吸血鬼の倒し方
今日は調子がよいのか筆がめちゃくちゃ進みます。歌でも歌いたい気分ですねぇ。
付かず離れずの距離を取っていたニコラ。その距離を詰めてきた杏奈。ニコラは咄嗟に蹴りを放つ。
「くっ!」
蹴りを入れられた所にら星空のようなオーラが纏われており、ニコラの蹴りの威力を弱めた。とはいえ、相手は吸血鬼。衝撃はかなり強く、杏奈は反対側の家の壁に激突。激突したときの衝撃も強いはずだ。
しかし、すぐに杏奈は立ち上がる。まだまだ戦える。イデアをクッション代わりに使っただけあり、痛みはない。
杏奈は距離を取ろうとしたニコラに詰めより、無言で切る。そしてニコラは片手で受け止める。しかし杏奈はイデアを纏っている。その威力は尋常ではなかった。今度吹っ飛ばされたのはニコラの方だ。
「……くそっ!俺が人間なんかに負けるかよ!」
ニコラは立ち上がる。
「安心して。命を取るつもりはない。」
と、杏奈。杏奈には隙がなかった。ニコラが隙を突こうにも杏奈はひらりとかわし、無表情のままニコラの首を執拗に狙う。
(なんで首だ!?さっきから首を落とすとか……首落ちたところで即死なんてしねえからな?)
ニコラは、杏奈が首と見せかけて心臓を狙ってくるか、シオンの不意討ちを警戒していたのだ。吸血鬼としてのその行動、本来であれば正しい。
だが今は違う。
「ぐぅっ!?」
「ちっ。落とせなかったか。」
杏奈の鉄扇がニコラの首を三分の一ほど抉った。もちろん人間であれば死ぬ。ニコラの鮮血が飛び散り、地面の一部が赤く染まる。吸血鬼の血だって赤いのだ。
ニコラは痛みこそあるものの、傷口を強く押さえ、その傷口は目に見えるはやさで塞がってゆく。これが吸血鬼の再生力。
「ほら見ろ杏奈!すぐに再生されちまう!」
シオンは言った。
「だったら威力を調整して首だけ残してやりますか?それをやったら魔法の残りカスで侵食されて3日も持ちませんよ。」
杏奈は視線をニコラに移す。
「そうだろう?ニコラ。」
「ああそうだ。ビリー・クレイに手首をやられたが1日で全部灰になった。だからな、まずはお前からだ。」
ニコラが指さしたのはシオン。シオンは光の魔法を使え、この場では圧倒的に有利なのだ。ニコラにとっては致命的な相手。そういった相手から狙うのは至極当然。そして、ノエルは手を出せないでいる。
「くそ!光の魔法だと殺してしまうぞ!」
シオンは焦る。いや、いっそのことニコラはここで殺してしまうべきなのか?
迷うシオンにニコラは容赦しなかった。
ニコラはシオンに蝋燭ごと炎をぶつける。一方のシオンは間一髪でかわす。だが、攻撃はできなかった。
そこにノエルがスクリプトランチャーを撃ち込んだ。ニコラは隙をつかれ、大きくのけぞった。
「安心していい、ニコラ。」
その目の前に杏奈。彼女の身のこなしは魔物ハンターの中でも抜きん出ている。加えて彼女を強化するイデア。吸血鬼にだって遅れはとらない。
「てめえ……」
のけぞったニコラを狙い、杏奈は鉄扇で切り裂こうとした。しかし、ニコラも無抵抗ではない。炎の大爆発を起こす。杏奈は瞬時にイデアで防御したものの、やはり爆風で吹っ飛ばされた。
「ゲホッ……ゲホッ……」
爆発の煙が晴れたとき、杏奈は酷く咳き込んだ。
「しぶとい奴だ。今ジョシュアはもう一人の方に向かっているしなぁ?」
と、言いながらニコラは蝋燭のビジョンを両手に持ち、杏奈を直視する。
「ジョシュア……ジョシュア・ノートンなのか、そいつは……」
「そうだな。因みに、俺より強い。お前らの仲間はきっと……」
ニコラが言い終わらないうちに杏奈は立ち上がり、ニコラの懐へと切り込む。その時も首を狙ったが、流石吸血鬼。ニコラは咄嗟にかわし、杏奈に炎を浴びせた。
杏奈のブレザーが炎上する。杏奈はすぐにブレザーの上着を脱ぎ捨てた。
そしてすぐに切り込む。首を落とさなければ。杏奈はいかにして首を落とすかを考えていた。
「おい!」
杏奈の斬撃をかわしたニコラは言った。
「なんで首を狙う!吸血鬼は首を切ったところで即死はしねえぞ!」
「それが好都合なんだ。首を落としてアンジェラ・ストラウスの血液を薄める。そうすればあんたを助けられるかもしれない。」
即答する杏奈。実際、ニコラが隷属している吸血鬼はアンジェラ・ストラウス。彼女の血を薄める方法ならば、あの研究データにあった通りだ。方法は危険に見えるが、杏奈はサイコパスでも殺人鬼でもない。
「……援護はノエルだけでいいです!」
杏奈は言う。
「了解!」
ノエルはニコラの後ろに回り込む。そこからイデアを出し、ニコラの足を縛る。バランスを崩し、転ぶニコラ。
「てめえ……」
だが、ニコラが気づいた時はもう遅かった。鉄扇の鋭い刃。その刃はニコラの首を切断した。
「くそっ……息が……」
「やった……!」
ニコラの首は地面に落ちる。ここから何もせずに再生すること不可能だ。
「ニコラ。次に私と話す時は、きっとあんたも正気だよ。」
杏奈は意識を失ったニコラの首を抱え、宿へ。しかし、刺客は一人ではなかったのだ。
「杏奈!吸血鬼が……緑髪の!」
宿の一階にいたグランツ。服が何かで溶けている。酸か何かで溶かされたように。
「室内で相手するにはキツい相手だ!いいから外に出るぞ!」
杏奈はグランツに腕を掴まれ、そのまま宿の外に出た。
「グランツ・ゴソウ!どこに消えたのだ!」
ニコラとは別の声が聞こえてきた。
「……そいつだ。そいつと俺は戦っていた!」
と、グランツは言う。次の敵はそいつ。吸血鬼らしい。
本日pm9:00頃20話を投稿します!