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ルーンと異界の旅日記  作者: 墨崎游弥
グレイヴワーム編(ちょっときついグロ描写あり)
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観光都市ドラゴンランド

新章です。

 観光都市ドラゴンランド。スリップノットやグレイヴワームと比べるとかなり発展している印象のある町。遊園地やリゾートホテルが立ち並び、芸能にも力を入れているという。

 そんな町で杏奈たちは列車を降りた。時刻は夕方の6時頃。


「異界にもこんな場所があるんだな」


 ドラゴンランドの町を見渡した杏奈は思わずつぶやいた。正直、異界のレベルをなめていた。その理由は最初に訪れた町が田舎ともいえるようなスリップノットとグレイヴワームだったからであるが。


「一足先にこちらに来た私から言わせてもらうが、もっとすごい町もあるんだ。大陸の中心的な都市オーペス。それこそ本部がある町と似ている。不思議なものだよ」


 こなれたように話すジョシュア。日没を迎え、彼は外套のフードを取っている。白く透き通るような肌と整った顔は非常に魅力的で待ちゆく人々をくぎ付けにするほどだ。


「旅人かしら?」


「かっこいい……!きっと新人のアイドルよ!」


 すでに人だかりができている。その原因は二コラとジョシュア。顔が整っている二人を目当てに何人もの人が集まってきているのだ。


「うるせえ!俺にかまうな!」


 人だかりをうっとうしいと感じた二コラは思わず叫ぶ。しかし、集まる人数が減るというわけでもなく、サインをせがまれる二人。


「ちっ、俺の方は見てないんだよな。知ってるよ。俺はどうせアホ面だ」


 二コラとは逆に、人のよってこないグランツは二コラの事をうらやましいと思っていた。


「こういう時は無視すればいいんだ。さっさとホテルに行こう」


 優しそうな顔をしたジョシュアは意外にも淡白な対応で人込みを横切る。たとえ町にいる女性が黄色い声を上げようと。



 一行はホテルに到着する。今までの宿とはけた違いにきれいなホテル。さすが観光都市と呼ばれているだけはある。シオンはあらかじめ3部屋取っており、一行はすぐに部屋へ向かった。


「そういえばドラゴンランドからどうやってタリスマンに向かうんだ?」


 グランツがシオンに尋ねた。


「それが、なぜかタリスマンへの直通の列車が廃止になっているみたいだ。クロックワイズを経由するルートで行かなければならない。しかもクロックワイズまでの列車が少なすぎる」


 シオンは答える。そういえば、シオンはドラゴンランド駅で駅員に何かを聞いていた。どうやら、タリスマンに向かうための方法を訪ねていたとのことだがさっきの発言の通りの結果だった。また、運の悪いことに経由するクロックワイズまでの列車は5日後に出ることになっている。クロックワイズに向かうまでの間にもドラゴンランドで無駄な時間を過ごさなければならないのだ。


「移動手段については仕方がないな。杏奈、任務を確認してもいいかな?」


 と、ジョシュアが言った。


「ドロシー・フォースターおよびアンジェラ・ストラウスの討伐と異界の調査。だからこの5日間もドラゴンランドで調査に充てればいい」


 杏奈は答える。彼女はすでにこのドラゴンランドという町で調査を進めるつもりのようだ。観光都市であるが、ドラゴンランドは異界であることに変わりない、ということで。


「わーったよ。俺としてはさっさとアンジェラをぶっとばして戻りたいけどな」



 翌日、異界の文化を知りたかった杏奈は博物館へ立ち寄ることにした。同行者はジョシュア。外出時には太陽光を浴びないために黒い外套を纏っている。意外にも彼は好奇心が強い。杏奈の提案にすんなりと乗ってくれた。


「元探検家として抑えられない好奇心というものがあるのだよ。私はもう144歳なのだけどね」


 と、言っていた。どれだけ年を取っていようとも好奇心が衰えない人は衰えない。ジョシュアを見ていればわかることだ。もっとも、彼は100年以上前に人間をやめているとのことだが。


 ドラゴンランド博物館は主に異界における重要な遺物を展示しているとのことだ。その内部、見つかったエリアごとの展示となっている。


「これは呪具か。私も知っているよ」


 杏奈の隣でジョシュアは言った。


「魔族を殺すための道具。6年くらい前にディサイドで使われたみたいだね」


「そうみたい。先輩が知っている魔族のうちの一人が呪具で死んでいる」


 杏奈は言う。この異界にも呪具はあった。魔族もいた。だがその魔族は元の世界から来たという。魔族付近の事柄は杏奈にとっても興味のわく内容だった。だから杏奈は「異界調査手帖」に異界における呪具の存在について書き留めた。


 二人はさらに奥へ進み、あるものの展示を発見する。


「ルーン石だって?」


 ジョシュアも杏奈も展示されているルーン石の前で立ち止まる。琥珀色で半透明の石には『ダガズ』のルーン文字が刻まれていた。


「本物だよね」


「これは本物だ」


 杏奈、ジョシュア共に本物であると判断するルーン石。それは博物館の黄色の光を受けて輝いていた。


 ◆◆◆


ルーン石

オーパーツの一種とみられる。空間に干渉する可能性が示唆されており、時折行方不明者を出している。同様の石の発見も報告されている。


 ◆◆◆


 表示内容からしても、このルーンは本物である。ということは、ルーン石を回収するアンジェラ一派の人間から狙われるはずだ。館長に伝えておくべきか。


「そもそも館長が誰なのかわからないから伝えようがない」


 杏奈はため息をついた。


「ん?私を呼んだかね?」


 ふいに後ろから声がした。杏奈とジョシュアが振り向くと、そこには50代前後とみられる眼鏡をかけた男性がいた。


「私はここの館長のハマー。何を伝えたかったのかい?」


「ええと、このルーン石が何者かに狙われている可能性があるということです。ルーン石は複数あり、集めようとしている何者かがいるんです」


 と、杏奈は答える。アンジェラのことはあえて伏せた。杏奈が面倒だと判断したから。


「ふむ、それはもうわかりきっていることだよ。セキュリティなら万全だから心配することはないよ」


 ハマー館長はそういうと、博物館の関係者以外立ち入り禁止の場所に入っていった。とはいえ、杏奈とジョシュアはルーン石を狙う何者かを無視できなかった。


「今夜、張り込んでみようか」


「そうする」



これからは失われた魔法の解説をしていこうかと思います。


神守杏奈

星空のイデア

密度:超濃 展開範囲:広 継続時間:2時間→2日(最終的にはここまで伸びます) 操作性:良 隠密性:低

桁違いの密度と展開範囲を持つ。杏奈本人を強化しているものとみられる。クッション状にして衝撃を防ぐなどの使い方もできているが詳細が不明。


シオン・ランバート

音波のイデア

密度:薄 展開範囲:超広 継続時間:30分 操作性:やや悪 隠密性:やや高

密度は低く、目視が非常に困難なイデア。音波を飛ばすことができるが、それ自体に攻撃性はない。しかし光の魔法を纏わせることができ、シオンとの相性はかなり良い。何よりシオンが苦手としていた空気抵抗などの調整の必要がなくなる。


グランツ・ゴソウ

ダーツのイデア

密度:なし 展開範囲:やや広 継続時間:1時間 操作性:やや良 隠密性:並

密度を測れないタイプのイデア。展開範囲はやや広い。ダーツとしての投擲・発射が可能。桁違いの貫通力を持ち、鉄板を簡単に貫通することができる。

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