第27話 タロウ、自分の方向性を見つける
本日2話目です!よろしくお願いします!
今日は朝練の前に寮母のシャリーさんにパレードについて聞いてみたら、やっぱり王都にいる人なら当たり前に知ってるイベントだった。出場選手が屋根を外した馬車に乗り、街を移動するらしい。元居た世界にも似たようなのあったな。
「じゃ、シャリーさん行ってきますね」
「あいよ。気をつけて頑張んな」
◇◇◇
「ベリーさんはまだか…」
俺は昨日ベリーさんと行った草原でさっそく練習を始めた。
「召喚 ルミナス」
『おはようございますタロウ。』
「おはようルミナス。さっそくだけど魔法の組み合わせ技を練習していきたいんだけど大丈夫か?」
『かまいませんよ。タロウの力になれるのなら。』
「昨日少し考えたんだけど、水と土で泥魔法とか、水と雷とか、1人が防御でもう1人が攻撃とか。2人だと色々出来ると思うんだよね」
俺なら1人でも出来ない事はないけど、戦闘中に複数の魔法での混合魔法は少し集中力が必要だし、相手が近接戦を仕掛けてきたら余裕はなくなるだろう。だから混合魔法じゃないにしても、2人での魔法戦闘は強力になるだろう。
『ではタロウ。新技の開発を頑張りましょう。』
それから俺達は色んなアイデアを試した。ここで気付いた事だが、魔力の減りが倍近く早くなっていた。
俺の魔力を共有してるせいかもしれない…召喚術のデメリットだな。魔力が少なかったら使えなかった魔法だな。
「ルミナス少し休憩にしようか。少し考えをまとめたい」
『私もアイデアをだしましょう。』
2人で話し合うとアイデアが増えてきた。ルミナスに補助魔法や回復魔法をかけてもらう案、岩の中に風魔法を込めて破裂させる案、同種類の魔法を組み合わせて規模を大きくする案、ルミナスが予備のナイフに魔法を込めて使う案などけっこうアイデアが出てきた。後はひたすら息を合わせる練習をするだけだ。
「タロウ君、おはようでござる。ハルミナ様もおはようございます。」
「ベリーさんおはようございます。後…ハルミナ様にはござるじゃないんですね」
「当たり前でござるよ!失礼に当たったらどうするでござるか!天罰でござる、天罰でござるよ!」
『かまいませんよ。今の私はルミナスです。』
「かまわないそうですよ、自分はルミナスだからだそうです。」
「そ、そうでござるか…寛大なお方でござるな」
『タロウ。この子は強いですね、技を試させてもらいましょう。』
「そうだね。ベリーさん、すいませんが少し技を試させてください。」
「分かったでござるよ!訓練をするために私が来たでござるからな」
◇◇◇
「うーん、2つほど言いたいことがあるでござる」
ベリーさんに思い付いた技を試していたらそんな事を言われた。
「何でしょうか?」
「1つ目は、タロウ君の魔力の量おかしくないでござらんか?」
そういえば魔力が減ってる感覚はあるが燃費がいいのか、まだまだ余裕はあるな。色々訓練もしてきたし、魔力も伸びたのだろう。
「成長期だからじゃないですか?」
「まだ成長するのでござるか!?恐ろしいでござる!」
そうかな…?そういえば最近ステータスも見てないな。まだ入学してそこまで経ってる訳じゃなかったから見てなかった。
「ステータス」
タロウ=グラウェル 10歳
HP 650/650
MP 200/2200
眷族 ピヨリ ルミナス
MPが倍になってるだと…!!最近魔法使ってたし加護もあるからか?HPはそれほど増えてる訳じゃないし、魔力の伸びが凄いな。
『たぶん私もタロウの魔力を使っているからでしょう。魔力消費の効率はいいですが2人で使っていますので。』
そうか、2人で使ってるからか。ただでさえ加護で成長しやすい魔法関連がルミナスのおかげで2倍速か…
「ま、まぁそれは置いといて2つ目って何ですか?」
「2人の魔法は驚いたでござる。対人戦闘なら2:1の戦いと同じなわけででござるからな。」
「ありがとうございます」
「恐らく、武道祭用に技の開発をしていると思うでござるが、タロウ君は冒険者でござる。せっかくの魔法でござるから大規模殲滅魔法を考えた方がいいでござるよ。」
そっか…盲点だったな。どうも対人戦にしか頭を使って無かったみたいだ。魔物になら遠慮せずに大規模魔法を使える訳か。
「ありがとうございますベリーさん。どうやら頭が固かった様です。」
「大規模な魔法も、魔力に余裕があれば人に対して使ってもいいでござるからな。冒険者は死んだら終わりでござる。勝つこと、生きることには遠慮しちゃいけないでござる」
そうだ、俺は冒険者だ。たとえ人が相手でも自分が勝つ為、生きる為には全力を出さなければならない。
大規模な殲滅魔法か…魔力の量には自信があって魔力消費も抑えられる俺にはそっちの方が向いてるかもしれないな。
「ホントにありがとうございます!さっそくですが試していいですか?」
『良かったですね、タロウ。嬉しそうで何よりです。』
「大規模魔法を拙者にでござるか!?死ぬでござるよ!!?」
「オッケーが出たよルミナス、頑張ろう!」
『頑張りましょう。タロウ』
「話を聞くでござるよぉぉぉぉ!」
ベリーさんに爆発とか暴風とか質量での攻撃とか、散々試させてもらった。避けられるし、打ち落とされるし、反撃までくるからやっぱりベリーさんは激強だった。
◇◇◇
午前中の訓練でこれからの自分の戦い方が見えた気がした俺は満足して、午後の子守りクエストに向かった。途中で美味しそうなお菓子を見つけたのでご両親の分も含めて買ってきた。
「すいませーん、タロウですけど」
ガチャリと扉を開けてくれたのは双子のアリッサちゃんとメリッサちゃんだった。
「お兄ちゃんがきた!」「いらっしゃいです…」
「あらあら、タロウ君。今日もよろしくお願いしますね。」
「ええ、任せてください。あ、これ、美味しそうなお菓子を見つけたのでどうぞ」
「タロウ君、わざわざありがとうな。今日も娘達の事は任せるが…分かっているね?」
父親ってどこもこうなってしまうのだろうか?いずれ分かる日が来るかもしれない。
「分かってますよ。今日も練習頑張ってください」
「タロウ君、この人ね、娘達からタロウ君が凄かったって話を聞かされて張り切ってるんですよ?笑っちゃいますね~」
「お前、それは言わないでくれ!娘達の前では格好いいお父さんでいたいんだ!」
「はいはい、そろそろ行きますよ。タロウ君、お菓子ありがとね。では、頼みますね」
「はい、任せてください。行ってらっしゃいませ~」
「行ってらっしゃい!」「行ってらっしゃい…」
ご両親を見送ってから俺達もお菓子をムシャムシャした。
「2人共、今日は何かしたいことあるのかい?」
「技の練習を」「見てもらいたいです…」
ストイックだなぁ2人共。将来の為に頑張ってるんだから応援くらいしてあげないとな。
「分かったよ、今日もギルドの訓練場のスペースを借りさせて貰おうか。」
「お兄ちゃんアドバイスしてね!」「お願いします…」
「じゃ、さっそく行こうか」
◇◇◇
「おう、クソ坊主。また来たのか」
「ギルド長…汚い言葉はやめてくださいよね。それとたぶんずっと来ますよ?この子達が訓練に夢中みたいですし」
相変わらずギルド長が怖いのか、俺の後ろに隠れてしまっている。
「そうかそうか、それは良いことだ!頑張りなお嬢ちゃん達」
「「………」」
応援されているのに顔だけで泣きそうである。可哀想なギルド長…
「さ、さあ行こうか2人共。」
さっさとギルド長の前から連れてってしまおう。可哀想だしなギルド長も双子ちゃんも。
「お兄ちゃん私達にポケットからクッキーだしてたやつ教えて欲しい!」「私達もあれを覚えられたら…」
アレか…ただのアイテムボックスだけど覚えるのはイメージ力が必要だし少し難しいかもしれない……
「実はアレ、ただのアイテムボックスってスキルなんだよね」
「そんな使い方が!?」「あったのですね…」
どうやら旅の芸人一座の中には、移動する際に荷物をしまう用にアイテムボックスを覚えてる人がいるらしいが、その人は荷物係で出演者じゃないらしく、アイテムボックスの事を知ってはいるが思い付かなかったみたいだ。
「アイテムボックスって実はイメージが掴みにくくて、覚えるのが大変なんだけど……やる?」
「やる!」「やりたいです…」
ホントに頑張る子達だな…せっかくだし時間も少しあるから教えてみよう。今すぐに覚えなくてもそのうち習得ができるかも知れないからな。
「分かった!じゃあ練習をしよっか。だけど時間が足りなくて覚えきれないかもしれないことは覚悟しておいてね。」
「よろしくお願いします!」「お願いします…」
さ、どこまで出来るか分からないけどやってみますか!
◇◇◇
「今日はここまでにしよっか。」
「はぁ…はぁ…」「全く成功しなかった…」
俺と違ってこの子達に次元の説明だけでは少しイメージしずらかったかもしれないな。もっといい方法はないかな…
「お疲れ様。ね、難しいでしょ?明日はもっと分かりやすく説明出来るように考えておくから、また頑張ろうね」
「はい…」「頑張ります…」
くたくたになった2人を連れて今日は帰宅した。帰るとご両親はすぐに帰って来ていた。2人は帰るとすぐに寝てしまったので今日の様子を報告して俺も帰ってきた。
「タロウー!丁度いいところに」
寮へ入ろうとした時に声が聞こえてきた。
「カルミナか、なんか久しぶりだね」
「ふ、2日くらい会わなかっただけで大げさね!」
「それで、何が丁度良かったんだ?」
「そうそう。明日、午後からまた打ち合わせがあるらしいから生徒会室に集合よ!」
マジかよ!午後は子守りクエストがあるんだけどどうする?アイテムボックスの訓練に付き合う約束もあるし…でも、生徒会の方優先だよな普通に考えて。はぁ…どうしよう?
「どうしたのよタロウ?浮かない顔して」
「いや、今クエスト受けててな…」
「それってどういうクエスト?来れないの?」
「いや、子守りクエストだから来れない訳じゃないんだけどどうするかなって。」
「そういう事ね!簡単じゃない、連れてくればいいのよ!」
「は?いいのか?それって」
「きっと大丈夫よ!ただの打ち合わせなんだし。あの人達なら分かってくれるわよ」
「それも…そうか!ありがとうカルミナ!やっぱ頼りになるな」
「あ、当たり前じゃない!私にもっとかんし「じゃ、また明日なカルミナ!」…って!最後まで聞きなさいよー!」
カルミナに聞いて貰ってよかったな。アイテムボックスの練習の時間は少し減るけどそこはお菓子と謝罪で許してもらおう!…許してもらえるかな…?
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