第6話 タロウ、王都へ行く
本日3話目です。よろしくお願いします
5歳になりました。ありがとうございます。
姉様に魔法について聞いてからはとりあえず勉強と体力、筋力作りをまぁ無理しない程度にはしてきた。
今では、文字はかけますしちゃんと話せますしだいぶ楽になったな。
「タロウ、次の週末に王都へ行くぞ!」
父様が食事の後に言い出した。
「父様、成長の儀ですよね?なぜわざわざ王都まで行くのですか?」
普通なら街にある教会で成長の儀を執り行うのが普通だ。
「実はな第2王女様がお前と同じ5歳になり、祝いのパーティーを行う事になってな。そのついでにお前の成長の儀を王都でしようと思う。」
王女のお陰で王都に行けるのは嬉しいが、成長の儀は王女のついで感がハンパない。実際ついでだなこれ。
「タロウちゃん~、私とパパとタロウちゃんの3人で行くのよぉ~」
なぜか、パーティーと聞いて母様が張り切っている。
姉様もなぜか張り切っている。行かないのに不思議だ。
うちの長男ウィングは王都の学校を出て領地を次ぐための勉強をしている。かなり大変そうだが優秀な兄だから心配はない。
次男のダーツは今年卒業で王都の騎士団に入るみたいだ。
ダーツは家柄だけじゃなく実力も相当なもんだし、出世コースだなこれ。
「タロウちゃん!私は王都に行かない分お洋服を選んであげるね!」
あー、はいはい。これね。母様と姉様が張り切っている理由は。
「タロウ、後で王女様へ贈るプレゼントを街に買いに行こう」
父様の提案に飛び付いた。
「すぐに行きましょう!父様」
「気持ちは分かるがカリナとニーナからは逃れられないぞ。」
分かっていても逃げたいときってあるよね。
「じゃ、準備できしだい行くぞ」
街へ行くのは久しぶりだ、前に行ったときは自分用の木剣を買って貰う時だった。
◇◇◇
街へはあまり時間はかからないが馬車はまだ慣れてない。うぇ。
この街は活気があっていいね。あの屋台とか美味しそうだし。
「父様、王女様には何を贈るのですか?」
「カリナからは宝石や服やいろいろ聞いてきたが、まだ決めかねてるな。タロウ何かいいものとか見つけたら教えてくれ。年も同じだし何が良いかわかるだろ?」
父様、俺ほんとは5歳じゃないんだ。でも、期待されたら応えなくっちゃね。
「王女様ってどのような方なんですか?」
まずは人となりを知らなきゃ選びようもないしな。
「おてんばとは違うかも知れんがワガママ姫と聞いたな。」
おぉ…まぁ、5歳児と言えばそんなもんかな。
「優しい子ではあるらしいがな。国王からの手紙に子供のことはよく書いてある」
父様…国王と文通してんのかよ、まぁ、王都まで何日もかかるしな。
「なるほど。うちは伯爵家ですが、国王と文通なんて出来る物なのですか?」
「あぁ、まぁ普通なら無理だな。私と王は王都の学校で知り合ってな王にはいろいろ教えて貰ってそこから仲良くさせていただいてる。」
うちの父様が王の2個下らしい。それはともかく、贈り物どうすっかなぁ。他家もだいたい服や織物やガラス製品だろう。我が家も同じでいいな。役に立てなくてすまない父様。
「父様、母様の意見を採用して宝石類や織物あたりにしましょう。」
「まぁ、それが無難だな。でもお前からも王女に何か買っていきなさい。」
家ごとに買うものだと思っていたが個人的に買ってくのもいいんかね?
どうせいろんな坊っちゃん達からも贈り物あるだろうし、その辺の出店で売ってるやつでいいか。あの両翼の造形のブローチ的なのとか良さそう。
こうして、贈り物を買って家へ帰ると母様と姉様が待ち構えていてきせかえ人形にされた。
週末になりいよいよ王都へ向けて出発した。
王都までは5日の道のりで最初は揺れに苦しんだが慣れるものだ。大半は寝てただけだけども。
「旦那様ー。この先でモンスターがうろついていたんで先に倒してきます。」
今回王都に行く時に雇った冒険者が言いにきた。冒険者とはあれだ。簡単に言うと何でも屋的なあれだ。将来的には俺も冒険者になりたいと思っている。
「危険なモンスターかね?」
「いえ、問題なく対処できますよ。」
冒険者ってもっとオラついてるもんだと思ってたけど、普通だな。貴族への会話とか習うんかね。
「父様、問題ないなら僕見てみたいです!」
戦いどころかモンスターさえ見たことがない。大切にされてるのは分かるが将来のために勉強しておきたい。
「だが、危険が無いわけではないし。刺激がつよいぞ?」
「そうよ~タロウちゃん。まだタロウちゃんには早いわ~」
やはりとめてくるな父様と母様は。
「遠くから。遠くからでいいですからお願いします!」
必死な態度が分かってもらえたのか、遠くからという条件で了承をしてもらえた。やったぜ。
「足の遅いモンスターですんで離れていれば問題はないかと思いますが坊っちゃんも気をつけてください。」
冒険者にそういわれ、離れたところから戦闘を見させたもらった。
モンスターは亀の形してた。ちゃんとした大きさは分からないが高さが人の腰より少し上くらいにみえる。でかいな。モンスターってでかいな。
亀だけあって甲羅部分は刃も通らないみたいだ。どうすんだあれ。そう思った瞬間に冒険者の1人が亀の頭を斬り飛ばした。
うっ、血が吹き出してる。遠くからで良かった。近くに居たら臭いや頭の断面を見て吐いてしまっていただろう。
「タロウ。大丈夫か?」
父様が心配してくれてた。母様も心配そうに見ている。安心させないと。
「大丈夫ですよ。少し驚いただけです。冒険者の仕事とはああいうのなんですね…」
結局語尾に力がなくなり心配は払拭できなかったが、そのうちなんとかなるだろ。寝たら大丈夫理論だ。
冒険者達は亀から素材となる甲羅や血、肉などを剥ぎ取ってる。正直これが1番気持ち悪かった。グロすぎるぞ、でも冒険者になるなら覚えなきゃだよなぁ。すこし不安になるな。
この後の道のりはモンスターもでず、盗賊に教われてる馬車も出なかった。残念な。
◇◇◇
そして1日たって、王都での我が屋敷に着いた。なかなかの大きさだ。初めて来たな。
「タロウは初めてだろ?これが王都での我が家だ。いつもと同じようにくつろぎなさい。」
メイドさん達に馬車の荷物等は任せ、冒険者達とも別れ、屋敷で自分に与えられた部屋ですぐ眠りについた。体力作りはしているが5歳児に馬車旅はキツいってね。
次の日は翌日のパーティーに向けての準備と礼儀作法の練習で大忙しだった。慣れない作法とか苦労する。ギリギリ合格点はもらえた。
今日のついさっきまで国のトップの名前すら知らなかったのは内緒にしておこう。
国王がジャズ=ルールト、王妃がルミネ=ルールトさんだどちらも金髪らしい。
2人には4人の子供がいて、第1王子がミスト=ルールトこの国の次期国王だな。その弟が第2王子がネルド=ルールトでそのうち公爵様になるんかね?深くは知らないけど。
そしてその妹で第1王女のサリナ=ルールトまだ王都の学校に通っている学生さんだな。で今回主役の第2王女ことカルミナ=ルールト5歳様だね。ワガママガールらしいけど他家は他家我が家は我が家である。
「何か実際にパーティーが目の前にせまるとやる気でないなぁ。準備期間は楽しかったけど。王都に来たのに街とか行けてないし。」
父様に街へ行って良いか聞きに行ってみよう。
「父様、街を観てみたいのですが…」
「すまんなタロウ。さすがに今日は忙しくてな、パーティーの次の日ならお前の成長の儀もあるしついでに街を観光しよう。」
ほんとは早く王都を観てみたかったけど、まぁしかたないな。
結局この日はなにもすることなく明日に向けて早めに就寝した。
今回、王都をロクに観光することが出来なくなるとは考えてもいなかった…
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