第49話 タロウ、強化種と戦う
よろしくお願いいたします!
誤字脱字の報告もよろしくお願いします(´ω`)
近くまで来たら分かるけど結構大きな家だった。リリーとトリーは勝手にだが家の近くに停めさせて貰ってる。
「すいません、どなたかいらっしゃいますか?」
「はいはい、すぐ行きます…えっとどちら様で?」
「クエストを見て来ました冒険者です。ここは村長さんの家ですか?」
「あら~、また来てくれたんだね。ここは集会所だよ~でも、丁度よく村長も居るし、あがっていきな~。」
そっか、人が集まる建物だから大きく作ってあるのか。て言うか…またってなんだ?俺らは初めてだし…ジャガー達がここに来ていたのか?
「お邪魔させてもらいます。」
「村長、トレーダスから冒険者さんが来てくれたよ」
「おぉ、よく来てくれたの…まだ若いのに冒険者として活躍してるのか、凄いのぉ。ワシも若い頃…」
「村長ストップ、ストップ!」
「すいません、村の被害の状況を教えて頂けますか?」
「そうじゃの…ある程度の周期で森から魔物が頻繁に村の作物を食い荒らすんじゃ…その時決まって森で強化種が発生しておる。今回もおそらくゴブリン辺りの強化種かのぉ…」
強化種が現れて森の中でも弱い魔物達が村の方へ食料を得に来ているのか。強化種を討伐するのが手っ取り早いかな。
「タロウ、森へ行くの?先に柵に仕掛けを?」
「先に仕掛けをしておこうか。すいません、畑の柵に仕掛けを付けたいんですがどなたかの畑をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「仕掛け…とな?それはどんなものかね?」
「簡単な仕掛けですよ。柵に…この鉄線を巻き付けて雷魔法を付与するだけです。人が触っても痺れますんでそこは気を付けて欲しいんですが魔物にも使えますんで被害が少しは減ると思います」
「なるほどのぉ…そういう事なら村の入り口付近の被害が多い畑にして貰ってよろしいかの?」
「分かりました。案内して貰っていいですか?」
村長が案内してくれて、1番被害のあると言う畑に連れてきてもらった。なるほど…結構柵もボロボロだし、畑も荒れてるな。
「結構な被害ですね。柵も…土魔法で作り替えた方がいいかな?」
「タロウ、反対側の柵は私が作るわ」
「分かった。村長、柵も作り替えていいですか?頑丈なのにしますんで」
「助かるのぉ…それにしても今の若い子はこんなに凄いのかの?」
「私達だからよ!ね、タロウ」
「そうだな。よし、土魔法 創造!石柱」
「おぉ!凄いのぉ、凄いのぉ!村の者じゃこんな事出来んわい!そう言えば、先程も村を訪れた冒険者がいたが挨拶した途端森へ行きよったわい、そやつらに比べて君達は村の為にしてくれてありがたいのぉ。」
ジャガー達かな?森へ行ったのか…強化種…倒せるのか?
「タロウ、こっちもいいわよ。」
「ん、じゃあ鉄線を巻いていこうか。」
長めに貰った鉄線も、畑を3周もすると無くなってしまった。でも、これだけでとりあえずは大丈夫だろう。
「鉄線エンチャント 雷 弱電撃」
よし、これで鉄線に触れた魔物は感電くらいするだろう。村の人には触らない様に…触っても弱電撃くらいなら大丈夫な手袋でも後で作ろう。
「村長、生身で触ると痺れますので村の人には鉄線部分を触らない様に言ってください。一応看板を作って紙を貼っておきますが子供達にはよく言ってください。」
「わかった。それで、これはどのくらい痺れるのかのぉ?」
「気絶や死にはしないですが、少しの時間は体が動けなくなるくらいは痺れますね。もし、効果が現れた場合はトレーダスの細工店で買えますので。」
「ありがたいのぉ。」
「それではお願いしますね。僕達は村の様子を見てきますので。行こう、カルミナ」
「そうね、強化種倒されてるかなぁ?素材以外も討伐すりだけで報酬貰えるのに」
「どうだろうな?まぁ、それならそれでいいけどねぇ。」
「お二人共、帰ったら食事を用意して待っておりますので立ち寄ってくださいの。ホッホッホ」
「分かったわ、行ってくるわね」
村長に見送られ、俺とカルミナは森へ向かった。
「グルル…」
「ギィギィ」
「まだ、森に入ったばかりってのに魔物がけっこいいるな。」
「たしかに、普通じゃないわね。」
出会う魔物を片っ端から倒していく。剥ぎ取り用のナイフを新調してて良かった。素材が多いし前のナイフじゃ素材を傷付けちゃってダメだっただろうな。
「アイテムボックスのおかげで大量に持ち帰れるからいいわね。ゴブリンとかはほとんど素材はないけど…」
「まぁ、ゴブリンでも倒したと証明したら報酬は貰えるんだしちゃんと切り落としといてくれよ。」
その後もゴブリンに狼、たまに猪を狩ながら森を進んでいく。
「グオオオオオオオオオオオ!!!」
「な、なんだ!?」
「何よ今の声!?」
俺とカルミナは声のした方へ走り出した。声の発生源に近づくと戦いの音…いや、一方的な戦闘の音がする
「いやだ!死にたくねぇ!くるな!くるな!」
「ガアアアアアア!!」
「グオッ……」
「タロウ…アイツは…」
「Bランクの魔物…鬼人…いや、鬼人の強化種か!?」
俺達が現場に着くと既に戦闘がほぼ終わっている状態だった。ジャガー達のパーティーはジャガーを残して息をしていない状態だった。オーガの持つ大剣は血で染まっていた。
「た、助けてくれ!俺達がわるか……。」
「ジャガー!カルミナ戦闘準備!気を抜くなよ…行くぞ!」
「槍エンチャント 土 硬化!」
キィィィン!
カルミナが正面から突くが鬼人が剣で防ぐ…どころか完全に力は向こうが上でカルミナが少しずつ下がっていく。
「はぁああああ!」
ギギ…
「グオオオオオ!!」
俺も剣で斬りかかるが、肌が…筋肉が硬すぎるのか、普通の剣じゃ攻撃が通らない。
鬼人が剣を振り回す。俺は剣を跳んで避けて蹴りを放つが…くっ、壁を蹴っているみたいだ。
「グオオオオオオオオオオオ!!」
「くそ、硬すぎるだろ!」
「どうするのタロウ!槍じゃあの硬さは相性が悪いわ!」
鬼人の攻撃が止まらない。拳で地面を砕き、剣を振り回す。馬鹿みたいに硬い体と拳を存分にふるってくる。…厄介な、これが強化種か!
「ヤツを斬るには今の武器じゃ無理だ。……俺の魔剣を使う」
「それって作られた方の?」
「ああ、だが俺の魔剣はちょっと厄介でな、溜めが必要だ。少し耐えれるかカルミナ?」
「どのくらい?…いえ、何分何時間でもいいわ!任せなさい」
「準備出来たら合図する。任せた!」
俺はアイテムボックスから昔手に入れた魔剣を取り出す。こいつの名前は『絶刀』効果は魔力を注いで溜めれば溜めるほどよく斬れるというもの。ただそれだけだが、今なら都合がいい。俺は居合いの構えで魔力を流していく。
「食らいなさい!」
「グルゥウォォォォォ」
カルミナが魔法で拘束しようとも圧倒的なパワーでほどかれる。カルミナじゃなくても拘束系は効かないだろう。
「厄介ね!槍エンチャント 風 突風牙!」
「ガアアアアアア!」
キィィン…
風を纏った槍も大剣で簡単に弾かれる。カルミナも鬼人も何度も槍と大剣で打ち合って、回避して、また打ち合いを繰り返す。
もう少し、もう少し待ってくれカルミナ。
「グギャッ!」
「え?ゴブリ…しまっ…ぐぅあぁぁぁああ!」
「カルミナ!!」
ゴブリンに気をとられたカルミナが鬼人に吹き飛ばされた。
ドッ!
カルミナが吹き飛ばされ先で木にぶつかり地面に落ちる。
「がふっ…うぅ…大丈夫よ…これ…くらい。」
「グルゥウォォォォォ!」
鬼人がカルミナに止めを刺そうと動きだし、大剣を振り上げた。
「グオオオオオオオオオオオ!!!!」
「くっ…ぅ…」
「よく耐えたカルミナ!!いくぞ!! タロウ流『絶剣』奥義…『絶斬り』!!」
ザスッ……っと短い音と共に鬼人の動きが止まる。俺が振り切った魔剣を鞘に戻すと鬼人は上下で真っ二つになり、その先にいたゴブリンは振り切った風の影響でズタズタになった。ゆっくりと鬼人が上半身、下半身に別れながら血を吹き出し倒れていった。
「ゴホッ……」
「大丈夫かカルミナ!?すぐ回復薬を飲ませてやるから」
カルミナに回復薬を渡そうとすが動かない。あのオーガの攻撃を槍で少し防いだとはいえ当たってないわけじゃなかったし、腕は折れて内臓にもダメージがあるのかもしれない。自力で飲めないなら…。
「うぅぐ…いだ…い…よぉ…」
「ごめんなカルミナ、後で怒ってもいいから…ん!」
「んん!?…ん…」
カルミナへの体内へ口移しで薬を流し込ませて貰った。俺も初キスだからあいこにして欲しい。無理か?無理だな。
「これで少し休めば治って行くと思う。よく頑張ったなカルミナ。素材や魔石は回収しておくから休んでて。」
カルミナが目で何かを訴えてるが、ひとまず置いといて強化種の鬼人の素材を剥ぎ取る事にした。
「あ!ナイフ折れたし!くそ!土魔法 創造 石槍。」
石槍も何本も折りながら牙に骨、爪に皮まで剥ぎ取ろうとしたがどうにも折れてしまう。このレベルの素材は売れば大金になるだろうし、武器にしてもいいのが作れそうだ。魔石は上半身にあるから取れた。Bランク強化種という事でほぼAランクに近そうな大きさと透明度だ。これは証明にもなるし、高く売れそうだ。…アイテムボックスにしまってギルドになんとかしてもらおう。
「お待たせカルミナ……って寝てるのか。…お疲れ様」
「すー……すー……。」
ジャガー達の持ち物から冒険者カードと金になりそうな物と大事な物っぽそうなは貰っていく。ギルドに提出すれば家族等が居たときにその家族へ届くようにだ。もちろん懐に入れる冒険者もいる。別に批判するつもりは無いけど、俺はギルドに届ける様にしている。
「なんだよ…ジャガー達CランクじゃなくてDランクじゃないか。無茶しやがって。…カルミナ背負って帰るか。」
俺はカルミナが起きないように、歩いて森を歩いて村まで戻ってきた。帰る途中で魔物とはそう会わなかった。やはり魔物が森の外に出たのは強化種のせいだったみたいだ。
「おぉ!戻ってきたかね…お嬢ちゃんは大丈夫なのかのぉ?」
「えぇ、少し疲れて眠ってしまったようです。」
「そうかい、ならワシの家で寝かせてあげるといいわい。なんなら泊まっていくかね?」
「馬車で来てますし、暗くなる前にはトレーダスへ戻ろうと思います。しばらくは休ませて貰いますね」
「では、料理を運ばせるからその子を見ててあげるといいのぉ。」
「ありがとうございます村長」
「礼を言うのはこっちの方じゃ。」
「また、強化種の兆しがあったら早めに冒険者を要請する事をオススメします、今回の敵も強かったですからね」
「こりゃ、村の若い者も鍛えんとな。ホッホッホ」
村長の家に着いて、カルミナを布団で寝かせてあげた。カルミナが寝ている間に、村長からクエスト達成のサインをいただいた。少しして、村長の息子さんの奥さんが料理を運んでくれて、カルミナにはサンドイッチを用意してくれた。美味しい料理を食べおわって、しばらくしてからようやくカルミナが目を覚ました。
「ここは…?」
「天国です。」
「天国…?やっぱり私…死んじゃったのね…タロウごめんなさい…」
「許しましょう」
「ありがとう……ん?ありがとう?え!?タロウ…?まさか、タロウも死んじゃったの!?」
「からかったのは悪いけどシャキッとして目を覚ませカルミナ!鬼人は俺等で倒しただろ!」
「そうよね!?あー…びっくりした…。ホントに死んじゃったのかと思ったわ。体の痛みも無くなってたし…」
「それは良かった。もう少ししたら帰るからまだ休んでていいぞ。」
「体の痛みも無くなって…あれ?私、薬を飲んで?…飲まされて?は、え?え?あ!はぅぅ…//」
「カルミナ?大丈夫か!?カルミナ!?」
謎の回路がショートを起こしたカルミナが、再び目を覚ましたのは夜になってからで結局泊まる事になってしまった。
「カルミナ大丈夫か?」
「えぇ!なんかスッキリしたわ!何だろ、勝ちが確定したみたいな感覚ね!」
「そ、そう。それは良かったな。」
「さ、村長に挨拶して帰りましょ。」
村長はあの集会所に居るらしく、そこまで歩いていった。集会所に停めていたリリーとトリーにエサもやってもらったらしく、それのお礼もついでにしないとな。
「お邪魔します。村長、そろそろトレーダスへ戻ります。リリーとトリーへのエサもありがとうございました。」
「もう、行ってしまうのかえ?今回は本当に助かったよ。また来ておくれ。」
「はい、機会がありましたら!」
「ありがとうございました。」
集会所の外にまで見送りに来てくれた村の人に手を振りながら俺達はビス村を後にした。帰りはそこまで急がずに途中休憩を挟みながらゆっくりと帰って来た。
トレーダスに戻ってきてから先に宿へリリーとトリーを置きに来た。宿の娘さんに昨日帰って来なかったのを心配されたが、クエストを受けに行っていたと話すとすぐに納得してくれた。その後にギルドへとやって来た。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか。」
「クエストの報告と素材を売りに来ました。これ、村長のサインを貰ってきました。」
「……はい、確かに。素材の方は査定の後、報酬とご一緒に買い取り費用をお渡しします。では、素材の査定をしに行きましょう。こちらへ」
査定する場所は別部屋らしく案内された。
「では、素材はこの辺りに出してください。」
俺はアイテムボックスから上半身と下半身に別れた強化種の鬼人を出した。
「こ、これは!鬼人!?でも、普通の鬼人と肌の色が違うような…」
「クエストで訪れた森で強化種が発生したから村への被害が出ていたみたいです。今回は鬼人の強化種でしたね。死ぬかと思いましたよ…カルミナが」
「ちょ、ちょっとタロウ!余計な事は言わなくていいのよ!」
「鬼人の強化種をお二人で倒されたんですか!?す、すいません、ギルド長を呼んできますのでクエストでの事を詳しく教えてください。」
そう言って受付のお姉さんは慌ただしく部屋を出ていった。
「ギルド長を呼ぶほどなのか?」
「さぁ?でも、鬼人の強化種ってAランクに近い訳じゃない?私達だけで倒せるのが嘘っぽいのかしら?」
「いざとなったら魔剣の力って事にしとこうか」
「そうね、それでいいわね。」
俺とカルミナも来る質問に備えて、色々と打ち合わせをしていった。
「転移したよ in 異世界」というのも書いております!更新は早くないですが見てやってください。よろしくお願いします!
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