第40話 タロウ、新入生に絡まれる
よろしくお願いします!
自分でも忘れていましたが、11歳になりました。ありがとうございます。馬車の中で姉様が言わなければずっと忘れたままだった。
それから数日して戻ってきました王都に!
いや~、馬車の中が息苦しくて途中から馬の操縦を教えて貰っていた。
「もうすぐ学園ですけど、ご飯どうします?寮で食べますか?」
「タロウちゃん、お姉ちゃんと食べに行きましょう?」
「タロウ、いつもの様に私と食べに行きましょう?」
「じゃあ、3人で食べに行きましょうか?ていうか、何でそんなに言い争ってるんですか?」
「はぁ~、ダメねタロウちゃんは…お姉ちゃんというモノを全然分かってないわ。お姉ちゃんというモノはね、弟か妹、下に守るものが居るのがお姉ちゃんなの。つまり弟は譲れないものなのよ」
なるほど!……ん?いや、全くわからんぞ?
「タロウ、あなたはパートナーというモノを理解していないの?ホントにダメねタロウは。パートナーというモノはね、相棒で、心友で、夫婦なの、これ全部パートナーだから!覚えておきなさいよね!」
たしかに!……ん?さっきよりも分からんぞ?ていうか、最近カルミナからアプローチを受けている気がする。嬉しいのは嬉しいんだけど卒業までは待って欲しい。
「2人共、変な事言ってないでどこで食べるか決めますよ」
「タロウちゃん!」「タロウ!」
2人の言い争いは続いたけどご飯の時は静かになった。帰りにまた言い争いをしていたが無視を続け寮へと帰って来た。明日から2年生か…長いようで短い1年だったな。
◇◇◇
今日は入学式兼始業式だ。どんな後輩が入ってくるか楽しみでもある。そして、クラス発表もあるから早めに寮を出た。
「おはようタロウ君。」
「おはようレート!久しぶりだな。お土産あるから後で渡すよ」
「ホントに?ありがとうタロウ君。食べ物?」
「ふっ、愚問だな。レートへのお土産だぞもちろん肉だ!」
「タロウ君、僕はもう帰るからその肉をください。」
「まてまて!そう言うと思ったから後で学校が終わってから渡すんだよ」
「タロウ君!僕のお腹が凹んじゃうよ!」
「凹むならいいじゃないか!少しは運動しろ、休みの間に太ってるじゃねーか」
「へへ、家は美味しい食材を扱ってる大商会だよ?」
「はぁ~、痩せなくてもいいから運動くらいはしろよな」
レートと久しぶりに話ながらクラス別けの張り紙を見た。
「よし、ちゃんとBクラスだな。少しメンバーも替わってるがだいたい同じだな。今年もよろしくレート」
「やっぱりBクラスだったか。カルミナ様もキスカさんもハルベンデさんも同じだね。」
「そうだな。ハルならAクラスでもおかしくないとは思ったけど。」
「タロウさんと訓練するには同じクラスの方が都合がいい。」
「うぉあ!驚かさないでくれハル。おはよう」
「おはようタロウさん。レート君も」
「おはようハルベンデさん。」
「タロウ君、担任も替わらないみたいだから今年もローラン先生の様だね」
「話が短いから俺はローラン先生でありがたい」
そんな話をしながら教室に行くとクラスメイトがざわついていた。
「おはようキスカさん。何かあったの?」
「あ、タロウさんおはようございます。なんか新入生に珍しい子がいるらしいですよ。話によれば獣人の子らしいです。」
「獣人?珍しいけど騒ぐほどじゃなくないか?」
「どんな子か楽しみだねタロウ君」
そんな時カルミナが登校してきた。挨拶をして新入生の事を伝えた。
「獣人じゃないわよ?エルフよエルフ」
クラス中がさらに騒がしくなった。エルフなんて獣人より珍しい。そりゃ話題にもなるか。
「エルフ?珍しいな。キール先輩しか見たこと無いぞ?」
「いい線ね。今日からこの学園に入る子はそのキール先輩の妹でミールさんよ。昨日キール先輩と一緒に私の所に来たわ。」
「そうだったのか。キール先輩の妹ね」
「よく、森から出ようとしたね~」
「珍しい。」
「キール先輩の話だとエルフの中でも珍しく好戦的らしいわよ。…タロウ気を付けなさいよ」
「その説明だけで面倒くさい感じがするな…」
あーだこーだ言ってたら、ローラン先生が教室に入ってきた。
「全員いるな、よし。無事に揃って何よりだ。今日はこのあと入学式があってそれで解散だ。では、移動開始」
相変わらず短いけどそれが先生の良いところだ。短い言葉の中に想いを詰めてくれるタイプでカッコいい。
俺達はぞろぞろと入学式の行われる講堂に向かっていた。自分の入学式ですら眠かったんだからこの入学式は寝るだろうな。てか、寝よう。
入学式もいつの間にか終わった時に俺とキスカさんは同時に目を覚ました。どうやら寝ていたのは俺達2人だけで他の奴らはエルフのミールを何とか見ようと頑張っていたらしい。
1年生が恒例のクラス別けテストに向かう時にチラッと見えたがキール先輩に似てはいるがどことなく鋭さが感じられる顔だった。
「今日はこれで終わりか…今日はどうするかな…」
「タロウ君、お肉」
「学校終わった途端かレート。ほら、冷凍してあるから学食に持っていって何か作って貰え」
「ほぁ~、美味しそう!ありがとうタロウ君、今度僕からも何かあげるね。」
「期待しとくよ。」
そろそろ俺らも帰ろうとした時に教室の扉が勢いよく開かれた。
クラスの皆が一斉にその人物を見て騒ぎだす。
「やっぱエルフって可愛いな!」
「手足もすらりとして肌も白いし可愛い」
「ここに去年代表選手になった人が居るって聞いたんだけど、誰かしら?」
うっわ…早速きたよ…行動力ありすぎな。
というか一斉にこっちみたらバレるだろうが…カルミナも居ないし…
「あんたがそうなの?何か冴えない男ね。姉さんが凄いって言ってたからどんなのかと思えば…」
「あ、当たり前でやんす。オラは、その代表選手の友達なだけでやんす。Bクラスに代表選手がいるわけないでやんすよ。」
クラスに残ってる人全員に白い目で見られてるが気にしない。
「変なしゃべり方ね。でもそういえばそうね。Bクラス程度に居るわけないわよね。で、その代表選手の名前教えなさい。」
「ウォール=ペンド君、イータ=ヤンス君でやんす。では、オラは先に帰らせて貰うでやんす。あー忙しい忙しいでやんす。」
「情報は感謝するわ。私もさっさと行かないと」
俺よりも先に教室から出ていった。バレない内に俺も帰らないとな…あらら、Bクラスの男子もさすがの性格に数名以外は引いてるな。Bクラス程度とか言っちゃったしな。自業自得だ
「まぁ、みんな。新入生はあんぐらいの方が可愛げがあるじゃないか。俺らは2年生。寛大な心で受け止めてやろうぜ?」
キール先輩に免じてこのくらいのフォローはしておこう。カルミナを可愛がってくれているしな。
「そうだな、俺達は先輩だしな。」
「そうよ。きっとエルフは少ないし寂しいんだわ。」
「さすがタロウ君、大人な考えね」
うん。これできっと大丈夫だな。隣の教室からざわざわと聞こえて来るからさっさと帰りますか。
◇◇◇
翌日の朝の教室で事件は起きた。
「貴様!昨日はよくも騙してくれたな!何がやんすだ!あたしをバカにして!」
そう。1年生が2年生の教室で暴れているのだ。立派な事件である。昨日教室にいた奴らは暖かい目で見ている。昨日居なかった奴らに事情を話しているから、俺が悪いとはならないだろう。
「ここは2年生の教室でやんすよ。暴れたらいけないでやんす。キール先輩も悲しむでやんす。」
「姉さんの名前を出すとは卑怯もの!代表選手と手合わせしたかっただけだが貴様は許さん!だいたい貴様の様な奴が本当に代表なのか?ただ運が良かっただけだろ!」
「こら、女の子が相手を貴様とか言ったりしちゃいけないでやんす。もっと落ち着くでやんす。」
「やんす。やんす。言うな!」
「騒がしいわね…タロウあんた何やらかしたの?」
「お、カルミナ助けてくれ。1年生が暴れているんだよ」
「貴様は王女様に助けを求めるのか軟弱者で卑怯者め!やっぱり、普通に喋れるじゃないか!」
クラスメイトが昨日の事とさっきまでの事をカルミナに教えた途端、カルミナの雰囲気が少し変わった。俺には分かる。
「ミールさん?昨日このクラスで私のクラスメイトをBクラス程度なんて言い方したのですか?たしかに私達はBクラスですよ?でもなぜそれをあなたにわざわざ言われないといけないんですか?それに、私はタロウと違ってちゃんと試験を受けて、Bクラスの実力だと定められました。ですが、補欠とはいえ去年は代表にも選ばれましたが?」
「あ、いえ、それは…その…あの…」
たじたじである。さすがにクラスメイトはカルミナが相当怒っていると気づいてうるようだ。その理由までは分かってないだろうが。
カルミナは俺への評価を運が良かっただけという部分にキレてる。俺とカルミナの立場が逆でもそこにキレる。軟弱者や卑怯者は別にいいが、運だけと言われるのは許せない。運もたしかにあったかも知れないが俺やカルミナは強くなるために訓練してきたのだ。
「カルミナ、ありがとう。大丈夫だ。」
「そう。ならいいわ」
「ミールさん?」
「は、はい。」
「代表選手…というかその中でも補欠じゃなく代表の俺と戦いたいんだよね?何でか聞いていいかな?」
「あ、あの…私も自分の魔法には…じ、自信があって、その、自分の…ちから…ため、試したくって…うぅ…」
「なるほどね。うん、分かるよ。俺も自分より強い人なら全力出せるし、目標として自分を鍛えていけるからね。」
「は、はい…その、ごめんなさい。」
「うん。クラスメイトにも謝ってくれるかな?そうしたら放課後、俺とやろうか模擬戦」
「え?いいの?」
「謝ったらね。あと自信を砕かせて貰うからそのつもりで。」
「皆さん昨日は申し訳ありませんでした。自分がAクラスだから自分の方が上だなんて思ってました。すいませんでした。」
「はい。謝罪は聞きました。皆さんいいですね?」
「カルミナ様が言うならいいぞ~」
「私も許しちゃうわ」
「てか、タロウ君凄いなー」
レート…俺を褒めてくれるのはお前だけだ。
「ミールさん?」
「は、はい!」
「おそらく自分の才能に落胆しますよ?でも、そこからがスタートだと思いなさい。あなたはまだ努力が足りない、それを知りなさいね。」
「はい。お姉様!」
「お、お姉様!?」
「はい!お姉様です」
な、懐かれてるなー。普通俺に懐く流れじゃないの?
「タロウ先輩?あの、勝てないかも知れませんけど全力でいくので手加減とかやめてくださいよ?」
「カルミナがお姉様なら俺はお兄様じゃないの?」
「は?何言ってんですか?」
「え、いや…何でもないです。じゃ、お引き取りください。」
「放課後逃げないでくださいよ?」
◇◇◇
放課後になり、訓練場に来ていた。入学式の次の日から使うものは居らず、クラスメイト以外は人がほぼ居ない状態だ。思いのほか、朝に言われた年下からの、は?が心にきている。今日は絶不調だ。
「先輩は魔法オンリーですか?」
「一応刀も使うけど今日は魔法オンリーかな」
「そうですか。では、そろそろ始めましょ…「氷柱!」う…くっ」
先制攻撃は基本中の基本である。回避…じゃないな、ちゃんと魔法で防御している。さすがエルフ、魔法の発動が早い。
「卑怯者!吹き飛ばせ!暴風!」
おぉ…簡単な魔法でこの威力。さすがはエルフだな。でもこのくらいなら何ともない。
「暴風」
「そ、相殺した!?同じ技を同じ威力でぶつけてきたのか!?」
「魔弓使っていいんだぞ?」
「言われなくても! 弓エンチャント 風 風弓!」
うーん、キール先輩としか比較が出来ないけど、やっぱりキール先輩は凄いんだな。この子の威力じゃまだまだだ。
「アイスウォール」
魔法の弓が氷の壁に当たるがびくともしていない。この壁はカルミナの心を折ってしまった危険な技だ。クラスメイトもまたか…という顔をしている。
「くっ…これなら!弓エンチャント 火 火弓!」
「そんな威力じゃ、破壊出来ないぞ。この壁を壊してみろ、そしたら去年のカルミナより強い」
「こらタロウ!要らないこと言わなくていいのよ!」
「これを…壊したら…!弓エンチャント 火 火弓5連!」
火の弓が俺のアイスウォールに当たる。
「こ、これでも溶けない…の?」
俺は"後ろ"からそっと声をかけた。
「よく見ろ、ヒビが入っているだろ?カルミナより強いよミールさんは」
「い、いつの間に!?」
「これから頑張るんだよ?雷魔法弱電撃」
「うがぁぁぁぁ…ぁ…」
「これにて一件落着っと!」
気絶というか痺れてしまったミールさんの介抱はカルミナに任せた。目を覚ましたら、お詫びにお菓子でもあげたらいいか。
こんな感じで今年度の学園生活が始まった。
誤字脱字の報告よろしくお願いします。
「転移したよ in 異世界」という作品も書いてます。こちらもよろしくです٩(๑'﹏')و
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