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タロウ冒険記  作者: じょー
第3章 神秘を求めて
50/148

第50話 タロウ、パーティー名を決める

50話です!自分の中ではおぉ~って感じですね。

誤字脱字ありましたら報告よろしくお願いします!




「待たせたな、ここのギルド長をしてるヘルトルだ。お前らが鬼人(オーガ)の強化種を倒したって奴から?…そうは見えねーが」


「なんですっ…」

「まて、カルミナ。俺達の歳を考えたら普通の反応だ。すぐ言い返さない」


「お嬢ちゃんを怒らせちまったようだな…それは置いといて、お前らが行ったクエストについて教えてくれ」


「分かりました。俺達が受けたクエストは……」


ビス村のクエストを受けた事。一定の周期で強化種が出て魔物に畑が荒らされていた事。たまたま鬼人の強化種だった事。魔剣で半分に斬った事を話した。


「それで、俺等にというか、カルミナにちょっかいを出そうとして俺等より先に森へ入った冒険者が鬼人に殺されました。これ…冒険者カードと遺品です。」


「話は分かって。…こいつらか。こいつらは日銭を稼いで自分より下のランクの奴によく絡むパーティーだった。冒険者は自己責任だ。遺品はどうする?」

「ギルドで処理してください。お金は貰えるなら貰っておきますが。」


「なら、これのお金は持っていっておけ。ここまで冒険者カードを持ってきてくれた駄賃とでも思っとけ。それと、本来ならBランクのに上げてもいいんだが魔剣を使ったとなると流石に上げるのは厳しいな。」

「まぁ、そうですね。武器が強力なだけですもんね」

「タロウ、魔剣を使わなくてもいけたんじゃないの?」


「いや、まさかあんなに硬いとは思ってなくて楽な方法選んじまった。」

「ああ…確かに急だったもんね。」


「そこでだけど、今回は素材も幾つか売ってくれるっつー訳だし、条件付きでBランクのクエストを受けれる様にしてもいい。条件は簡単だ。お前らパーティー登録はしてるか?そのパーティーランクをBにしてもいい。」


「そう言えばパーティーの登録はしてなかったな…」

「て言うか、そんな事出来るの?」


「ああ、俺の権限があれば大丈夫だ。小さい街のギルド長じゃ無理だが、トレーダスのギルド長ともなればそこそこの権限はある。ジャガーのパーティーだって、全員DランクだがパーティーとしてはCランクになっている。あいつ等が自分達をCランクと言うのはこういうカラクリだ。」


なるほど、個人ではCランクの俺達も2人ならBランクの扱いでも良いという事か。ありがたいな。


「なら、カルミナパーティー登録しよう。」

「これまでと何も変わらないけどね」


「よし、一旦ギルドカードを預かるぞ。お前らパーティー名が有るなら教えてくれ。」


パーティー名…前に何か言ってた気がするけど思い出せないな。


「カルミナ何かあるか?」

「そうね、前に何か考えた気がするけど…新しく考えましょ」


「なら、登録は少し後回しにして鬼人の素材からやっていくか…解体はこっちでやってやるが何か欲しい素材はあるか?」


「タロウ、何かあるかしら?」

「槍を新調したい。必要な部位を残しておいて欲しい。…カルミナの槍が壊れたからなぁ。」


「どうりでアイテムボックスにも無いと思ったわ…忘れて来たのかとも思ったけど壊れていたのね。」

「鬼人のパンチでな。せっかく素材が手にはいるんだし、頑丈なの作りたいだろ?」


「そうなると、骨と牙か角か?それとも骨だけで削って作るかだけど、どうする?」

「カルミナどうする?イメージ的には骨と角が良いと思うけど」

「うーん…骨なら骨だけで作った方が魔力の通りがいいのよね…」


「そうなのか…なら骨だけにして鋭く加工してもらうか。」

「そうね。ヘルトルさん、槍に必要な長さ分の骨で。後は買い取って貰って構わないわ。」


「分かった。こいつは硬いから解体にも時間を少し貰うぞ。明日にでも取りに来てくれ。今から魔石と素材の代金を査定して持ってこさせるからパーティー名でも考えてな。」


ヘルトルさんが退室して言ったので俺とカルミナはパーティー名について考え始めた。


「やっぱり、私達の目的をパーティー名にしたらいいと思うの!」

「目的か……生きること?」


「それは最終的な結果じゃない!タロウは旅をする事。私は上位精霊と契約する事。それが旅の目的でしょ!」


「旅と精霊って事か?パーティー名『旅の精霊』『精霊の旅』『旅は精霊』………『旅精霊』なんか、パッとしないなぁ。」


「もっと大きなパーティー『灼熱の炎(俺達のこころ)』とか『美しき魔女(マジックガールズ)』みたいなの出ないの!?」


あぁ…あの大人数のAランクパーティーか。Aランク2,3人を中心にB、Cランクが多いパーティーだろ?絶対にそんな名前は付けたくない。


「どうするかなぁ。カルミナあのリングぶら下げてるだろ?槍のやつ」

「当たり前じゃない。毎日、肌身離さず持ってるわ…ほら!」


「俺も刀のリング持ってるし…こう書いて…『指輪の約束(プロミスリング)』とか…どう?」

「指輪がリングだから…約束がプロミス…。うん!いいじゃない!いいわよ!タロウ!凄くいいわ!」


おぉ…何故か凄く喜ばれている。少し簡単かなぁ~とも思ったけどこれでいいならこれにしよう。


パーティー名が決まってから少ししてヘルトルさんが戻ってきた。手には結構膨らんだ…おそらくお金の入った布の袋を持っていた。


「ほら、これが素材の報酬だ。」


じゃらじゃら音がなっているし、そこそこ重みもある。


「ひい、ふう、みぃ…」

「タロウ、いくら?いくらになったの?」


「大金貨1枚、金貨3枚、大銀貨7枚、銀貨8枚、銅貨7枚だ。」

「結構な額ね!ギルド長、なんの素材がこんなにしたの?」


合計で137万8700円。猪の肉の時は貴族に売ったから高くなったけどそうじゃないのにこの金額は高いと思う。


「鬼人の素材は普通に高く買い取っている。理由としては単純に素材がたまにしか売られないからだ。個体数も多い方じゃないしな。それに加えて今回は強化種って事もある。魔石もいいし、妥当な金額だぜ。」


「なるほど、これならカルミナの装備の加工代も余裕で賄えるな。」

「旅の費用としても使えるわね。」


「それで、お前さん等、パーティー名は決まったのか?」

「あ、はい。『指輪の約束(プロミスリング)』に決まりました」

「ふむふむ……なんだかそれだとけっこ…」

「あー!あー!ギルド長、早く処理しちゃって!カードは渡してあるでしょ!」


「お、おう。じゃあやってくるわ。」

「どうしたカルミナ大声だして?」

「いいの!それより今日、この後の予定を立てましょ。素材は明日だから武器も無理だし。」


「簡単に弾かれる終るクエスト受けたり買い物くらいしかする事ないな。」

「そうね、それでいいわ!今日はそうしましょ。」


その後はギルド長に返して貰った冒険者カードにパーティー名が増えていてカルミナが喜んだり、簡単なクエストを受けて早めに宿に戻って休むことにした。



◇◇◇



「すいません、昨日の鬼人の素材を取りに来ました。」

「はい、ただ今お持ちしますね。」


「骨は…武器屋に持っていったらいいのかしら?それとも直接工房に?」

「武器を買いつけて売ってる店もあるけど、だいたいは武器屋と工房が一緒になってるはずだから武器屋に持って行って大丈夫なはず。先日ナイフを買った店にでも行ってみようか」



「お待たせ致しました。こちらがお預かりしていました鬼人の素材となります。槍をお作りになるという事で大きさと硬さを兼ね備えた太ももの大腿骨(だいたいこつ)を2本取り置きました。」


50㎝を越える骨がそこにはあった。太さもあるし、これなら長さを調節するために色々としてもらうがカルミナのサイズに合う良い槍が出来そうだ


「ありがとうございます。これなら頑丈なのが出来そうだなカルミナ。」

「うん、楽しみよ!じゃ行きましょうか」



◇◇◇


「いらっしゃい…お?坊主達また来たのか?」

「ここって、素材を持ち込んだら加工ってして貰えるんですかね?」


「ああ、うちは裏が工房になっててな。良い腕の職人を何人か雇ってるぜ。」

「あら、それならお願いするわ!」


「なんか素材を持ってきたのか?」

「ええ、これを…」


「これは!? ただの骨じゃねーな…密度が桁違いだな。おかげで硬さが普通じゃねぇ…太さも長さも…こいつは何の素材だ?」

「鬼人……の強化種だ。これを槍にして欲しい。カルミナの背丈に合うサイズにして欲しいかな。出来るだけ骨だけで作って欲しいですね。」

「どのくらいで出来るかしら?あと値段はどれくらい?」


「槍か…骨を繋げて削って長さもうちにある骨で伸ばすとして…3日は掛かるな。値段は…金貨1枚って所か?」

「3日か…宿の最終日と同じだし、これを貰ったらそのまま出るか」

「そうね。じゃあよろしく頼むわ。」


「あいよ!お嬢ちゃんの身長と腕の長さだけ測らせてくれ。こんな素材ならうちの職人も気合いを入れるだろうさ、期待してな!」


ついでに俺の刀を研いで貰うようにお願いして俺達は店をでた。まだ昼間になったばかりだし、夕方に刀を取りに行くまではぶらぶら散歩する事にした。よく考えると街をゆっくりと見る機会も無かったしちょうど良い気分転換になったかもしれない。



夕方に刀を取りに行った時に職人さんが気合いを入れてくれるらしく予定より早く出来そうだという事を聞いた。やっぱ良い素材があると張り切ってしまうんだな。


今日はそのまま宿に戻り、リリーとトリーにエサをあげて俺とカルミナは食堂で晩御飯を用意して貰った。パンとスープとベーコンなど朝食のような夕食だったが味がいいから満足して部屋へと戻ってきた。


「早ければ明後日には完成するみたいだし、槍が出来たら早くても街を出て迷いの森へ行こうか。」

「そうね、精霊の元にさえたどり着ければ契約は出来ると思うのよ」


カルミナのユニークスキルには『精霊の加護(ササエテアゲル)』がある。精霊の元に行けたら契約自体は簡単な事だろうな。もしかしたら何かしらの試練が課されるかもしれないが…。

迷いの森はその名の通り精霊によって感覚を惑わされて道に迷うらしい。これもカルミナが入ればすんなり行けるだろうし、最後の手段としてルミナスを呼べば解決する。


「カルミナには精霊と契約する者にとって喉から手が出る程欲しいユニークスキルがあるからな。」

「持ってるモノは使わせ貰うわ!遠慮も出し惜しみもしないわよ!」


「これからカルミナが段々強くなっちゃうな…俺も負けないように頑張らないと」

「今まで頼ってきたんだもん。これからは私も頼ってね」



◇◇◇


翌日からのカルミナは、気合いが入ったのかクエストも人一倍こなしていった。途中、武器屋に進捗を聞きにいくと明日の昼には槍が出来上がるそうなので出発は明日に決まり、明日の午前中は買い物をしようと話し合い夜までに終るクエストをいくつか受けて資金を蓄えた。


「今日の夕飯は何かしら?お腹ペコペコだわ。」

「今日は頑張ってたもんな。」


「ええ、なんか気合いが入ったというか、気持ちが先走ってるのかしらね」

「お待たせしました。今日の夕飯はパンと肉とスープに果物も付いてます!」


「いただきます!あ、俺達、明日この街を出ようと思うので明日の朝ごはん終わりにお昼の軽食を作って貰っていいですか?」

「そうですか…気を付けて行ってらっしゃいね。この街に来たらまた泊まってってね。お昼の軽食は用意しておくから!」


この宿もしばらくは来ないのかと思うと寂しくは思うけどトレーダスにはこれからも来る事があると思うしその時を楽しみにしておこう。


明日からの冒険に備えて今日も早めに寝ることにした。


今日中にもう1話くらいはいきたいけど、眠いから無理かもです…スヤァ。

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