第96話 タロウ、少し気まずい…
お待たせしました
急いで書いたので読みづらい箇所もあるかもです。
よろしくお願いします!
「くくっ……はい。これで魔力を探知されませんから。エドヌはすぐそこです。頼みますよ織田史郭さん」
「あぁ、徳川を…倒す…」
もう、すぐ目の前がエドヌだ。エドヌ城もみえる。憎い。徳川がエドヌがエドヌに住む民が…。
「では、行きましょう」
「あぁ…」
意識がハッキリとしないまま俺はこの魔族とエドヌに足を踏み入れた。
◇◇◇
「ん?来たか!?駿様、魔族がエドヌの入り口付近に現れました」
「…なるほど、こちらにも来たわけか」
「えぇ、とりあえず巡回中の者を送ります。……!?な、織田史郭!?な、何故に織田がエドヌに!?」
「本当に織田史郭であるか?忠晴!」
「えぇ、偵察用の式神で視たので間違いありません。隣に男…いや、魔力探知が反応してない所を見ると恐らく魔族です。織田史郭にも何らかの魔法を掛けて魔力探知出来なくしていると思われますね…」
「…よく見付けたな忠晴」
「麻津里様の時にお役に立てませんでしたからね…まぁ、簡単な事です。魔力探知する式神ともう1つ、式札を配置しております。その内側の地面に足を踏み入れた者を探知する仕掛けになってまして、これなら二つを見比べ…怪しい者を弾き出せます!」
「なるほど。忠晴…行くぞ」
「駿様!?行くとはまさか、織田史郭の元へですか!?危険です」
「しかし、私が行かねばなるまい。エドヌか荒らされる前にな」
「ですが…」
「忠晴。余が…そうだな、麻津里も連れていこう。お前の後ろに立つ。余は逃げん、敵を打ち倒してみせよ。これは命令だ」
「…はっ!承りました。この忠晴、全ての力を持ってして敵を打ち倒してご覧入れましょう」
「麻津里、すまぬ。危険だが忠晴に力を貸してやってくれ」
「はい、父上。タロウさんやカルミナさんも戦っているのです。私だけ逃げる訳には参りません!」
「やけに二人に懐いておるのだな?」
「え?いえ、そんな…オホホホ…。忠晴様、よろしくお願いしますね」
「徳川のお力をお貸しくだされ。では、早速参りましょう。…紅緋」
『何用だ?忠晴』
「戦だ。倒す族は2体。行くぞ」
『承知した。久しぶりに気合いが入るな』
◇◇◇
「く、くそ!」
「民は避難している!退くな!ここに敵を留めろ!」
「くくっ、いいですねぇ~もっと暴れてくださいね?」
「分かっておる!はぁぁぁぁぁ!!」
「くっ、強い…。忠晴さんが来てくれるはずだ!それまで踏ん張れ!」
「「はい!」」
「これなら私の評価も上がりますかね。さて、私も……!?」
『避けられたか。案外速いのだな?』
「貴方…何者ですか?人では無いですねぇ?」
『我が名は紅緋。式神だ…貴様が手引きした魔族だな?』
「おやおや、まさか正体がバレているとは…これは予想外ですねぇ…。」
「どういう事だ、貴様の魔法が効いてないのか?」
「いえ、この場合は相手が上手だったのでしょう…あぁ…きっと彼ですねぇ」
「安部忠晴!!……!?徳川ぁぁぁぁぁ!!」
「させませんよ!紅緋」
『承知した!』
「敵の大将が出て来てくれるとは…探す手間が省けましたねぇ~」
「貴様が!貴様さえ居なくなれば!!」
「織田史郭、何故貴方がここに居る。戦場から逃げたのですか!?」
「逃げてはおらぬ!戦場はここだ!今、徳川を倒せばそれで全てが上手くいく!」
「織田家当主よ。何時から我らは道を違えた?初代様は手を取り合っておったはずだ。貴殿は何故に魔族と手を組んだ?お主の武勇は皆がしっておる所。今回は色々とおかしい。貴殿は織田史郭なのか?」
「う…ぐっ…俺は…」
「困りますねぇ…少しずつ掛けていた暗示が解けそうに…もう、ここまで来たならいいですかねぇ」
「魔族!貴様が何かをしていたのか!紅緋、織田史郭の足止めを!私が魔族を倒します」
「くくっ、織田史郭…全ての憎悪を解き放つのです!『解放』」
「がっ…がぁ…があああああ!!」
「くそ、駿様、後方へ。紅緋…いけますか?」
『忠晴、これは…我じゃ力が足りぬかもしれぬな』
「そう…ですか。なら、紅緋は魔族の足止めを。私がやります」
「忠晴、大丈夫か?」
「駿様、貴方が後ろに居る時に負けるわけにはいかないのです。織田史郭…。敵は強いですが…安倍家当主を舐めて貰っても困りますね。力の一端をご覧に入れましょう。」
「いけ!傀儡人形よ!!全てを壊すのだ!」
「徳川ァァァァァァァ!!」
「自我を失いましたか…魔族も織田も…何て愚かな。安倍家当主、安倍忠晴…この勝負、すぐに終わらせます!」
◇◇◇
「はぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…」
『主、しっかりとお捕まりくだされ』
『くふっ!まだまだ速くなるぞえ?』
俺とカルミナは緋鬼王と紅緋の背中で絶叫していた。ジェットコースターに乗ってるみたいだ。風がモロに当たるから捕まってないと後ろに落ちそうになってしまう。
だが、このスピードならもう少ししたらエドヌに帰ることも出来るだろう。
「カルミナ、ゴーグル!火山に登る前に買ったアレを着けたら目も開けれるぞ!」
「分かったわ!…ちょ、ちょっとだけスピード落として!…ねぇ、聞こえてるんでしょ!」
『……くふっ』
「分かった、分かったから!お菓子あげるから止まりなさい!」
『その言葉、忘れるで無いぞ!』
「聞こえてんじゃないのよ!タロウ、どうなってるのよ!?」
「いや、俺に言われても…逆に考えれば紅緋はお菓子さえ上げればちゃんとやってくれるからさ…」
『妾はそんなに安い女じゃない!たわけっ!』
「じゃあ、お菓子じゃないやつでもいいのか?」
『馬鹿者!高級なお菓子を持って来ぬか!くっはっは!それなら高い女じゃの~』
「「結局、お菓子!?」」
『うるさいの!準備が出来たなら行くぞえ!』
『主、しかと捕まってくだされ』
「あ、ああ…」
『では…』
「はぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
再度走り出して数分後にエドヌが見えて来てそのままの勢いでエドヌの中へと入っていった。
◇◇◇
「父上、忠晴さんの体の周りに式札が浮いておりますね!」
「あれは、忠晴が幼少の頃から練習していた物だな。上下の2列になっている上が攻撃札で下が防御札らしい」
「なるほど…きゃっ!」
「雷電の札だな。忠晴は多才であるし計算高い。恐らく詰めまでの流れを頭の中で描いておるだろう」
「ですが…織田家当主もがむしゃらに攻撃に出ておりますが…」
「アレじゃ勝てない。忠晴には届かない。魔族が史郭の負の感情を増幅していたみたいだが…織田史郭の強さをそれじゃ引き出せない」
「織田史郭の強さ…ですか?」
「あぁ、織田史郭の強みは冷静さと直感にある。勿論、剣の腕前はさることながら、冷静に判断を下し、直感で正解を掴み取る能力。これが恐ろしい程なのだ…だから、負の感情に任せて暴れているだけの織田史郭は…弱い。」
「なるほど…もし、冷静だったら危なかったのでしょうか?」
「ふふっ、どうであろうな?余の意見を言うならば……忠晴が確実に負けるのは、妻の命くらいであろうな。六道などにも負けるやも知れぬが…少なくとも今の忠晴が負ける事はない」
「頼りになりますね。もし…タ、タロウさんと戦ったらタロウさんは負けてしまうでしょうか?」
「ふむ…彼の実力を正確には知らぬからな…だが、彼は強いのだろ?」
「は、はい!あの時は凄かったのですよ!こう…敵をばったばった…と、倒していたのです!」
「そ、そうか。なら、忠晴ともいい試合をするやも知れぬな。それにしても…麻津里…」
「は、はい?な、何でしょうか?父上」
「まさか…」
「あ…いえ…そんな…」
「お前も修行をしたいのだな?」
「…は?あ…そ、そうです!私も護身術というか、最低限の武器の扱いとかをですね…」
「そうか、お前も11だものな。九重家にでも通わせるか?」
「それは後程にでも…(これは…結果的にはいい方向かも知れませんね…)」
◇◇◇
後ろのお二方も慌てては無いようですね…。信頼されてると思いますか…
「どけぇぇぇぇ!!徳川を潰すぅぅぅぅぅ!!」
「式札 鎖」
「がっ!?くぅぅぅぅ…!」
「無駄です。今の貴方は操られてるに等しい…。残念です。魔族と手を組まなければ貴方にはもっと苦戦していたでしょう。眠りなさい…『雷光』」
「があああああ…あぁぁ…ぁ……」
残るは魔族の方ですが…。紅緋でも苦戦していますか…。
「紅緋!」
『忠晴、こいつに魔法は効か無い様だ…正確には効きにくいだが』
「私は魔族の中でもそういう特性持ちでしてねぇ…。魔法を得意とする貴殿方には負けませんよ?くはははは!!…織田がやられましたか…案外使えない男ですねぇ…。これでは私の計画が…しかし、サニーバ様はエドヌを混乱に陥れろと仰られていた…。必ず作戦は成功すると」
「魔族側の作戦は失敗に終ります。それも分かりませんか?"下級"魔族」
「貴様!この私を下級だと!?中級と下級の差を舐めるな人間風情が!!…決めました…この街を一思いに壊して差し上げますよ!後悔して絶望するがいい!人間と魔族の差に恐れを抱いて死んでい……け?」
「うるさいでござる…はぁぁぁ!!!!」
「なっ、がっぎゃああああああああ!!?」
「街を荒らした、戦場の掟を汚した、エドヌを混乱に入れた、それが貴様の罪だ」
「ひっ…ま、まって…私は…指示を…受けて…。くっ……隙あり!…がぁ!?」
「貴様等に隙など見せるか…目障りだ…消えろ」
「ガッ…………。」
「ふぅ…。これにて一件落着でござるな!」
「「「………」」」
「あれ?皆、どうしたでござるか?」
◇◇◇
俺とカルミナがエドヌに入り、安部家を目指していると少し離れているにも関わらず戦闘の音が聞こえて来たからそちらへと向かってる。
『主、あの建物の奥から聞こえてくるようです』
「とりあえず屋根に登ってくれ」
「ほら、私のお饅頭あげたんだからあと一息頑張りなさい」
『うるさいのぉ~分かっておるわ』
屋根に登り見下ろすと、鎖で繋がれ項垂れている男と忠晴さんと忠晴さんと対峙している男。後方には…
「駿様とマツリさん!?あっ…忠晴さんが居るから不思議でもないか…」
「タロウ…忠晴さんが出て来ているという事は…」
「あぁ、魔族かもな。忠晴さんの紅緋が苦戦していたのかな?だとしたら強いのかもな?」
「どうする?」
「緋鬼王、下に降りたらそこで降ろしてくれ」
『承知』
「ここまでご苦労ね、紅緋」
『くくっ、良い良い。菓子の為じゃ』
俺達は下に降りて助太刀に向かおうとした瞬間、驚愕に目を見開いた。数秒前には居なかった筈なのに、数秒前には五体満足だった魔族なのに…。
「これにて一件落着でござるな!」
「「「………」」」
「あれ?どうしたでござるか?」
「「……」」
いや、ついていけないんですよ…一瞬の内に決着がついたから…。
「ん?タロウ君、カルミナさんも来たでござるか!?」
「あ…はい」
「ど、どうも…」
ハッズー…何これ…。このタイミングで顔を合わせるの恥ずかしい…。いかにも助太刀に来たのに来たら終わっていたとか…もう…ね?
いや、どうするの?この空気…
「いやー、ごめんでござるよ。父上に急げと言われて来たでござるからな、勢いが余ったでござる」
「まぁ、解決したならいいですけどね」
「タロウさん!」
「あ…マツリさん」
「ご無事ですか?ご無事ですね?私の御守りのお陰でですか?お陰ですね?」
「マツリさん、私も居るのですが?」
「あ、お帰りなさい」
「…ちょっと話し合いが必要の様ですね。タロウ、少し席を外すわね」
「あ、うん…」
「あ、嫌です!タロウさん…タロウさーん!」
カルミナ、グッジョブだ。俺は忠晴さん達と話すとするか。
「お疲れ様です。この…鎖の人は?」
「ご苦労様だったねタロウ君。これは織田史郭。織田家当主だ」
「あ、そうなんですね。じゃあ解決ですか?」
「…あまり驚かないんだね…。でも、まだ解決じゃないよ。戦後処理が残ってるからね」
「なるほど。こっちで倒した、四天王の1人を命さんが連れてきてますし…ここからも大変になりそうですね…」
「えぇ。戦後処理は私達に任せてください。タロウ君とカルミナさんは十分な休息を取ってくださいね」
「分かりました。えーっと…どうしましょうか?何か手伝う事でも…」
「あ…そうだね…。いや、特に無いかな。うん、とりあえず……帰ろうか」
「あ、はい…」
カルミナとマツリ様も戻ってきて俺達はどこか気まずい雰囲気の中安部家の屋敷へと戻ってきた。忠晴さんは戦況を見ていたから改めて報告する必要は無かったが、ベリー先生とマツリ様には事細かに報告した。
「…と、まぁ、こんな感じですね」
「凄いですね!」
「良い実戦になったのでござるな。強かったでござろう?」
「えぇ、長く修行を積んだ本物は違うって思いましたね」
「羽柴殿でござろう?聞いたことはあるでござるよ…まぁ、私の方がきっと強いでござる!」
「まぁ、それは…そうかもしれませんが…自分で言いますか?それ」
それから1日経って、命さん、北と西の人達、最後に晴海さんが帰って来た。それぞれ倒した四天王は逃げる気も無い様で織田史郭と同じ様に牢屋に繋ぐ事になった。
取り調べ…というか話を聞く事は六道さん達が帰って来てからとなった。そんな事よりも目先の問題が1つ上がってきた…。
「近寄るな!ぶっ殺すぞ!」
「落ち着くのでして~」
「ふんっ!」
牢屋に繋がれたのは羽柴秀政、丹羽権蔵、明智公久の3人でここに1人だけ滝川双葉。いや、双葉となった女性が1人残っていた。
この人……ヤバくない?
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(´ω`)




