第52話 タロウ、迷いの森へ
よろしくお願いします!
まだ、明日の分は1文字もまだ書いてないです!σ(^_^;)
「じゃあ昼過ぎにリリーとトリーを取りに来ますので先に鍵は返しておきますね」
「はい、たしかに。気を付けてね」
宿を出てミシラン商会へ食料を買いに来た。今日のお昼は宿で軽食を頼んであるからそれ以降の分だ。迷いの森の入口へは3日くらいはかかると見込んでいる。そこから精霊の元までどれくらいかかるか分からないし、その次の目的地の分も考えると大量に買っていった方がいいと思っている。幸い俺もカルミナもアイテムボックスは使えるから日保ちしそうなのをカルミナが日保ちが難しそうなのを俺が持てばいいだろう。
「お菓子も買っていいのよね?」
「そうだな、アトラスに買ってやったりルミナスとリリーとトリーに果物も買ってやらないとな。肉も買うけど野菜も買うからな」
「えー」
「何事もバランスが大事なんだよ。調味料や香辛料で味を変えてくから食べなよ。あぁ、鼻を摘まんで食べると味がしないから野菜だけそうすればいいし。」
「え?そうなの?鼻を摘まむだけで?」
「そう聞いた事がある。ま、とりあえず食べてくださいって事。…着いたなミシラン商会。」
「いらっしゃませ!」
「どうも、すいません。ちょっと旅に出るので多目に買い込んどきたいんですが」
「それならお店単位で売ってる場所も用意してますのでそちらでお買い求めください。」
「わかりました。カルミナ俺はそっちに行ってくるからお菓子と果物と調味料系とあとテキトーに嗜好品を買っといて。肉と野菜とか乾麺にパンとかは俺が買っておく」
「分かったわ。買い終わったら店先に集合ね」
俺はカルミナと別れてまとめ売りされている場所へとやって来た。ここも人で賑わっていて商品を見極めていたりしている。
「あら?いらっしゃい、今日はどうしたのかしら?」
「あ、バミュールさんどうも。えっと…旅に出ますので食料を買い込んでおこうかと。」
「なるほど…。この前サービスする約束をしたからね。買うものが決まったら私を呼びな。」
「あ、はい。ありがとうございます」
俺は必要な肉、魚、野菜類、主食になる物、買いたいものと量をメモしていった。うん。値段的にもこのくらいでちょうどいいだろう。
「バミュールさん、これが欲しい物リストです。」
「ふむふむ…これまた大量に買っていくのね。これだと代金は金貨2枚だけど。サービスだ金貨1枚と大銀貨5枚までまけよう!」
おぉ、5万円分も割引してくれるのか…太っ腹だな。
「ありがとうございます!」
「良いって事よ!他の支店でもうちの店をよろしくね」
大量に買った物をアイテムボックスにしまっていると遠目から羨ましそうに見られていたのでさっと片付けてカルミナが居るであろう店の入口まで戻ってきた。
「あ…モゴモゴ、戻ってきたのね…モゴモゴ、タロウ」
「何食べてんだ?」
「何か…モゴモゴ、アメってやつらしいわ。美味しいわね。」
アメか…そりゃ美味いわな。
「俺にもちょうだい。」
「いいわよ!口開けて。」
あーん…と、口を開けてると甘いイチゴ味のアメが入ってきた。久しぶりにアメなんめ舐めるが移動中とかいいかもしれないな。
「どう?美味しいでしょ?」
「うん…モゴモゴ。これいいな…モゴモゴ。いくらしたの?」
「5個入りで銅貨2枚よ。小さめだけど美味しくて良いわよね。あと4つしかないけどどうしようかしら?もうちょっと買ってこようかな?」
「そうだな…モゴモゴ。美味しいしもう少しくらい買っても…モゴモゴ…いいんじゃないか?モゴモゴ…」
ん?あと4つ?何かおかしいような…
「じゃあ買ってくるわね。待っといて」
「うん。あっ…なんでアメって小さくなるとつい噛んじゃうんだろ。」
数分後にアメの袋を持ったカルミナが戻ってきて最初に開けていた袋からアメを舐めだした。
なんか引っ掛かってる気がするが…とりあえず買い物も終わったし次は槍を取りに行かないといけないから、俺達は武器屋に向かって歩きだした。
◇◇◇
「お、来たか坊主達!良いのが出来上がってるぜ!」
武器屋に来ると頼んでいたものが出来上がっていたらしく、早速見せてくれた。
「おぉ!真っ白!」
「ホントね、槍の先端も鋭いし持つ所は滑りにくく加工してあるわ。」
「うちの職人も気合いいれてよ、鋭いから使わない時は先端を布で覆ってくれ。そいつは硬い骨を削って出来たもんだから錆びる事はねーが、先端が折れたりしたらもう使えんだろうよ。硬いからそんな心配もないけどな!どうだ?試し切りでもしていくか?」
「いいんですか?なら、職人さんにもお礼を言いたいですし少しいいですかね?」
「そうね。これだけの品を急ぎで作ってくれたんだものお礼は言っておかないとね。」
試し切りをする前に工房に寄って職人さん達にお礼を言った。逆に良い素材をありがとうなんて言われたりもした。良い素材だと職人さんは喜ぶもんなんだな。
「そこにある藁人形でやってくれ。」
「分かったわ……はっ!」
藁に槍が刺さった…刺さったどころか貫通している。そこまで力を入れて無いように見えたのに凄い貫通力だな。
「良いわねこれ!少し重みがあるけどそれが逆に扱い易いわ!」
「カルミナ、魔力の通りはどうだ?」
「ちょっと待って……槍エンチャント 風。…うん!申し分ないレベルよ!前の槍より全然いいわ」
それは良かった。鬼人の槍なんて滅多に無いだろうしこれからお世話になる武器になるだろうな。
「名前とか付けるのか?」
「名前かぁ…何か良いのがあるかしら?」
「鬼人から出来た白い槍だから…白槍 『鬼骨』なんてどうだ?」
「白槍 鬼骨…良いわね!気に入ったわ!」
「坊主はなかなかいいネーミングセンスしてんじゃねーか!」
見た目と素材を組み合わせただけだが『単純な方が良い』とも言うし気に入ったなら良かったよ。
「おじさんありがとうございました。」
「こっちも商売だ、気にすることはねーぜ」
「予備のナイフも買っておきたいのでいくつか見せて貰いますね。」
「あいよ、ゆっくり見ていってくれ」
予備として2本のナイフを買い、槍の代金として金貨1枚と銀貨6枚を支払った。よし、これで後は出発するだけだな。
宿まで戻ってきて宿の夫婦と娘さんに軽食を貰い、最後の挨拶をしてリリーとトリーに乗って出発をした。目指すはこの街から北にある迷いの森だ。街を出てからピヨリ、ルミナス、アトラスを召喚してみんなで行くことにした。
「休憩しながら行こうなリリー、トリー」
「ヒヒィィン!」
「ヒヒブルルゥ~」
『二頭とも頑張ると言ってますよ。』
「そうだ、ルミナス…ルミナスにとって精霊ってどんな関係なんだ?」
『昔の事で忘れましたが土地を管理するために創ったのは覚えています。最初に上位精霊を造り、中位精霊以降は上位精霊達に創るのも任せました。それからだいぶ経って、人間を創りましたね。』
なるほど、人間より昔から精霊はこの地に住んでいたんだな。ルミナスが何かしたのは最初だけで後は流れに任せていたのか。
「そうだったんだな。カルミナは上位精霊と契約出来そうか?」
『精霊は気まぐれな者が多いのは知っていますね?でも、この子のスキルなら問題ないかと。本来なら精霊がいる場所の近くに行けばこの子の周りには精霊だらけになる程のスキルですよ。』
「え?そうなの!?私はそんな体験したことないわよ?」
「そうだよな…俺もそんなカルミナ見たことないし。」
『街中には精霊は少ないですが居ない訳ではないですよ。それでも精霊が寄ってこなかったのはタロウが持つ私の加護のせいでしょうね。中位以上ならともかく下位精霊なら恐れ多くて近寄って来ません。』
マジか!俺の加護にはそんな作用もあったのかよ!そういえば初めてエルフのキール先輩に会った時に言われたな。精霊が近くにまで来ているのに生徒会室には入って来ないって。あれも俺のせいか!
「なんか…ごめんカルミナ」
「なに謝ってるのよ?怒ったりしていないわよ?それに契約してる子達は力を貸してくれてる訳だし、問題ないわよ。」
『タロウが気に病む必要はありません。今こうして精霊の元に向かっているのですから。私が森を案内しましょうか?』
「ありがとうルミナス。でも、それは大丈夫だ。今回はカルミナの指示で動こうと思う。精霊の事はカルミナが主体でやるべきって話し合ってね」
「契約するのは私なんだからこれくらいは当たり前よ!」
『アメ無くなったぞ~おかわり!』
「はいはい。」
アメを気に入ったアトラスにおかわりをあげながら俺達は森へ向けて進んで行った。ルミナスのお陰でリリーとトリーに無茶をさせる事も無かったし予定通りのペースで出発から3日目の昼、迷いの森の入口へとたどり着いた。
「ここはダンジョンと違って屋台も何も無いな。」
「そりゃそうよ。ここに来るのは冒険者か自殺志願者くらいのものだもの。冒険者ですら時には帰って来ないらしいわよ。」
「リリーとトリーはここに置いておくとして、アトラスとピヨリもここで待っていて貰おう。リリーとトリーを守って貰わないとな。」
『任せるッピ!』
『どのくらいで戻ってくるんだぁ~?』
「うーん、早ければ時間はそうかからないと思うけどもしかしたら迷う事もあるから…アトラスが心配してるのはご飯の事だろ?それは置いておくから安心してくれ。」
『そうなのか~なら待っておくぞ~』
「1回で食べちゃダメだからな。ピヨリ見ておいてくれ。あとリリーとトリーにもエサと水を置いておくからよろしくな」
『大丈夫ッピ!帰りを待ってるッピ!』
馬車の荷台にみんなの食事を置いて、俺とカルミナとルミナス…はとりあえず後でまた召喚するとしてとりあえずはここに居てもらって、森へと足を踏み出した。
◇◇◇
「広い森だと思っていたけど全然進んでる気がしないな。」
「そもそも精霊がどこに居るか分からない上に魔物も多いわね。」
森に入って1時間くらいは経つと思うが周りの景色は変わらないし、魔物との戦闘で方向を見失う。魔物と出会ったら近くの木に印を入れてもそれを見失う始末だ。
「遠くにチラチラと精霊を見掛ける事もあるけど俺が近付くと逃げてっちゃうな。」
「それはしょうがないわ。強すぎる加護ね…ちょっとタロウ精霊を追いかけてみてよ。もしかしたら上位精霊の方へ逃げていくかもしれないじゃない?」
「えぇ…逃げるって、俺が精霊に嫌われてるみたいじゃんか…」
「きっと、恥ずかしがってるだけよ!他に手がかりもないんだしやってみましょうよ。」
「カルミナの指示ならそれに従いますよ。…上手くいくとは思えないけどなぁ。」
◇◇◇
『良くここまで辿り着きましたね。私は迷いの森の管理者、風の上位精霊シェリーフです。』
着いちゃった!!
逃げる精霊を追いかけていたら少しずつ大きい精霊がどんどん出てきたと思ったけど…気にせず追いかけて来たら大きな木のある場所へと着いて、今この状態だ。
「カルミナ、着いちゃったな…」
「えぇ…自分が怖いわ。それにしても…」
「綺麗だな」
「綺麗ね。これが上位精霊。」
『ここに人が訪れるのはいつぶりでしょうか…それにしても変わった二人組ですね。』
「いやぁ、こんなはっきりとした精霊なんて見たことないぞ。いつもぼんやり見えるだけだろ?」
「そうね。それだけ存在力というか魔力が凄まじいのでしょうね」
『…とても不思議な力を感じますね…あなた達はいったい?』
「ねぇ、精霊のステータスってちょっと視てみてもいいかな?」
「そうね、上位精霊のステータスって気になるしいいんじゃない?」
『話を聞いてください!!』
!!?…びっくりしたぁ…精霊も大声なんて出すんだな…。
「あ、すいません。少し盛り上がってしまって…。」
「こんなに早く会えるとは思っていませんでしたから…」
『こほん。そういうことなら良いでしょう。それで、あなた達の名前は?ここに来た目的は?』
「僕はタロウです。」
「私はカルミナです。えっと…ここに来た目的は1つです。私と契約して欲しい…です。」
『タロウにカルミナですね。ここまで辿り着いた事は褒めましょう。何故か解りませんがカルミナ、貴女の力になってあげたいと思う私がいます。ですが、私にもこの森、この周辺の地を管理するという役目を神ハルミナ様より承っています。貴女にこの役目を捨ててでも力を貸す程のナニかがありますか?』
問い掛け。これに応えられないとこの精霊は力を貸してはくれないのだろう。
「無いわね。私には何も無い。」
『それが、貴女の応えですか?』
「えぇ。確かに今の私はタロウにおんぶに抱っこで全然役にも立ってないし、むしろ足手まといかもしれない。でもタロウはいつも私を助けてくれる。優しくしてくれる。役に立ちたい。私も隣で戦えるくらいに強くなりたい。気持ちはあってもシェリーフを認めさせるだけのナニかは無い。無いから頼る。私はタロウ頼る。タロウに頼られる様になる為に今はタロウの力に頼る。どんな力を頼っても貴女を私の力にする!」
『カルミナの気持ちは解りました。自分を把握してタロウの役に立ちたいという気持ちも良いものです。ですが、私を貴女のモノに出来ますか?』
「私のタロウを舐めないでよね!お願い!」
「お出でませ お出でませ 我が願いを叶えし力よ。我が想いに応えし力よ。遥か彼方の地より召喚するは全知にして全能の神。我が魔力を辿り我が元に現れよ! 召喚 ルミナス!」
『タロウ、初めて聞きましたよ?そんな詠唱』
俺の持つ力。この世界の全ての親にして精霊を創りし者。神ハルミナの召喚
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