第33話 タロウ、応援する
よろしくお願いいたします!
「第2試合はどなたが出るんですか?」
俺が試合している間に決めていたのだろうか、次はゴリー先輩、その後は順にローズ先輩、キール先輩、最後にダダン先輩の順になっていた。ローズ先輩までで勝負を決めにいくらしい。
「ゴリー先輩、作戦とかあるんですか?」
「俺の出来ることは1つだ。自分を信じてぶつかっていく。それだけだ」
かっけぇぇぇ。肉体派のゴリー先輩だから言える台詞だな。
「なら、何の心配も無いですね」
「ゴリー先輩頑張ってください!応援してます」
「任せておけ。」
ゴリー先輩はそう言って歩いて言った。
「さぁ、第2試合の出場選手が出揃った様です!ルールト王国からはゴリー選手!コフィン王国からはマネイ選手です!では、両国王陛下から紹介して頂きましょう。」
「うむ。ゴリー選手は学園の風紀委員長として頑張っておる。見ての通り自分の身体を鍛え上げた立派な青年だ。とても期待しておる」
「おほん。マネイ選手も自分の肉体を鍛え抜いておってな、その上彼は勉強家じゃ、是非とも頑張って欲しいのぉ」
うーん。さっきの俺の時より説明長くない?期待値か?やっぱり期待値か?
「俺はマネイだ。あんたの力と俺の力、どっちが上か勝負しようぜ」
「ゴリーだ。その勝負引き受けよう。」
「さぁ、第2試合の準備が整いました!それでは…始め!」
先に動いたのはマネイ選手だ。ゴリー先輩へと真っ直ぐに走って来ている。
「ウラァッ!!」
マネイ選手が正面から殴りかかったのをゴリー先輩は後ろに跳んで避けた。
「ちっ、さすがに引っ掛からねーか」
「見え透いた罠だな。」
正面から殴ると見せかけてゴリー先輩の足下に罠を仕掛けてたようだ。さすがはコフィン王国。頭脳集団なだけあって肉体派も考えてるんだな。
「悪いが時間はかけない」
「そりゃあいい。正面からのぶつかり合い、分かりやすくていいぜ。」
「土魔法 纏い ゴーレム」
ゴリー先輩が…土人形になっただとぉぉぉ
「ほう、そいつは堅そうだな!右手に宿れ風魔法 風拳」
「堅さだけじゃない!風魔法 加速」
「はぁぁぁぁぁ!!」
「うらぁぁぁぁ!!」
2人の拳が中央で衝突した。衝突の威力の余波でこちらまで風が吹いている。相当な力と力がぶつかり合った証拠だ。
「拳どころか右腕全部が動かねぇ…降参。俺の負けだ」
「ゴーレムの右手部分が破壊されているな…紙一重で俺の勝ちだ。」
「また拳をぶつけ合おうぜ」
「ああ、その時までさらに鍛えておく」
お互いが左手で握手を交わした時に会場からも拍手が鳴り響いた。熱い戦いってやっぱりいいよな。
「第2試合、勝者ルールト王国のゴリー選手です!」
◇◇◇
「さすがゴリー先輩だな。男気が半端じゃない。」
「そうね。タロウにも見習って欲しいくらいだわ!」
「………」
チキショー!ぐうの音も出なかったよ。
そんな事思っているとゴリー先輩が帰って来た。
「ゴリー先輩お疲れ様です。……右腕大丈夫ですか?」
「ああ、少しヒビが入ってるが大丈夫だ。」
「キスカさん、何か骨の回復に役立ちそうなのある?」
「えぇっと、直接的なモノは無いですけど、疲労回復を活性化させるお薬なら…」
「それで大丈夫だと思う。先輩、キスカさんの薬は良く効くのでどうぞ。」
「助かる。もし余ってるようなら対戦相手にも渡したいんだが可能か?」
「は、はい。多めに持ってきてありますので大丈夫です。こちらを…」
「ありがとう。恩に着る」
「い、いえ。これが私の役目ですので」
さすがキスカさんだな。準備も薬の品質も良い。
「さ、次は私の出番ですわね?オーホッホッホッホッホ」
「なんだろ?ローズ先輩って無敵なんじゃないかって思うんだけど…」
「そうね、なんかそんな感じするわね…」
「さぁ、ここまでルールト王国が2連勝でありますが、どちらも接戦であります。次の試合で決めてしまうのか?今までの試合を少し振り替えって見ましょう。どうでしょうか?騎士団長、魔法師団長?」
「そうですね、第1試合はどちらも1年生という事でありましたが、すでに学園を出ても通用する強さだと思いますね。私はコイン選手の体力、パワー、スピードに驚かされましたね。第2試合は私好みの試合でしたね。力と力のぶつかり合いはいつ見ても興奮しますよ」
「たしかに、今年の選手はレベルが高いようですねぇ。魔法の観点から見るとタロウ選手が抜き出てる様に思えますねぇ。ですが、コイン選手の身体強化は難易度が高いですし、ゴリー選手やマネイ選手の魔法も見事としか言えませんねぇ。」
「なるほど、解説ありがとうございました。」
「それでは言って参りますわね。」
「ローズ先輩頑張ってください。」
「応援してます!」
「それでは第3試合と参りましょう!ルールト王国からはローズ選手です!対してコフィン王国からはゼニー選手です。では、両陛下、よろしくお願いします。」
「うむ。ローズ選手は学園を代表する才女だ。貴族が集まるパーティーでもよく見掛ける社交性も兼ね備えたルールト王国代表選手のリーダーだ。期待しておる。」
「こほん。ゼニー選手はコフィンの学園1の頭脳を持つ才女での、すでに色んな研究所から声がかかるほどだ。期待しておるよ。」
くっ、期待値かよやっぱり!まぁ、ローズ先輩やゴリー先輩に期待する気持ちは分かるけど…
「両名は昨年も出場してた選手ですね!どんな試合展開になるのか楽しみです!それでは第3試合…始め!」
「あらあら、コフィンの要注意人物と当たるとは運がないですわね。オーホッホッホッホッホ」
「それはこちらの台詞ですね。ルールトで貴女とは当たりたく無かったです。」
コフィンの才女ゼニーさんは、眼鏡をかけたいかにも魔法使いって感じの女性だ。
「いつまでも話していても仕方ありませんわね。火魔法 創造 緋薔薇」
「そうですね。火魔法 創造 朱頂蘭」
ローズ先輩は相変わらず薔薇を型どった炎を自分の周りに展開させていた。対するゼニーさんも火魔法で花を型どっていた。案外似たタイプなのかな?
「咲き乱れなさい!」
「狂い咲け!」
火魔法の撃ち合いとなった。実力は拮抗しているようにみえる。
果たしてどちらが均衡を破るのか…
「やりづらいわね!水魔法水の槍!」
「ん~水魔法はやりづらいですわね…オーホッホッホ」
「ずいぶん余裕そうじゃない!いけ!」
水の槍が先輩に向かって飛んでいく。避ける気無いのか!?当たる!?
「呆気ないわね」
「あら?何が呆気ないのかしら?オーホッホッホッホッホ」
「貴女どうやって!?今当たったハズじゃ?」
俺にも分かんなかったぞ!?流石は先輩だ!
「私も日々成長してるのですわ。オーホッホッホッホッホ」
「くっ、どうやって避けたか分かりませんが構いません!水の槍水の槍水の槍!!」
さっきよりも多くの魔法を放出した。先輩はやはり動かない。ん?動いてない?
…鑑定
ローズ先輩 (炎偽物)
偽物かぁ~…そりゃ動かないわな。
本人は…光魔法で姿を眩ましているのか。芸達者というか魔力制御が巧すぎてここに居る人で気付いてる人ほとんど居ないんじゃ…
「見てみろカルミナ。レベルが違うなローズ先輩」
「タロウ!またローズ先輩に水の槍が当たるわよ!?って、どこ見てんのよ!」
「これでどうよ!!」
「こちらをですわよ?オーホッホッホッホッホ」
「また!?いつの間に…」
「なぁ、カルミナ。あれ、ベリーさんクラスか広範囲魔法で制圧しない限り勝てなくないか?」
「タロウは先輩の居る所分かるのね?」
「カルミナだって精霊の助けを借りればいけるんじゃないか?」
「え?え?どうやってやるの?」
「精霊に魔力を借りて目に集めて見てくれ」
「こ、こうかしら?……ん?先輩がぼんやり動いている様な?」
「お、なら成功かな?後は要練習ってことで。」
先輩は動いてる。動いて無い方は偽物。さすがに走って動ける程では無いようだが相手が見破れなければどうでも良いような些細な問題だ。
「どうして当たらないの……くっ、囮か!やってくれる」
「あらあら、気付かれてしまいましたか。オーホッホッホ。これ以上ネタバラシされる前に終わらせますか」
「火魔法|朱頂蘭!」
どうやら、全方向からの攻撃に対する守りを固めるらしい。
だが、ローズ先輩を目で見えてない時点で何の意味もなさない。
「ふふっ、またいつか試合の機会がありましたら…」
「またうしろ…に……」
「勝者、ルールト王国のローズ選手だああああ!!」
勝負はついた。ローズ先輩の圧勝と言ってもいいくらいだな。
「いや、レベル高すぎて観客も魔法をすり抜けたくらいにしか思ってないんじゃないか?」
「たぶんそうよね。分かってるのは魔法師団長くらいかしら?」
「これで3試合で3勝しましたルールト王国の勝利が決まりましたが、4回戦、5回戦もありますのでまだまだ楽しみが残っております。一先ずルールト王国に拍手を!」
司会の掛け声で俺達に拍手が送られた。とりあえずはこれで安心っと。
「では、今の試合を解説して貰いたいのですが…」
「魔法師団長として言わせて貰うと、どちらもレベルは高い、それは見てもらって分かると思いますが。ローズ選手の魔法はまだ成長の余地があるとはいえ十二分にやっていけるレベルです。その歳でここまで自分を鍛えた事に拍手を送りたいと思います。」
「ありがとうございました。それでは第4試合に続きたいと思います。」
「ローズ先輩お疲れ様でした。」
「凄かったです」
「まだ、成長するのかローズは」
「僕も魔法は得意な方なんですけどまだまだですね…」
「さすがローズさんです。」
「応援ありがとうございます。オーホッホッホッホッホ。あとタロウ君、いくら見えてたとはいえ凝視するのはやめてくださいましね?」
目が合った気はしたけど、そっか1人だけ別のとこ見てたら怪しいか…
「すいません、ついうっかりです。」
「いえ、まさか見破られるとは思いませんでしたし、なかなか良い目をしているのですね?」
あー、鋭い鋭い。ボロが出そうだ。
「いえ、魔力の流れがほんの少しだけ漏れていたのでそれを追っただけですよ。はい。」
「オホホ、そういう事にしときますわね。」
後続の試合も良い流れをそのままにダダン先輩も辛勝し、キール先輩も勝利した。結果は5対0で勝てたが楽な試合ではなかった。それは先輩達も思っているらしく相手に敬意を持って接していた。
◇◇◇
「それでは1日目のルールト王国対コフィン王国の試合を終了とする。両選手、誠に見事な試合だった。今日はゆっくり休むといい。では解散。」
ウォンド王国の陛下の言葉で1日目は終わった。明日はウォンド王国対コフィン王国だから俺達は観戦することになる。楽しみだ。
「1号~1号~!」
「お?目が覚めたのかコイン!」
「お前はただのファンじゃなかったんだな!」
「あぁ、ルールト王国の代表でもあるな」
「そっか、あたし負けたんだよな…」
「あぁ、今回は俺の勝ちだ」
「それで、1号は私に惚れたんだろ?」
「あぁ、ほれ…てねぇよ!惚れたのは真っ直ぐに戦うスタイルだ!」
「でも、それってあたしに惚れたって事じゃねーのか?」
「いいか、お前はアホだ。大人しく今日は帰りなさい」
「あたしはアホじゃ…かもしれないけど!1号の事は少しだけ見直したぞ!お前は強いからあたしの目標だ!」
「そうかい。なら追い抜かれない様に俺も頑張るさ」
「うん!もし…追い抜けなくて、お前方が強かったら…その時はあたしの事守ってね、タロウ」
「え?あ、うん…あ、違っ」
「やったぁ!言質はとった~!」
ち!アホに嵌められるとは!心の油断が…一瞬だけか弱い部分を出すとか…こいつ、できる。
「タ~ロ~ウ~…コインさんと何の約束してるのよおお!!」
「カルミナ、こ、これはそう!油断してただけで」
「見なさいよあの子の嬉しそうな顔!物語のヒロイン見たいじゃないのよ!」
「お、落ち着けカルミナ。それはきっと気のせいだ、あいつはただのアホだ。」
「アホアホ言ってるけど、コフィン王国の王女なのよ!あの子」
え?え?嘘だろ…?アホなのに…?王女?コフィンの王女?
コフィンの国王が賢くて良い子とか言ってたけどただの身贔屓かよ…じゃなくて、王女とか嘘だろ?
「カルミナどうしよう。俺アイツにアホアホ言い過ぎたかもしれない…」
「それはそうだけど…それよりも言質を取られた件を考えなさいよ…コインさん、タロウに守って貰う気満々よ?」
「ほら、そこは子供の頃の約束とかそんなんで何とか…ね。カルミナと騎士くんみたいにさ」
「上手くいけばいいわね」
「1号の事はタロウって呼んだ方がいいのか~?」
「こ、コイン?…お前、王女だったの?」
「そうだぞ!」
「そうか、俺は冒険者になる予定だからな。お前の事は守ってやれない。だから俺より強くなってくれ」
「タロウはあたしを守ってくれないのか…?」
「一方的には守らない。俺は冒険者になって旅をするからな。俺に守って欲しいなら、俺を守れる様になってくれ。」
「わかった!あたし頑張って強くなる。そしたら一緒に居てもいいのか?」
「……はは、楽しみにしておくよー」
コインと別れて俺達も帰路に着いた。
「いいの?あんな事言っても」
「アホのコインが将来この話を覚えてたとしても権力から俺を守ってくれるなら問題はない。」
「旅に着いて来たらどうすんのよ!?また勝手にメンバー増やして!もう!」
「それについては申し訳ない…まぁ、将来の事は分かんないししばらくは2人で頑張っていこうぜカルミナ」
「もう!もう!」
プンスカしてるカルミナと屋敷に戻ってきて今日の反省会と明日の予定を話して今日は休むことにした。ベットに入ると案外疲れが溜まっていたのか、すぐに寝てしまった。
誤字脱字の報告よろしくお願いいたします!
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