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タロウ冒険記  作者: じょー
第5章 VS 魔族編
143/148

第143話 カルミナ、いざ出撃

お待たせしました(´Д`)


よろしくお願いします!



窓から飛び出した私は、アトラスにタロウへの伝言を頼んだ。

内容は二つ。一つは敵が攻めて来た事により戦闘へ参加してから帰ること。もう一つは、婚約の許可を取った事だ。



『今度挨拶に……って言ってるぞー。あと、向こうでも戦闘が起こったみたい~』

「ありがとうアトラス。タロウが居るならグラウェル領は大丈夫でしょうね。私達も行くわよ!!」



まさかタロウの方にも敵の侵攻が行ってたとは思わなかった。でもタロウなら大丈夫……と、気合いを入れながら私達は王都の外へと急行した。



◇◇◇



「魔法部隊は先制攻撃の準備に入れ!! 一気に削るぞっ!! その後に突撃する、ぶっ殺してこい!!」


「「「おぉぉぉ!!」」」



冒険者達が声を上げている。



「部隊毎に隊列を守り訓練通りに敵を殲滅せよっ!! 騎士の誇りを通してみせろ!! 王都を守るぞっ!!」


「「「はっ!!」」」



騎士団や魔法師団は隊列を組んで整列し、声を揃えて士気を高めていた。


それを上空から眺めているが……冒険者達の士気を上げているがギルド長かもしれない。上からみて一番禿げているから。

ピヨリの影でこちらに気付いている人がポツポツと居るみたいで、何人かは声を上げていた。



「ピヨリ、攻撃されない内に降りましょうか。……そうね、冒険者達と騎士団の中央の空いてる所で良いわ」

『ッピ!!』



ゆっくりと旋回しながら地面へと近付いていく。弓を構えている冒険者、距離を保つ騎士団。様々な動きを見せるなか、私はピヨリの背中から飛び降りた。



「カルミナ=ルールトが告げる!! 正面からやって来る敵を殲滅しなさい!!」



場は静まり帰る。流石にそうか、いきなり降り立った者が急に何を言い出しているのか状態だろう。見た目もだいぶ変わってしまった訳だしね。

誰か一人くらい知り合い……何となくギルド長は嫌だから他に知ってる人が一人でも居れば良いのだけど。そういえば……タロウのお兄様が一人騎士団に入っていた筈よね?



「カルミナさん!!」



予想外な事に声が聞こえて来たのは冒険者側からだった。

私が振り向くと二人の女の子が私に向かって走ってくる。

一人は水色の髪に大きめなカバンを肩に掛けた女の子。もう一人は白色の髪にローブの姿、先端が刺々しいメイスを持った女の子。二人とも、知っている子だ。



「キスカ!! ハルベンデ!!」

「あぁ……良かった。良かったよぉ!! またお会いする事が出来て、良かったですぅぅぅ!!」

「お帰りなさい」



五年前はどう呼んでいたかも忘れてしまっているが、大人びた二人にちゃん付けは無いだろう……だから、とりあえずは名前で呼んでおく。

キスカが涙目を浮かべて再会を喜んでくれている。ハルベンデは相変わらず表情に出ないから読み取りにくいけど……たぶん、再会を喜んでくれているのだろう。私だって嬉しいもの。



「ただいま。でも、再会を喜ぶのはここまでよ。魔物や魔族が迫って来ているわ……覚悟は出来ているのかしら!?」

「えぇ!! 私とハルベンデさんはちょっとしたものなのですからっ!! では、久し振りに……『補助魔法 能力向上』。私は後方支援がメインですので、よろしくお願いしますね!」



身体の内側から力が湧いてくる。キスカの魔法も強くなっているのね……これは、一つ先制攻撃を決めなければいけないわね!!



「おいっ!! 敵が見えて来たぞっ!!」



誰かの声で全員が同じ方向を見る。遠くから、(まば)らに敵の姿が見え始めた。魔法師は射程距離を考えてタイミングを計っている。なら、一番槍は私が貰いましょうか。



「ピヨリ!! 少し飛ぶわよ!!」

『ッピ!!』



またしてもピヨリに乗って上空へと移動する。敵を上空から視える位置に来ると、私は魔法の発動準備に入った。とは言っても、どの魔法を使うかを選ぶだけである。地面を抉る魔法を使うのは避けたいし……やはり、ここはシェリーフに頼むのが無難でしょうね。



「殲滅させるわよ!! 風罠(トラップ)魔法『風死糸(デスライン)』、風魔法『破壊ノ風槌(シェリーフハンマー)』」



地面に轟音が響き渡る。上空からの不可視の攻撃で、魔物が潰れ、先に進んだ魔物は……身体中に鋭利なナニかで傷付けられた様な痕を残し、地面に倒れて行く。

強靭な肉体を持つ一部の魔物が突破をしたが、潰される。いや、潰している。


上空からの攻撃に対して魔族側も空を飛ぶ魔物でなんとかしようと思ったのだろうが……ピヨリを倒せる強い魔物はいなかった。



「規模の全部を把握出来たわ。強いより、厄介なのを狙って行くわよ。ピヨリ、旋回!!」



私は魔法を発動させながら頑丈そうな魔物を狙い、その周辺を含めて潰して行く。よく見掛ける魔物は冒険者達に任せておけば大丈夫でしょう。流石に一万以上は居そうな魔物をすべて相手にしていたら魔力が持たないもの。



「シェリーフ!! 厄介そうな特性のある魔物から潰して行くわ。ランディアは地中に魔物が居ないかを調べて!!」


『分かりました。存分に力を振るいなさい、カルミナ』

『おう、任せてくんな……カルミナ、回避!!』



ランディアからの叫ぶ様な声で危機一髪、地面から飛んでくる攻撃を回避する事が出来た。いや、ピヨリの羽が何枚か地面に向けて落ちていく。



「ピヨリ、平気!? 下から今の威力でここまで飛ばす魔法……」

『気を付けなさいカルミナ。魔物の大群より一人の方が強い事もある。そして、運悪く敵に居る事もね』


「うーん、乱戦になったらコッソリと王都に入る予定だったが……始まる前にやってくれたね」



私の目の前に真っ黒な羽を生やした髪の長い男が浮かんでいる。

たった今下から飛んで来た男。相対すれば分かる……この男、上級魔族、いや、それ以上の強さがあるだろう。

身体から放たれる殺気、魔力量、戦闘経験の多さが今まで会った魔族の中ではダントツだ。



「申し訳無いわね、うじゃうじゃと目障りだったのよ。あなた……何者?」

「分かるぞ……目を見れば分かる、覚悟の強さがな。佇まいを見れば分かる、強者であると。人族であるのが勿体ないくらいだ。どうだ? 魔王軍に入らぬか?」



質問に答える気が無いのか、ヘラヘラと話始めた。別に本当に何者かを聞きたかった訳では無いし良いのだけど。それに、だいたいの見当はつく。


魔王軍幹部。何人居るかは分からないけど、このレベルが沢山居たら人族に勝ち目は無いだろう。

でも、相手が一人と言うならば……勝てない事は無い。今の私なら、無傷は無理でも倒しきれる。相手が女だと油断してくれたら尚更に。



「悪いけど、遠慮させて貰うわ……あと、あなた達にこの世界は渡さない。ピヨリ、降りるわよ!! この魔族に人族最強の力を冥土の土産に見せ付けるわよ!!」



◇◇◇



「す、凄い……」

「凄い」



私はカルミナさんとハルさんに補助魔法を掛けた後、待機をしてその時を待っていたけど……カルミナさんが放つ魔法に驚いてしまった。

地面が揺れたと錯覚する程の威力を数発放ってもまだ余裕がありそう。普通ならあの威力の魔法は大事な時に使うだろう。あんな風に最初から使う魔法では無い筈……現に、魔法師団の人達がざわめき始めている。



「自分の力を見付けたのですね……」

「昔は落ち込んでいた」



ハルさんの言うとおり、カルミナ様はタロウさんと会う前は元気が無かった。出会ってからも元気が無かったけど、タロウさんがそれを変えていって……どんどん強くなっていった。

私もタロウさんと出会ったのが人生の分岐点だった様に思える。



「そういえば……タロウさんは何処に居るのでしょうか? 一緒に行動しているんじゃ?」

「きっとグラウェル領。キスカ、タロウさんに会いに行きたい?」

「えっ!? そ、それは……その……会いたいかなぁーとは思うけど」



五年会ってない間に、私も頑張ったという所を見て欲しい。王都は無事に守りましたよって言いたい。その為にはこの侵攻を防がないといけないけども。



「なら、会いに行く。ここを突破して」

「そう……だね。ここ……ハルさん、あれっ!!」



カルミナさんが居る所に一人の魔族が居た。何かを話しているのかは分からない。でも……禍々しい何かを感じる。見た目を含んだ雰囲気がそうなのか、それ以外の何かなのかも分からない。

でも、カルミナさんがすぐに倒さない事から強いという事が何となく察せる。



「ハルさん、もしかしたらカルミナさんは魔物達の相手を出来ないかもしれない、ですから……」

「分かってる。私達が殲滅する……元よりそのつもりでしたから、やることは変わらない」



相変わらず無表情だが、今日のハルさんは少し気合いが入っているみたいだ……多分、ほとんど一緒にいる私にしか分からないだろうけど。

こうなったら、私も前線に出て出来ることをやらないといけない。その為の薬品(武器)は揃っている。



「冒険者共!! 出撃ぃぃぃ!!」


「「「おぉっ!!」」」



合図と共に冒険者が走り出す。ハルさんは前線に混ざって先に行った。きっと、またメイスを汚して帰ってくるだろう。



「帰りを迎えるのも私の仕事ですね」



回復薬や爆破薬を手に、私も走り出した。




誤字脱字その他諸々ありましたら報告お願いします!


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