願わくば…
(また1人去っていった。)
ここにはたくさんの仲間がいた。
初めは私一人だけだったこの場所に、一年二年と経つごとにたくさんの仲間達が集まってきた。
時々、去ってゆくものもいたが基本的には増え続けてきた。多い時には何千と仲間がいただろう。
しかし、ある日を境に仲間が増えることが途絶えた。そこから、二十日ほどたったある日仲間がひとり減った。その日からは日を追うごとに一人また一人と減ってきている。多い日には数十人近い数の仲間が去ったこともある。
理由はわからない。彼らがどこに去って行ったのかも分からない。 ただ分かることは、何千といた仲間が今は二十ほどしかいないということだけだ。
残っている彼らの行く末や、私の今後もまだ分かっていない。
ただ確かなことは、何時かここには誰もいなくなるということ、そして、私たちがその時を待つことしか出来ないということだけだろう。
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「こいつらで最後か。」
俺は今、書斎にいる。ここは、去年亡くなった祖父が集めた本が置いてある場所だ。
幼い頃から読書が好きだった祖父は、一生のうちにたくさんの本を読んだそうだ。 俺も祖父の家に来る度に、簡単な本を貸してもらい読ませて貰った覚えがある。しかし、高校入学とともにバイトや部活など生活が忙しくなってしまいここ数年、訪れることが無かった。
そんな俺が今ここにいる理由は、先日、一年前に祖父が亡くなってから一人で生活することになってしまった祖母を俺達の家に迎えることとなったからだ。
そういう理由で、家を片付けるなかで一番の問題になったのがこの祖父の書斎、更にいえば数千とある本たちだ。
俺の家族はあまり本を読まないし、本を読んでいる俺もこの数の本は管理しきれない。
そうして話し合った結果、所持しきれない本を読書が好きな友人達に引き取ってもらうことにしたのだ。
そうした結果、夏の長期休暇から半年ほどかけやっと、ここにのこっている二十冊まで減らしたのだ。
この残っている本たちも引き取り手が既に決まっている。
祖父が持っていた本は全て引き取り手も含め、記録してある。
手元に残した本や、引き取ってもらった本、これらを通して祖父が生きた記憶が残ってゆくことだろう。
そして、願わくばこの本たちがその記憶とともにたくさんの人たちの手を回る形でいつまでも残っていってほしいものだ。
一応試しに書いてみただけなので
これきりで書かないだろうと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。