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タロウ冒険記  作者: じょー
第4章 修行 ジパンヌ
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第74話 タロウ、式札模様に苦戦中

よろしくなのでして~


「う~ん。結構…独創的な模様があるな。本人しか分からないんじゃないか?」


俺は忠晴さんに貸してもらった、今までに描かれた模様が載ってある資料を読んでいた。似たような物もあれば、本人以外には分からない様な模様まであって案外面白かったりする。


「あ、これはドクロっぽいから闇かな?こっちは3本線だから…風か水かな?」


「結構面白かったな。どれ…そろそろ俺も何か描いてみようかな?召喚 アクエス」

『どうしたの?』


「この紙に水の模様を描こうと思うんだけどさ、アクエスにも意見を聞こうと思って。」

『私を描くの?』


えっと…あーそうか、水がアクエスでアクエスが水みたいなもんだから…それもありっちゃありなんだが…。


「ごめん、アクエス。俺、絵がちょっと下手っぴでね…簡単なイメージを模様にするつもりなんだ。ハハハ」

『それは残念なの。それなら実際に魔法を使ってみると良いかも知れないの。イメージ固まるの!』


「おぉ~、その手もあるか!ありがとうアクエス!はいこれ、水飴」

『嬉しいの!さっそく戻って食べるの!』



俺はアクエスのアドバイス通りに水の魔法を使う為、道具を持って外へ出た。


「この辺の地面なら濡らしてもいいかな?『水球』」


水を出して浮かべた。球だから丸い形だ。これの形を色々と変えていく。丸から三角、四角、星形、縦にまっすぐ、横にまっすぐ。


「何か違うな。うん…やっぱり涙の形、これが1番イメージしやすいかな?」


「貴方、さっきから何をしているのでして~?」


「え?あぁ、ちょっとイメージ作りを…」

「そうなのでして~?」


誰だろう?黒い髪を肩辺りで2つに結んで肩の前に垂らしている。髪型もゆったりしているし、何か話し方もゆったりしているな。


「あ、僕…タロウです。今日からお世話になってます」

「私は晴海(はるみ)でして~。貴方も式札を書いているのでして~?」


晴海…そういえば忠晴さんは娘も居るっていっていたな。


「そうですよ。もしかして、忠晴さんの娘さん…ですか?」

「そうでして~、私も今は式札に模様を描いているのでして~」


俺と同じか。この子は魔力を伸ばす訓練は終えたって事か。


「なら、同じですね。僕も式札に模様を描こうと思いまして、今はこうしてイメージ作りです」

「なるほどでして~。それはいい考えなのでして~、私も隣に座って見てもいいのでして~?」


「いいですけど…晴海さんはもう描いてるんですよね?イメージの邪魔になるかもしれませんよ?」

「邪魔になるという事は、私のイメージよりも貴方のイメージの方が優秀、という事でして~」



まぁ、晴海さんがいいなら…別にいいか。とりあえず水の模様は札の中央に涙形を配置して…あとは短い線を背景みたいにこうして…。うん、とりあえずこのまま魔法をキープして描いてみるか。



「描いたのでして~!」

「あ、え?…ホントだ!というか…うまっ!!」


俺が魔法で形作った模様を晴海さんが写してくれたけど…形作った魔法と遜色無いくらい上手に写している。俺がやったら何枚も紙を無駄にしていたかもしれない。


「ありがとう晴海さん。上手だね」

「絵を描くのは好きでして~、満足して貰えたなら良かったでして~」


満足どころか、大満足だ。


「申し訳無いんだけどさ、他の属性のイメージも描いて貰えないかな?」

「良いでして~。その代わり貴方のイメージを私も使わせて欲しいのでして~」


「もちろん!気に入ったのがあったらどんどん使っていいよ!」

「交渉成立でして~」


◇◇◇



それから、燃える火、土で作った山、氷とは少し違うけど雪だるま、雷はジグザグ。ここまではすんなりと完成したが、残りの風、光、闇だけがまだイメージが固まらない。技のイメージなら出来るが…属性のイメージとなると大雑把になって纏まりきらないな…。


「ごめん、晴海さん。少し休憩。残りは漠然としたイメージしか出てこなくてね…」

「いえいえ、タロウさんは使える属性が多いので~驚いてるのでして~」


あ、普通に使ってたけど魔法って多くても3種類とかそのレベルだったな…ちょっと油断したな。


「ま、まぁ…一応冒険者だからね。苦手な属性も練習したんだ」

「そうなのでして~?…これが、今描いたのでして~」


晴海さんに描いて貰ったのを見せて貰うと、俺のイメージする通りでこれなら分かりやすい式札が出来そうだった。


「ありがとう!あとは、俺もこれを上手く描ける様に練習かな」

「私もこの水の模様をもっと練習するのでして~」


俺は風、闇、光の属性は後に回す事にして部屋に戻り、とりあえず出来ている属性の式札を自分でも描ける様に練習する事にした。


自分の手先の不器用さを呪いたくなるくらいに線が歪んだり、曲線を上手く描けなかったり苦戦をしている。



「失礼しますね、そろそろお昼ですが…晴海、ここに居たんですね。タロウ君、調子はどうですか?」



部屋で晴海さんは本を読み、俺は模様を描いていると忠晴さんが様子を見に来てくれた。


「晴海さんに清書を描いて貰ったんでそれを自分で描ける様に練習しているんですが…苦戦中です」


「どれどれ…火、水、土、雪…氷ですか?それに雷ですね。うん、中々に分かりやすい模様ですね。それにしても多いですね、タロウ君はこんなに魔法を?」

「ありがとうございます。あ、いえ。何となく全部の属性を揃えてみようと思っただけですよ?風、闇、光のイメージがまだ固まりきらなくって困ってますが」



「なるほど、そうでしたか。資料の中にイメージに近い物はありませんでしたか?」

「闇がドクロ、とかは何となく分かるんですが…やはり何か違うなって」


「晴海の様に本を読んでみるのも良いかもしれませんね。タロウ君はどの属性の式札を使うとか考えていますか?」


そうだな…とりあえず火の緋鬼王は使って、あとは頑丈そうな土と移動用の狛犬だっけか?あれも便利そうだな。


「火と土と風は使ってみたいですね。あとは、便利だったりする式神がいればそれもですかね」

「決まっているなら午後は本を読んでみるのもいいと思いますよ。さ、お昼に行きましょうか。晴海も」


「あ、はい」

「分かったのでして~」


◇◇◇


屋敷の中にある食堂に来るとカルミナと命さんが座っていた。俺達も同じテーブルに座ることにした。


「あ、タロウ!…その子は?」

「先生達の娘の晴海さんだ。さっき式札の模様を描くのを手伝って貰ったんだ」


「初めまして~晴海というのでして~」

「なんか…ゆったりというかまったりした子ね。私はカルミナ、よろしくね。それでタロウ…調子はどうなのよ?」



「カルミナ、風属性を模様にするとしたらどんなのかく?」

「何よ急に…でもそうね…風…風……風?こう…クネクネ流れてる感じ?」


「俺もそう思って描いてみたら…なんか波みたいになって風にならないんだよな…そんな感じで苦戦中。カルミナの方は?」

「命さんが…」

「先生」


「せ、先生にいきなり魔力を伸ばすように言われて…ひたすら魔法を使っているわ…」

「な、なるほど。カルミナは魔力量が増えればそれだけで強くなるからな…。」


命さんが一瞬怖かったけど…気のせいだよな?でも、魔法におけるカルミナの弱点の魔力の少なさを見破るなんて凄いな。


俺達はお昼にお蕎麦を頂いて、談話をしていた。お昼休憩はそろそろ終わりだな。


「カルミナちゃん、午後もひたすら…ね」

「は、はい先生!じゃ、また後でねタロウ。あと最近、女の子と仲良くし過ぎだから注意するのよ!」


「はいよ!じゃ、また後でな」

「タロウ君はカルミナさんとお付き合いされてるのでして~?」


「お互いに好きって伝えてあるよ」

「も、もう!タロウってば~」

「はわわわわでして~!」



「タロウ君、午後は伝えてある通りに。質問はいつでもいいからね。晴海、しっかり修行するんだよ」

「はい、先生」

「わ、分かったのでして~」


午前中に使っていたあの部屋に戻ってきて、模様の資料の他に本を読む事にした。


「晴海さん、どれがオススメ?」

「これがたくさん載っているのでして~、こっちは魔力の多い上級者向けでして~」


晴海さんのオススメの本をさっそく読んでみると、上級者向けの本の後ろの方に緋鬼王の名前があった。


「どれどれ…緋鬼王は火属性の鬼の最高位に属する。力が強く聡明で人語を操り、よく人里に現れたと言われている。」


確かに話してた。しかも忠誠も厚い。難点は魔力をめちゃくちゃ持っていく事かな…。最高位ならそれくらいは持っていく物なのかも知れないけど…他に召喚出来る人なんて居るのか?


「続きは…その姿は美男子や美少女のどちらかと言われている。火の属性の最高位としての力はその火力で山の一部が消し去る程どとも言われている…か」


背の高い美男子だったぞ。…は、ともかく山の一部を消し去るなんてより凄い事出来るだろうなあの感じは。


「他のも見てみるか…」


上級者向けの本を最初の方から見ていく。緋鬼王の説明が微妙だから伝承はそんなものかと割り切り、話半分で読んでいく。鬼以外にも蛇、蜘蛛、鳥何かの伝承もあった。


「タロウさん、何か気になる伝承でもありまして~?」

「後ろに載っている緋鬼王とかの伝承には火に関連する言葉が出てくるから火属性かなって分かるけど…伝承に属性が出てこない奴は何属性なのか気になってるかな」


「解決方法はありまして~」

「あるの?どんな方法?」


「実際に式神として呼び出せば解決なのでして~」

「込める属性を変えて、試していくってこと?」


「そうなのでして~。どうしても気になる伝承がありましたら試すといいのでして~。呼び出せれば父上からお小遣いが貰えるかも知れないのでして~」


なるほど、確かにそれで解決はするか。まだ描いてない属性だったら困るけど方法はいくらでもあるしな。忠晴さんに式札を借りてもいいし。


「面白そうな伝承があったら呼び出してみるのも面白いかもね。…って、すっかり集中してた!もう夕方じゃん」

「確かに、いつもより時が経つのが早いのでして~」


「ちょっと、魔法でもやりますか。今日は座学ばかりで動いて無いからな」

「私は見ているのでして~」


◇◇◇


部屋を出たところにある庭で土魔法で作ったゴーレム同士で相撲をさせたり、昔やった水の玉の中に光を入れて色を変えたりと見てて楽しめる魔法を使っているとカルミナが夜ご飯の知らせに来てくれた。


「タロウ、遊んでたの?」

「息抜きだよ息抜き。今日は座ってばっかだったからね」


「命さん…スパルタなんだけど。私が魔力切れで何回もフラついたとしても、回復薬を飲まされて…何回も魔法を放ってたわ」

「それは…。どう?魔力が増えた実感はある?」


「分かんないわよぉ~。すぐに分かんないからよりキツイのよ」

「まぁ、明日は九重家だしおもいっきり体を動かそうぜ」


「そうね!交互にやっといて良かったわね。ご飯を頂いたら行きましょう」


「タロウさんは明日はいらっしゃらないのでして~?」

「うん、1日ずつ安倍家と九重家を行ったり来たりだよ。」


「それは残念でして~。明日は一人で式札を作るのでして~」

「明後日はまた色々と考えて行こうね」


「はいでして~!」


夜ご飯をご馳走になって、九重家に行く前にリリーとトリーに会いに来た。安倍家に預かって貰える事になっているから安心だ。たまに、凸凹になった地面を均すという条件付きではあるけどリリー、トリーにとっては運動になって丁度いいだろう。



「リリー、トリー次は明日の夜に来るからな」

「良い子にしておくのよ!」


「ヒヒィィィン」

「ヒヒブルルゥ」


挨拶を終えて、安倍家を後にした。



◇◇◇



「お邪魔します」


「タロウ君、カルミナさん待っていたでござるよ!」


九重家の敷地内に入り、屋敷の玄関の扉を開けたらベリーさんが出迎えてくれた。


「ご飯は食べたでござるか?」

「食べてきましたよ」


「カルミナさん…お疲れでござるな~」

「まぁ…命先生がちょっと」


「あー…でござるよ。先にお風呂に入るでござるか?」

「六道さん達は居ますか?先に挨拶しておきたいんですけど」


「なら、こっちでござる!母上と桃も居るでござるよ!」


ベリーさんのお母さんには会ったこと無いな、失礼の無いようにしないと。


ベリーさんの案内で皆が食後の休憩をしている部屋へと案内して貰った。


「今晩は、お邪魔させてもらってます。今日からよろしくお願いします」

「お世話になります」


「タロウ殿、カルミナ殿、いらしたか。待っておりましたぞ。紹介する、こっちは私の妻の一穂(かずほ)だ。」

「初めまして。タロウさん、カルミナさん。私が何かを教える事はありませんが、家の管理はしていますのでよろしくお願いしますね」


「タロウです。お世話になります」

「カルミナです。よろしくお願いします」


安倍家でも渡したように、月謝を前払いして先に俺からお風呂に入ることにした。


男湯と女湯に別れている訳では無いため、時間は厳守するように言い付けられた。



部屋を出ると今日の寝る場所へと案内されて明日から修行が始まるから早めに寝るように言われた。


「じゃあおやすみなさい、ベリーさん」

「お休みでござるよ、タロウ君!」




誤字脱字がありましたら報告お願いします!


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(´ω`)

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「転移したよ in 異世界」 http://ncode.syosetu.com/n1888eg/ という物も書いてます!よろしくお願いします。 こっちはラブコメです! https://ncode.syosetu.com/n7917ej/ よろしくお願いします!
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