第22話 タロウ、勝ちには拘るが方法には拘らない
戦闘シーンってどう書けば伝わるのですかね?模索中です。(´・ω・`) よろしくお願いします!
そろそろ1回戦が始まる時間のようだ。参加する人が多いという事もあり、戦う場所が外の運動場で2組、学内の魔法訓練場という場所で2組ずつ行われ、3回戦からは運動場で1組ずつの対戦となる。結構すぐ順番が回って来そうだ。一応1回戦が終わる毎に休憩を挟むらしいが消耗し過ぎたらキツいかもしれないな。
運動場の方へ来たら既に対戦相手が待っていた。
「おい貴様!さっきはよくも無礼を働いてくれたな!皆の前で恥をかきたく無ければさっさと降参するんだな!」
「1年同士の試合とか知り合い以外に誰が来るんだよ…そう張り切るなって」
「くっ…とりあえず貴様は倒す」
「まぁ、少し待てよ。俺の特技の1つをみせてやる。」
「特技だと?面白い…みせてみろ」
いつまでそのよゆうな顔が出来るか楽しみだな。鑑定…黒歴史
「なるほどなるほど。そうかそうか。」
「いったいなんだ!何をした!」
俺はこいつだけじゃなく周りの人にも聞こえるくらいの声を出した。
「へぇ、自分の家に仕えてるメイドさんの下着を盗んだのか!ほうほう、若い子のみならず歳上のメイドのものまで…」
「き、貴様!なぜそれ…あっ」
周りの人に数少ない客がひそひそ話をし始める。
「ええと、他には…決め台詞があるのか。俺という正義の前では悪は栄えない!って?プークスクス、下着を返してから言えってのー」
「貴様!デタラメを言うのはやめろ!やめろ!やめろ!」
さっきの下着の件も含めてひそひそ話が次第に大きくなっていく。
「あ!こんなのもあるのか!」
「やめてくれ!謝るから!謝りますから!」
「謝罪はいらないから降参してくれ」
「降参しますぅぅぅぅぅぅ」
ふぅ、悲しい戦いだったね。
「カルミナ!勝ったぞ」
「タロウ…あんたが言ってた秘策ってこれか!卑怯過ぎんでしょうが!!」
「戦いとは常に勝つか負けるか…奴は精神が負けてしまったんだよ…」
「あんたまさかこの先も…」
「戦わずして勝つ!出来たら最高じゃないか!」
「私、あんたと同じグループじゃなくて良かったわ…」
その後もグチグチと卑怯やら正々堂々戦いなさいと言われたが行けるとこまでは色んな手を使って勝とうと思っている。どうせ姉様とかには通用しないからな。
1回戦が終わるのにはまだ少し時間外かかりそうだから視察にでも行こうとしたが、姉様やウルフィン先輩の試合が終わっていたので休む事に変更した。次の試合に呼ばれたのはそれから20分後だった。
2回戦目は魔法訓練場の方になった。この場所はとにかく広くて高さもある。魔法を使うには最適な所だ。どうやら2回戦の相手は女の先輩らしい。
「あなた、1年生ね。悪いけど全力でいくわ!」
「お手柔らかにお願いしますね…先輩!自分の得意技見て下さいっす!」
どうするか?さすがに黒歴史を女の子に使うのは気が引けるな…
あれでいくか。鑑定…心の傷痕!
なるほど。小さい頃に旅行先のキャンプ場で蜘蛛や蛇が押し寄せて来てそれからダメになったのか。
「それではいきますよ!氷魔法創造スネーク!土魔法創造スパイダー」
ヤバい。先輩の顔が思いっきり引きつっている。どうやら苦手らしいけどギリギリ降参はしないようだ。俺は畳み掛けるように、そこそこのデカさの蛇と蜘蛛を量産した。
「先輩、僕の得意技の創造です。おきに召していただけましたか?行きますよ?この蜘蛛や蛇が先輩に行きますよ?」
「降参すりゅぅぅぅぅぅぅ!」
すぐに魔法を解いて蜘蛛や蛇を消してあげた。泣いちゃってるもん。追い討ちをかけるほど鬼畜ではないのだ。ふぅ、またしても悲しい戦いだった。
「カルミナ!勝ったぞ」
「あんた、神聖な大会の代表を選ぶトーナメントなのよ?ふざけてるの?」
「彼女は過去の恐怖をまだ越えられていなかった…悪いのは俺じゃない」
そう。怖いものがあるなら、越えていかないと人は強くなれないのだ。仕方ない事。仕方ない事なのだ。
2回戦も終わりだんだん人が減っていく中で3回戦に出られた1年生は俺だけになっていた。やはり入学したばかりの1年生じゃ歯が立たないのだろう。
「タロウ、3回戦からは1組ずつだからみんなに観られての試合だけど大丈夫なの?」
「大丈夫だ!やることは変わらない!」
「いや、変えなさいよ!」
カルミナにツッコミを貰ったところで3回戦の出番がやって来た。相手は4年生の男子生徒だ。杖を持っているから魔法主体の先輩かな?
鑑定…黒歴史 うーん。使えそうなのはないかな。
鑑定…心の傷痕 うーん。こっちも微妙な…
2つを使えばどうにか少し削れはするかな?
「先輩。ちょっと見てもらいたいモノがあるんですが?」
「どうした1年。油断を誘っているのか?」
「いえ、ちょっと"僕の作った最強の美しいゴーレム"です」
「…!!?そ、そうかせっかくだから見てやろう」
俺は失敗作代表の虫の様なゴーレムを作り上げた。
「いやー、これは母親をモチーフにした作品なんですがどうですか?」
「な…なかなか味があっていいんじゃないか?」
「そうですか。なら先輩にプレゼントしますよ?ぜひ先輩の"お母様"に差し上げてください。きっとこう言ってくれますよ?"まるで芋虫ね"って」
周りの人からすれば俺がゴーレムの製作に失敗したのになぜどちらも動かないのかと思われてるだろう。先輩はものすごく動揺しているだけだ。
「先輩、そろそろ戦いましょうか!」
「いや、待て、お前…どこでそれの事を…」
「内緒です!僕の特技の1つは情報収集ですから。行きますよ!アイスピラーズ!」
本来は氷のトゲを出して相手に刺すアイスニードルを使うんだが、さすがに危ないので鉄柱の様な柱タイプにして放った。先輩も動揺していたが慌てて防御の体勢をとる。
「ファイアウォール!」
溶かされたか。なら物量で押しきる!
「アイスピラーズ!ロックピラーズ!エンチャント風!」
空中に氷と岩の柱を出し風の力を付与して加速させる。
「クソッ…ファイアウォール!ファイアニードル!」
先輩も魔法で防御、迎撃を試みたが本来の威力を出せてないのだろう。防ぎきれずに防御を貫通した攻撃が腹部に当たり気絶してしまった。
「おい!1年生が勝ったぞ!」
「氷と岩の魔法でファイアウォールを突破させたぞ」
「やられた方も魔法に関しては凄い奴だったんだがな…」
さすがに3回戦を勝ち上がれば注目されるな。だが目標はグループトップだ。動揺させたことは許してくれ先輩。
「タロウ!最初変なゴーレム出した時にはまたふざけてるのかと思ったけど、今回はちゃんとしてたじゃない!」
「あ…ああ!たまにはちゃんとしておかないとあらぬ疑いをかけられるからな」
この後、4回戦、5回戦と相手のトラウマを抉る戦いを見せたタロウはいつしか精神干渉系の魔法使いという認識が広がっていた。
「次は準決勝で姉様か、順当だけどやりづらいなぁ」
「もう少し何だから頑張りなさいよタロウ!ほら、キスカとハルベンデも救護の仕事を終えて応援に来てくれたのよ!」
「タロウさんやっぱり凄いです!が、頑張ってください!」
「応援してる。頑張って。」
「ありがとう皆!行ってくるよ」
姉様とは3年振りにこの学園で再会した。どれだけ強くなっているのかは想像出来ないな。5歳の頃に見せて貰ったステータスから考えても強くなってるはずだ。今回は真面目にやらなきゃな。
◇◇◇
準決勝で1年生対3年生なんて試合は今までに無かったらしく、かなりの人が観戦に訪れている。それに2人が姉弟という事も広まっていて会場は盛り上がりを見せていた。
「タロウちゃんならここまで来ると思っていたよ!」
「僕もですよ、姉様と当たる事は覚悟してました。」
「いくらタロウちゃんでも負けてあげないからね!風紀委員としても姉としても負けられないのよ!」
「僕も姉様が居ない間に修行を積んできました。勝つ気でいきます!!」
姉様の得物は棍棒だ。対して俺の得物は剣と短剣を所持してる。とにかく懐まで入る為に特攻をしかけた。
「はぁぁぁぁ!」
「甘いよタロウちゃん!」
振った剣をいなされ、回し蹴りが腹に入り少し後ずさった。姉様は体術も出来るのか…だが、負けない。
俺は剣を振り、近接ファイターの様に攻め続けた。俺を知ってい人ならば離れて魔法を使わない事に違和感しかないだろうが攻め続けた。
「はぁ…はぁ…やるね…タロウちゃん!」
「くそ…後一歩が攻めきれない!」
姉様はこれでも魔法もかなり使える。今さら離れて魔法戦に持っていっても体力を回復されるのがおちだな。…決勝まで取って置きたかったが姉様相手じゃ使わざるを得ないな。
「剣 エンチャント氷 効果 氷結の冷気」
俺の剣の刃から冷気が流れ出す。
「はぁ…タロウちゃん?何かなそれは?」
「姉様を倒す為の秘策ですよ。いきます!!」
姉様に向かい走りだし、剣を振りかぶる。姉様が棍棒で防ごうとするが俺の狙いはその武器だ。
パキッ…パキ…パキパキパキ
「なっ!?私の武器が氷っていく…!?」
「剣 エンチャント岩 効果 刀身強化!」
「はあぁぁぁぁぁ!!」
パキンッ…
凍りついた姉様の武器を真っ二つに叩ききって剣を突きつける。
「姉様、僕の勝ちです。」
「タロウちゃん、強くなっているのね…私の負けよ。降参です。」
わああああああああ
会場がこの決着に盛り上がりを見せた。
カルミナとハルベンデちゃん、キスカさんが駆け付けてくれた。
「タロウよくやったわ!」
「タロウ凄い。」
「おめでとうございますタロウさん。」
「ありがとう皆、つ、疲れたぁー」
「ねぇ、タロウちゃん?私に手加減してたの?」
姉様がそんな質問をしてきた。カルミナや他の2人も聞いてくる。
「タロウ、全然魔法使わなかったじゃない?どういう事?」
「そういえばそう。」
「確かに、タロウさんは魔法の方が得意だったはずですが…」
手加減なんて滅相もない。姉様相手に今の剣の技術がどれだけのモノか確かめたかったのもあるけど1番はそれじゃない。
「僕が本気で魔法戦したら姉様相手じゃ手加減は出来ませんからね。姉様を怪我させる訳にはいきませんので、全力でいける近接戦にしたのですよ。」
俺の回答に姉様だけが感動していた。他の3人、特にカルミナは
「その優しさを初戦から見せなさいよ!」なんて言っていたが姉様だから優しくするのである。
意外と俺はシスコンかもしれないな。
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