少なくない。ドミトリーの近くも車の通行は禁止されている。


「おいおい!車が突っ込んでんぞ!しかも不安定な異界の穴まで開いてやがる! 」


 窓から外を見たまま、グランツは叫ぶ。興奮ぎみの彼は車の様子をじっと見ていた。

 車から人が出てくる。彼らはひどく怒り狂っているようだった。そのうちの一人はドミトリーにいた一人を殴り、流血させている。


 グランツは咄嗟に窓から飛び降りた。


「グランツ!?待てよ!おい! 」


 シオンもそれに続く。だが、シオンはしっかりと見ていた。人が別の人を殴っている。車から降りてきたのは二人組だ。



「おーい。お前ら、何やってんだ? 」


 ドミトリーの2階から飛び降りたグランツ。二人組のうち、片方と目があった。


「あ?こいつ、俺の持っている硬貨が使えねえとか言うんだよ!俺が持ってるのはホンモノだ」


 グランツはすぐに理解した。しかし、話し合いで決めようとはしなかった。なぜなら、もう一人が本気でグランツを殺そうとしていたからだ。その証拠に、拳銃をグランツに向けてを持っている。


「そーねー、お前らちょっと頭冷やせって。いくぞ、ティワズ!多分加護はある! 」


 いつものおちゃらけたグランツの目付きが一瞬にして変わる。彼の周りに水色のオーラとダーツのビジョンが現れる。グランツはダーツを手に取ると正確すぎる軌道で相手の持つ拳銃を破壊した。


「この野郎!俺達はお客様だ!ドミトリーに泊まる!看板もまるっきり同じなんだよ! 」


 奴はグランツに向かってくる。


「グランツ!殺す気でやるぜ」


「お、おう! 」


 シオンとグランツは息を整え、そして車に乗っていた二人を迎え撃つ。まずはグランツがダーツを撃つ。ダーツは一直線に飛んだ。男はたやすくダーツをよけたかに思われた。


「当たらなければ……なんだと!? 」


「お前、次に上に行くな? 」


 笑うグランツ。その通り、一人は上へ。


「……来たぁ! 」


 シオンの指先から放たれる音波。それ自体に攻撃性はないが、シオンの音波は光の魔法を伴っている。よって、光線のように扱える。


「い!? 」


 一人に音波が命中し、気を失う。もう一人と目が合うグランツは避ける方向を先読みして、ダーツを撃つ。それは、ただのダーツではない。ライフル弾と同じ回転がかかり、もう一人を倒す。もう一人は胸部から血を流し、その場に倒れこんだまま事切れた。

 グランツは自分は悪くない、とばかりに異界人を見捨て、穴のほうを見る。


「よし、この穴の記録を取って戻るか」


「だな」


 その場所に空いた不安定な穴は金色の霧を放っていない。さらに、その不安定性ゆえだろうか。穴は少しずつ閉じていった。

 二人はメモ帳に穴の様子を細かに記録すると、杏奈とノエルのいる2階へ戻った。



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