表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タロウ冒険記  作者: じょー
第4章 修行 ジパンヌ
132/148

第132話 タロウ、越える

お待たせしました!

よろしくお願いします!(´ω`)



踏み込みと一緒に抜刀し、ベリー先生に向けて走りだし……斬りかかる。



「はああああああああ!!」

「――――っ!!」



散々になるまで身体に叩き込まれた基礎通りに刀を振るう。勿論、このままならいつも通りに練度で負けるだろう。だから、ここからは基礎を基盤に進化させた技で攻め込む!!



「タロウ流突技 『秘突』!!」

「九重流 『柳』」



秘突は刀の特徴を活かして突き刺す技。だが、普通に突く訳でない。簡単に言うならチェンジオブペース。普通の突から身体強化での瞬発力を底上げし、相手の防御、回避をミスリードさせる。


……が、そこはベリー先生。俺の最小限に抑えた筈の魔力の流れを見逃さず、しっかりと回避してみせる。いちいち驚いてはいられない。次の手を放つ機会を狙ってる間にも刀での打ち合いが続く。一瞬の油断が首を断つ結果になる。



「良い……良いぞ!やっと、私を楽しませる程に成長したっ!!待った甲斐があった!さぁ、私を楽しませろ!私を越えてみせろぉ!!」

「ちっ、冒険者『黒霧』としての戦闘狂の本性が出たかっ! タロウ流刀技 『流水』」



入れ替わり立ち替わり、回避の為に跳び回り、時には木すらを使って戦っていく。寸で避け、寸で避けられ……殴り蹴り何でもアリの戦闘。


蹴られ投げられ斬られ、それでも――俺は立ち上がる。まだ心は折れていない。ベリー先生より怪我は多いだろう。だが、まだ倒れない。魂が燃え盛る感覚というのを味わっている。先程より雪が少しだけ強くなっただろうか。だが、身体の奥底から熱が込み上がってくる。



「まだまだ、これからだ!!いくぞっ!!」

「ははっ……死ぬ気で来い!もっともっともっともっと!私を満足させてみせろぉ!」



また、激しく打ち合う。瞬きの一瞬すら惜しい、俺もベリー先生の事は言えないのかもしれない。俺も十分、戦闘狂かもしれない。この師匠……いや、この化け物(剣士)を倒したくて仕方がない!!



「はははははははは!!先生、疲れて来たんじゃないですか!?」

「あははははははは!!なめるなよ!ほら、足元がおる……かはぁっ」



足元に振り下ろされた刀を身体を回転させながら跳んで回避し、そのまま強化した足で蹴り飛ばした。まともな蹴りを食らわせたが、すぐに戻ってくる。この人のタフさは以上だ。


少しだけ積もった雪の一部……所々が赤く染まっている。俺の血、ベリー先生の血、それが周囲に撒き散らされている。



「はぁ……はぁ……くっ」

「ふぅ……ふぅ……かはっ」



お互いに少し距離を開けたまま膠着状態になった。俺もベリー先生もフラフラだ。切り傷も打撲後も酷い。



「ベリー先生……はぁ……うぐっ……はぁ、その瞳の中にある狂気ごと、ぶった切って……やります」

「それ……は、嬉しい。私の狂“喜”を抑えられるなら……やってみろ!!」



――おそらく、最後の斬り合いになるだろう……その一歩を両者同時に踏み出した。



◇◇◇



「カルミナ流槍術 『(みだれ)』!!」

「九重流槍術 『烈火』!!」



エドヌの街から少し離れた荒野。槍と槍のぶつかり合い。私は、グレイプさんと戦っている。グレイプさんもここ半年はお互いを殺す勢いで修行をしてくれた。今日はそれ以上だ。下手するとどちらかを殺してしまうかもしれない程の本気。手加減なんて考えれば、身体に穴が開く。そんな戦い。


これは、今日まで育ててくれた事の恩返し。だから、私は私の全部をぶつけている。



「まだまだ小娘に負けるかっ!!」

「肩で息して、説得力無いわよっ!!はぁぁぁぁ!」



槍の特性上、近付き過ぎても離れ過ぎてもお互いが槍なら意味がない。だからひたすら自分の間合いで突いて叩いて防御する。勿論、一度距離を取ってから攻め込む事もあるし、懐へと踏み込んで蹴り飛ばす事もある。


だが、ひたすら槍を高速で動かす。間合いで止まったら串刺しになるからだ。腕が疲れたら離れる。槍の戦いはそういうものと教わった。



「うおらぁぁぁぁぁぁ!!」



グレイプさんの槍が変則的になる。私の苦手な攻撃だ。突きとフェイントの交互に攻撃が来る。私は良く引っ掛かっていた。正直、今も引っ掛かる。だから――。



「いぎっ!?…………あああああああっ!!」

「おいっ、本気かよっ!!……があぁぁっ!!」



強化した手で槍を掴み離さない。無茶苦茶な手段だとは自分でも分かっている。魔力がなければ手から流れている血で滑るか、傷口のダメージで槍をまともに握れなくなるのだから。それでも、私は勝つ為には何でもする。それも、教わった事だから。



「油断してると、槍ごと……その体、叩き折るわよっ!!」

「恐ろしいぜホント……もう一段ギアを上げるぞっ、ついて来いよぉ!!」



距離を取って、槍を構える。グレイプさんは槍を上段に構え、私は槍を刀を持つかのように少し特殊な構えを取る。



「「身体強化ぁ!!」」



同時に踏み込む。お互いの突きを寸で回避し、そのまますれ違って切り返す。先端から柄の最後まで余すとこなく槍を使う。私の白い槍が赤く染まり、グレイプさんの槍も赤く染まる。



「……がぁぁぁっ!!」

「……くぅぅぅっ!!」



タロウやベリー先生の様に変幻自在にはいかない。私とグレイプさんの戦い方、それはひたすら真っ直ぐに突き進むというもの。本当は痛いし足は震えてる。だけど、この戦いには意味があって、タロウも同じように戦っている。タロウと一緒だからまだ立ってるし、心は死んでいない。今日、ここに来る前にタロウと約束した。



『全力を出そう。そして……壁を打ち破って行こう、世界を守りに』

『えぇ、最後の血の一滴まで絞り尽くすのよ』



やはり、目の前に立つこの人は強い。化け物だ。だが、私はこの化け物を倒して修羅になると決めて来た。もうフラフラだ。そう長くは立っていられないだろう。



「次で――決めますっ!!」

「良いぜ……見せてみろっ!!」



私はタロウと考えて編み出した技を繰り出す為に、全神経を注ぎ集中した。



『奥義――――』



私はグレイプさんに向けて駆け出した。



◇◇◇



山の山頂の一部が血で赤く染まり、その中心に俺とベリー先生が伏せていた。力が抜けていく。目が霞む。それでも立とうと足掻くが上手く立てない。



「かはっ……はぁ…………はぁ…………」

「久しぶり……こんなに血を流すなんて」



ベリー先生は立ち上がろうとしている。なら俺も立たないと。この人を越えないと。約束を守らないと。



身体を刀で支えながら立ち上がり、真っ直ぐにベリー先生を見つめる。フラフラになりながらも刀を構える。本当に尊敬する。こんなに強い……身体も心も刀も技も強いこの人を尊敬する。だから、ぶつからないと。正面から、心からぶつからないと。俺は一人じゃない、今も戦ってるカルミナの分もベリー先生に恩を返さないと。



「ベリー……先生、いきますよ。受け取って……くだ……さいっ!!」

「あぁ……師匠の私に……ぶつかって……来いっ!!」



俺は霞む目や全身に力を入れて、カルミナと一緒に考えた最後の技に全神経を集中させる。



『奥義――』



俺はベリー先生に向けて駆け出した。何故だか分からないが、カルミナと声や行動が重なっている気がしている。震えは止まっている。



『刀槍流――』



最後の最後まで目を見開き、ベリー先生の動きを見逃さない。そして、最後の一歩を踏み出した。



『『刹那玲瓏』』



「……見事」



ベリー先生は膝から崩れ落ち、地に伏せた。かく言う俺も、全身の力が抜けて……そのまま眠るかの様に気を失った。



◇◇◇



「うぅ……ん?」



重い瞼を上げると、そこには満点の星空が広がっていた。身体が動かない……拘束されている訳では無いのに、だ。



「あれ……?痛みが無い?」



動けないだけで傷は回復していた。肌に暖かみを感じ取り、とりあえず死んでない事にホッとする。そんな俺をルミナスが覗き込むかの様に見ている。



『起きたのね、良かったわ』


「ルミナス……傷の処置、ありがとう。ベリー先生は?」



ルミナスはまだ寝ていると教えてくれた。どうやら暖かいのは周囲を魔法で暖めてくれているかららしい。冬の夜で外なのに寒くないのはおかしいと思ったけど、そういう事だったか。


どうやら、俺が動けないのは血を流しすぎたからだそうだ。だから正確に言うと、動けないのではなくて、動きたく無いと思っているだけらしい……。



「ルミナス……俺は、勝ったんだよね?」

『実感が湧かない?でも、勝ったわ。すぐに倒れたから相討ちと言う人も居るかもしれないけど、確かにタロウは勝ったのよ。誇りなさい』



そうか……うん。実感はたしかに湧かないけど、勝ったんだよな……俺。駄目だな……まだ上手く頭が働いて無いみたいだ。



「ごめんルミナス……少し眠い」

『えぇ、周囲は気にしないでゆっくり休みなさい。おめでとう……愛しい私のタロウ』



俺は目を閉じて、深く呼吸をしながら眠りについた。


誤字脱字がありましたら報告お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「転移したよ in 異世界」 http://ncode.syosetu.com/n1888eg/ という物も書いてます!よろしくお願いします。 こっちはラブコメです! https://ncode.syosetu.com/n7917ej/ よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ