第4話 タロウ、魔法について少し知る
よろしくお願いします
2歳になりました!
ありがとうございます。話せる様になりました!
相変わらず自分の能力が分かりませんが……
おかしい……チート貰ってるんじゃないんか神様よ……
今は、この国の物語を母様や長男のウィング兄さんに読んで貰って少しずつ文字を覚えている……という風にしてる。実際はもう読めるしね。
1度魔法についての本が読みたいと言ったことがある。そしたら母様は
「タロウちゃんには、まだ難しいですよ~」
と、言われた。ウィング兄さんも同じ事を言っていた。なんか誤魔化してる感がハンパないけど。
だが、もう歩ける訳でして。文字も読めるわけでして。
自分で歩けるようになって日課の散歩は1人歩きの練習と思われてる。母様はたまに一緒に散歩するだけになった。
厨房に行こうと親兄弟の部屋に行こうが、たまたま偶然に書庫へ入ろうが不自然ではなくなった。計画通りである。
「まずはスリムのところにいってお菓子を貰ってこよう」
スリムとはこの屋敷のコック長である。
この国は他の転生者がいることもあり、食事に関しては問題なく美味しいものとなっていた。スイーツとかも豊富だしね。
「すりむー、おかしちょーだい」
2歳児の話し方とか分かんないし、とりあえず少し棒読みを意識している。近くに街はあるみたいだが、残念な事にまだ屋敷や庭から離れたことがなくて一般的な2歳児については分からない。
「タロウ坊っちゃん、今日はお菓子もってどこ行くんで?」
割と常連だからなここの厨房には。
「きょうはねー、いえのなかをさんぽするのー」
この後は書庫へ直行であるが家が広すぎで全部を知ってるわけじゃないし、この嘘は割とバレない。
「そうですか、坊っちゃん気をつけて。お菓子こぼさないようにするんですよ。」
「ありがとうすりむー」
お菓子を貰ったら書庫へ直行である。今日こそ魔法についての知識を手にしてやる。
◇◇◇
書庫にはいろんな本がたくさんあった。デカイ屋敷に見合うだけの本がある。
「おやおや、坊っちゃま書庫に何かご用ですかな?」
執事のローゼフさんだ。やべぇ、人いたのか。そういえば屋敷の掃除はメイドさん達の仕事だけど書庫だけはローゼフさんの担当だったな。
「きょうはねー、ほんをよみにきたんだよー」
「おやおや、坊っちゃまは勉強熱心でございますなー」
2歳児の愛嬌を振り撒けばこんなもんだ。
「坊っちゃま、文字は読めるようになったのですか?」
「は、はんぶんくらい?」
「それではこの爺が本を読んで聞かせましょう。」
おっと、ありがたいがこの流れは魔法の本じゃなく物語系を読み聞かせられるやつだな。
「きょうはね、はやくもじをおぼえたいからひとりでよむの」
「これは、爺のおせっかいでしたな。」
「ううん、ありがとう、じぃや」
書庫での作業を終えたのか、ローゼフさんは部屋から出ていった
。やっと魔法の本が読める。ここまで長かった。えっと本はどこだろ?
あーあったあった。なになに、【猿でも分かる初めての魔法】あるんだ…こんな感じの本…
まぁ、猿でも分かるなら大丈夫だろう。読むか。
【まず最初に魔法とは何か。魔法とはあらゆる可能性です。人を傷つける、人を癒す、物を作る、物を壊す、魔法には無限の可能があります。】
む、無限の可能性!これは、期待が高まるな。
【魔法は人それぞれに合ったものがあります。例えば、水を操るものが得意な者がいたり、風、火、土、光、闇、雷などが操るのが得意であったり。】
適性ってやつかな?どうやって調べるんだろ?書いてあるページは…あった。
【努力しだいでは苦手な属性魔法も習得する事はできます。自分が何が得意で何が苦手か知るためには魔力を言葉にのせながらステータスと唱えてみてください。そこに出ているものが今のあなたの力の全てです。】
は…?なんだ、魔力を言葉にのせるってどうすんだ?
書いてあるページは………ないか。書いてないってことは普通なら知ってて当然ということか?俺は猿以下の知識なのか…。凹む。
母様に聞くか?いやでも、父様の方が…でも、あー、兄弟の誰かにしよう。ウィング兄さんも母様と同じ感じだし。
5歳になったばかりの姉さんに聞こう。1番話してくれそうだ。
お菓子もあるし、さっそく行くか。