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ルーンと異界の旅日記  作者: 墨崎游弥
ルーン石編(後半になるほどグロ描写増えます)
36/107

クラッシュ

ストックが残り少ない…。

サイトに直接書いてなんとか持ちこたえてやります(汗)

 列車の中は居心地がよく、外の景色もよく見える。さすが寝台列車だ。


「またトンネルなんだね。昨日はそこまで多くなかったのだけど。」


 杏奈の隣に座り、外の景色を見ていたノエル。一方の杏奈はドラゴンランドでの出来事やイデアについて、手帖にまとめていた。


「そうだね。あ、ちょっと飲み物を買ってくるよ。何が飲みたい?」


「私はオレンジジュースにしようかな。」


「わかった。」


 杏奈は席を立って、後ろの車両にある売店へ足をすすめた。列車が動いているだけあって歩きづらい。車両を二つ移動したとき、列車全体が大きく揺れた。


「脱線事故!?いや……そんなことは……」


 杏奈は列車の進行方向を見る。どうなっているのか、杏奈にはわからなかった。だが、列車の動きが遅くなっていることは理解できている。一体何があったのか。


「杏奈!何があったんだよ!?」


 照明を消した多目的室から出てきた二コラは言った。焦るのも杏奈にはよくわかる。にわかに理解しがたいことがここで起こっている。そこにグランツも合流する。そのグランツは窓から外を見た。何者かと目が合う。トンネルの中にだれかがいる!


「二コラ!杏奈!誰かいる……」


 グランツの視線の先には確かに何者かがいる。トンネルの壁に一体化したような、壁の中を泳いでいるような人物。一瞬で彼が只者ではない事がわかる。


 その時、案内放送が始まった。


『レムリア鉄道をご利用いただきましてありがとうございます。この列車はディレイントンネルにて何者かからの襲撃をうけて車両が切り離されました。』


「嘘だろ?」


 グランツは言った。だが、それが本当ならば列車が止まったのもわかる。これからどうなるのだろうか。グランツと杏奈はそれだけを考えていた。


「おい。」


 二コラは言った。


「この列車に襲う要素があるとしたら俺たちじゃねえか?だから、ここがトンネルだろうが関係ねえ。出るぞ。」


 グランツにとっては盲点だった。考えてみれば確かにそうなのだ。杏奈、グランツ、二コラの3人は列車のドアを破壊して外に出た。


 トンネルの中はよどんだ空気で、列車の進行方向だった方向を見ると確かに前の列車はなかった。一番前の車が3人の乗っていた車両となる。つまり、一行は分断された。


「どうする?このトンネルの中に誰かが潜んでいるのは確実。」


 杏奈は言った。その間にも警戒は怠らず、星空のイデアを出していた。

 ゆらり。トンネルの中の空気が揺れる。何者かが襲ってくることが直感的にわかる杏奈たち。その瞬間、列車は粉々に砕かれた。そいつが来た!


「離れろ!」


 二コラは叫び、3秒後に炎を放った。炎で周囲が照らされ、敵の姿が一瞬だけだったが見えた。そいつは炎に照らされながらトンネルの天井を砕く。すると、天井から何者かがグランツに襲い掛かる。


 グランツは間一髪で避けた。その二人を見た二コラは確信する。この二人とは戦ったことがある。


「杏奈、グランツ!よく聞けよ。こいつらと俺は戦ったことがある。」


 そう言っている間にも二人の敵は二コラを攻撃する。その攻撃を二コラは吸血鬼の身体能力を生かしていなす。


「物体を砕く力を持ったリッチーと、地中を泳げるフォント・セアだ。マジで気をつけろ。トンネルの中だとやべえ!」


 と、二コラ。その直後に杏奈も敵の攻撃に気づく。上から誰かが落ちてきた。杏奈は閉じた鉄扇でその攻撃を受け止める。相手の力は強い。攻撃してきた相手と杏奈は目が合った。


「こいつか。」


 彼は目が合った瞬間つぶやいた。そのまま杏奈と距離を取ると地面に飛び込んだ。彼、フォント・セアは杏奈やグランツの視界から消えた。


「一人の敵に気を取られるな!敵は二人だぞ!」


「そうだね……」


 杏奈とグランツもリッチーに注意を向ける。だが、暗くて周囲は見えない。ここで二コラが動いた。リッチーの気配がわかったのか、彼に向かって炎を撃った。トンネルの中で炎が燃える。

 二コラはその光景を見ても、リッチーを倒したとは判断しなかった。まだ生きているだろう。リッチーだけではなくフォント・セアもいる。

 二コラの後ろの地面に目が現れた。炎で照らされたその目を確認したグランツはその目に向かってダーツを撃つ。鉄をも貫くダーツは地面に穴をあけた。ここで、フォント・セアは地面から飛び出した。


「リッチー。こいつら全員、砕いてよし。」


 二コラの背後で、空中でフォント・セアは言った。アクロバティックな身のこなしでフォント・セアは二コラ転倒させた。フォント・セアの狙いは二コラの行動を封じること。


「今だ!」


 グランツのすぐ前に現れたリッチーは手を伸ばし、ダーツを砕く。その時、一瞬だけイデアを目視した杏奈は二人の間に割って入った。


「なんだ!?」


 はじかれる感覚。それがリッチーにイデア経由で伝わった。杏奈はふっ、と笑う。

 態勢を整えた杏奈は逆にリッチーに突っ込んで顔に傷を入れた。対するリッチーもイデアで杏奈を砕こうとしたが、失敗。すべてイデアにはじかれる。


「おかしい……どういうことだ!?」


 リッチーは再び杏奈に突っ込んでくる。ここで理解する杏奈。リッチーも杏奈も接近戦でお互いに有利となる。


「リッチー。こいつとは相性よくないだろう!」


 下だ。杏奈は足元をすくわれ、後ろから蹴られる。


「あ……」


 地面、壁と完全に一体化しているかのように、フォトン・セアは気配を絶っていた。いくらリッチーの有効打を防げても1対1ではない。杏奈は身をもって気づくことになる。


「そっちか……!」


 立ち上がった二コラは杏奈を蹴り飛ばしたフォトン・セアに近づいた。


「歯ぁ食いしばれ!グランツ!」



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