七話
レオは葵と別れると近くの木に登り、暇つぶしがてら景色を見ていた。
いつもなら暇つぶしがてら狩りに出かけ、そして厄介者が現れては戦うのが日課となっていた。
葵と出会ってからは新しい発見と楽しい毎日。それがこんな場所もわからないような場所で待つとなると流石にレオも退屈してしまう。
――それにしても。ここの空気は汚いな。
灰色の地面を走っている鉄の箱から出る黒い煙が出るたびにレオは咳き込んでいた。
見たことも無い木の葉を食べても青臭すぎて飲み込むのに苦労する。
「ここの植物はまずいな。 葵はどうやって生きて――」
レオは遠くから人の気配を感じ、急いで気配を消す。
建物の中から緑色の服と同じ色の貧弱そうな兜をかぶった老人が歩いてきている。
手には見たことも無い武器を取り出す。
柄は真っ白で先端には木の枝がびっしりと生えている。
――あんな武器で戦いに向かうのか?
老人は武器を使って地面に落ちている桃色の花びらをかき集め始めた。
たまに腰を叩きながら花びらを集めていく。
――あの花びら、もしかして毒なのか!
葵にもしかしたら危険が及ぶと判断したレオはこの場で老人を殺そうと臨戦態勢をとる。
しかし、葵にあまり目立つなと言われたので無茶に正体を現すわけにはいけない。
老人はレオの隠れる木の付近に近付き、花びらを集めていく。
レオは気づかれなければ問題ないと判断し、老人に向かって飛びかかろうとした時、足場にしていた枝が折れてしまう。
咄嗟に別の枝に掴むがその枝も折れてしまい、老人の前に尻もちをつくレオ。
無様な失態を見せてしまったレオは急いで態勢を整え、臨戦態勢をとる。
たとえ老人だろうと油断してはならない。レオの出会った老人は皆数々の厳しい訓練と戦いを潜り抜けた猛者だった。それに目の前の老人は未知の武器を持つ。最初から全力を出さなければいけない。
「ガウアウギュルル?」
老人は聞き取れない言語で話しかけてくる。
レオは老人を睨み付け、何が来てもいいように臨戦態勢を維持し続けていると腹の虫が鳴る。
朝食べなかったせいだろう。いつもより力があんまりでない。
老人は何か分かったかのように掌に拳を打つと建物の中に戻っていった。
いったい何だったんだろうか。老人の意図が分からない。もしかしたら敵前逃亡の可能性もある。姿を見られた以上生かすわけにはいかない。
老人は何か透明な布に包まれた物を持ってきて戻ってきた。
警戒していると老人の手に持つ何かが目に入る。
オニギリだ。どこからどう見てもまぎれもないオニギリである。
途端にお腹がすき、目の前のオニギリに目が向くも毒が入っているかもしれないものを食べるわけにもいかない。
老人はオニギリを半分に割り、片方をレオに差し出してくれる。
老人が美味しそうに食べているのを見て毒はないんだろう。
――もしかして敵ではないのか?
レオはおそるおそるオニギリを受け取り、匂いを嗅いだりする。
老人が笑顔で食べている辺り、毒はないのだろう。
レオは思い切ってオニギリを食べると。少し空腹感が和らいだ。
「ガルアアギュリル?」
老人が何を言っているかわからないが、武器を置いた辺り敵意はないだろうと判断したレオは警戒心を維持したまま老人の話を聞いていた。




