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ルーンと異界の旅日記  作者: 墨崎游弥
ルーン石編(後半になるほどグロ描写増えます)
38/107

トンネルの先

なんとかなりました!ほんとに!

無事に帰ってこれましたー(ФωФ)

 トンネルの出口が見えた。夕陽がトンネルに差し込んで、トンネルの壁と天井は赤く染められる。杏奈、グランツ、ニコラの3人はトンネルの外、光の当たる世界に飛び込んだ。


「クソ!相変わらずピリピリしやがる!」


 トンネルを出るなりニコラは言った。トンネルを脱出すべくリーダーシップを取った頼もしいニコラはどこに行ったのか。杏奈は今のニコラを見ると苦笑いした。


「吸血鬼、だからね。仕方がない。私は吸血鬼が嫌いでもなければ人間至上主義でもない。」


 杏奈は言った。


「おう。同行するヤツがお前みてえなヤツで安心した。」


 ニコラは答えた。


「で、これからの話だぜ。地図によるとさっきのトンネルはディレイントンネル。まあ、山だな。ここは線路の上だし少し離れたところからシオンに連絡してみようと思う。」


 連絡手段。異界に入ってから、連絡用の端末が使えないことは杏奈もグランツも分かっている。だが、問題は二人が満足に魔法を扱えないことにある。


「おいおい、俺と杏奈は魔法苦手だぞ。」


 グランツは言った。


「私もだよ。手紙を飛ばすような基礎魔法ですら満足に扱えない。」


 杏奈も続けて言う。


「いや、俺が連絡するよ。俺はこう見えてジョシュアみたいな脳筋じゃねえから。」


 すっと紙を取り出したニコラ。ペンでサラサラと文字を書き、その裏には何かの魔方陣を描いた。ちらりと見えるニコラの字は意外にも達筆で繊細だった。

 文字を書き終えたニコラは手紙を紙飛行機の形に折って飛ばす。夕暮れの中、手紙は線路のその先へと飛んでいった。


「すげえ……俺未だによくわからねえんだよ。」


 グランツは言った。


「まあな。ガラスを傷付けずに貫通するとっておきの式だぜ。行くか。」


 杏奈、グランツ、ニコラの3人は線路沿いの森に入っていった。




 同じ頃、シオンたちの乗っていた列車も緊急停止した。分断されたトンネルから4キロほど離れた場所で。


「……やっと止まったか。」


 シオンは呟いた。列車が分断されてすぐに停車したわけではなく、少し時間が経ってからの停車。ノエルやジョシュアにとっても不可解なことだった。


 ここは周囲に森が広がり、線路沿いには舗装された道かある場所。そのつもりになれば車が通れるはずだろうがこちらの世界に車があるかどうか。シオンにはわからなかった。


『只今後ろの車両との連絡が取れておりません。もうしばらくお待ち下さい。』


 案内放送が社内に響く。周囲はざわめき、不安が一体を包んでいる。


「ああ、参ったな。杏奈たちの安否も分からないじゃないか。」


 ジョシュアは言った。


「そうですね。杏奈とグランツとニコラが後ろにいたみたいです。」


 ノエルが言うとジョシュアはため息をついた。


「どうか無事であってほしいものだね。」



 しばらくすると、シオンの目の前に紙飛行機が飛んできた。魔法を使える者たちの連絡手段だということは明白であったが、これは少し勝手が違う。なんと、窓ガラスをすり抜けて入ってきた。


「ニコラからか。彼、妙な魔法が好きだからね。」


 ジョシュアは言った。その傍らでシオンは手紙を開く。

 黒いインクで書かれた手紙はニコラたちの無事を示すものだった。また、トンネルの中で二人の刺客と戦ったのだという。


「無事で何よりだな。この後俺たちがどこに行くかはわからないが。」


 と、シオンは言う。

 すぐに列車が動き出し、乗客たちはざわめく。


「異界は違いますね。事故でも構わずに運行するなんて。」


 と、ノエルは言った。


 列車はそのまま次の駅であるイモータルまで止まることはなかった。

 次の駅イモータルに着いたのは夜遅く。そこはシオンの知るイモータルではない、発展した内陸部の土地だ。


「ここからどうやって杏奈たちと合流するか、だよなあ。」

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