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ルーンと異界の旅日記  作者: 墨崎游弥
ルーン石編(後半になるほどグロ描写増えます)
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人工生命体Beast-001

Twitterでビリーに関する裏話をしました。

そうなんです。本来、ビリーはここで死ぬはずだったのです。物語は大幅に変わりますが、あまやどり様ありがとうございます。

 「では死ぬしかありません。貴女は重要な研究者であるだけでなくイングスのルーン石まで持っているのですから」


 ビリーは悪趣味な外見のナイフを懐から出した。太陽の光を受けて輝くナイフは命を刈り取る。まるで温厚な態度と仕事に挑む際の冷徹さを併せ持つビリー本人のようだ。


「なに……見えないけれど、確かにそこにいる」


 ターヤは白衣のポケットから通信機らしきものを取り出し、叫ぶ。


「研究者各位に告ぐ!タイプBeast-001を地上へ!敵襲あり!!!」


 この研究者、錬金術師ターヤは考えなしに研究を行うようなバカではない。用意周到に、万全の状態で害のある者に対処する。それが真の研究者であると考えているのだ。Beast-001がやってくるまで、ターヤが持ちこたえればこちらが有利である。


「向かってきますか。いいですとも、この刃に二人分の血を吸わせましょう」


 ビリーは物凄いスピードで切り付けてきた。ギィン!その音は、ターヤの仕込んでいた何かによってナイフでの斬撃が防がれたことを意味する。それでもビリーには次がある。ポケットにもナイフを隠し持っていたビリーはターヤの脇腹を狙った。ターヤはさすがに読めなかった。


「くっ……まだだ……」


 白衣を着ていたのが幸いしてか、それほどの傷ではなかった。それでも服は切り裂かれたが。


 ここでBeast-001エッジオブザブレイドが到着。


 ――Beast-001、検体名エッジオブザブレイド。頭を3つ持つ人工生命体。性格は非常に獰猛。一部を除いて人間の言う事など聞かない、危険生物である。ベースは犬、オオカミ、ライオン、ワニ。わずかではあるがターヤの細胞と遺伝子も含んでいる。それが意味すること。


「このBeast-001エッジオブザブレイドは私が指示を出す使い魔的存在!果たしてあんたに倒せるかい?」


 スッ。ターヤは拳を前に突き出した。すると、Beast-001はとんでもない速度でターヤとビリーの間に割って入る。


「ギィォオオオオオオオオオッ!!!」


 Beast-001の咆哮でビリーはほんの少し恐怖感を覚えていた。が、この程度は経験済みだった。


 アンジェラ・ストラウスのペット・エランも似たようなものだ。ビリーはまず、イデアの密度を上げた。ターヤに見ることはできないが、イデアはくっきりと表れている。キューブ状のイデアがビリーの半径3メートルに展開される。


「いくんだよ、エッジオブザブレイド!骨も残さず喰いつくしてよし!」


「いいだろう!僕が捕獲してやる!この手の生物は知っている!」


 早速Beast-001が牙をむく。ビリーは盾として1辺150㎝ほどのキューブをBeast-001との間に配置。当然のようにキューブで牙は防がれた。その直後、ビリーは3歩ほど下がり体態勢を立て直す。


 今度はBeast-001がビリーにとびかかる。その時こそビリーにとってのチャンス。ビリーは盾にしたときより大きなキューブを出し、Beast-001を迎え撃つ。


 グオン!形容しがたい音。ぼたぼたと滴る赤黒い血。抜ける体毛と牙。


「ギィオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 耳に悪い叫びだ。下手に傷つけた動物は怒り狂うのが普通。下手に刺激すれば反撃される。怒り狂うBeast-001。


「そうだよ!もっと怒ってよし!喰い尽くせ!あとで治療はするからさァ!」


 狂気に満ちた顔で叫ぶターヤ。この女は生き物を何だと思っているのだろうか?真ん中のあごを削り取られた検体をいたわる気持ちがあるのかもわからないところだ。ビリーにはBeast-001の気持ちもターヤの気持ちもわからない。分からなくていい。


 かっ、とBeast-001は口を開く。襲い掛かる牙。それは一瞬の出来事。Beast-001が口を閉じ、牙と牙が触れる。ビリーを頭から捕食した瞬間だ。


「ふん、ビリー・クレイ。アンジェラには伝えておく。そちらにつく気はない」


 すました顔のターヤはそう言うと、眼鏡をかけなおした。


「おいで、エッジオブザブレイド。治療の時間だ。」


 研究所の中に戻るターヤとBeast-001。Beast-001を地上に呼び出す際に使った隠し通路を通っていく。1人と1体が中に入ると隠し通路は閉じられた。



 隠し通路はシルバーウィングのあった階層の一つ下につながっていた。その階層は獣の唸り声があらゆる方向から聞こえてくる危険な階層。


「ちょっと待っていてね」


 ターヤはBeast-001の足に枷をつけると、同じ階層の棚から培養のための薬品、脱脂綿、火ばさみを取る。その後、Beast-001の元に戻り薬品の瓶の蓋を開けた。


 その時だった。Beast-001の様子がおかしい。3つの首が合わさっている辺りが怪しい動きを見せる。まさか、とターヤは思った。確かにBeast-001はビリーを喰った。それはターヤも見ていた事実である。


「ガァァァ……」


 声帯破られたかのようなシュウシュウという異音を発しながらBeast-001は唸っていた。内部で何かが蠢いているかのよう、不自然に首が動き――


「グギャアアアアアアア!!!!」


 Beast-001は中から食い破られているようだった。そして、血しぶきの中から飛び出す血濡れの男。ビリー・クレイ。血で赤く染まったポニーテールから血を滴らせ、Beast-001の中から飛び降りた。


「機は熟した。もはやこの研究所は存続できないよ」


 ビリーはBeast-001の喉の中でずっと準備していた。己のイデアをコントロールし、体外に出る瞬間にBeast-001を閉じ込めるキューブを作れるように。ビリーの目論見通りBeast-001はキューブの中に閉じ込められた。その付近に肉片や骨、牙が入ったキューブが転がっている。


「ふざけるな……!エッジオブザブレイド……」


「取り乱したようですね、ターヤ。君も終わりだ」


 それは一瞬。ビリーが瞬時に近づき、キューブがターヤの体を貫通したかと思えばその中には赤い物体が。ターヤは何とも言えない顔で崩れ落ちる。血を流すことなく。ビリーは倒れているターヤの白衣のポケットからルーン石を抜き取ると、懐に入れていた手紙を折って紙飛行機を作る。宛先を確認すると空中に向かって飛ばした。


「手紙によるとハマーも成功したらしいな。あれでいい。無駄な戦闘は極力さける。わかっているではありませんか」




 ドラゴンランドのホテル。昼間ということで、ホテルに籠っていた二コラはある気配に気が付いた。吸血鬼の嗅覚だからわかる。何者かが自分たちを狙っている。




これから人工生命体も登場してくるので、イデアに加えて平行して人工生命体も解説していこうかと思います。


ヴィダル(グランツとお手洗いにて戦った人)

薔薇のイデア

密度:濃 展開範囲:やや狭 継続時間:20分 操作性:並 隠密性:並

赤、青、白、黒の薔薇。敵の攻撃への干渉の赤、点を破壊する黒、刃物のように線で破壊する青、面で破壊する白の4色を操る。これらの力の本質はすべて破壊である。



人工生命体

Beast-001

検体名:エッジオブザブレイド

タイプ:Beast

危険度:A

犬、オオカミ、ライオン、ワニをベースとし、ターヤの細胞を含ませている。典型的なBeastタイプの人工生命体であるが、ターヤには忠実に従う。故にターヤはペットのような扱いをしている。頭を3つ持つ。

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