幕間~杏奈の異界調査手帖~ その2
これまでのストーリーのようなものです。
杏奈の書いた手記という形でまとめました。
これまでのストーリーとして読んでもよし、読み飛ばしてもよし、です。
傷を負ったグランツと二コラが宿に帰ってきた。グランツは左腕の骨が折れているようで、二コラは吸血鬼の再生力ですら再生不可能な傷を負っていた。
「二コラ。何があった?」
二コラを見て何かを察したような杏奈が尋ねた。
「なんでもねえよ。俺は疲れた。しばらくディレインで休むぞ。」
二コラはそう言うと布団の中に潜り込んだ。
その二コラとグランツをよそに、杏奈は異界調査手帖を開く。その手帖には、杏奈が異界に来てからの事が記されている。
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以下、手帖の文章
12日目
昨日到着したドラゴンランド。観光都市とのことで、人を集めるような施設が目立つ。
私はジョシュアとともに博物館を見に行くことにした。博物館には異界の大切な遺物が保管・展示されていた。呪具やルーン石など、非常に大切だと思われる遺物まで保管されており、何者かに狙われていることも予想できた。
実際、博物館の館長に変装した何者かがルーン石を盗んでいた。
同行者のノエルに異変。イデアの使い過ぎで体調を崩したのだという。イデアには継続時間というものがあるらしく、継続時間は人それぞれである。
13日目
今日は体調が芳しくない。吐き気と頭痛と高熱のため、今日はホテルで休むことにした。
14日目
ドラゴンランドにて3人のイデア使いと交戦。名前はそれぞれハマー、イズラエル、アンシ。イズラエルとの戦闘にて私のイデアの能力が目覚めたのかもしれない。私が水に沈められた時にイデアを使ったら水の流れを変えることができた。
また、数日間グランツだと思っていた人物はハマーが変装していたとのことで、グランツの持っていたルーン石は我々を狙う者たちの手に渡った。
16日目
本日ドラゴンランドを発った。クロックワイズ行きの列車のホームで2人の刺客に襲われる。彼らの名はナーレとスィレニア。
二人の能力を紹介しておくが、ナーレは金属を生成する能力を持っている。生み出すだけで金属を操るようではない。
スィレニアは目に見えない糸で物体や生物を操作する能力を持っていた。この二人は非常に相性が良いとみることができる。イデアも組み合わせ次第ではかなり強くなる能力も存在しているのだろう。
17日目
列車内で一日を過ごす。車窓から謎の廃墟が見えた。ガイド曰く吸血鬼の収容施設の残骸だという。異界でも吸血鬼が良からぬ扱いを受けている可能性がある。
18日目
ディレイントンネルというトンネルの中で列車が分断される。リッチーという男の仕業のようだ。我々のパーティが分断される。
トンネル内でリッチー、フォント・セアというイデア使いと交戦。リッチーもそれなりの強敵ではあったが、特に厄介なのはフォント・セアだった。
フォント・セアは地中を移動できる能力を持っていたようで、これをトンネルの中で使われるのは非常に対処が困難だった。
リッチー、フォント・セアと戦った痕、二コラの提案で一番近い町を目指すことになった。
19日目
町が見当たらなかったため、野宿。周囲の植生を見てみた。ディレイントンネル付近の植生はどうやら落葉広葉樹が多い。きっと手が入っていないのだろう。
20日目
散々山の中をさまよったが、さびれた町に出た。町の名前はディレイン。町に明かりが少なく、はっきり言って活気はない。
21日目
昼間のディレインを探索する。
宿は一つしかないようで、かなりさびれている。
夜、外に出たグランツと二コラが満身創痍で帰ってきた。きっとイデア使いとの戦闘になったのだろう。しばらくディレインの町で休むことになった。
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杏奈はため息をついて手帖を閉じた。
「やれやれ。グランツに何があったのか、私にはよくわからないけど。」




