第45話 タロウ、他国に居た
第3章です!とは言っても普通の続きです!
よろしくお願いいたします!
誤字脱字の報告もよろしくお願いいたします!
「徒歩だと全然街につかないな…トホホ」
「くだらない事言ってんじゃないわよ!」
勢いで旅立ってから、3日がたった。現在地も良く分からないし、ここがルールト王国なのかすら分からない。野営道具も食料も持っていたからそれだけは良かった。
「街に着いたら馬車…馬だけでも手に入れよう。」
「それもそうね。あ…狼の群れね」
「来てるな、こっちに。」
「来てるわね、こっちに。」
「「じゃんけんぽん!」」
「…負けたか」
「私の勝ちね!任せたわよ」
俺とカルミナは魔物や動物を見つける度にじゃんけんでどっちが倒すか決めていた。勝率はカルミナの方が少しいい。
「今回は刀でいきますか…」
俺は数が多い時に刀。少ない時には魔法で片付ける。少しでも刀の扱いが上手くなればいいかなと考えてだ。
「ぐるぅ……ガァウ!」
「はっ!」
飛び掛かる狼を一歩ずれて、すれ違いざまに下から上へ刀で振り抜く。二匹目はジャンプして上から胴体を突き刺し蹴り飛ばす。三匹目は回避して先に四匹目の狼の首を切り飛ばし、最後に三匹目の狼を体の真ん中から斬る。
「ふぅ…。このくらいなら全然対処できるな。」
「お疲れ様、危なげもないわね。でも二匹目はまだ息があったわよ?」
「すまんなカルミナ」
「どういたしまして。で、どうするのこの狼は」
「そうだな…牙と爪だけ取って後は埋めるか。食料ならまだあるし、毛皮も十分取ってるし。」
「そうね。じゃ、さっさと済ませて歩くわよ。」
それからさらに3日間は同じ事を続けて、ようやく大きめの街にたどり着いた。
「リルターナ?タロウ、こんな街聞いたことある?」
「どうだろ?自分の領地と王都以外はあんまり詳しくないからなぁ」
「私もこの街の名前は聞いたこと無いわね。誰かに聞いてみましょう?」
「そうだな…ていうか、ギルドに行こうぜ。素材も売りたいし」
「それが1番早いわね…ていうか、ギルドの場所どこよ?」
「結局は誰かに聞かないといけないのか…すいませーん、冒険者ギルドってどこですか?」
「坊っちゃんは冒険者なのかい?この道の2つ目の曲がり角を左に行って、少し歩いて2つ目の曲がり角を右に曲がって真っ直ぐ行けば分かると思うよ」
「ありがとうございました。」
「はい。」
ん?手を差し出してるな?金でも要求してるのか?
「あの?何でしょうか?この街に来たばっかりで分からないんですけど」
「何だよお前ら余所者か?金だよ金。」
「この街では道を聞いたらお金を取られるんですか?」
「はぁ?この国の常識だろうが…この国は商人の国だぞ?金が全てだろうが。他国に来るなら勉強くらいしてこいよ!ったく、もういいぜ…さっさと行きな!」
そう言って男は歩いて行った。態度が急変した男を見送って改めて街を見回すと何かを売っていたり買っていたりする人が多い。売るものも様々な種類がある。なるほど商人の国か…。
「カルミナ、どうやら他国みたいだな。」
「商人の国…ね。ていうことは、思ったより遠くにいるみたいよ。ルールト王国から東に小国を幾つか越えた所にあるわ。国の名前はポータル。この国にはいろんな物資や金に人とか集まって、そして旅立って行く…貿易の玄関口の様な役割があるわ。金にうるさいのも特徴の1つね。」
「何か…ヤバくない?」
「まぁ、でも、クエストの報酬とかはいいらしいわよ?冒険者には人気らしいし。ここなら情報も集まるし、悪いことばかりじゃないわ。」
「それも…そうか。ギルドに行って精霊の居そうな場所とか聞いてみよう。」
俺はギルドに向かいながら周りを観察していた。ルールトが少ないのか、この街…この国が多いのか分からないけど奴隷がたくさん居て、働いていた。若い子から強面のお兄さんまで様々だ。
そのまま歩いて冒険者ギルドまでやってきた。
ギルドに入ると、子供だからか見られるが特に何かされる訳ではなかった。さすが冒険者が集まる国ではあるな。子供の冒険者も見慣れてるのかもしれない。俺も特に気にせずそのまま受付まで向かった。
「すいません、この国に来たばかりなので地図と馬を買える所とあと精霊の噂話でもあったら教えて欲しいんですけど。」
「地図は銀貨5枚 馬の情報は銀貨1枚、精霊の噂は金貨1枚となってますが」
あ、金取るんだ…まぁ…そういうお国柄ならしょうがないか…
「分かりました、払います。」
「確かに。まず地図はこちらです。ポータル王国にある街が載っている地図です。馬の売買はここを出で右に真っ直ぐ向かってください。そうしたら分かります。最後に精霊の噂ですが持ち出しは出来ませんが資料を集めておきますのでまた後でお越しください。」
「あ、はい。じゃあ先に馬を見てきます」
「分かりました。お戻りになるまでにはご用意しておきます」
何だか…めっちゃ仕事は丁寧じゃないか。お金を取られる…というか、払うのが普通に思えてくるな…これが商人の国か。
「カルミナ、馬を見に行こう」
「そうね。」
俺達はギルドから出て馬を買うために歩き出した。
「馬車の方が高いけど休めるのよね…」
「ていうか、馬っていくらくらいするんだ?」
「私も自分で買ったこと無いし…分からないわね」
「手持ちは結構あるから大丈夫だとは思うけど、馬2頭か馬車を1つか…」
「大きめの馬1頭でも良いわよ!」
「密着したいのは分かるが、大きすぎても操りづらいしな…」
「ち、ち、違うわよ!密着なんてしたくないんだから!そう思ってるのホントはタロウの方でしょ!?」
「そうだよ…だから分かると言っただろ?お、あれじゃないか?」
「え?あ、嘘?え?あ、待ってよ!今のどういう意味よ!ねぇってば!」
「深い意味はねーよ!おいてくぞ?」
やいやい言いながらお店にやって来た。馬を扱ってるだけあってお店はそこまで広くないが裏手がかなり広くなっている。馬達をここで飼育しているのだろう。
「すいませーん、馬を買いたいのですが?」
「いらっしゃい…坊や達、馬には乗れるのかい?」
店番をしていたのは白髪のおじいさんだった。表情が柔らかくて人の良さそうな感じだ。
「ええ、それは大丈夫ですが…馬を2頭か馬車にするかで迷ってまして。値段との兼ね合わせで買おうかと。」
「なるほどの。うちの馬の値段は金貨7枚から大金貨1枚ちょっとくらいが相場だの。馬車にするとしても荷台の方は別売になっとるよ。」
70万~100万少しか…安いのか高いのか分からないな…買えなくは無いって事さえ分かれば十分か。
「カルミナ、どうしようか…」
「荷台の方はいくらなのかしら?」
「そうさなぁ…小さめの荷台は銀貨数枚じゃな。屋根付きのものは金貨数枚じゃの。要望に合わせて値段が少し変わるからの。」
「荷台は屋根付きだとして大きめのが良いわよね。」
「そうだな。大は小を兼ねるとも言うし。大きめの荷台なら馬も2頭は必要なんじゃないか?」
「そうね。そうなると…大金貨2枚と金貨幾つかくらいにはなるわね。」
「1頭の馬だけだと疲労も溜まりやすいだろうし、ここは2頭にしない?」
「そうね。そうしましょうか。という訳で店主さん、馬2頭と大きめの屋根付き荷台をよろしく頼みますわね。」
「支払いは大丈夫かい?荷台の要望はあるかな?」
「そうね…屋根が付いててある程度頑丈だったらそれでいいわ。お金は有るわ。いくらになるかしら?」
「そうじゃのぅ。今いるうちの馬達と荷台で…大金貨1枚と金貨8枚って所かの?」
「あ、なら金貨2枚分で馬のエサとかブラシとか必要な物を頂けますか?」
「分かった。では大金貨2枚じゃの。明日また来てくれるかい?その時には用意しておくわい。」
「分かりました。では、丁度大金貨2枚で。明日またお伺いしますね。よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いするわ。」
店を出た俺達はギルドに戻る前にお昼にするとした。
「ふぅ。この後宿を探さないとね。外でテント張るのもいいけど面倒だしな。」
「そうね…手持ちのお金もだいぶ減ったんじゃない?」
「確かに結構使ってるからなぁ。少しは節約していかないとね。クエストでも受けないとね。」
「なら宿を取ってからギルドに行って、クエストを見てみましょ。」
「そうだな。食べた終わったら行動しよう。」
俺達は屋台で謎の肉を挟んだパンを食べてみたが、これが意外とめちゃくちゃ美味しくっておかわりをした。相談の結果、節約は明日からという事になった。
「おじさん、ごちそうさま。この辺に宿ってある?」
「おかわりしてくれたからタダで教えてやんよ。この先を左に曲がった所に『小鳥の安らぎ』って宿屋があるからそこが安いし飯も美味いからオススメだ」
「『小鳥の安らぎ』ね、ありがとう!」
「おうよ。」
「安くて料理も上手いなら十分ね。」
「そうだな。人気かもしれないし早速いこう。」
小鳥の安らぎはすぐに見つかったから時間もかからなかった。
「すいませーん、1泊お願いしたいんですが。」
「はいよ。飯はどうする?今からなら夜と明日の朝含めて一部屋銀貨3枚だけど。」
「部屋は2部屋ありますか?」
「ごめんね、二人部屋1つと雑魚寝になる大部屋しか残って無くてね。彼女を大部屋なんて入れたくないだろ?そうなると二人部屋しかないんさ。」
「タロウ、二人部屋でいいじゃないの!何も問題は無いじゃない?」
「え、まぁ、カルミナがそう言うのなら…」
「あっはっは。お嬢ちゃんの方が立場が上なのかい?坊や頑張んなよ?」
確かにカルミナの方が立場(地位)は上だけど…
「えぇ、せめて横に並べるくらいには頑張りますよ。…二人部屋でお願いします。ちょっとまた外に出てきます。夜ご飯はいつですか?」
「何時でも構わないよ。食べたくなったら厨房にいる旦那に声をかけておくれ。一応鍵はあるけど寝るときは注意はしておきなよ。はい。部屋の鍵、無くさないでおくれよ。別料金とるからね。」
「分かりました。では、お世話になりますね。」
「お世話になります。…タロウ、行きましょう。」
何か寮母のシャリーさんを思い出す逞しいおばちゃんだったな。
ここからはギルドも近かった。さっきの受付に行って精霊の情報の資料を見せて貰った。
「う~ん…どれも噂程度で信憑性にかけるなぁ。」
「そうね…近隣の山で遭難したのも精霊のイタズラって事にしてあるわね。本当か嘘か分かりづらいわ…。」
「でも…どれも、山とか森とか居そうな場所ではあるんだよな。」
「情報が曖昧過ぎて絞り込めないわね。…ちょっと受付に聞いてくるわ。」
カルミナが受付に行って2、3分程度で戻ってきた。
「どうやらこれ以上の情報となるとこの国で1番大きな街、トレーダスに行かないと無いそうよ。丁度良くトレーダスに荷物を運ぶクエストがあるんだけどどうする?」
「明日馬も手に入るし、荷物を運ぶ期限が間に合いそうなら丁度いいんじゃないか?行ってみようトレーダスに。」
「分かったわ。確認してクエスト受けて来るわね。」
カルミナが受付に戻って話をしている。途中振り向いてマルを作っていたから大丈夫だったんだろう。これで明日からの予定も決まったな。今日はもう宿に戻ろう。
「この部屋ね。夜ご飯まではまだ時間もあるし部屋でくつろぎましょう。」
「そうだな。…召喚 ピヨリ ルミナス アトラス」
『ご主人ッピ!手紙は届けたッピ!』
「ありがとうピヨリ。お疲れ様。」
『ッピ!』
『タロウ、二人部屋なんて許しませんよ!私もここで寝ます』
「そのつもりで呼んだんだよ。…急に学園辞めて旅に出ちゃったけどルミナスにはこれからも頼るから、よろしくな。」
『タロウ。何時でも私はあなたの味方ですよ。』
『お腹すいたぞ~』
「はいはい。ほら、食べな。アトラスも今後もよろしくな」
『任されたぞ~!』
使い魔を出してカルミナとも夜まで話をして、それから食堂でご飯をいただいた。評判通りの味で俺もカルミナも大満足だった。
「じゃあ、今日はもう寝るか…」
「そうね、今日も1日お疲れ様でした。」
左からピヨリ、俺、ルミナス、カルミナ、アトラスの順で横に並んで眠りについた。ルミナスは小さいからすぐ隣がカルミナで、こっちを向きながら寝てるから少し気になるが天井を凝視ながらこの日は眠りについたのだった。
「転移したよ in 異世界」
というのも書いています!よろしくお願いいたします!
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