第127話 タロウ、カルミナとあの場所へ
すいません……風邪ひいたので少し短めです(途中まで書いていて良かった)
よろしくお願いします!
翌日、安倍家で目を覚ました俺とカルミナは朝のランニングを済ませて、ベリー先生に今日は少し抜けると話をしに来ていた。
「なるほど、ルミナス……ハルミナ様からでござるか。分かったでござるよ!拙者と桃はいつも通りの訓練をしているでござるからな!」
「ありがとうございます。じゃあ、さっそく行ってきますね!」
「タロウ……神社ってどこでも良いのかしら?幾つかあるわよね?」
確かに神社は幾つかあるが……たぶん、どこでも大丈夫だろうな。とりあえずは神へと繋がる場所ならば、和風洋風問わずにな。
「近くの神社で大丈夫だと思うよ?」
「そう……なら、早速行きましょう!」
俺達は朝飯も食べずに安倍家を出立し、神社へと向けて歩き出した。一番近い神社ならこの辺りに在る山の一つの中腹に存在している。一時間も掛からない距離だ。
ランニングをし終えたばかりという事もあって、カルミナと話ながら歩いて……少しゆっくりと行きすぎたのか、一時間は越えたがようやく神社へと辿り着いた。
「ふぅ……長い階段は疲れるな」
「修行で山を登るほど速くは移動してないのに不思議よね」
神社を見渡すと、お参りに来ている人や、神主さんやお手伝いの巫女さんとお話している人でマチマチだ。俺達は鳥居を通り、そのまま真っ直ぐ進んだ所にある拝殿の前で立ち止まった。
「ルミナスの姿は……見えないわね」
おそらく、ココには居ないだろう。そして、ルミナス……いや、ハルミナ様に会うには、俺達を連れていって貰うしか無い。
「カルミナ、手を合わせて……ハルミナ様を思い浮かべてくれ」
「わ、分かったわ」
――手を合わせて目を閉じると、意識が遠くなる感覚が襲ってきた。
◇◇◇
「こうしてこの姿で会うのも久しいですね……タロウ」
「ですね。いつも助けてくださり、ありがとうございます」
「えっ……なっ……ど、どこよここぉーーーーっ!!」
俺とハルミナ様との挨拶の途中だと言うのに……。まぁ、言わんとする事……というか、理解が追い付かないという点については察してあげられるが。
「落ち着きなさい。カルミナ=ルールト」
「あっ……はい、すいません。タ、タロウ~」
そんな心配そうな顔して泣きそうな声を出さなくても……。
「大丈夫だ。俺もちゃんとここに居るし、それに……このお方に見覚えがあるだろ?」
「うん。……私は熱狂的な信者という訳では無いけど、それでも知っているわ。知らない人は居ないんじゃ無いかしら?」
教会に行けば必ず銅像が設置されているし、なんなら街のどこかには置かれてある。それに、お金の絵にもなっているのだからな。お金の方はざっくり描かれているから似てないけど。
「さて、何から話しましょうか……。昨日、ここに来るようには伝えましたけど……何をするのかは伝えていませんでしたね」
「ま、待って!待って!!ちょっと、待って!……今、ここに来るように伝えたって言わなかったかしら?」
あれ……?待てよ……カルミナに説明ってしたんだったっけ?ルミナスの正体を。くそぅ……思い出せない。でも、カルミナのこの反応を見る限り……説明してないっぽいな。
「カルミナ……その、ルミナスの事だけど……」
「ちょ……怖いわ!タロウ!お願いだから怖いことは言わないで!」
「ずっとそばに居たでは無いですか」
カルミナが動きを止めて固まった。
『それとも、この姿の方が解り易いかしら?』
「ウソよ……ウソよウソよウソよ!神……様。神様と……えっ……ぷしゅ~~……」
「カ、カルミナ!?大丈夫かっ!?しっかりしろ!」
カルミナの頭が思考に追い付けなくなったのか、ショートした。思い出したが……バルベルデちゃんとベリー先生にしか言ってなかったっけな?カルミナにも言ってる気がしていたが、何年も前の事だしうろ覚えだ……。
「やれやれ、では先に……タロウにだけ話しておきましょうか」
「あ、はい。お願いします」
――結局、カルミナが気を確かに持つよりも、俺とハルミナ様の会話の方が早く終わった。
ハルミナ様の話は簡単に聞き流せる物では無く、魔王も竜の加護を全て揃えきったらしい。それで今はその力を使いこなそうと、戦いに明け暮れているそうだ。時間はあまり無いというのはこういう事だったのだな。
それで、俺とカルミナをここに呼んだ理由。俺は少し予想できていて、当たっていた。
ここに来る時は時間の経過が遅い。だからこそ、精神を鍛えられ……つまりは魔法が鍛えられる。本物の肉体は神社に置いてあるから筋力とか増えないのは残念だが、型や体術は可能だろう。
これは、存分に鍛えろという事だな……。確かに今のままでは、魔王や幹部クラスが暴れるまでに時間が無いっぽいし……助かる。ベリー先生も越えられて無いのだからな。
「タロウ、ここで存分に強くなりなさい。ベリーに倒されたらひたすら反復練習をしなさい。使える物は、神でも使いなさい」
「感謝します、ハルミナ様。貴女の世界を魔王に壊させやしない」
ここまでお膳立てして貰ったんだ、ベリー先生を越えるだけじゃ足りないだろう。圧倒出来なければならない。でも、まずは……。
「起きろーカルミナー?」
「うぅ……神様……ルミナス……ハルミナ様……タロウ……私……ルミミナ……タロミナ様……」
駄目だな、混乱してごちゃごちゃになっちまってる。落ち着くまで待つしかないかなぁ。そしたら……その内、俺の事も話さないといけないかな。まだ……先で良いかな。
◇◇◇
カルミナの混乱が解けるまで、流石に何もしないのは勿体ない。という事で一人で訓練をしようと思ったのだが……。
「ここでは時間が沢山あるのですから、母ともう少しお話しましょう。さぁ」
「いや、その……訓練をですね?」
ハルミナ様の発作?が、発動していた。この場所において最強であるのを良い事に、拘束されている。
「タロウ、ココでなら時間はあるのですから、少しくらいは良いと思いませんか?え?いつもルミナスの姿で話しているだろう……?はぁ……駄目ですよタロウ。全然分かっておりませんね。この姿であるからこそ価値があるのですよ。ルミナスの時の様に気軽に話すのも確かに好きですが、やはり神ではありますからこうして敬虔な態度で話される事も好きなのです。勿論、タロウなら私がこの姿の時も気軽に話してくれて一向に構いませんよ。という訳でさっそく、お話しましょう。思い出話とかどうですか?私とタロウの出会いから思い出してみても良いかもしれませんね?」
「ア、ハイ!」
俺は聞き役に徹して、所々で相槌を挟む。ハルミナ様の話を聞き漏らさない様にするのが精一杯だったからな……こちらから話す余裕が無い。
「おや?タロウ……カルミナが正気を取り戻したみたいですよ?話の途中ですが……仕方がないですね」
俺は心の中でやっと戻ってきたか……と安堵して、カルミナに駆け寄った。
「大丈夫か……カルミナ?」
「え、えぇ……タロウと非常識な事を経験して来たお陰かしら?」
非常識とは酷い。それはお互い様というモノだろうに。
「じゃあ、改めて紹介するな。神ハルミナ様兼ルミナスだ。初めて召喚した時にはハルミナ様の姿だったんだが……流石にヤバイと思って、姿を変えて貰っていたんだ。ゴメン、今まで黙っていて」
「うん……。いや、まぁ……神様を召喚したと言われても信じられなかっただろうし……別に良いわよ。うん」
ベリー先生は目の前で見ていたから信じてるし、ハルベンデちゃんはルミナスの姿でもたぶん、オーラ的なのを感じとって信じていた。そう考えると、カルミナの反応が一番普通だろうな。
「それで俺の事何だが……全部終わってからで良いかな?その時になったらちゃんと話すから」
「タロウの事……きっとこの空間に来るのもタロウがいたからなのよね?……ちゃんと、話してくれるのよね?」
俺はカルミナの目を見て頷いた。終わったら話そう。信じてもらえないかもしれないけど前世の事も全て。
「それなら良いわ。この約束を守る為にも魔王を倒さなきゃね!」
「あぁ!それじゃあ、ここの空間の事について説明する」
俺がルミナスから聞いた話も含めてここの事を説明した。カルミナは黙って聞いてくれているが……理解してくれているのだろうか?
「なるほど、なるほどなるほど…………タ!ロ!ウ!ズルいじゃ無いの!ズルいじゃ無いのよ!おかしいと思っていたのよ!タロウの魔力の異常性がやっと分かったわ!」
「いや、でも……俺がここを使ったのは今まで二回だけだぞ?」
五歳の時にした、成長の儀式の時とあら?二回目はいつだったっけ?ハルベンデちゃんが居る教会にクエストで行った時だったかな?
とにかくその二回だけだ。まぁ、それだけでも十二分に差をつけられるんだけどな。
「うぅ~……早く修行を始めるのよ!魔力が増えたら大技だってもっと使えるんだから!そしたら、次はタロウにだって負けないんたからね!」
「はいはい、じゃあ始めましょうかね」
ここに居る間はハルミナ様の力によって、時間が引き伸ばされているだけである。長く居すぎると、俺達の体は神社で祈っているポーズのままだし……周りの人達不審に思われるだろう。だから、その辺のタイミングはハルミナ様にお任せしておいた。
なら、一度戻ってまた来たらいいじゃない?と、カルミナが言って、俺もそう思ったのだが……どうやら流石にそこまでは都合良く無いみたいだ。一日に一回限り。それがハルミナ様の干渉出来る限界らしい。
まぁ、それでも十分にありがたいし、このボーナスステージの様な事を存分に活かそうと思う。ここでは、反復練習や魔力の向上をメインでやって、外では徹底的に鍛えて貰う予定だ。頑張らないと……な。
「二人共、そろそろ時間でしょう」
「分かりました。じゃあ、帰るか」
「そうね、ありがとうございました」
ハルミナ様に会うのはまた明日だな。意識が遠くなっていき、俺達は自分の体に戻ってきた。
「そうよね……まだ、早朝なのよね」
「狂わない様に気を付けよう……あと、心が疲れないように」
俺達はベリー先生と桃さんが先に向かったいつもの山に向けて動き出した。
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