第2話 太郎、転生
本日2話目です。よろしくお願いします。
「ここは…」
目をあけると白い部屋にイスと机が置かれていた
「吉田太郎さんですね?」
美しい声色に負けないくらい美しい容姿をした人がいた。
「はい、そうですが…ここは?」
なんとなくは察している。恐らく死後の世界というやつだろう、ここで天国か地獄かに振り分けられているのかも知れない。
「想像通り死後の世界で間違いありません。が、天国か地獄かではありません。基本的には別世界への転生となっています。」
「基本的には?」
「はい、そこら辺も含めて説明をさせて貰います。どうぞ座ってください。」
俺はイスに座りこの美しい人…神らしいが、とりあえず説明を聞いた。
30歳に満たない人間は天国か地獄かという選択肢はなく皆別世界への転生と決まっているらしい。
ただ、死んだときの肉体の損傷具合によって転移も可能らしいが俺の場合は無理らしい。痛すぎたもんな身体中。
そして、別世界に行ったからといって特別な何かをして欲しいとかはないらしい、ただ、早くに死んだ人に対しての措置的なものらしく、もし次の別世界で死んだら若かろうと次は天国か地獄かに送られると言われた。
「話は分かりましたけど、別世界ってどんな世界なんですか?」
「剣と魔法があり、魔族に亜人、様々な種族がいる世界ですね。」
ネットでそういった類いの小説を読んでたから話はすんなりと入ってきた。
「ただ、この世界では命の価値はとても軽いです。魔物もいますので力なき者は簡単に死ぬ世界です。」
「他の転生者もいたりするのですか?」
これは聞いて置かないといけない質問だと思っている。
「居ますよ、ですが少人数です。いろんな世界へと行って貰っているので。」
居るらしい。会いたいような会いたくないような気分だな。まぁ無理して探そうとはしなくていいな。
「ただ、転生した者が前世の事を覚えているかは分かりません。」
おっと、重要な事を聞いたな。
「どういうことでしょうか?転生させて貰えるのに記憶がないというのは」
困る。非情に困る。転生といば、前世の記憶がセットみたいなものだというのに
「もちろん理由はあります。記憶の有無は前世での行動…犯罪歴に左右されます」
少し納得した。別世界で暴れられても困るのだろう。
「太郎さんに関して言えば問題ないかと思われます」
内心ガッツポーズだ。
「では、そろそろ別世界に行ってもらうにあたり加護を授けたいと思います」
おっ!お待ちかねのチートを貰えるのか!
「どういったものが貰えるのでしょうか?」
「あなたの生前の行いによって与えられる能力の個数や強さはかわりますが、太郎さんの場合は問題も特にありませんし平均よりは良いものが与えられると思いますよ」
ちょっとホッとした、能力は選べないらしく世界を渡る時にランダムで与えられるらしい。
「能力を与えた者の中には自分の力に溺れ、暴君と化す者もいます。太郎さんがそうならない事を願っていますね」
神からの忠告に関しては忘れないようにしておこう。強い能力を与えられてたら増長してしまいそうだ。
「はい。自分を見失わないよう気を付けます」
「では、そろそろ世界を渡って貰いますが大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございました。とりあえず事故で死なないようにはしていくつもりです。」
神が何かを唱えると少しずつ意識が薄れていく
「あなたにとって良き人生を……」
うっすらとしか聞こえなかったがとりあえず頑張っていくことにした。