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タロウ冒険記  作者: じょー
第2章 タロウの学園生活
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第21話 タロウ、新技術を手にする

本日2話目です!よろしくお願いいたします


Aランクの冒険者ベリーさんは滅茶苦茶な強さだった。刀を使えば目にも止まらぬ抜刀で反応が追い付かないし、魔法を使えば闇魔法で自分の姿を消したり相手の視界を塞いだりとBランクとはかけ離れた強さだった。とにかく自分の技術の使い方をよく研究しているのが分かる戦いだった。ぼこぼこにされたが得るものもあったからよしということにしておく。



「はぁ、ハルベンデちゃんにこっそり回復魔法をかけて貰ったけどまだ痛むなぁ~、あれでまだ本気じゃないとかベリーさん若く見えるのにどんな修行したんだよまったく…」


一人でぶつぶつ言いながら教室に向けて登校していると、キスカさんが声を掛けてきた。


「おはようございますタロウさん。」

「あ、おはようございますキスカさん。」


いつものように挨拶をしてキスカさんの常識人なところに感動していると、こんな話をしてきた。


「そういえば、タロウさん知っていますか?校内トーナメントの事」


「校内トーナメントですか?えーっと、ちょっと分かんないですね…何のトーナメントなんですか?」


「年に1度の周辺国家の学園の代表が集まっての学園技術発表会、通称【三国武道祭】の代表選手を決める校内トーナメントですよ!」



三国武道祭…知らない単語ですね。話を聞くと、この王国を含めた協力関係にある3つの国が年に1度の交流をはかる為のイベントらしい。この国にも学園はいくつかあるが代表の学園は決まっていて、この大会に出たいが為に入学する生徒も少なくないらしい。

どおりで人の多い学園な訳だ。


「代表選手になって、活躍すれば将来は色んな所からお声がかかるらしいですよ?タロウさんは出ないのですか?」


「え?それって1年生でも出られるんですか?」


「トーナメントさえ勝ち残れば大丈夫らしいですよ?代表選手は5名に補欠が1人なので5グループに別れてトーナメントをして、

それぞれ1位になった選手とそれに次ぐ実力があると思われた1人が代表に決まるようですよ。もう既に出場登録をしてる1年生もいるみたいですし」


「説明ありがとうございますキスカさん…まぁ、今回は別にいいですかね~」


「そうですか…タロウさんなら勝ち残れると思ったのですが…」


そんな会話をしていると後ろから誰かが走って近づいてきた。



「タロウ!あんた知らないと思ったから出場登録しといたわよ!校内トーナメントの!一緒に勝ち上がりましょ!」


ポンコツゥゥゥゥゥゥ!!何してくれてんの?何やらかしてくれてんだよぉぉ!



「おま…何勝手にやってんだよ!?」


「い、いいじゃない!イベント事は楽しまなきゃ損じゃないの!」


登録の取り消しは出来ないらしく、否応なしに参加が決定してしまった。トーナメントまではあと1週間しかないらしいが授業は午前中だけで午後からは自主トレに当てていいみたいだ。



「た、タロウさん……頑張ってくださいね、代表に選ばれたら他国までいけるみたいですし、私応援してます!」


「え?他国に行けちゃうの?ホント?おぉ…いい情報ありがとうキスカさん!」


一気にやる気が出てきた俺は放課後ベリーさんに鍛えて貰う事にした。行ってみたいじゃない?他国。


「カルミナ、ベリーさんに鍛えて貰うぞ!絶対代表になるからな!」


「急にどうしたのよ?でもそうね、絶対勝つわよ!」


それから授業中も新しい魔法を考えてみたけどなかなか上手く考えが纏まらずに放課後になった。



◇◇◇



さっそく冒険者ギルドに来てベリーさんを探した。


「ベリーさん居ないわね…」

「そうだな、今日は来てないのかもしれないな。今日は自主トレにしておくか?」


「せっかく来たのだもの誰かに相談してみましょうよ。」

「ハルベンデちゃんはどうする?トーナメントには出ないんだろ?」

「ええ、出ませんが、出来るなら皆さんについていきたいです。」



「おーいクソガキ共、何してんだ?クエストかー?」


ハゲか…これでもギルド長なんだよな。一応


「ハ…ギルド長、ちょっと相談あるんですけど」


「おいクソ坊主、またハゲとか言おうとしただろ。俺の名前はハーゲルだ!…んで何だ?相談てのは」



やっぱりハゲじゃないか…


「三国武道祭って知ってるか?」


「もちろんだ。でっけぇイベントだからな。それがどうした?」


「1週間後に校内トーナメントがあるんだけど、今のままだとカルミナがヤバそうだから特訓しようと思ってベリーに頼みに来たんだが見当たらなくてな。」


「何で私だけなの!タロウも出るでしょ!?」


俺には秘策があるからな。グループの決勝くらいまでならそれで行けるだろ。



「クソガキ共、お前ら、自分に足りないと思う物は何かあるか?」


「俺はオリジナリティのある魔法と近接戦の技術」

「私はやっぱり魔法の威力かしらね」


「そうか。なら、俺がお前らに教えてやるよ」


「ギルド長が自らか?いったい何をするってんだ?」

「ベリーさんはどこ行ったのよ!」


「まぁ、落ち着け。俺が今から教えるのモノはお前らにとってもプラスになるぞ。お前ら知ってるか?魔剣は作る時に1つの魔法を付与してるから魔剣って言われてるよな?」


「それくらいはな。俺も1本持ってる」

「私も持ってるわ!」


「でもそれじゃ正しくはない。付与しているのは各属性の魔力だ。そこで聞くが、既に出来上がりの普通の剣に属性魔力を付与するとどうなると思う?」


「そんな事出来るの?それって、普通の剣を魔剣にしてるということよね?」



どういうことだ?例えば、剣を作る際に火属性の魔力を注ぐと魔剣になる。じゃあ、普通の剣に属性魔力を注ぐと…


「一時的に擬似的な魔剣になるのか…?使える属性の多さによっては魔剣を越えることもある…?」


「坊主のでほぼ正解だ。俺達が魔剣使いと呼ぶ者達は作られた魔剣ではなく、自分で付与しながら戦う者の事を指す。作った魔剣を使ってる奴の事はただの魔剣持ちだな。」


「それって一般的なのか?」



「使える人間はそう多くはない。訓練してみたら分かるが、魔法の才能が無ければ難しいだろう。剣を魔力で覆う魔力操作の技術、それを属性変化させる技術。そしてどれだけ無駄を無くし威力を底上げできるか。主なのはこの3つだ。いつもの様に魔法を使うのとは勝手が違くていつまでもコツを掴めない者も多い。お前ら…それでもやるか?」




「安心しろギルド長。俺は魔法の才能に関してはそこいらの奴とは比べ物にならないくらいには豊かだぞ」


「私も魔法の威力は弱いけど魔力の扱いに関しては自信しかないわ!」


俺達は魔法の才能に関しては飛び抜けている。経験が足りないだけだ。


「はっ!そいつはけっこう!さっそくやるぞ!そっちのお嬢ちゃんはどうする?」


「私は自主トレをしています。」


ハルベンデちゃんはマイペースだね。



◇◇◇



俺達はギルド長に訓練場まで連れてかれた。


「坊主は剣、嬢ちゃんは槍だな。とりあえず見本を見せるからまずは見とけ」


ギルド長は正面に剣を構え深く深呼吸をしながら集中し始めた。

俺は鑑定を使い魔力の流を視た。魔力がギルド長の体を覆い、手元から剣の先に向かって流れ始めた。まったくの淀みもなくとてもスムーズで綺麗な魔力の流れだった。


魔力の色が白っぽい透明から緑色に変化した。


「風よ!!」


ギルド長が剣を振るだけで風が吹き荒れる。


「なんて威力だよ…」

「中級魔法より強いわよ!?」



「分かったか?これが魔剣使いってやつだ。お前らにぴったりだろ?」


「ああ!早くコツを教えてくれ…いや、ください!」

「よろしくお願いします!」


「やる気が出てきたみたいだな!まずは魔力で体を覆うとこからだ!」


それから何時間もひたすら特訓した。魔力操作や属性変化は俺もカルミナの2,3回のチャレンジで会得できた。ハゲ驚いてたな。問題は威力が低いことだけだった。まだ無駄のない魔力コーティングが出来ていない。


「ふぅ、無駄を無くすのがムズいな。ここままだと俺の場合、普通に魔法を使った方が早いし強い様な気がする」


「私はこれで、これまでより戦術が広がった気がするわね!近づかれた時に、槍だけだと突く事と払う事で距離を取ってたけど近づいかれても魔法を放てるのはだいぶ違うわ!」



俺は基本後衛からの魔法戦だ。相手が同じならいいが、ごりごりの近接ファイターならどうするか考えたらいいんじゃないだろうか?土魔法で一撃の威力を上げたり、氷魔法で相手の動きを遅くしたり…とかか?距離をあける為か倒しに行くときの為かの動きの研究が必要だな。




「驚いた事にホントに基礎はできちまいやがったな……魔剣は魔法と同じく応用が効く、いろいろ試してみるのが1番だ」



「「ありがとうございました!!」」


俺達は新しい技を手に入れてひたすらそれの研究に時間を費やした。途中からベリーさんに稽古を付けて貰ったり忙しい時間となったが、全魔法適性のある俺にとってはかなりプラスになる技術だったし剣の熟練度も上げれて一石二鳥だった。




◇◇◇



「1週間なんかあっという間だったなぁ」

「そうね、でもかなり強くなれた気がするわね!」


本日から校内トーナメントが始まる。最終的な出場登録者数は640人と、学園のほとんどの生徒が参加している。本気な者もいればどこかお気楽な気分で参加した者もいるだろう。1グループ128人の5グループに別れて1日1グループの計5日間の勝ち抜き戦が行われる。代表は5人と補欠1人なのでグループの決勝まで行かなければ話にもならない。体力を如何に温存して戦うかがカギになってくるだろう。


「カルミナとは別グループだな。」

「ホント良かったわ!とりあえずタロウとは戦いたくないもの…」



今のお前なら俺も苦労するな、なんて思いながら俺が振り分けられたAグループのトーナメント表を見る。さすがに全員は調べられなかったが、学園の中で名が知れてる生徒についてはリサーチ済みだ。勝ち進めば準決勝で、なんと姉様と当たる。3年生で風紀委員の副委員に抜擢された実力は相当だろう。姉様に勝てたとしても決勝では5年生の中でも実力はあるが粗暴で有名な狼人のウルフィン先輩と当たるな。魔力は少ないがスピードとパワーを活かした近接ファイターらしく新技術のお披露目には丁度いいかもしれない。



「俺のところは姉様とウルフィン先輩くらいかなぁ」

「私のとこ…Cグループですけど、決勝で生徒会長とあたるわね…」


聞いた話じゃうちの生徒会長は6年生の女性で文武両道で戦闘技術も高く人徳もあるらしい。カルミナ…頑張れ!



「おいおい、Bクラスの奴が決勝までいくらしいぞ…これは面白い話だなぁ!」

「Aクラスでもないの張り切ってますね…ククク」



「誰よ!!……えっ、ホントにだれ?」

「カルミナ、お前の知り合いじゃないのか?」


「知らないわね…タロウの方こそ知らないの?」

「いや、記憶にございません」



「知らないだと!お前ら1回戦の相手くらい調べておけよ!あと、姫様には会ったことある!」


決勝までサクッと行く予定だから強そうな人しか調べて無かったな。


「それはすまんな…で、一体誰なんだ?」


「俺は1年Aクラスのウォール=ペンド。伯爵家の跡取りだ!」


「同じくAクラスのイータ=ヤンス。男爵家の跡取りです」



「そうか…こちらに在らせられますのは第2王女カルミナ様ですよ!あなた方には礼儀というモノはないのですか!何ですかその不躾な言い方は!場所が場所なら首切りですよ?」



とりあえず脅しておこう。カルミナがあんたが1番敬いなさいよとか言っているが気にしない。



「こここ、ここは学園だぞ!じ、実力が全てだ!」



「そうですね。ええ…確かにそうです。なら、1回戦を楽しみにしていますよ。えっと…ウォーターボールさんとイタイデヤンスさん。」


「違う!ウォール=ペンドだ!貴様が1番不敬だ!許さんからな」


「わ、私はイータ=ヤンスだ!」


そう言って2人はどこかへ去っていった。10歳の軽口なんて軽くあしらうのが吉だよな。さて、そろそろ準備しますか!



「今日はAグループだから…タロウ!頑張んなさいよ!」


「任せとけ」



とりあえずやれることをやるだけだ。




誤字脱字報告ありましたら報告お願いいたします。

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「転移したよ in 異世界」 http://ncode.syosetu.com/n1888eg/ という物も書いてます!よろしくお願いします。 こっちはラブコメです! https://ncode.syosetu.com/n7917ej/ よろしくお願いします!
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