98日
「永遠に一緒にいられたら、この願いを木に託すのは二回目だね」
僕の言葉に彼女はクスリとだけ笑う。
七夕の日にも、笹の葉に同じ願いを込めたのだ。
クリスマスに使われる木は、なんだったっけか。
モミの木とかいっただろうか……?
七夕の日の笹は自信があるんだけど、クリスマスってなると、よくわからないのだよね。
どちらにしても、木には詳しくないということだ。
そんな少しの知識もない僕だが、僕の願いも叶えてくれるのだろうか。
七夕の願いは叶うの? サンタクロースはプレゼントをくれるの? 僕たちが望んだものを、どうか、どうかお願い。
二人で一緒にいるためなら、金なんていらないから。
イルミネーションを見に行きたいと、彼女も言ったものだし、僕だって見に行きたいと思ったものだ。
だから前日まで行く気満々でいたのだけれど、予定の日に限って、彼女は具合を悪くしてしまったもので、随分と凹んでいる様子だ。
家に小さなクリスマスツリーを飾って、小さいけれどイルミネーションを即興で用意したのである。
寒いのに赤い顔で、額に浮かび続ける。微笑む彼女に、汗を拭き取りながらも話し掛ける。
容体が急変して、お出掛けを予定していた日に、起き上がれないほど体調を悪くしてしまうだなんて。
もう終わりは近いということだろうか……。
お願いします。桜の花よ。
どうかお願い、舞うばかりの花。
外を舞い散っているのは、桜、それとも雪なのか。
凍えるように寒い聖夜より。




