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タロウ冒険記  作者: じょー
第4章 修行 ジパンヌ
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第79話 タロウ、1番乗りで成功する

よろしくお願いします!



「早速始めるでござるよ!」

「「「お願いします!」」」


「では、この前の受け流しと回避の復習からでござる!」


俺は最初にベリー先生と組んで練習を始めた。筋肉痛もだいぶ緩和され、少し動き始めると気にならないレベルまで回復していた。



「だいぶ形になってきたでござるな」

「そうですか?ありがとうございます」


「じゃあ、次のステップでござる。拙者は受け流された後に下から振り上げるでござるから後ろに跳んで回避するでござる。間合いのギリギリ外に跳んで回避したらそのまま斬りかかる…ここまでを流れで練習するでござる。」


間合いのギリギリ外にか…近すぎたら当たるし、遠すぎたら相手に防ぐ時間を与えてしまう…腕の長さや木刀の長さも計算して見極めるのは難易度が高そうだ。


「分かりました、お願いします!」


これも最初は流れを確認する為にゆっくりとしたペースで型をなぞった。ベリー先生の木刀を受け流しそのまま下からくる木刀を下がって回避して斬りかかる。


「タロウ君、今の後ろに下がる距離じゃ遠すぎるでござるよ」

「これは…練習だからまだいいですけど、実戦だと少々怖いですね」


「家には剣や刀にしても色んな長さの武器があるでござるから、沢山の練習出来るでござるよ!大丈夫でござる、練習出来る時にやっておけば実戦でもさほど難しくはないでござる」

「そう…ですよね。続き、お願いします!」


それから交代の時間が来るまでこの練習をし続けた。成功するのは10回中に1回有るか無いかで、殆どが離れすぎ、近すぎて木刀に当たる事も稀にあるという結果だった。


「要練習でござるな」

「ですね。頑張ります」


それから、桃さん、カルミナと練習をして午前中もあと少しで終わるという時に今日は時間も確保出来たから模擬戦をすると伝えられた。



「模擬戦のルールは武器が体に当たった時点で終了にするでござる。それぞれの武器を生かして戦うでござるよ!素材が木…とはいえ、当たると痛いでござるから防具の着いてない所は守り通すでござるよ~」


俺は刀、カルミナが槍、桃さんは薙刀だ。この中でリーチが1番短い俺が不利ではある…。いかに攻撃を対処して詰め寄れるかが課題かな?


「まずは長物同士の対戦にするでござるよ!二人共、準備するでござる」


カルミナと桃さんが前に出て、俺とベリーさんは少し離れる。


「いつでも始めていいでござるよ!」


「「はあああああ!」」


ベリーさんが声をかけ終わったタイミングで二人同時に動き始めた。

カルミナの突きを桃さんが薙刀で打ち払い、そのまま突き返す。それをカルミナが体を反らし、槍の柄を薙刀との間に入れて回避する。二人共に距離を離して間合いを取った。


「うんうん、結構形になってるでござるな」

「うえ~…あれと戦いたくはないですね…」


その後も一進一退の攻防が続いたが、カルミナが体術を混ぜて隙を作って桃さんに槍の柄での攻撃が決まった。


「そこまででござる!勝者はカルミナさんでござる!」

「よし!」

「うぅ…まさか間合いを詰めて蹴られるとは…悔しいです…」


武器での攻撃が入ったら負けというルールだから体術は問題ないのか。カルミナはよく気が付いたな。


「次はタロウ君の番でござる!そうでござるなぁ…カルミナさん、もう1回いけるでござるか?」

「はい、いけます!」


相手はカルミナか。魔法での模擬戦はやった事があるけど武器での模擬戦はあまり記憶が無いな。


「勝負だなカルミナ」

「負けた方が勝った方のお願いを聞くってのはどうかしら?」


ほぅ。ずいぶんと強気な発言じゃないか…。


「どのくらいのお願い?」

「不可能な事じゃないなら何でもよ!」


「何でも…なんて簡単に言っちゃっていいの?」

「タ、タロウだから…良いのよっ!」


「そ、そう…何でも…か」

「あ、今イヤらしい事考えてたでしょ!タ、タロウったら!もう!」



「二人共…午後の山登りは重りを背負ってもらうでござるからな」



「えぇ!?何でですか!?」

「何でもかんでもでござる!拒否は認めないでござるよ!」


「お、お姉ちゃん…も、桃はお姉ちゃんの味方だからね」

「あぁ~、やっぱり桃は可愛いでござるなぁ…。さ、二人共、始めでござる」


「はあああああ!」


始まりと同時にカルミナが迫ってくる。戦闘に入る切り替えが上手いなホント…。俺は槍を受け流し、1度距離を置く。折角だから色々と試さないとな。



◇◇◇


「さ、お昼ご飯にするでござるよ!タロウ君、早めに起き上がるでござるよ!」

「うぐぐ…ぐ…」


結論から言うと、カルミナの2勝、桃さんが1勝1敗で俺が2敗だ。


次に過程を話すと、色々と試し過ぎたのが敗因だ。間合いをギリギリで回避しようとして脇腹をおもいっきり叩かれた。でもまぁ、これも修行かな…。



「地味に痛い…。ルミナス…ちょっと治しておくれ」

『しょうがないですね。じっとしていてくださいね』


ルミナスに魔法で治して貰った。次は山登りだからな、基本的に体で覚えさせようと訓練しているから治癒はしないようにしていたが…しょうがないよね。

そう言えば、カルミナからのお願いはまだ聞いてないな…。ヤバいお願いじゃなければいいけど…。


ルミナスに痛みを取って貰って俺もお昼を頂いた。少しの休憩を挟んで玄関へと集まった。



「タロウ君とカルミナさんにはこれを背負って貰うでござるよ!」


ドサッと音のしたリュックをベリー先生が2つ地面に並べた。


「カルミナ…誰かいい人居ないのか?紹介してあげないと今後も続くぞ?」

「そうね…タロウにもう1人お兄さん居たじゃない?確か…」


「ダーツ兄様か…悪くは無いかもしれないが、騎士団に入っているとはいえベリー先生よりだいぶ弱いと思うよ?」

「そこは…気合いでなんとかしてもらうしか…」


「何をこそこそと話しているでござるか?さ、背負うでござる。この前よりは軽くしてあるでござるよ」


背負ってみた感触からして、この前の3割減という感じだな。減っているとはいえ、重いものは重い。


「うっ…重いわねぇ。走るの辛いかも…」

「カルミナさんは休憩するところまででいいでござるよ。タロウ君は経験者でござるから、最後まででござる」


「え!?ちょ、ズルくないですか?」

「1回走り切っているでござるからな。難易度を下げても意味はないでござろう?」


確かに…でも、これの次の日筋肉痛になるから嫌なんだけどな…。



「さ、この前より早く帰ってくるでござるよ!出発でござる!」


俺達はベリー先生の後を追って山を登っていく。そして、最初の難所である2メートルはある段差を乗り越えないと行けない場所へ着いた。


「今日は俺がやってみるね」


ローブの内側からナイフとアイテムボックスからロープを取りだして、準備をした。木に登り、ロープを付けたナイフを木に向けて投げる。


「あ、外れた…。もう1回!」


それから更に3回外して、5回目にようやく木に巻き付ける事が出来た。


「よし!カルミナ、桃さん、先に登っていいよ!」


ロープを手放し、カルミナ達に渡して乗り越える。ここまでのペースはこの前よりだいぶ良いはずだ。


「さ、もう少しでラストスパート前の休憩でござるから頑張るでござるよ!」

「お~…」


それから10分と少しかけて休憩場所までたどり着いた。


「はぁ…大丈夫だ、今日は少し楽だ…はぁ…」

「私は…もう…降ろすわよ…」


カルミナがリュックを降ろし、座り込んだ。俺も隣に座り込む。二人で飲み物をがぶ飲みをして呼吸を整える。


「3分経ったら出発するでござるよ」

「「はいぃ…」」



それから3分後に再出発をした。ベリー先生を先頭に桃さん、カルミナ、俺の順で山頂まで走り抜けた。アスレチックルートを躓かない様に…それに加えスピードも落ちないようにしながら走り抜けた。山頂に着いたが、流石にカルミナも前より疲れているみたいだった。



「ぐぅぇぇ…水を…水をくぇぇ…」

「わ、わだじにも…」


「今日は…ゾンビが2体ですね…。二人共、これ…どうぞ…」


桃さんから飲み物を受け取って一気に飲み込む。


「「ブフゥッ…!!」」


一気に飲み込んだせいか何度か喉を通りすぎた後におもいっきり吹き出してしまった。空に虹が…架かることは無いが少し落ち着いてきた。


「疲れたぁああああ」

「ベリー先生、どれくらい…休めるのかしら?」


「しばらくは休んでていいでござるよ?…二人共、この山登りで速く山頂まで着く様になったら体術の修行をするでござるからな?」

「え…えぇ!?ここでですか?」


「そうでござる。だから早く体力を付けるでござるよ~」


俺とカルミナは大の字になって横になる。今の情報で疲れがある事も加わって意気消沈したからだ。でも、拒否権は無いっぽいし毎日のランニングも頑張るしかないな…。



ふと、エドヌの街を見渡すとやはり城が目立つな。城を壮大に見せる為に作られた街並みって感じだ。城もやっぱりきれ……ん?また、誰かが居る?やっぱり小さすぎて判りづらいが…動いている?


「今日も一応やっておきますか…」

「何するの?」


「いや、城から誰かが見ている気がしてさ」

「こっちからも見えないんだし、向こうからもこっちの姿は見えないんじゃないの?」


「そうだと思うんだけど…俺の視力でもハッキリは分からないしね。でも、一応ね」


今日はどうしようか…。うーん…そうだ!明日は来ない事を伝えよう。もし、毎日見ていたら申し訳ないしな。



「『あすは、きません』…これで伝わったかな?」


俺は水魔法で大きめの文字を空に浮かべて伝える。誰が見ているかは判らないけどこれで大丈夫だろう。


「さ、そろそろ戻るでござるよ~大丈夫でござるか?」

「はい、大丈夫です」


「帰りはタロウ君も荷物を降ろしていいでござるからね。さ、行くでござる」


前回は夕方頃に九重家に辿り着いたが、今回はそれよりも早く帰ってくる事が出来た。これなら今日は身体強化の訓練もちゃんと出来そうだ。



◇◇◇


「まずは手に魔力を集めて」

「「「はい」」」


「そしたら手から肩まで魔力を流して回転させていくでござる。すると…はぁ!」


ベリー先生が目の前に置いた石…と言うか、少し小さめの岩を拳で砕いた。


「こんな事も出来るでござる。さ、みんなもやってみるでござる」


俺達は身体強化の為の訓練の初歩の初歩である、魔力を体内で循環させる練習から始めている。


「右手に集めて…」

「それを肩まで…」

「の、伸びないです…」


「みんな苦戦しているようでござるな。まぁ、単純にイメージ力が足りてないでござるな。ヒントをあげてもいいでござるが…感覚的なモノでござるから、自分なりの感覚をみつけた方がいいでござるよ。拙者の場合は川をイメージしたでござるなぁ」


なるほど…イメージ力か。確かに、魔力を肩まで伸ばす事を意識していたけど…魔力をどう伸ばしていいかとか、どんな動かし方をしていいかとかは考えて無かった。


「イメージ…」


手に魔力は集められる。なら腕にも集められる…はずだ。イメージするのは腕に何ヵ所か魔力を集めてそれを手からの伸ばした魔力で繋げて行く、数珠玉に紐を通していく感じ。そして…


「全てが繋がったら魔力を速く流す……ここだ!…いったぁぁぁぁぁぁ!」


血が…痛い痛い痛い…うっ…血が腕から流れていく。でもまだ魔力は流れている。とりあえず殴るか


「うっ…しゃあああああ!」


ズドン!…っと音が響き、岩は粉々になり地面も少し凹んでいる。いてぇ…ひたすら痛い。


「す、凄い…」

「タ、タロウさん、血が!」


「すぐに止血するでござるよ。桃、家から包帯を持ってきて欲しいでござる」

「わ、分かった」


「タロウ君、この痛みを忘れない為にも修行中の怪我は魔法で治さないで欲しいでござる。」

「分かりました。少し魔力を流しすぎましたね…」


「途中までは良かったでござるよ。今のタロウ君の魔力を流せる体のギリギリの感覚は分かったでござるか?」

「どうでしょ…一気に流しましたからね。次からは少しずつ流してみますけど」


桃さんが包帯を持ってきてくれてグルグルと巻いてくれた。右腕だけ何か…格好いい。


俺は最初ので何となくコツを掴めた気がする。カルミナと桃さんはまだのようだけど。俺には俺の、二人には二人の感覚があるからそれさえ、掴めればすぐに出来るようになるだろうな。



「右手に魔力を…ここから…よし、よし…繋がった。次は少しずつ…少しずつ…こ…こ…ここだ」


よし、とりあえず現状の最大限はここあたりだな。これ以上は腕がピリピリとする。この感覚を維持して覚えておこう。


「いいでござるよ、タロウ君。とりあえず1番乗りでござるな!」

「はい、ふぅ…今日はこの感覚を掴めて良かったです」


「くぅ…タロウに先を…私だって!ふぬぅぅぅ」

「カ、カルミナさん!?魔力が集まり過ぎでござる!落ち着くでござる!」


「はっ!危ない…タロウの二の舞になるところだったわ!」


何か引っ掛かる言い方だが…事実だしな。

この日、成功したのは俺だけでカルミナと桃さんはイメージ不足と判断されてベリー先生に課題として言い付けられていた。


九重家で晩御飯を頂き、この日はもう安倍家へと向かってマッサージを怠らずに行い眠りについた。


誤字脱字がありましたら報告お願いします!


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(´ω`)

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「転移したよ in 異世界」 http://ncode.syosetu.com/n1888eg/ という物も書いてます!よろしくお願いします。 こっちはラブコメです! https://ncode.syosetu.com/n7917ej/ よろしくお願いします!
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