第30話 タロウ、見惚れる
よろしくお願いします!
※ハルベンデちゃんの名前が誤字ってたので修整しました。
王城についた。ここまで来るのは2度目ましてだな、相変わらずでけぇな。
「代表選手の方々、お待ちしておりました。さっそくでございますが王がお待ちです。こちらへどうぞ」
騎士の方に案内されて、王の居るという所まで連れていかれる。軽く王の言葉を聞いて、そのあとはパーティーでご馳走を頂いき、早めに明日に備えるといった流れらしい。王も明日は俺らと一緒にウォンド王国へ向かうことになる。
「はぁ、緊張する。ふぅ…ふぅ…」
ダダン先輩は平民の出だけど去年も王と面会しているはずだ。
「きき、緊張し過ぎですよ、ダダダダン先輩」
「ダが多いぞ、タタタロウ君。」
「タロウも先輩もそこまで緊張しなくて大丈夫ですよ!私のお父さんって考えてください。」
「なるほどそれならいけるな」
「そうですね。なんか大丈夫になりました」
「何でよ!?」
「皆様、カルミナ様、そろそろ扉が開きますのでお静かにお願いします」
扉の前にいた騎士が代表の方々が到着致しましたとか何とか言って扉を開いた。緊張するなやっぱり。
扉から入って、先輩に着いていき、先輩の動きに合わせる。
「面を上げよ」
ひぇ~~。相変わらず言葉が重いなぁ。
「はっ」
さすが先輩達は慣れてるな。
「そなた達が今年の代表選手だな。自分の実力を発揮する事だけを考え試合に挑むように!健闘を祈る」
「王の言葉、ありがたき幸せにございます。国の代表として力を発揮する事をここに誓います」
王の言葉にローズ先輩が返して、この張りつめた空気が少し弛緩した気がする。
「うむ。この後はささやかながらパーティーの準備をしておる、楽しむといい」
「ご配慮ありがたき幸せにございます。」
ふぅ…これで終わりか。後はパーティーという名の貴族との顔合わせで今日は終わりになる。頑張ろう。
◇◇◇
「タロウ!」
「タロウちゃん!」
「父様、母様!先ほどぶりですね!」
パーティーには父様と、母様も来ていた。それもそうか。
とりあえずこれで余計ないざこざにはまきこまれずに済むな。ローズ先輩何かは自分で対処してるし余裕そうだ。
「父様と母様に会いたかったです。」
「ああ、私達もだよ。代表に入れたんだね」
「凄いわタロウちゃん」
「ありがとうございます。姉様が1番の強敵でしたね。」
久しぶりに会ったということもあり、話はとても弾んだ。
「タロウ、そろそろ陛下に挨拶にいくぞ。カルミナ様も居られるし仲良くはなれたのだろう?」
「えぇ…まぁ多少は…」
母様は貴婦人の集まりへ行ってしまった為に俺と父様で行くことになった。
「陛下、お久しぶりでございます。」
「リヨン、久しいな。タロウ君だね、その歳での代表入りに、とても期待しておる。」
「はっ、恐縮です」
久しいな恐縮、会いたかったよ。
ん?なんだか王の隣に座っているカルミナの様子が変だぞ?慌ててるのを必死で顔に出さない様にしているみたいな…
「タロウくん。君はうちの娘と同じクラスのようだね。クラスでの娘の様子はどうかな?」
「はい、勉学、武術、魔法どれにも向き合って日々自分を高めていらっしゃる様に思えます。」
「そうか、うちの娘はどうやって補欠とはいえ、代表選手に入れたか聞いても良いかな?」
お…やべーぞ。しかもこの言い方ほとんど事情知ってるんじゃないか?カルミナの様子がおかしいのはそのせいか……隠しても良いことがないな。
「僕が冒険者ギルドに誘いました。そこで出会った冒険者に一緒に鍛えて貰いました。」
カルミナの目が開いている。言ってしまっていいのか?と問いかけてくる。大丈夫だ。どうやら、お前の父親はお前の事をちゃんと考えてくれてるみたいだぞ
「そうか…ありがとうタロウ君。娘を明るくしてくれて、娘の力になってくれて。私達じゃどうしていいか分からなくて、どうもしてやれなかった。」
「今のカルミナ様なら大丈夫ですよ。彼女は自分でやりたい事を見つけております。もう彼女は弱くありません。差し出がましいようですが、彼女の力を知った5年前の陛下の気持ちを、考えてた事を、話してみたらいかがでしょうか?彼女ならもう大丈夫です。」
「そうか…君は賢い子だとは思っていたが…いや、なんでもない。ありがとうタロウ君、娘をよろしく頼む。冒険者になるなら王族の1人くらい拐って見せてくれ」
「陛下、お戯れが過ぎます…」
「おや?我が娘じゃ何か不満があると…?」
「いえ、滅相もございません!」
「そうか、そうか、娘も満更でもなさそうだしな。リヨン、私は娘を拐われても文句は言わんぞ」
「陛下、子供をからかうのもその辺に…どうせなら自然の流れに任せてみせましょう」
「それもそうだな…リヨンの息子には助けられた。感謝するぞ」
「息子のやったことです。それでは陛下このへんで、また手紙を書きます」
「失礼させて頂きます。」
ふぅ。大人のからかいって本当か嘘か分かりずらいからいけねーな。でも、冒険者の許可は出てたし家の事も気にしなくて良さそうでカルミナにとっては良かった話だろう。
2人が今夜話して分かり合えたならいいな。誤解したままだと辛いもんな。
「タロウ、明日から頑張れよ」
「うん、これでも普段から鍛えてるからね。」
パーティーもそこそこに、眠たくなったと言って部屋まで案内してもらった。
◇◇◇
「明日からウォンド王国に向けて出発かぁ~楽しみだなぁ!冒険だ!冒険だ!」
コンコンと部屋の扉がノックされた。誰かな?
「タロウあたし」
「どうぞ、開いてますよっと」
「失礼するわね…」
「どうしたカルミナ?」
「さっきお父様と話して来たわ」
「そうか…ちゃんと話し合えたか?」
「うん、私、誤解してたみたい。お父様も家族のみんなもどうすればいいか分かんなかっただけなんだって…」
「精霊魔法だもんな…知ってる人が少な過ぎたからな」
「うん。だから私、決めたの。タロウと旅して有名になる。そしてね、精霊魔法を広めるの?…あの…私に協力…してくれないかしら…?」
ちゃんと誤解を解いた上でまだ冒険者を続けるつもりなんだなカルミナは…
うん。そうだな、俺の目的は旅をする事だ。それなら…
「分かった、卒業したら一緒に旅に出よう、カルミナ!」
「うん!約束よ」
カルミナとの約束が増えていく。カルミナと一緒にいるのも悪くないかもしれないな。
「じゃあ!明日からまた頑張りましょう!タロウ」
眩しい笑顔ってああいうのを言うんだな。見惚れたよ。
「おやすみ、カルミナ」
「おやすみ、タロウ」
◇◇◇
なんか、ぐっすり眠れて朝は爽快気分だ。
「おはようございます。朝食の準備が整っております。」
「ありがとうございます。」
朝食を終えて、アイテムボックスに荷物を入れて王城の前に集まった。
「おはようタロウ」
「おはようカルミナ」
「先輩方もおはようございます。」
「おはようございます。タロウさんもカルミナさんも荷物が少ないのですわね?オーホッホッホッホッホ」
「えぇ、アイテムボックスに入ってますから」
「オーホッホッホ…何ですって?タロウさんホントですの?」
「え、ええ。」
「やりましたわ!これであの服も持っていけますわ~」
ローズ先輩今でさえけっこうな量の荷物があるぞ、まだ持っていくのか!?
「カルミナ…女性ってそんなに服って持っていくのか?すでにけっこうな量だと思うんだけど…」
「女の子だもの当然じゃない!それに向こうに着いてからの懇親会とかもあるだろうし、服は多い方がいいのよ」
そうだったのか…何とか断ろうと思ったけど理由があるならしょうがないな。
「ローズ先輩…大量には無理ですよ?」
「分かってますわ!」
せめてもの抵抗のつもりだったけど、ノータイムで答えてきた…絶対分かってないやつだな…
「タロウさん、カルミナ様おはようございます」
「おはようございます。」
「キスカさん、ハルベンデちゃん、怪我した時は救護班として助けてくださいね」
「任せてください!この日の為に薬草の準備もしてきました。」
キスカさんの薬草なら質は高いはずだから安心だね。
「あ、そうだハルベンデちゃん。少しいいかな?詳しい事は落ち着いてから話すけど降臨の必要がなくなった」
「タロウさん、どういう事ですか?」
ハルベンデちゃんにはハルミナ様を召喚してしまった経緯を伝えた。
「だから、勝手な事を言ってるのは分かってるんだけど、降臨術は完成しなくて良くなった。これからは回復魔法に専念して欲しい。もちろん光魔法に使ってしまった分の練習時間は俺も手伝うから。ホントにごめんハルベンデちゃん。」
ハルベンデちゃんは困り顔をした。それはそうか…本当に申し訳ない
「本当に練習付き合ってくれますか?」
「約束する」
「ハルミナ様…じゃなくてルミナス様に会わせてくれますか?」
「約束する!」
「私達は友達でいいんでしょうか?」
「あたりまえだよ、不安に思わなくていいよ。ハルミナ様を間に挟まなくっても俺達は友達だ!」
「それなら…全部許してあげます。」
「ありがとう、ハル」
メンバーも揃ったところでついに出発の時間になった。
ローズ先輩の服に少し時間をとられたが無事に出発できた。
王都からウォンド王国までは10日から14日くらいはかかる。
日々、冒険者が魔物や盗賊退治をしているとはいえまったく出ないということは無かった。
練習がてら代表選手で倒していく。みんなそれぞれパワーアップしているようだった。
「暇ね、タロウ」
「移動時間なんてそんなものだろ」
「なんか面白い事してよ」
「しょうがないな…召喚 ピヨリ」
『ピヨリッピ!』
「ひよこ!可愛いじゃない」
「ピヨリ、3回くるくる回ってピヨだ!」
『………ピヨ!』
「賢いひよこね!貸して貸して」
「ピヨリ、カルミナの相手をしてあげてくれ」
『わかったッピ!』
これで数日は持つだろう。次のやつ考えとかないとな。
それから旅路は順調で、12日ほどでウォンド王国に着くことができた。もう1つの国であるコフィン王国が来たら懇親会を行い、その次の日に開会式と1日目の試合があるらしい。
俺達が泊まる所はでっかい屋敷だった。とりあえず疲れを取るために寝ることにした。馬車で長距離の移動は思ったよりは疲れるのな。
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