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タロウ冒険記  作者: じょー
第4章 修行 ジパンヌ
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第73話 タロウ、修行を始める

よろしくお願いします!



ギルドは一応24時間対応だが、さすがに夜は昼間ほど人は多くない。俺達が戻って来たときに居たのはギルド長と受付さんとちらほらと冒険者が居るくらいだった。


「お、来たか。こっちに座ってくれや」

「何か進展はあったでござるか?」


「あぁ、オーガを担当していた奴等が帰って来たぞ。お前らが皇帝を倒したからか王クラスを倒したか分からねぇがある程度の数を減らしたら逃げていったそうだ」

「他の方達は?」


「オーガに比べてとにかく数が多いからな…多分明日になるだろう。悪いけど明日の朝にギルドまで集まってくれ。そこで参加者に報酬を配る」

「分かったわ!…タロウ、明日から安倍家に行けそうかしら?」


「そう…だね。行ってみようか!ベリーさん、明日の夜には九重家に泊まりに行きますのでよろしくです」

「待ってるでござるよ!」


「お前ら二人…安倍家と九重家の門下生なのか?」

「正確には明日からになりますけどね」


「そう…か。たまには高ランクのクエストを消化してくれると助かるな」

「ギルド長、カルミナはたまに来てくれるそうです」


「桐華、良かったな」

「はい、ギルド長が二人を調べろと仰ってくれたお陰です!」


「「……」」

「いや、桐華?普通そう言うのは…」


「へぇー!俺達、ギルド長にそんな事されてたのかー」

「えー!せっかく桐華さんと仲良くなれたと思ったのにー、仕事だったのー?私、悲しいなぁー」


桐華さんが来た理由は知ってたし、完全な棒読みだがカルミナのセリフに桐華さんの顔色がどんどん悪くなり、それを見たギルド長の顔に冷や汗が流れる。


「あ…わ、私、そんな…つもりじゃ…」


「ギルド長がなぁー。ギルド長がなぁー」

「ギルド長…わ、私…どうしたら…?」


「二人の報酬の金額を少し上げよう…」


俺とカルミナは後ろ手でお互いの手を握り作戦の成功を祝う。そろそろ桐華さんのフォローをしないとヤバそうだ…。


「桐華さん」

「な、何ですかタロウくん…」


「桐華さんはカルミナの事を友達だと思っているんだよね?」

「は…はい!」


「今回はギルド長が悪かった。桐華さんは受付でギルド長の指示には逆らえない。しょうがなかったんだよね?」

「で、ですが…私は友達を…」


「しょうがなかったんだよね?」

「は、はい」


「という事でカルミナ、桐華さんを許せるかな?」

「桐華さん。今度ギルド長から何か指示を受けたら隠さずに、またちゃんと話してくれるかしら?」


「や、約束します!」

「おい…桐華?それは…」


「なら、私は許すわよ。桐華は正直者だもね。そういう性格、嫌いじゃ無いわ」

「ありがとうカルミナァ~、私、友達じゃない何て言われたら…」


「大丈夫よ、あなたは真面目だっただけ、もう気にしてないわ」


クールな桐華さんを今日は全然見てない気がするけど、とりあえず報酬の上乗せを獲得出来たのはラッキーだったな。


「桐華、今日はこのままお前も帰っていいぞ。お前らもまた明日の朝な」

「へへ、ギルド長。僕達、この街でお世話になりますね」


「じゃ、明日の朝ね」

「では、お先に失礼します」

「拙者も帰るでござるよ!」


ギルドを出た所でベリーさんとは別れた。俺とカルミナは夜という事もあったし、カルミナと一緒に帰りたがってたから桐華さんを家まで送り届けてから宿に戻って来た。今日は疲れたし…温泉にでも入ってきますかぁ~。



◇◇◇



翌朝、朝食に肉じゃが定食と卵かけご飯を頂いて俺とカルミナはギルドに向かった。


「お、もう集まってるみたいだな」

「そうね…今日はもうランク毎に別れてるのかしら?それぞれで集まってるみたいよ?」


俺達もBランクの人達が集まっている辺りの最後尾にそっと並んで待っておく事にした。



「緊急クエストに参加した者は集まってるか?…まずはご苦労だった。この街は被害はでずに無事だった。怪我をした者はチラホラ見かけるが死んだものは居ない。今からそれぞれのランクや貢献度に応じて報酬を配る。受け取ったらそのまま解散だ!以上!」


冒険者が我先にと列を作っていく。それぞれの列の前には受付の人がいて、名簿の様な者を確認しながら報酬を渡していく。俺らの列の担当は桐華さんだ


「タロウくん、カルミナ」

「おはよう桐華さん」

「おはよう」


「凄いですよ!ベリーさんと二人が1番の報酬ですね。皇帝を倒したから当然なんですけどね!…ここだけの話、素材の他に昨日のアレでベリーさんよりも少し金額が多いですよ」


「いくらになりました?」

「ゴブリン皇帝の討伐が大金貨2枚と金貨1枚、オーク皇帝の討伐が大金貨2枚と金貨2枚ですね。上乗せでお二人に金貨3枚を」


「おぉ…!」

「これで、月謝も払えるわね」


二人分で安倍家と九重家に大金貨3枚ずつだから、報酬に加えて手持ちの大金貨1枚ずつ加えれば大丈夫だな。


「ありがとう桐華さん。カルミナ、宿に戻ってリリー、トリーを連れて安倍家に行こう」

「そうね!じゃ、桐華。またね」


「はい、カルミナ、頑張ってください。タロウくんもせいぜい頑張れ」


応援してくれている…これは応援のはず…だと思う…。


◇◇◇



1度宿に戻ってからすぐに安倍家へと向かった。敷地内に入る為の扉をくぐると、式神での戦闘をしてるい忠晴さんと男の子が居た


「集中しなさい。先を読み、鬼に的確な指示を出すのです」

「はい!行け、赤鬼!」


しばらくその様子を見ていると同じ赤鬼でも忠晴さんの使役している鬼の方が動きのキレや力が上のようで、男の子の鬼が負けてしまった。


「まだ、式札への魔力調整や模様にイメージも少し甘い。…ですが、前よりはだいぶ良くなってますよ」

「は、はい!精進します!」


どうやら一段落したようなので声をかける事にした。


「忠晴さん、こんにちは」


「いらっしゃいタロウ君、カルミナさん。先日のクエストでは大活躍でしたね」

「お陰で月謝も払えそうですよ。九重家で月々に大銀貨5枚って聞いたんですが安倍家でも同じですか?」


「えぇ、前に来た時には話すのを忘れてしまっていましたね…。少々割高な気もしますけど、家のお金の管理は妻でして…」

「いえ、妥当な気もしますよ。泊めて頂けるし教えも受けられるんですからね」


「お二人は週に3日ですから月々の値段は半分になりますね」

「前払いで払っておく事って出来ますか?」


「…先に払っておく方は珍しいですね。そうですね、今から妻を呼んで来ますので少し待っておいてください。」

「分かりました…あの、こっちの方は?」


「あぁ!先に紹介しておきましょう、私の息子の晴太(せいた)と言います。歳はこの前12になったばかりで…受付にいる桐華さんと同じ歳ですよ」


「安倍晴太です。父上、こちらの方々は…?」


「初めまして、タロウです。僕達も晴太さんや桐華さんと同じ歳なんですよ」

「カルミナよ。今日からここの門下生になるわ」


「と、言うことだ。タロウ君は式神を、カルミナさんは魔法の修行をするから分からない事は教えて差し上げるんだぞ」

「はい、父上!」


「では、妻を呼んで来るので少々…」


忠晴さんが屋敷に戻り、ここには3人だけが残った。



「お前ら、昨日の緊急クエストに参加したのか?ま、どうせ避難誘導とかだろ?そんな事より、お前らの歳で月謝払えるのか?1ヶ月で終わらないといいな?くくくっ…」


おぉ…いい性格してるな。性格悪いというか、猫被りなのか?ちょっとあんまり関わりたくないな…



「はぁ~?あんた何いって…」

「カルミナ…。月謝は払える。文句はないだろ?」


「まぁな?…それより金髪ってこの辺りじゃ珍しいな?カルミナとか言ったか?案外、綺麗な顔してるじゃないか」


「はぁ…そりゃどうも」


「隣の男とはどういう関係なんだ?特別に、安倍家の…俺の嫁に迎え入れてやっても良いぞ?」


こういう絡み方してくる奴は始めてだな。後先考えずに絡んで来る奴はたまに見かけるが…


「なぁ」


「何だよ?今、カルミナと話してるんだ。邪魔をしないでくれないか?」


「今の会話を忠晴さんに言って良いのか?カルミナがいきなり求婚されたって」

「別におかしな所は無いだろ?可愛い子が居たんだ、ツバを付けておくくらい変じゃない」


あぁ…確かに、言われてみればそうかも知れない。でも…


「はぁ?嫌に決まってるじゃない。何であんたみたいな奴の嫁にならないといけないのかしら?」


「い、嫌に決まってる…だと?おい、安倍家がどういう立場の家か知っているんだろうな?その息子だぞ?」


「だから…何?」


「何…って、お前ら冒険者だろ?立場を考えろよ。はっ、そうか…そういう事が分からないから冒険者なのか?」


「安倍家は凄いと思うわよ?それで、その息子だから…何?立場はあんたが自分で手に入れた物じゃ無いでしょ?それを踏まえて聞くわよ?息子だから…何?」



「くっ…う、うるせぇ!来い!赤鬼!」



カルミナの正論に逆ギレかよ…。多感な時期…だもんな。桐華さんも多感な時期だったし、キレる事もあるか。こういうの見ると自分の昔はどうだったか思い出すな…。



「いや、俺は普通の子で大人しい子供だったな」

「急に何言ってるのタロウ?」


「あ、いや…過去を振り返ってね」

「全然大人しく無いじゃないの。冬休みにグラウェル領へ行った時にタロウのお母様から色々聞いてるんだから」


「え?そうなの?それは少し恥ずかし…」

「何呑気に話してるんだ!俺を怒らせたいみたいだな?」



「いや、だって…攻撃していいの?ちゃんと考えた?あるんでしょ、立場」

「これは新しく入った門下生の実力を見る試験だ…それなら問題無い」


「問題あるぞ」


「何だと?行け!赤鬼…?」



「遅いし弱い。こんなんで私達の実力がみれるとでも?」



晴太君の試験っていう単語の辺りでカルミナが槍を抜き、問題無いの所で赤鬼を槍で倒した。晴太君の顔が赤鬼から青鬼みたいになっている。


「ば、バカな…僕の赤鬼が…」



「お待たせ致しました…ん?どうかされましたか?」

「いえ、何にもありませんでしたよ?な、カルミナ」

「まぁ…そうねぇ」


「忠晴さん、新しく入る門下生はこの子達ですか?」

「そうだよ、タロウ君とカルミナさんだ。二人共、こっちは僕の妻でカルミナさんの魔法の担当をする(みこと)だ。家のお金の管理や他の管理もしている」


「よろしくお願いしますね。それで、前払いだって話でしたけど?」


「あ、はい。とりあえず5年分を二人で大金貨3枚を。まぁ、都合によって早くなるか遅くなるかは変わりますが」


「あら、1年分という方はごく稀に居ますが…。いえ、払って貰える分には問題ありませんよ。」

「タロウ君、九重家にも行くんだよね?お金は大丈夫なのかい?」


「はい、月謝が半分で良かったですよ。2家で1つ分に済みましたし、さすがき大金貨12枚になると手持ちが大幅に減っちゃいますからね」


エルフの捕まえられた人達を救った時の報酬があって助かってる。


「まだ会ってない吉晴と晴海は今度紹介するよ。じゃあカルミナさんは命について行って、タロウ君は僕についてきて。晴太、さっき甘いと言った所を見直すように」


「は、はい…」


「カルミナちゃんは私と一緒に来て…忠晴さんに話は聞いているけど、早速実力を見せて貰うわよ」

「はい!お願いします。タロウ、後でね」


「タロウ君、行こうか」

「はい、よろしくお願いします!…頑張れよカルミナ!」


俺とカルミナは離れての修行になるが…カルミナに負けない様に頑張りますかね。



「な、何なんだアイツ等は…」


◇◇◇


忠晴さんに案内された部屋に入ると、畳の部屋に脚の低い横長の机が並べてある…寺子屋のイメージが思い浮かべられた。確か、魔力を増やす訓練は飛ばすって言っていたから式札の模様を覚えるのと描く訓練…かな?


「私達のやり方としましては、主に自分の感覚が大切になってきますので基本的には質問されたら答えるという形を取っ手います。」

「教えてくれるのは最初だけ、っていう事でしょうか?」


「はい、基礎は丁寧に教えて行きますが式札も人によっては違ったりしますよ。」

「それで、術は発動するんですか?」


「基本的な模様はあります。が、それはあくまでイメージを固める補助の様な物と捉えて頂いて結構です。例えば赤鬼の式札ですが、何本もの線が下から左上に伸びて先端は右に曲線を描いていますね?これは火を連想させるための式札です。」


「分かりました!自分の連想する火が違う場合はそれを式札に描いて良い…という事ですね!」

「はい、その解釈で大丈夫です。参考となるように過去に描かれた模様を纏めた物を渡しておきますので使ってください。」


「忠晴さん…じゃなくて先生ですね。先生!もし、水の模様の式札を持って赤鬼のイメージを浮かべたらどうなりますか?」

「赤鬼は現れるでしょう。けど、式札を水の式札と思ってしまっている以上…赤鬼用の式札を使う時より強い力は発揮されません」


なるほど、式神は現れるけど…ちゃんとそれぞれの式札を用意した方がいいだろうな。


「先生、もう1つ質問です。式札に描く模様は簡単な物でも良いんでしょうか?それとも複雑な方が良いんでしょうか?」

「その式札を見た時にちゃんとイメージ出来るなら簡単な物で大丈夫ですよ。はい、これを参考にしてください。練習用式札と筆は後ろの棚にありますので好きに使ってください」


「分かりました、ありがとうございます!」


「では、私は戦闘訓練の方を見に行きますので…質問があればいつでも来て下さいね。」

「はい!」


忠晴さんが部屋から出て行き、一人になる。でも静な方が考えるには都合が良さそうだな。さ、頑張りますか!


誤字脱字がありましたら報告お願いします!


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(´ω`)

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「転移したよ in 異世界」 http://ncode.syosetu.com/n1888eg/ という物も書いてます!よろしくお願いします。 こっちはラブコメです! https://ncode.syosetu.com/n7917ej/ よろしくお願いします!
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