第65話 タロウ、行き先を決める
うまるちゃん見終わったから投稿しますよ!
よろしくお願いします!
「行くわよランディア!」
『承知した!』
「アクエス行くぞ!」
『分かったの!』
「吹き飛べ、『土の弾丸』」
「くそ、土のある所だとどこからでも飛んで来るのか!?打ち落とせ、『水の鞭』!」
「土はそこら辺にあるからね!減りが少ないからまだまだ魔力は残ってるわよ!『土波』!」
「広範囲も可能ってわけか『氷円壁』!」
あ…怖い!迫り来る土ってこぇぇ!!破壊されたら埋もれう
るぞ!?氷圧縮!氷圧縮!
「ランディア!腕に鎧を!」
『あい、分かった!』
「土の鎧 パーツ腕『鋼鉄の腕』!行くわよぉ!!」
やっと土の波が終わったと思ったら、壁のすぐ向こう側にカルミナが迫っていた。鋭く尖らせた土を腕に纏って構えている。
「壊れろ!」
パリ…カキ…パリ…バリィン!!
「あっ…ぶねぇ!!『氷弾』!」
氷の壁を貫かれ、間一髪で回避をして反撃するも打ち落とされてしまう。
「硬い腕だな」
「ええ!ランディアの力を借りてで土を圧縮して硬度を高めてるのよ。でも、私の腕には影響ないわ!」
「そうなのか、よし、続きをやるか!」
俺とカルミナは武器や防具が完成する予定の日までこうして街を離れて魔法を撃ち合ったりして戦闘訓練をしていた。手紙を出してから3日経った今日の夕方、注文していた装備品を受け取りに行く予定になっている。
「そろそろ、終わりの時間かしら?アレいくわよ!」
「了解だ!ルミナス アトラス頼むぞ!」
『また魔力が伸びてますからね。お任せを。』
『頑張るの!』
アレ、とは訓練の最後にしているカルミナの大技を俺が防ぐと言う物だ。風の鷲獅子。炎の不死鳥。先日見せて貰った土の巨人兵団。どれも協力な技だ。
「今日は少し変えていくわよ!!シェリーフ、フレイミア!」
『分かりました。』
『任せたまえ!』
「シェリーフとフレイミアを…?ま…さか!?ルミナス、アクエス先日より強いのが来るぞ!備えろ!」
俺の予想通りならヤバイのが来るはずだ。ルミナスの結界とアクエスの盾。2つの力じゃ足りないだろう、俺も守りに加わらないと。
「風は炎を増幅させ 炎は風を纏い吹き荒れる 二つの力を操る化身よ!その力を見せつけよ!『二首の獣』!!」
魔力がうねり、3メートルはある巨大な体に火と風の力を纏って出来た獣が現れてこちらへお襲いかかかって来てる。地面に足を着く度に土を焦がし、抉りながら進んでくる。
『防御結界 守護堅牢。』
『多重防御 水の防壁なの!』
「最後の1枚をルミナスでその前にアクエスの守り。なら俺は…」
「氷土 圧縮 『縛り』!!」
くっ、振り切られるか…だが、勢いを無くすために何度でも!!
『くぅ…突破されるの!』
『任せなさい。』
「圧縮 圧縮 圧縮 圧縮…『縛り』!!」
ルミナスの結界にヒビが入っていく…た、耐えきれないか!?
『タロウ…魔力を殆ど貰いますよ。防壁結界『多重の護り』』
うぐぇ…ま、魔力が残ってる分から8割くらい持っていかれた…ちょっとフラフラするぞ…。だが…
「これ…以上は…私の魔力が…持たないわね……ふぅ。ここまでか、耐えきられたわね…」
「何だよ今の恐ろしい技は…守るだけで俺の魔力が殆ど無くなったぞ」
「密かに考えたりみんなと話したりしてるのよ!タロウを驚かせようと思ってね」
「その作戦なら大成功だよ…っとと…」
「私も魔力が減ってふらつくし…少し休憩してから帰りましょうか」
「そうだな、休みながら技の事でも話し合おうか」
◇◇◇
俺達が宿に戻った時には既に空は暗くなっていた。取りに行くのは明日にして今日は部屋で俺が考えている明日からの事を話す事にした。
「カルミナ、俺達より強い人って誰を思い浮かべる?」
「人よね…やっぱりベリーさんかしら?」
「俺もそうだ。何故か今でさえ勝てる気がしないくらいだからな。」
「どうしてかしら…笑いながら全ての攻撃が避けられるイメージが…頭をよぎるわ」
「そうだよな…そこでなんだが、行ってみないか?ベリーさんが育った国へ」
「ベリーさんの故郷に?たしか…ジパンヌとかジパングとかいった国だったわよね?」
ジパンヌよりジパングの方がしっくりくるよな…やっぱり。
「ジパンヌだ。…つまるところ、そこで修行をしないか?魔王と戦う時にこの大陸にいる精霊にフレイミアが助けを求めていただろ?つまり、集まってない残り4つの属性を持つ精霊は中央大陸には居ないって事になる。他の大陸へ精霊を探すまえにジパンヌへ行ってみないか?」
「東の大陸と西の大陸。あと、魔族の住む大陸のどこかに残りの精霊がいるわけで…そうね、ベリーさんの故郷に行けば少しでもあの強さに近づけるかも知れないものね!私は賛成よ!」
「俺の勝手なイメージだが…ジパンヌは刀も槍も強い人が沢山居るような気がするんよな。」
「そうなの?ジパンヌってどこにあるんだっけ?」
「東って言ってたけど詳しい場所は知らないな…明日それも調べに行こうか」
「そうね。はぁ~あ…今日はもう眠いわ…」
「今日も疲れたもんな。もう寝ようか」
「そうね、おやすみタロウ」
「おやすみ、カルミナ」
◇◇◇
魔力がギリギリで少し重かった体も一晩寝たらだいぶ良くなった。朝起きていつも通り素振りをしてからリリー、トリーに挨拶とご飯をやり、カルミナを起こした。
「カルミナ、起きたか~」
「うん…」
「準備出来たら装備を取りに行こうか」
「装備……そうね!!早く準備しないと!」
新しい装備が待ち遠しかったのか、いつもならここから30分は掛かる支度も10分で終わらせていた。…出来るならそれを毎日やって欲しいんだけどな…
俺達はまず防具屋のビランガ防具店までやって来た。
「坊や達、よく来たわね!装備、出来てるわよ」
「あ、店長さん…早速見せてもらっていいですか?」
「ええ、まずは軽装の方よ。注文通りに軽くて動きやすくしたわ。素材も上質な物を使ってあるわ。あと、坊やには籠手もね」
「おぉ、ホントに軽いですね!」
「動き易くもあるわよ!」
新品はだいたい素材が馴染んでおらず引っ掛かりがあったりするものだが…それも全く感じない。作った職人は相当凄い人なんだろうな、
「気に入って貰えたようで良かったわ!次はおまちかねの…ローブよ!このローブの説明するわね。まず、ローブの素材だけどワイバーンの素材を織り込んであって、だいぶ頑丈になってあるわ。」
「ワイバーンですか…それだけでも豪華ですね」
「それで耐性の方だけど、言われていた様に熱に対する耐性は付けてあるわ。他にも防刃に防水、各種魔法耐性が付いてるわ。さらに!魔力を流すと…」
「硬くなった!?」
「えぇ、そういうのも付けておいたわ!守りにいいでしょ?長さも調節出来る仕様にもなってるし、フード付きで日射し耐性もバッチリよ!はい、明るい茶色があなたで、白い方がお嬢ちゃんのね。」
「手触りも良いですね。このローブ自体も軽い」
「そうね、これなら戦闘でも邪魔になんかならないわ」
「気に入って貰えたようで良かったけど…値段が素材に拘った結果…大金貨6枚にまでなったのよね。坊や達、払えるかしら?」
「あぁ、大丈夫ですよ!黒貨1枚まで大丈夫と言ったじゃないですか!はい、これで。お釣お願いします」
「本当に持っていたのね…ふふ、毎度あり。またよろしくね!」
俺もカルミナも早速、買ったばかりの装備に腕を通す。ローブは注文通りに内側にナイフや針をセット出来る様になっていたのでアイテムボックスから取りだして、セットする。首の辺りのボタンで留めるタイプだからゆったりしてるけど、これは俺は好みだな。
お釣が大金貨6枚と、今まで使っていた防具を安いが買い取って貰った為に大銀貨2枚もついてきた。よし、次はターナル武器屋だな。
朝の混雑してる道を何とか通って目的地の武器屋までたどり着いた。
「いらっしゃいませ~」
「すいません、武器の注文をしていたタロウですが…」
「タロウ様ですね、少々お待ち下さい。」
店員さんに伝えると少しして、前に注文した時にあった店主さんが刀を持ってきてくれた。
「坊主、良いものが出来上がったぜ!」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「ほら、ここじゃあれだから店の裏で鞘から抜いてみろよ」
「では、少し…。カルミナはどうする?」
「ついていくわ、面白そうだしね!」
店の裏手にある場所で刀を構えて鞘から抜いてみる。
「タロウ…綺麗な刀身ね」
「あぁ、綺麗だな。」
鞘から離れた刀身は光を当てるとうっすら虹の光沢を放っていた。綺麗だが…この刀にお願いしたのは魔力の通りやすさだ。
「アクエスの魔力を込めてみるか…ふぅ……はっ!」
「タロウ!刀身が青色に!」
「その刀は魔力を通しやすくする為にした結果、属性の影響で刀の色が変わる様になっちまったのさ。まぁ、込めた属性がバレちまうが構わねぇだろ?」
「えぇ!それを補って余る程に魔力がすんなり通りますし…それに込めた魔力以上の威力が出そうです。そもそも刀自身が業物を越える逸品ですよね?」
「大金貨7枚分の仕事はしたぜ?気に入ったか?」
「もちろん!ありがとうございました」
「その刀には名前を付けてある。銘刀『虹陽』、これがこいつの名前だ」
「虹陽…これからよろしくな。」
「大事にしてくれよ!…妖刀の方もな」
「分かってます、なんとかやっていけそうですよ。では、もう行きます。ありがとうございました」
「何かあったらまた来てくれよ!」
新しい刀を腰にぶら下げ、ターナル武器屋を後にした。次に向かうのはこの街のギルドだ。
◇◇◇
「え?ジパンヌへの行き方と情報ですか?」
「はい、陸路で行った方がいいのか海路で行った方がいいのかですね。あと、ジパンヌの情報です。」
「ここに居るという事は、山の山頂には行かれなかったのでしょうが…次はジパンヌですか?まぁ、山頂より安全ですかね。少々お待ち下さい、資料を持って参ります。」
山頂には行ったんだよなぁ…まぁ、それはもう良いか。
「お待たせ致しました。こちらがジパンヌの資料です。あと、ここからですと1度、火山の向こうにある港街まで行きましてそこからジパンヌに向かうのがよろしいと思います。」
「分かりました。どれどれ…」
ジパンヌは大陸の東から少し離れた島国らしい。どうやら、武家なるモノがあって、武者修行としてジパンヌに向かう者も少なくはないらしく強者が集まっている…と。ん?最近は和スイーツが流行っているか。
「だいたい分かったな。よし、出発は明日にして今日は食料の買い出しに行こうか」
「待ってタロウ、まだ必要な事が私は分かってないの」
「ん?何がだ?」
「和スイーツ…何やらとんでもない代物のようだけど…これはいったい?じゅるり」
「カルミナの思ってる通りで食べ物だよ。それは行ってからのお楽しみにしておこうぜ」
「ここからジパンヌまではどれくらいかかるのかしら!?」
「受付のお姉さんに聞いてみるから落ち着けって…それで、どれくらいですか?」
「そうですね…ここから港までは早ければ1日もかからないでしょう。そこからジパンヌまで行く船を見つけて…お二方は護衛として乗られる事をオススメしますよ?タダで乗れますからね。」
「あ、そういうのもあるんですね。ありがとうございます」
「いえいえ、それでジパンヌまでは、風の影響を受けますが街に何度か立ち寄るとして……最低でも1ヶ月はかかると思いますよ」
1ヶ月…結構するな。殆どが海の上だと思うと大変そうだ…。
「ちなみに陸路でいくとどれくらいかかりますか?」
「途中で山道が沢山ありますからね…海路よりは掛かるとだけ」
「分かりました。これ、資料をお返しします。ありがとうございました」
「またのご利用お待ちしております」
ギルドを出てから明日出発する為の準備を進めていく。俺は買い物へ向かい、カルミナは和スイーツについて考えるために宿屋に残った。つまりサボりだ。
「今日のおやつは抜きだな。でも、アトラス達が食べちゃって減ってるから少しだけ買っておくか…」
昼間は買い物や明日の準備をして夜はリリーとトリーが身に付けてる装備の点検なんかをして、次の日を迎えた。
◇◇◇
「このローブ良いわねぇ~暖かいわ」
「確かにな、これから先寒くなるだろうし買って良かったな。おっ!!見えて来たぞ海!」
早朝に街から旅立ち、もうお昼を越えて夕方の前…ようやく港街が見えた来た。
「はわぁ~キラキラしてるわね!前に1度だけ見たことがあるけど…こんなキラキラしてたかしら?」
「あと少し経てば夕陽に照らされてる海も見れるぞ!」
俺も久しぶりに見る海にテンションを上げながら暗くなる前に街へと入っていった。
港で客船や商人の持つ船、漁業を営む漁師の船を見ながら海沿いにあるギルドまでやって来た。このギルドでは船に乗る切符からクエストの発注受注まで取り扱ってるみたいだ。
「じぁ、ここでリリー、トリーと待っててくれ。ちょっと見てくるから」
「分かったわ!任せたわよ」
ギルドに入ると明日出向する船の一覧が張り出されていて、空きがあるか分かるようになっていた。
「ジパンヌ行き…ジパンヌ行き…あった!商人の船か。うっわ、空き室ばっかで逆に不安になるな。ジパンヌが人気ないのかこの商人が人気ないのか…。とりあえず受付だな。」
「すいません、ジパンヌ行きの船に乗りたいんですけど…なんでこんなに人が少ないんですか?」
「あぁ…それはですね、ジパンヌへ行く途中に海賊や海の化け物が出たりするのが相次ぎまして…運良くジパンヌへ行ける船もあるのですが、やはり皆様、別の港から行くようになってますね。」
なんだ、商人が悪徳とかじゃないのか。海賊と海の化け物くらいなら全然大丈夫だわ。むしろ、1ヶ月暇じゃないだけありがたくもある。
「そうですか、ジパンヌへ行きたいんでこの船に乗りたいんですけど、どうしたらいいんですか?護衛クエストならタダで乗れるとか?」
「冒険者の方でその船がクエストを発注していればそれも可能ですよ。もちろん、この船でもクエストは出ていますので受けられますよ。」
「報酬って何が出るんですか?」
「こちらのクエストの報酬としては、船上での食事と船が無事に目的地まで辿り着けば1人に金貨1枚…となっていますね」
「マジですか…」
「辞めておきますか?やはり危険ですし」
「いえ、むしろやらせていただきます!僕ともう1人ツレと馬も居ますが大丈夫ですか?」
「えぇ、持ち込みは可能となっていますね。一応。明日の朝に出発となっていますので乗り遅れない様に気をつけてください。明日の朝に商人のツェーベル氏がここで集合をかける事になっていますので…こちらのチケットを渡してください。大丈夫ですか?」
「はい。ありがとうございました!」
ギルドを出て、カルミナに今さっきの話を伝えると無銭乗船出来るとはしゃいでいた。客船だと高いし、俺も同じ気分だから何も言うことは無かった。その日は馬車で寝泊まりをして、翌朝にギルドへと顔を出した。
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