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タロウ冒険記  作者: じょー
第3章 神秘を求めて
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第62話 タロウ、まさかの武器を手に入れる

よろしくお願いします!



「武器屋はここを曲がって…あった!あの店だ!」

「ターナル武器屋だっけ?ここも人が結構いるわね」


店先まで来てから店内を見てみると、まず武器の種類の多さに驚いた。剣、槍、大剣、弓から名前の分からないような変わった形の武器まで売ってある。さすがこの街で有名なお店だな。


「ちょっと探してみるか」

「私は槍の方を見てくるわね」


俺は刀が飾られてたり、纏めて箱に入れられてる刀売り場に足を運んで1本1本見ていった。


「うーん。これも…ちょっと違うかな?こっち…は良さそうだけど…」

「お客様は刀をご所望で?」


「あ、はい。ここって注文すれば作っていただけたりするんですか?」

「注文か…内容にもよるが大丈夫だが値は張るぞ?」


「刀の注文で、性能としては切れ味とかは勿論、他に魔力の伝達率を可能な限り上げて貰いたいですね。」

「なるほど…そうすると素材にも拘らないといけなくなるから、大金貨7はかかるだろうな」


700万か…アホみたいに高いけど黒貨のおかげでなんとかなるな…。


「自分が今使ってる刀がこれでして…長さもこれくらいでお願いできますか?」

「坊主…値段を言った俺が言うのもあれだが、大金貨7枚だそ?もう少し考えてもいいんじゃねーか?」


「いえ、自分が使う武器をケチる用じゃダメですし」

「坊主……良くいった!そうだ、武器をケチってる奴は大成しねーんだ!注文は承ったぜ!」


防具屋もだけど、ケチらないって事を伝えると職人には気に入られるんだな。チョロい…


「あと、注文してる間に代わりの刀を探してるんですがオススメありますか?」

「ここにある刀は見たんだよな?」


「はい、どれも業物の刀だとは思いますけど…何かあと1つ要素が欲しいといいますか…」

「ふむ……坊主、ちょっとついて来い。」


店員か店主さんか分からないけど、とりあえず言われるままについていった。店の奥まで連れていかれるとそこは武器の保管庫の様な場所だった。


「ここは…」

「表の武器は普通の武器を売っている」


「じゃあここは、普通じゃない武器…魔剣とかですか?」

「あぁ、うちの工房のドワーフ達が作った作品だ。性能は格別だが、高いし滅多に売れないからこっちに置いてあるのさ」


ドワーフの作る魔剣か…たぶん能力は凄まじいんだろうな。


「…鑑定」


武器に鑑定をかけていく。見れば見るほど魔剣のヤバさが伝わってくる。魔力を込めるだけ、強力な火を吹く剣、凍らせる剣、岩をも突き刺す槍……魔力の多い者か使えばとんでもない武器になるものばかりだった。


「この刀を作ったドワーフさんはさぞ名の知れた方なのでしょうね…。使わなくても凄さが伝わってきます」

「あぁ、普段は頑固者なんだが腕は超一流だ。うちの店が有名になったのもその方のお陰でもある。…ここに刀は3本置いてある」


「抜いてみてもいいですか?」

「いや、ちょっと待ってくれ。この刀は魔剣とかとは少しだけ違くて、妖刀だ。鞘から抜くと魔力を勝手に吸われるし、妖刀には意思があってな。」


妖刀!物凄く切れたり、呪われてたりするあれか!?それに刀に意思があるって…なんだ?



「だから、まずは説明するぞ。この黒い刀は妖刀の『吸魔血(きゅうまけつ)』。相手の血を吸うと同時に魔力も吸い取るというモノだ。ここまで聞くと良いものをだが、こいつの呪いは刀が満足するまで鞘には戻らず血や魔力を求める事だ。自分の魔力を吸いとられて、それでも足りなくて血も吸われて死んだ奴を知っている。」



「鞘に戻らずに求めるのが刀に意思がある…という事ですか」

「あぁ、満足させるにはだいたい普通の人間10人分の魔力か血が必要だな。」



「次はこの白い刀。妖刀『白器(しらき)』。これは魔法を溜めて斬撃として飛ばす事が出来る。複数の属性を溜めれるし、放つ時は強力な斬撃になるんだが…この刀は人や魔物を斬れない。出来るのは、刀身を見えにくくする事と斬撃を飛ばす事だけだな。」



「直接は斬れないのか…」

「あぁ、でも、魔力を1込めたら魔力10くらいの斬撃として放てる。この刀はそういう刀だ。」


なるほど、魔力変換率が凄い刀って事か。俺だったら使いこなせるかもしれないが…直接斬れないのはちょっと困るな。



「最後の刀はこの紫の刀だ。妖刀『呪傷(じゅしょう)』。これは鞘から抜くと魔力を少しずつ吸われ続けるが…斬った時の切り口に呪いがかかり、解呪しないと治癒しにくく、血が止まらない効果がある。」



「無理やり治癒は出来るんですか?」

「一応は可能だ。指先の傷を直すのにも通常の何倍もの魔力を消費するけどな。」


「呪傷…良さそうじゃないですか?」

「魔力を吸われるの以外にもあってな…」


「他に何かの呪いが?」

「あぁ、どうやら何かに取り付かれるらしい。」


「何かって…なんです?」

「いや、それは俺にも分からないが…刀に宿る何かだろうさ。」


「取り付かれるとどうかなるんですか?」

「幻聴が聞こえたり…何か無くなったり。まるで精霊にでも弄ばれてる様な感覚になるらしい。」


らしいばっかりだな。でも、この中なら吸魔血か呪傷だよな。



「ちなみに、値段はどれくらいですか?」

「妖刀は売れてもすぐ戻ってきてね…大金貨1枚にまで大幅に下げてるよ。」


おぉ、安い…。いや、呪い付だから100万は微妙なラインだけど。


「槍の魔槍も付けて、吸魔血と呪傷と注文の刀…黒貨1枚でどうですか?」

「魔槍か……よし、持っていけ!その代わり、妖刀の事を大事にしてくれよ!それなら売ってやる」



「勿論です。もうこの店に刀達は戻ってきませんよ」

「武器はそうじゃねーとな。じゃあ、注文の品は急いでも1週間から10日くらいはかかるからそれ以降に取りに来てくれ。」


「分かりました。良い買い物が出来ました、ありがとうございました。」



俺は表の売り場に戻り、槍を見てうっとりしているカルミナを連れて外へと出た。


「どうだった?何か良いもの見付かったの?」

「あぁ、注文も出来たし、妖刀も2本手に入ったぞ!」


「へぇ~、いくらくらいしたの?」

「合計黒貨1枚だ!」


「へ?黒貨…?……ず、ズルいじゃない!!タロウだけズルいわよ!!黒貨1枚も使っちゃったの!?」


「お、落ち着けカルミナ…人が見てる、人が見てる」

「落ち着けるわけないでしょ!」


「ちゃんとカルミナのために槍も買ったから落ち着いてくれ!」


「なんだ…それを先にいいなさいよ!!」


これは…何を言っても落ち着かないみたいだな…。とりあえずこの辺りから離れないと。


「今日は火山には行かないけど、刀の調子も見たいしさ…今から街の外に出ない?」

「私も買ってきてくれた槍を試すわ!早く行きますしょ!」



◇◇◇



俺とカルミナは街の外に出て、周りに人が居ない場所までやって来た。


「タロウ、この槍ってどんな効果があるの?」

「ええっと…鑑定。ふむふむ。どうやら魔力を込めると先端が飛び出すギミックがあるようだな。魔力で繋がってるから飛ばしたまま振り回せるみたい。」


「なんか、パッとしない能力ね…。まぁ、試してみるわ。射程の長さや飛び出す速さも大事だしね。」


カルミナが槍を構え魔力を込めていく…ん?シェリーフの魔力を使ってるのか?


「飛べ!シェリーフの矛!」


カルミナの掛け声と共に槍の先端部分が飛び出した…と思ったら少し先の木を貫通させていた。


「…はっや。全然目で追いきれなかったぞ」

「そうね…次はシェリーフの力を借りずにやってみるわね。戻れ」


遠くまで行った矛を戻して、カルミナがまた構える。


「飛べ!」

「…さっきよりは全然遅いな。あれなら正面からだったら回避できそうだ。」


「戻れ!…魔力の質で変わるのかしらね。」


カルミナはまたシェリーフの魔力を使い、発射させて、今度は振り回している。釣竿を振っている見たいになっているが、シェリーフの風の力で木や岩を削っている。さすがに初速程のスピードは出ていないようだ。



「…面白い武器ね。ありがとうタロウ!」

「気に入ったなら良かったよ。じゃあ、俺の刀も試すかな?」


「タロウの刀ってどんなの買ったの?」

「2本とも妖刀…ちょっと曰く付きの代物で、黒い刀が名を吸魔血。紫の刀が名を呪傷って言って、良い面と悪い面がある。」


「なんか…禍々しい色合いね?」

「吸魔血は、相手を斬ると血と魔力を吸い取る能力がある。」


「魔法師にとっちゃ、嫌な刀ね。それの悪い面って?」

「刀には意思があって満足するまで鞘に戻らないし、最悪、使用者の魔力や血を吸うらしい…」


「危険じゃないの!?そんな刀返して来なさいよ!!」

「でも、魔力か血を10人分くらい吸えば満足するらしいんだよ?」


「えっと……一応タロウなら大丈夫なのかしら…?」

「とりあえず、魔物に囲まれたら思いっきり振り回せそうな刀ではある。」



「もう1つの刀は?」

「呪傷は斬った相手の傷口に呪いを付与して、治りにくくする効果と血が固まらないようにする効果があるらしい。」


「それも中々に強力な能力ね。」

「呪いを解呪したら治癒魔法もちゃんと効くらしいけど、解呪しないで治癒魔法を使うと何倍もの魔力を使うらしい。」


「その刀にも悪い面が?」

「あるよ。まず、鞘から抜くと魔力が少しずつ吸われるらしい。あと、何かが宿ってるんだって。」


「何かって…何よ?」

「俺もわかんないけど、たぶん精霊の類いだと思ってる。」


「精霊が!?うーん…効果からして闇の精霊かしら?中々見ないわよ?闇の精霊って。」

「そうなのか?…じゃあ、ちょっと抜いてみるな」


俺は呪傷を鞘から抜き出した。刀身も紫色をした妖しげな雰囲気はあるが、どこか美しさもある刀だ。


「あー、気にならないけど魔力が減ってる気がする」

「気にならない程度?」


「うん、魔力の減りは大丈夫。それで…」

「あー、うん。それの事ね?…闇の精霊で間違いないと思うわよ…?」


『はぐはぐはぐ…はぐはぐはぐ』


「タロウ…痛くないの?」

「うん、痛くはない…けど…」


『はぐはぐはぐ…?はぐはぐはぐ!』


刀を抜き出した時に闇の精霊と思わしき黒くてまん丸に手足が生えた物体が俺の腕、肩、足、そしてその場所が気に入ったのか頭を噛じっている。おそらく魔力を吸い取るのも、幻聴もその他の現象もこいつが原因なんだろうな…。


「ちょっと、はぐはぐするの止めてくれな。」

『はぐはぐはぐ…!?』


俺は頭から引き剥がして目の前にぶら下げる。驚いてるのか、口をパクパクさせている。


「あ、魔力の減りが止まった気がする…。それより君は闇の精霊だよね?名前は?」

『ハグ…』


「名前があるって、この感じは…中位精霊かしら?」

「そうなの?」

『そうです…はいぃ…』


「闇の精霊はね、どちらかというと暗い子が多いのよ。そういう子は明るい人には懐かないし、寄り付かないわ」

「そうなんだ、なら、どうしてまた刀に宿ってるんだ?」

『魔力美味しい。でも、人すぐこの刀…手放す…』


魔力を食べたくて人の持つ武器に宿ったけど、この子の声が聞こえたりして手放す人が多かったんだろう。


「えっと、ハグの能力で傷口に呪いをかけたりしてるのか?」

『そう。魔力のお礼…。他にも危ない物捨ててあげたり、道を教えてあげたりした…でも、すぐ人は…刀手放した…悲しい』


「ハグは精霊だからね。俺達みたいに精霊が見える人以外は怖がってしまったんじゃないかな?」

『あなた達…ハグ…見える…手放さない?』


「これからよろしく頼むよ」

『嬉しい…はぐはぐはぐ』


『タロウ…また精霊と契約したんですか?』

「ルミナス?え、契約したの?今?」


『えぇ、中位精霊ですから上位精霊の様に持ち場…この場合この刀からは離れられませんが契約出来てますよ』

「そうか、ならたまには魔力を食べさせないとな。ハグ、頭辺りを食べて良いぞ」


『このお方から…力を…感じる…』

「ルミナスは精霊達の親だからなぁ。まぁ、気楽にとはいかないと思うけどそこまで気にしなくていいよ。」


『はぐはぐはぐ…分かった…はぐはぐはぐ…』



「タロウ、刀の事は分かったけど、能力ってどうやって確かめるの?」

「カルミナ…斬っていい?」


「良いわけ無いでしょ!?とりあえず魔物が出たときに試しましょ?厄介な刀を買ってきた物ね。」

「吸魔血もちょっと抜いてみていいか?魔力回復薬は準備するから。」


「…分かったわ。本番でいきなり使うのも怖いしね。」

「よし……おぉ、格好いい刀だな。刀身も真っ黒で良く斬れそうだ。鞘に…戻らない!鞘と刀で反発してる感じで動かなくなるな。」


『はぐはぐはぐ…大食いのクロマ…はぐはぐはぐ』

『オメェはハグ!…どこだここは?久しぶりに目が覚めたぜ?』


『あなたも私もこの人に買われたのよ…はぐはぐはぐ』

『ほーう。へぇ…魔力量が異常だな。これなら俺の腹も満たされるんじゃねーか?』


刀同士で話始めたぞ…何だこれ!?他人に見られても理解されないのが辛い所だな…。


「えっと、クロマっていうの?…君も精霊?」

『あ、ああ!…よいしょっと。俺も闇の精霊だ。見えるんだなあんたは。』



刀から出てきたのは真っ黒い烏の精霊だった。



「ああ、まぁね。俺はタロウ。隣はカルミナだ。カルミナも一応精霊が見える」

『へぇ、お嬢ちゃんはすげぇな。タロウもやベーけど。とりあえずお腹空いたわ。』


「そうか、なら俺の魔力を吸ってくれ。今は魔物も居なくて血が無いからな。」

『了解だ。いただくぜー。…おぉ、いいねぇ。今までで1番美味い。』


ごりごりと魔力が減っていく。ハグが言ってた大食いってのも理解出来る。…お?なんか刀身が黒から紺に…紺から徐々に水色へと変わっていく。


『ぷっはぁー!いやー、腹が満たされたぜ!ごちそうさま』

「お、おい、クロマ。刀の色変わったぞ!?」


『あぁ、魔力で満たされたからな。』

「何か変わったのか?」


『お嬢ちゃん、ちょっと離れて魔法を打ってくれ』

「ん?分かったわ………いくわよ!」


『タロウ、飛んで来る魔法に刀を合わせな』

「お、おう。…せい!」


カルミナが放った水と火の初級魔法を刀の先に居るクロマが食べちゃった。


「クロマ!?」

『大丈夫だ、見てろよ~。ぶぅぅぅぅぅ!!』


今食べた魔法をブレスの様に吐き出した。食べた分より多くの魔法を吐き出している。



『これが魔力で腹を満たされた俺の能力だ。食べた魔法の属性を腹にある魔力で増やして吐き出す。精霊が見えない相手だと、刀に吸い込まれて吐き出された様に見えるだろうな!』


「じゃあ、血で満たされた場合は?」

『刀身は真っ赤になって、刀が伸びるぜ?伸びるのは形だけで、正確には俺が飛び出して敵を食い破るんだけどな。ちゃんと敵味方は分けるから安心しな!』


強いな…魔力というデメリットがあっても強い刀だ。まさか精霊が宿ってるなんて思っていなかったけど嬉しい誤算だ。



「ありがとう二人共。これからよろしく頼むな」

『はぐはぐはぐ…こちらこそなの…』

『うめぇ魔力だからな。こちらからお願いするぜ!俺も契約しといてやるぜ!』


頼もしい仲間?刀?を手に入れた。使いこなせる様に刀の腕も磨いていかないとな。




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「転移したよ in 異世界」 http://ncode.syosetu.com/n1888eg/ という物も書いてます!よろしくお願いします。 こっちはラブコメです! https://ncode.syosetu.com/n7917ej/ よろしくお願いします!
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