第42話 タロウ、合宿へ出発する
よろしくお願いします!
誤字脱字の報告お待ちしております!(´ω`)
※ローレン先生× ローラン先生○ 訂正しました
翌日の教室で再び事件が起きた。1年生が騒いでいるのである。
「あんた、約束ほっぽりだしてどこ行ってたんだ!?冒険者ギルドに行く約束してたでしょうが!」
「いや、それは本当に申し訳ない。昨日2年生は忙しかったんだ。カルミナも来なかっただろ?」
「確かにお姉様は来ませんでしたけど…お姉様はいいんです!その分あなたにキレますから!」
いや、確かに約束を破ったどころか完全に忘れていたけどそれはカルミナも同じ事だし、カルミナにもキレて欲しい。エルフに懐かれ過ぎだろ。
「すまんすまん、今度カルミナについて教えてやるから許して」
「え?それ本当ですか!?それなら…」
「そんなの認める訳ないじゃないの!タロウ、自分が助かりたいからって人を売るなんて最低よ!というか、朝から何やってるのよ…」
「ほら、ミーナさん、聞いたか?カルミナも完全に昨日の約束覚えてないぞ」
「へ?約束…?ミーナと…?はっ!?」
「お、お姉様…」
「ミーナ、タロウについて教えてあげるから許して。」
「おい!カルミナも同じじゃねーか!」
「いりませんよ~…」
「いらないとか言うなよ!」
「ミーナ、今日の放課後なら大丈夫ですわ。タロウもそれでいいですわね?どうせ昨日の内に準備は終わらせたのでしょ?」
「ほとんどはな。あ、カルミナが昔ボッタク……買った回復薬渡しとこうか?俺のアイテムボックスの中に死蔵してるんだけど」
「それなら貰っておきましょうかね…ていうか、死蔵してるって何よ?」
「いや、ほら思い出として?」
性能が低すぎて使えないとは言えないんだな…
「そ、そう。思い出…ね。なら、そのままタロウが持ってていいわ!というか、ずっと持ってなさい!」
い、いらねぇ…。まぁ、もう…べつにいいか。
「お姉様、今日はお願いしますね!放課後になったらすぐ来ますんで!」
冒険者ギルドに行って泣くんだろうな…まぁ、それは運命よ…。
◇◇◇
「じゃあ、ここから先はミーナ1人で行きなさい。」
「え!?なんでですかお姉様?」
「それがお約束だからよ。」
「そうですか…分かりました。冒険者登録してきます」
そういってミーナさんは冒険者ギルドの中に入っていった。今頃ハゲに絡まれてるだろうな。それでベリーさん辺りに言われてるんだろうな…。
「ギルドが静かになったなぁ…そろそろ行くか?」
「そうねぇ…行きましょうか。」
俺達がギルドに入ると予想通りの展開が起きていた。まぁ、そうだろうなぁ。情報も集めなかった去年が懐かしくなる光景だ。
「ギルド長、ベリーさん、こんにちは。」
「ミーナ、あなたに冒険者はまだ早いわ。分かったわね」
「怖かったよおぉぉぉぉお姉様ぁぁぁぁ」
「はいはい。よしよし。今日は甘いものでも食べて帰りましょ」
「おや、お二人の知り合いでござったか。態度がデカイからガツンとやってしまったでござる。」
「あ、その件は別に良いですよ。ガツンと言って欲しくて連れてきた部分もありますし。」
「エルフなんて久しぶりに見たでござる。つい力んでしまったでござる。あははははでござる。」
「あ、そうだギルド長。今度学園の授業の一環でここから1日の所にある山のキャンプ場に行くんですけど、何かクエストとかってあります?」
「あそこか…特には無かったと思うが…たしか最近この辺りの魔物の活動が活発になっていると報告があった。強さもあがっているらしい。山に行くならその辺を見といてくれ。」
魔物の活動が活発に…?どこかで強力な魔物が現れた?誰かが魔物に何かしている…とか?それとも…魔族…か?
「分かりました。カルミナも魔物の調査よろしく。」
「えぇ、分かったわ。じゃ、今日は帰りましょうか」
俺とカルミナはギルド長達に挨拶をしてギルドを後にした。
さすがに泣き止んだがカルミナにベッタリになってしまったミーナさんを連れて俺達はお茶をして寮へと帰った。
◇◇◇
今日から俺達2年生は合宿の日だ。みんないつもの制服に鞄じゃなく、動きやすい服に荷物を持って登校してきている。
「お前達、今から外に出て班ごとに集まれ。説明の後に出発だ。」
「楽しみだな!」
「私の班に協調性のない人が…」
「どこに行くのかしらね」
「カルミナ、食料無かったらいつでも売ってやるぞ」
「結構よ!ちゃんと必要な物は買ってるわ」
「カルミナ達の班ってどんな感じよ?」
「そうねぇ…やっぱり皆少し遠慮というか私に話しかけるのが難しいみたい。貴族の子はまだマシなんだけどね。タロウの方は?」
「皆で街に買い物も行ったし、6人班だから仲良くはなれたかな?まぁ、俺を貴族と接する時のお手本にしないようには言ったけど」
「そりゃ、タロウみたいな貴族は中々いないわよ…」
「カルミナみたいな王族はもっと居ないけどな!そろそろ行くか」
「そうね!」
外に出て班のメンバーを探してみるがシャルルが目立つから割とすぐに見つかった。
「お待たせ」
「タロウ来たかニャ!」
「おはようございますタロウさん」
「Aクラスの担任ブレノフだ。今から3泊4日のキャンプを行う!これはキャンプでもあり野外実習の訓練でもある、気を抜かないよう注意しなさい。各班に1人ずつ冒険者を付けます。その冒険者が君たちの評価をする事になる、基本的に冒険者からの接触は無いですが、危険な状態に陥ったら助けてくれる事になってます。その場合はもちろん評価も下がりますので気を付ける様に。以上だ!では、これより出発する。1班を先頭に動きなさい。」
どこからか、3泊4日の情報すら手にして無い班があったらしく、驚きの声をあげている。驚くのはいいがせめて声を出さなければバレる事も無かっただろうに…
「じゃあ、歩く時の順番は、シャルル、オリオ、バート、ミレーナ、ミーコ、最後に俺の順番で行こう。前3人は前衛、後ろ3人は後衛で分けただけだけど。」
「分かったニャ!私は遠くは視えにくいけど夜目は利くニャ。 」
「タロウ君、よく僕達が前衛か後衛か分かったね」
「そういえば、俺達教えてねーよな?」
「まぁ、それは調べたら簡単に分かったぞ。そろそろ、俺達も出発だな。冒険者が見ているとはいえ、出来るだけ危険には近寄らないように」
「出発ニャ!」
◇◇◇
俺達は学園を出て王都からも離れて歩いている。所々休憩を入れているが全体的に段々とペースが落ちてきている様に思える。
「皆大丈夫か?」
「代わり映えしない景色に飽きたニャ…」
「タロウ君、水貰っていいかな?」
「あ、あたしも…」
うちの班のメンバーも疲れてきているみたいだ。半分くらいの距離まで来たとはいえ、まだ残り半分ある。後半の方がキツいだろうし、荷物くらいもってあげたいけど今回は俺もアイテムボックスに入れずに自分で持ってるし…そうだ!
「召喚 アトラス」
『ご飯か~?』
「ほら、お菓子でいいか?ちょっとみんなの荷物を持ってあげて欲しいんだ」
『やったぁ~お菓子~!荷物くらい持つぞ~』
「タロウさん?その子は…」
「ミーコさん達には初めて見せるね、この子は使い魔というか契約してるアトラスっていって、凄く力持ちだから。皆の重たい荷物はアトラスが持ってくれるよ。」
「ホントかニャ?助かるニャ!」
「この子にそんな力が?」
「でも、タロウさんの使い魔だし…」
「召喚 ピヨリ」
『ご主人ッピ!どうしたッピ?』
「ピヨリも大きくなったなぁ~…せっかくのいい天気だし空を飛ばせようと思ってね」
『やったッピ!』
『タロウ、私だけ呼ばないなんてどういう事ですか?』
「ルミナス…だって、お前いつの間にか勝手に出てくる様になったじゃないか!」
『愛のなせる技です…ふふふ』
はぁ…アトラスは素直な子で今も荷物を持ってくれているし、ピヨリも楽しそうでいいんだけど、ルミナスだけ俺と同じ強さだから勝手にいろいろしちゃうし大変なんだよなぁ…
「ルミナス、今回は余計な気遣いは無用だからな。ついて来ている冒険者にも手出し無用だぞ」
『心得ておりますよ。』
「タロウ…さん?3匹も使い魔を?それにその妖精からは凄い魔力を感じます。」
「まぁ、すぐ慣れるよ。みんないい子達だから魔力が多かったり力が強かったりは気にしないで。」
「タロウ!あの鳥速いニャ!普通の魔物よりずっと速いニャ!」
そうだよな…やっぱり…。いつの間にかピヨリも大きくなって狩りもするようになった。最初はニワトリくらいになると思っていたが、今は鷹くらいになってる。両翼から氷の羽根を飛ばしたり、口から氷の息吹きを出したりとすくすく育っている。頼もしくはなってるんだよな。
◇◇◇
「つ、着いた~」
うちの班だけじゃなくて他の班の人もぐったりしている。長かった道のりだったもんな。平気そうなのは少しだけだな。
「えー、皆さん今日この後からは各班での行動になります。食事の際は各班に水を配ります。テントは3人用を1つだけ支給することも可能です。就寝前と起床後に点呼をとりますのでその時にはちゃんと班ごとで揃っておくように。あと、体を洗う際は先生達がいる建物のシャワールームを貸し出します、必要な生徒は使ってかまいませんが順番待ちがあるので早めにくるように。以上だ。」
先生からの言葉にテントの事や水の事を知らない生徒達は不満の声を漏らしていた。この道のりを水やテントを抱えて来たのはご苦労様だと思うけど、聞いたら教えてくれる事だったし同情もないな。シャワールームがあるのは俺も知らなかったけど。
「みんな、真っ暗になる前にテントだけ立てちゃおう。1つ作って見せるから、もう1つは皆でやってみてくれ。」
「タロウ君、休憩を…」
「オリオ、一気にやった方が長く休めるぞ。今日の食事も簡単なので悪いけど俺が用意するからもう少しだけ頑張ってくれ。」
「わ、わかった。頑張ってみるよ」
俺は班の皆には聞こえる様にテントの作り方を教えた。教える時も少しずつ手伝わせたのが良かったのか、もう1つ作る時はそれほど時間もかからずに作れた。
「じゃあ、休んでてくれ。水と調理器具と薪を貰って来る。」
「俺も何か手伝うか?」
「じゃあ、バートは細い枝と乾燥してる葉っぱを集めてくれ。火も着けないといけないからな」
「分かった!」
俺はローラン先生に薪と水と調理器具を貰いに行った。さすがに1度じゃ運べないから2回に分けたけど。
「タロウ君、食材ってどうするの?今から捕るの?」
「今日は移動で疲れると思ってすでに買ってきてある。」
「タロウ、魚はあるかニャ?」
「一応、肉と魚と野菜をテキトーに買ってきてあるから安心しろ。」
「やったニャ!アタシは肉は苦手だニャ。」
「この中で水魔法か火魔法が使える人は?」
「私はどちらも使えますよ」
「私は水魔法なら使えるわ」
「分かった。二人には悪いけど水魔法で調理器具や食器等も洗っておいてくれ」
「分かりました。」
「わかったわ!」
きっと、順調に進んでるのは俺達の班とカルミナの班くらいだろうな…なんて思いながら俺は集めて貰った葉っぱに火をつけ、細い枝に移し、最後に薪に火を移した。これで灯り兼料理の火の出来上がりだ。
「今から肉とか魚を焼いて行くから焼き上がったらどんどん食べてくれ。」
俺は自分のアイテムボックスから焼くためのミニBBQセットを取りだし、鉄板を温めてから肉を焼き出した。
「おい、あそこの班もう食べ初めてるぞ」
「お腹減ったわね…」
「私達も急ぎましょう」
少し離れた所から別の班の人達が見ているが気にせず食べる。なんなら匂いを風魔法で密かに送っているまである。
「みんな、そろそろ食べてくれ」
「「「いただきます!!」」」
「美味しいニャ~」
「うめーよタロウ君!」
「いくらでも食べれちゃうね」
「明日の食材は明日取るから今日の分は今日食べきるぞ!男子共、どんどん食べろよ」
「おう!」「うん!」
途中でミーコさんが代わりに焼いてくれたから俺も食事を取った。この環境で食べるご飯はなんか、いつもより美味しく感じた。
「ふぅ…お腹いっぱいだぜ」
「美味しかったから食べ過ぎちゃったわ」
「少し休憩したら洗い物片付けて、今日は休もうか。明日何するかも決めないといけないけど…」
「明日かぁ、とりあえず食料調達と散策くらいか?」
「魚がいないと大変ニャ!川を探すニャ!」
「じゃあ、散策しながら食料調達と水辺を探そうか。」
「そうだね。」
「テントとかは置いていっていいのかな?」
「持ち物は全部持っていく。置いていって取られても文句言えないからね。荷物の管理は徹底しておこう。」
「分かりました。では、私とミレーナさんは洗い物に行ってきますね。」
「よろしく頼んだ。俺は火の番をしてるからシャワールームに行きたい奴は行ってきていいぞ」
「アタシはミーコとミレーナと一緒に行くから待ってるニャ!」
「じゃ、俺達は行こうぜオリオ。」
「うん。では行ってきますね」
「暗くなって来たから帰りは気を付けろよ。迷ったら空に合図を出せば迎えに行くから。」
「わかった!」
しばらくして、洗い物を終えたミーコとミレーナを連れてシャルルも体を洗いに行った。オリオ、バートが迷ったけど合図をくれたので暗視スキルで迎えに行った。女子の方はシャルルが居るからすんなり戻ってきたけどね。
俺はもちろんシャワーしに行ったと見せかけて清潔魔法で済ませたけどね。
合宿の1日目はこうして過ぎて行った。
「転移したよ in 異世界」というのも書いていますのでよろしくお願いします!
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