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ルーンと異界の旅日記  作者: 墨崎游弥
ルーン石編(後半になるほどグロ描写増えます)
35/107

9番線の乱戦

何とかストックで頑張ります。

 作戦B。ナーレとスィレニアはシオンとノエルを挟む。


「ま、お前らの勝ち目は薄くなったな。」


 この時、ナーレとスィレニアの周囲にイデアのビジョンが現れた。ナーレの周囲には溶かされた鉄球を模したビジョン、スィレニアの周囲には複雑に絡み合った糸のビジョンが。

 二人はせーの、のタイミングで動き出す。ナーレはあえてシオンとノエルへの攻撃を外す。本当の目的はこれではない。


「嘘だろ!?」


 檻の中のグランツは言う。一行は分断された。壁を挟んでシオン、ノエル、グランツと杏奈、二コラ、ジョシュア。


「うろたえるなよお前ら!こういうのにはきっと勝ち方がある!ナーレは頼んだぞ!」


 シオンはスィレニアに対して接近戦を挑む気だ。そうなればノエルの相手はナーレとなる。金属を生み出すナーレだけであればノエルも勝てるはずだ。


 ノエルはナーレと付かず離れずの距離を保ち、自分の踏んだ場所に文字に塊を敷く。そのまま飛んでくる刃物をかわし、さらに周囲の物体に文字の塊を敷く。床に、時刻表に、天井に、柱に、階段に。ノエルの足が地面を離れた時にナイフが床に着弾。ナイフは消滅する。


「なんだと!?」


 金属を消す呪文の文字列。ノエルは勉強しておいてよかったと感じていた。その後、さらに包丁やナイフが降り注ぐがノエルは一発たりとも当たらない。当たりそうになっても防御の文字列で防いでいる。


(問題はいつ拘束の文字列を使うか。拘束したところでこの力を封じられるとも限らない。)


 ノエルは未だにナーレに決定打を与えられずにいた。その時だ。


「ぐっはぁ!」


 だんっ!壁にシオンが激突する。


「だから当たらねえぞ。」


 スィレニアは薄笑いをうかべて言った。さっきからシオンの攻撃はすべて外れている。光の魔法も気が付いたら別方向に撃っており、シオンの体は思うように動かない。まるで何かに操られているようだ。


 シオンは立ち上がり、魔力を纏ってスィレニアの懐に再び突っ込んだ。するとスィレニアは両足を地面から浮かせ、マリオネットのような姿勢となる。一方のシオンは何かに引っ張られたようにして攻撃を外す。


「嘘だろ……意味がわからねえ。」


 お互いに操られているようだ。スィレニアが有利でシオンが不利なように。もう一度シオンはスィレニアを攻撃する。それでも結果が同じ。スィレニアの関節が外れたかのようになって、シオンの攻撃は外れる。


「だろ?メカニズムを言えばおしまいだけどな。」


 スィレニアは言った。そして、くいと手を動かせばシオンはロープアクションのように吊られ、柱にぶつかる。ここでノエルの敷いていた文字列が発動し、シオンの靴が片方消える。


「シオンさん!」


 ノエルは言った。これでシオンは思い出す。あの糸のビジョン。今は全く見えていないがきっと使っている。そうでなければ、シオンの体が思うように動かないという説明がつかない。


「すげえよ……一度ビジョンを見せておいて、それでも使えるなんてよ。」


 檻の中でグランツは言った。これで能力そのものは見破れた。問題はその後。見えていない攻撃にどう対処するか。その時、ノエルの足元にナイフが飛んできた。そのナイフはノエルの足に深い傷を入れた。レッグカットのような傷を。


「あぁっ!」


 ノエルの足から血が流れる。いくらイデアを扱えるとしてもノエルはただの少女。杏奈のような肉体的な強さはない。ノエルは足を抑えてうずくまる。


「次で最後だろうな。その前にお前を倒しておく必要がある。」


 ナーレはシオンに近づいた。


「ナーレ!もう一度連携すっぞ。心配いらねえ。」


 スィレニアはそう言うと糸のビジョンを現す。この瞬間をノエルは見逃さなかった。ノエルは地面に拳を突き、そこから文字の結界を広げる。


「固定完了。シオンさん、今です!」


 ノエルはうずくまった状態で叫んだ。ここでシオンは立ち上がってスィレニアに突っ込む。糸もスィレニアも動かない。シオンはスィレニアに魔力を纏った拳を叩きこむ。魔物ハンターでも肉体派のシオンが叩き込む拳は伊達ではない。さらにナーレの方にも近づき、拳で片を付ける。ナーレとスィレニアはノエルの結界が解かれると、崩れ落ちるようにして倒れた。


「よし……痛いけど何とかなった。」


 ノエルは言った。彼女の履いている靴下は血で汚れている。


「ありがとうな、ノエル。何をやったんだ?」


「罠を張っていたんです。あの二人に一切身動きを取らせないための。うまくいってよかったです。」


 ノエルはにっこりと笑うと時計を見た。8時43分。列車の時間にはなんとか間に合いそうだ。ナーレを倒しても壁が消えない事が気がかりだったがそれもジョシュアが解決する。緑色のスライムは壁を溶かして人が通れる穴をあける。


「驚いたね。急に溶かせるようになるとは。」


 ジョシュアは言った。同じようにしてグランツを捕えていた檻を溶かし、一行は列車に乗り込んだ。ここから4日ほど列車での旅となる。


「次はクロックワイズだな。」



紹介など

ナーレ

鋼のイデア

密度:薄 展開範囲:狭 継続時間:40分 操作性:悪 隠密性:並

金属を精製することができる。精製された金属は手を触れずに操ることはできない。


スィレニア

糸のイデア

密度:超薄 展開範囲:超広 継続時間:10分~1日(糸の丈夫さと量に反比例) 操作性:超良 隠密性:高

糸で物体を操る能力。ナーレのイデアと非常に相性がよい。

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