第28話 タロウ、武道祭のルール説明される
よろしくお願いします!
「岩爆破!暴雷風!氷縛り!火炎弾!」
ちっ、こんなにやってもまだ回避されるのか!
「ルミナス、今度は上下左右から挟み込むぞ!」
『わかった。私は上下から。』
いつもの朝練をこなしていく。もちろん的はベリーさんだ。この人ホントに強いな…
この後も攻撃を繰り出したり防いだりしたが、結局いつものように攻撃をくらって吹っ飛ばされた。
『タロウ大丈夫ですか?ヒール。』
「ありがとうルミナス、もう大丈夫。俺達の連携は良くなってるはずなんだけどなぁ…ベリーさんにはまだ総合的に届かないね」
「学生のレベルじゃ無いような気がするでござる…。拙者も最近は気を引き締めないと危なくなってきたでござるよ」
魔法ならなんとかなっても近づかれた時の対処の仕方がまだまだだな。明日からは体術や剣術の訓練も増やすかな、武道祭までの授業は免除して貰ってるんだし、頑張らないと!
「ベリーさん今日もありがとう。明日からは体術と剣術での近接戦闘もお願いしますね、ではこの後予定があるのでお先に失礼します」
「分かったでござる!ビシバシいくでござるよ~」
明日からは吹っ飛ばされる回数が増えそうだなぁ…
◇◇◇
「すいませーん?タロウですけどー」
最近はお馴染みになってる掛け声からこのクエストは始まる。
アリッサちゃんとメリッサちゃんの事を託したご両親はすぐに練習へと行ってしまった。
「アリッサちゃん、メリッサちゃん。本来ならギルドに行くところなんだけど、僕ちょっと学園に行かないといけないんだ…申し訳ないけどギルドはその後でいいかな?」
「わかった!」「私達はお留守番ですか…?」
「2人を置いては行けないから、悪いんだけど一緒に行ってくれないかな?学園に」
「行っていいの!?」「大丈夫なのですか…?」
「うん!ダメだったとしたらお兄ちゃんの部屋で待ってて貰うことになるけど、たぶん大丈夫だよ」
2人は納得してくれたらしい。良かった。後でお菓子でもご馳走しよう。
「じゃ、さっそく行こうか。」
迷子になったり、はぐれたりしたら問題だから、僕たちは手を繋いで学園に向けて出発した。
◇◇◇
「ほら、2人共見えてきたよ~、あれが学園さ」
「わぁ!おっきい!」「すごいですね…」
「目的の場所は生徒会室で今日はちょっと話し合いがあるらしいんだ。そこでの話は秘密だよ?」
「秘密なの?」「どうしてです…」
「それも含めて後のお楽しみってことで、さっそく行こうか」
アリッサちゃんにドアをノックしてもらい、自分の名前を告げて、中からの返事を待つ。
「どうぞタロウさん。お待ちしておりましたわ。オーホッホッホッホッホ」
うん。いつもの会長だな。
ドアをメリッサちゃんに開けてもらい、中に入る。
「あら?タロウさん?隠し子ですの?オーホッホッホ」
「ちょっとタロウ!そそ、それってどういう事よ!」
いや、カルミナには昨日説明しただろうに…
「会長、どう見ても年が近いでしょうに…この子達は、クエストでお預かりしてる髪の長い方がアリッサちゃんで短い方がメリッサちゃんです。連れてきてしまったんですが大丈夫ですか?なんなら寮で待っててもらいますが…」
「いえ、その必要はありませんことよ。皆さんも大丈夫ですね?」
「俺は大丈夫だ」
「僕もですね」
「可愛い…」
「た、タロウ!紛らわしい事するんじゃないわよ!まったく」
「ありがとうございます。ほら2人とも挨拶して」
「あ、アリッサです…」「め、メリッサです…」
メリッサちゃんはいつも通りだけどさすがにアリッサちゃんも少し緊張しているみたいだ。
「礼儀正しい子達ですわね、タロウさんの横にでも座ってくださいね。」
「2人共、少しの間だけ待っててね」
「わかった!お兄ちゃん待ってる」「わかりました、お兄さんを待ってます…」
「タロウ!お兄ちゃんってどういう事よ!」
「落ち着けカルミナ…この子達は年下だ。なにも変なことはない」
「そ、そうだけど!ちょっと懐き過ぎじゃない!?」
「それじゃ会長今日はよろしくお願いします。」
「またあたしの事無視したぁ!」
生徒会長からの話は主に4つだった。
1つ目は、パレードの事。これは特に準備する必要はないが、朝から晩まで行うという事だった。そんなに長いのか…疲れるな。
2つ目は、武道祭の場所の事で、毎年場所を三国で回してるらしく、今年はウォンド王国となっている事。そこまで遠くはないらしくて今から楽しみである。
3つ目は、武道祭での戦闘の順番の件だった。三国の内二国が日に1度戦い、2勝すれば優勝が決まる。例えば1勝1敗で並んだとすれば補欠の1名による3人で同時の戦いになるらしい。
誰を最初にするか最後にするかとか、毎回順番は変えるだのでけっこう盛り上がった。最終的には生徒会長の独断で決めることになったけど。
4つ目は、戦う際のルールの様なものを説明された。
まず、魔剣の持ち込みは禁止だが使用は許可されている件について。つまるところ、自分でやる分ならOKという事だ。
次に、ダメージは結界を張れる魔法師によって、気絶以上のダメージは別の人形に移されるらしい。その人形が壊れるか負けを認めたらそこで試合終了となるらしい。大規模魔法もばんばん使えると知って少しテンションが上がってきた。
最後に毒や麻痺などの状態の異常については人形に移らない為に注意するようにと聞かされた。これが武道祭の試合についてのだいたいのルールらしい。
「皆さん大丈夫ですか?特になければ今日は解散ですわ、それでは各自練習に励んでくださいまし。」
会長の言葉でミーティングを終えて、各々が生徒会室を出ていく。
「待たせてごめんね、アリッサちゃんにメリッサちゃんも」
「お兄ちゃん…」「代表選手だった…?」
「うん、まぁね…別に隠してた訳じゃないけど言うタイミングも逃してたしね。とりあえずパレードまでは内緒にしてくれるかな?そこでお披露目って形になっているからさ」
「分かった!お兄ちゃんはやっぱりすごかったのね!」「分かりました…お兄さんすごいんですね…」
「じゃ、2人も納得してくれた所で今日の訓練に行こうか」
「ちょっと待ちなさいよタロウ!」
「どうしたカルミナ?俺達これから訓練なんだけど」
「私も…ついていくわ!私もタロウと訓練するのよ!」
「いや、俺は何もしないぞ?訓練するのはこの子達だし。まぁ教えてはいるんだけど」
「あんた自分の訓練はどうすんのよ!?代表なのよ?」
「それなら、毎朝ベリーさんに見てもらってから大丈夫だ。自分の方向性も分かったしな。」
「お兄ちゃん…」「私達おじゃまなんじゃ…」
ほら、この子達が気を使い始めちゃったじゃないか!良い子達なんだから不安になる事言うなよ、という視線をカルミナに送る。
「な、何よ…そんなに見つめて…//」
伝わってないのかよ!くっ、ポンコツめ…空気を読め空気を。
「大丈夫だよ、アリッサちゃん、メリッサちゃん。このお姉ちゃんも一緒に行きたいらしいんだけどいいかな?」
「お兄ちゃんが言うなら…」「私達は大丈夫です…」
「カルミナ、良いってよ。ほら、2人と手を繋いでみろよ」
「う、うん。アリッサちゃんにメリッサちゃんだっけ?私はカルミナよ。ただのカルミナだから。」
「ん~?」「……?」
変な挨拶するから2人共首を傾げてるじゃないか…。でも、こうして並ぶと姉妹に見えてくるな。みんな金髪だし。まぁ、ギルドに行くからカルミナの髪の色は変えるんだけどね。
「アリッサちゃん、メリッサちゃん。特別にお兄ちゃんの魔法を見せてあげるからね。ちょっとカルミナはこっちに来てくれ。」
「ほんと!?」「やったぁ…」
カルミナに髪の色を変える事をこっそり告げて、俺の目の前に立たせる。
「今からこのお姉ちゃんが僕の周りを1周すると変化するから見ておいてね。カルミナ頼む」
「じゃ、いくわよ!」
カルミナがゆっくり歩き出した。俺はカルミナが後ろに来たタイミングで偽装を使う。
「髪の色が!」「変わりました!?」
ふふっ、驚いてる驚いてる。サービスしなくっちゃね。
「カルミナもう1周頼む。」
「わ、分かったわ!」
次は青にその次は白にまたその次は金に戻す。2人とも驚いてくれていて本当に反応がいい。
「ちょっ、いつまでやればいいのよ!?目が回るんですけど!」
そうだな、そろそろギルドにも行かないとだし。最後に黒色にしてからギルドに向かった。3人で手を繋いで仲良さそうにみえる。うんうん、善きかな善きかな。
◇◇◇
「お、今日はクソお嬢ちゃんも居るんだな?…何だか姉妹みたいだな」
「さっき仲良くなってな。双子ちゃんも懐いてるようだし。じゃ、また泣きそうになる前に行きますかっと。」
「ねぇ、タロウ。いつも何の訓練してんの?」
「昨日からアイテムボックスの練習をね、2人の為になるし」
「ズルいじゃない!私にも教えなさいよ!」
「まぁ、教えるのはいいが習得出来るかは分からんぞ?」
「大丈夫よ、私は魔法に関しては凄いんだから!」
それは精霊が関われる魔法に関してだけだろ。アイテムボックスは自分の魔力を次元に繋げて広げる魔法だからカルミナでも難しいはずだ。その事については意味も無いけどあえて教えない。
「そうか、なら頑張ってみると良いさ。じゃ、説明するぞ」
◇◇◇
「はぁ…はぁ…」「…ふぅ…ふぅ…」「ちょ、ちょっとだけ…苦戦するわね…」
だいぶ苦戦しているようだな。少しでもイメージの足しになればいいけど…
「今ちょっと思い付いた事があるからやってみせるね。」
氷で、中がカラと言うか空洞になっている等身大の箱を作る。アイテムボックスってのはつまり次元に空間を作りだすって事が全てと言ってもいい。
「この氷の外側が次元へと繋がる空間だと思ってくれ。まずはこの空間に自分の魔力を繋げる」
氷箱の外側に手を着けて触れた部分に魔力を浸透させ、そのまま触れた部分の手を氷箱の内側へと押し通す。
「簡単なイメージとして使って欲しいんだけどどうかな?ほら、手首辺りがアイテムボックスの境界線になるんだけど…」
「私もそれで練習する!」「私も…」
「タロウ!私達の分の氷を出して!」
そっか、一旦こっちで練習してもらった方がいいかもしれないな。
「分かった!コツは何回も言うけどイメージだ。手のひらに魔力を集めて次元に繋げる。頑張ってね皆」
今日の残りは氷での練習になった。これでイメージは掴めると思うし、明日には成功させるかもしれないな。思ってた以上に早く習得しそうで何よりだな。
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