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ルーンと異界の旅日記  作者: 墨崎游弥
グレイヴワーム編(ちょっときついグロ描写あり)
20/107

支配者の血

本日3話目の投稿となります。プロットがガバガバだといざ小説を書こうというときにつらいですね(笑)

またよろしくお願いいたします。

今から8分ほど前、シオンが窓から飛び降りる。それからほどなくして窓から部屋に入ってきた男が一人。水色がかった緑髪、黒と白で左右非対称の服が特徴的だ。そして、彼は薄着である。気温が10度を下回るような環境で。


「……なんだよ!強盗……じゃねえよな。吸血鬼か?吸血鬼でも殺人を犯せば罪に問われるんだぞ!?」


グランツは入ってきた男の姿、そして彼の放つ殺気に気づくと言った。もちろん、それが無意味であることくらいわかっている。


「それでもやることがあるのだ!どんな手を使ってもな。」


入ってきた男は少しずつグランツとの距離を詰める。男の周囲には緑色のスライムのようなものが現れた。入ってきた瞬間には見えなかったことから、これはイデアである可能性が非常に高い。そして、男の顔がよく見え、グランツの中の疑惑が確信に変わった。


「よりによって行方不明になったジョシュア・ノートンか……。俺も鮮血の夜明団の一員だ!敵じゃねえ!」


グランツは叫ぶ。だが、戦いは避けられないであろうことは心のどこかで察していた。


「なぜ私の名前を……!そして私はお前など知らん。」


緑髪の吸血鬼――ジョシュア・ノートンはかみつくような口調で言った。その態度と口調からしてグランツに敵対していることは明白である。グランツも腹をくくり、イデアを出す。周囲に浮遊するダーツのビジョンと白い霧。グランツはすぐにダーツを取ると、連続でジョシュアに向けて投擲する。だが、投擲した5本のうち3本がジョシュアに刺さるものの、致命傷にはならず、その傷はすぐにふさがった。残りの2本は、溶かされた。


「嘘だろ……溶けたって……」


瞬時に傷がふさがること自体は吸血鬼であればありえない話ではない。しかし、ダーツを溶かす吸血鬼は見たことがない。


「絶望するにはまだ早いぞ、小僧。」


スライムのビジョンの一部がちぎれた。それがグランツめがけて飛んでくるのだが、スライムのビジョンが付着した場所はことごとく溶かされる。ベッドや壁やドアがことごとく溶かされ、隣の部屋や廊下が見える。


(どうするんだ……?俺に対処できる相手か?ルツといいジョシュアといい!)


グランツには避けることしかできない。そもそもグランツのイデアでは非常に相性が悪いのだ。戦ううちに、ジョシュアはグランツの目の前にスライムの塊を撃ってきた。よけられない。グランツはすぐそばにあった布団でスライムを防ぐ。


「やったか?」


「あぶねえ…!」


布団には穴が開いている。スライムによって溶かされ、もう一発を防ぐことはできないだろう。だが、ジョシュアを動揺させることはできた。


「俺、何も考えてねえように見えるだろ?こういうところでは考えているぜ。」


その言葉を聞いたジョシュアは顔をしかめた。その顔には悔しさがにじみ出ている。グランツは戦闘中であるにも関わらず思い出したことがあった。賠償金。外に出なければ建物への被害が拡大。もちろんそれもよいことではないが、限られた空間におけるジョシュアとの戦闘はグランツにとって不利だ。どうするか?


グランツはすぐに体の向きを変えて部屋を出た。ここは一度引いて立て直す。だから、逃げる。


「逃げたか。」


ジョシュアはスライムで床を溶かし、3階から2階へ。



グランツは階段を降り、1階にたどり着いた。そこにいるのは杏奈ではないか。そして、彼女は人の生首を抱えている。赤髪の男の生首だ。どうやって切断したのかは想像に難くないが、グランツはそのあたりを考えないことにした。


「杏奈!吸血鬼が……緑髪の!」


そういうと、杏奈は驚いたような顔をした。


「室内で相手するにはきつい相手だ!いいから外に出るぞ!」


グランツは杏奈の左手をつかみ、外に連れ出した。なぜ彼女が人の生首を抱えているのかわからない。そんな中、ジョシュアの声がした。


「グランツ・ゴソウ!どこに消えたのだ!」


グランツはすぐに察する。声は上の階から聞こえる。


「……そいつだ。そいつと俺は戦っていた!」


グランツはそう言って周囲を見回した。宿の2階のベランダに、彼はいた。水色がかった緑髪で、白と黒の服を着た筋肉質の男。彼は吸血鬼。杏奈も一目で誰なのかわかった。


挿絵(By みてみん)


「なるほど……。もう一人もいたってことか。」


宿の2階のベランダから見下ろす男がジョシュア・ノートンであることはわかる。そして、彼は二コラと同じく鮮血の夜明団スリップノット支部に所属する魔物ハンターであるということも。


「その生首は何だ。私の相方に何をした!」


ジョシュアは生首に気づいていた。


「支配者の血で一時的に洗脳されていたので、治療のために首を切らせてもらった。そうでなければシオン先輩が光の魔法で殺すしかなかった。」


杏奈の言う事は紛れもない事実である。吸血鬼が吸血鬼を操る手段、支配者の血。その治療法は支配者の血を薄めることのみ。理論上は血を抜いて新たに輸血すればよいが、吸血鬼の再生力ゆえに体内の5%以上の血を抜くことはできない。だから、首を切断して体ごと血を入れ替える方法でなければ治療することはできない。杏奈はこれを知っていた。3年ほど前から錬金術に興味を示していたというだけはある。


「こいつも吸血鬼だよな。スリップノット支部の資料に載っていた……」


シオンは言った。


「そうです。先輩はしばらくこの首を死守してください。私がジョシュア・ノートンの首も落とします。」


すでに返り血を浴び、服が赤く染まっていた杏奈は再び鉄扇を開いた。そして、傍らのノエルはスクリプトランチャーで宿の2階のベランダを破壊。ジョシュアは通りに落ちてきた。

やっと容量をきにせず画像を投げられるようになりました。余談なのですが、ブヒッターの事もあってTwitterに画像を投稿しづらくなりました。まあ、そのようなときはTwitterを控えればよいのですが…。

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