第12話 タロウ、学園に通う
本日3話目になります。よろしくお願いします。
今日は入学式だ。これから5年はこの王都にいるんだよなぁ。
昨日のうちに準備をして…とはいっても入学金と魔法の補助道具である自分の杖と短剣くらいだ。剣とかは王都で買えばいいと思って持ってきてはいない。
制服や教科書等は入学してから貰うらしいから割と、自分の荷物は少ない。
「タロウ。そろそろ行くぞ!お前の晴れ舞台だからな。気合いを入れて行くぞ!」
父様は朝から元気だな。俺は朝が強くはないから少し眠いけど今日はシャキッとしないとな。
◇◇◇
今日は学園の入学式があるということで人が多いな。馬車で向かっているが結構時間がかかりそうだ。
「父様、少し緊張しますね。なんか王都に来ると緊張しかしてない気がします!」
「タロウ、そう緊張する事もない。入学式の後にある試験もお前ならAクラスには入れるだろう。まぁ、その分Aクラスは厳しさも違うし貴族の子も多いクラスとなってる。お前には少し肌が合わないかもしれん。」
Aクラスには貴族の子供が多い。これは不正してるとか優遇されてるとかではなく実力だ。貴族の子の方が環境が整ってるからな。平民に比べるとやはり魔法の扱いにも長けてる。
「父様、僕がAクラスじゃなくても構わないのですか?」
「あぁ、お前は冒険者になりたいのだろ?そのために冒険者から
直接学んで訓練もしている。身贔屓かもしれないがお前に実力で勝てる者はそういないだろう。」
「いえ、僕なんてまだまだですよ。上には上がいます。」
「冒険者達からお前の評価は聞いているさ。だから好きな様にしても構わない。それに、上というのは同学年での話ではないのだろ?」
そうか、あいつらか。父様からの評価がうなぎ登りだ。、賊を捕まえる時にも止める様な事は何も言われなかったしね。放任されてるのやら信頼されてるのやら。多分後者だけどね?父様の事だから。
「ほんとにまだまだですよ。ですがそうですね、Bクラスあたりに入れる様には頑張ります。」
手抜き宣言ではあるが、父様は笑ってくれていた。そろそろ学園だな。
学園が見えてくると馬車を降りて歩いて行くことにした。後ろからリーガル家の馬車が来て、レックスさんとキスカさんも一緒に歩いて行くことになった。
「おはようございます。タロウさん」
「おはようございます。キスカさん」
お互いさん付けで呼ぶようにはなっている。様付けで呼ぼうとしたがそれは断られてしまっている。
「緊張しますね。キスカさんは大丈夫ですか?」
「だ、だ、大丈夫です…」
大丈夫じゃないな。俺より緊張しているみたいだ。元々の性格からすると人の多いとこも苦手なんだろうな、親近感が沸く。
「お互い同じクラスだといいですね。」
「わ、私なんかAクラスはとてもむりですよぉ!」
久しぶりに人に使って見るか…鑑定!!
キスカ=リーガル 10歳
HP 100/100
MP 230/230
スキル 補助魔法 薬調合 目利き 礼儀作法 速読 裁縫 植物の知識
エクストラスキル 植物成長
おぉ…エクストラ持ちだ!それに調合スキルも持っているのか。体力は10歳にしては少ないが魔力はそこそこ多いな。
目利きも鑑定程ではないが品質の良し悪しを知れるスキルだ。この子薬師とかになったら相当稼げるな。
植物成長ってなんだ…?鑑定さんよろしく!
植物成長…自分で育てた薬草や花の品質がとても良くなる。
はえ~、自分で栽培も出来て薬も作れるとか凄いな。食い扶持に困ることのないスキル揃えてるな。ふむふむ。このステータスならAクラスくらい行けるんじゃないか?
「まぁ、俺もAクラスは無理かもな~」
「そ、そんな事ないよ!あんなに強いんだから!」
あ、ありがとう。でもAクラスには行くつもりはない。
「そうでもないよ。お互いにBクラスくらいには慣れるといいね」
「は、はい。頑張ります!」
少し会話をしていたら、すぐ学園に着いた。入学式はもう間もなく始まるみたいで、学園の講堂に案内されると生徒は前に保護者は後ろに席を取った。もちろん隣にはキスカがいる、1人じゃ怖いんだと。
すると、後ろの方からひそひそと話し声が聞こえて来た。
「おい、あれ第2王女のカルミナ様じゃないか?」
「あの噂って本当なのかしら。」
「あれだろ?魔法がろくに使えないって言うやつ」
「そうそう。精霊魔法なんて上位の精霊を見つけて使役できなきゃ普通の魔法に劣るからな」
あー。たしかに、上位の精霊はめったに姿を現さないと言われている。
精霊の格によって、魔法の威力に相当な差があると言われていて、下位の精霊なら森や川や山や草原などに居ると言われているが契約しても強い魔法は使えない。
精霊を見つけるには精霊に関するスキルが必要で、後はどれだけ精霊に好かれているかだ。俺も鑑定スキルで精霊は見ることも出来るがあまり寄ってきてはくれないので普段は見てない。
王女の方を見てみる。顔が暗いな、5年前はもっと明るかったと思うけど。でも、あの表情は成長の儀で見た姿と同じだな。精霊魔法の難しさに気づいていたのかもしれない。ステータス見せてもらうか。…鑑定
カルミナ=ルールト 10歳
HP 200/200
MP 350/350
スキル 礼儀作法 愛想笑い 偽りの仮面 精霊魔法 (初級) 槍術 体術
エクストラスキル 王族の威厳
精霊の加護
体力も魔力も10歳の平均を大幅に越えている。だいたいが120~200くらいだったはずだ。家の本に書いてあっただけだけど。
しかし、5歳の頃より体力が増えてる割りに魔力の上がりが少ないな……魔法を使わずに武術に力を入れてきたのだろうが、王女は魔法使いとしての才能の方がある。加護持ちの利点が全く活かせてないな。
精霊との契約は難しいと聞く。上位の精霊と契約する場合、危険な場所へ行くのがほとんどだ。大人数で行っても精霊は逃げてしまう。かといって少人数で行くには危険があったのだろう。
結局は自分で強くなって、契約しに行くのが1番と気づいて武術を習い始めたのかもしれない。だがこの伸び率じゃ、時間が相当かかるだろうな。
「私、カルミナ様とは何度か会ったことがあるのですがあんな沈んだ顔をされてるのは見た事ありません。噂は流れていますが、それでも普段通りでしたので。」
俺は鑑定をやめて隣から聞こえた声に意識を戻した。
そうか、愛想笑いと偽りの仮面スキルでなんとかやってきたんだな。少し気にはなるが今の俺にとってもかんたんに解決できる内容じゃなかった。
「ごほん!えぇー、皆様、まずはご入学おめでとうございます。私が校長の……」
この世界でも校長ってやつの話は長いみたいだ。早めに起きたせいか瞼が重くなってきた。
「キスカさん、終わったら起こし…」
そう言いながら隣を見るとすでに口元にヨダレのアクセサリーをつけて夢の世界へ旅立ったお嬢様がいた。はえーよ。てか、それでいいのか辺境伯令嬢よ…。くそ眠いなぁ。…ZZZ。
結局目を覚ましたのは式も終わり、寮へ入るものが親との挨拶を交わす時間の時だった。隣の、寝言で「ケーキ、ケーキ…。」などと呟いてるお嬢様を起こして俺らも親元へ向かった。
「タロウ、しっかりやるんだぞ。父さんもこの学園の卒業生だから言える事がある。中にはお前に媚びへつらう人間もいれば反抗する人間もいるだろう。ここはそういう人との距離感や対処の仕方も学べるとこだ。実技や勉強以外にも学ぶ事は多いぞ。頑張りなさい。あと、ニーナに会ったら頼ってみるのもいいだろう。」
かぁー。さすがは父様。いつだって俺を応援してくれてありがたいな。ニーナ姉様にもそのうち会いに行かなくてはな。
隣も最後の挨拶は終えたようだ。
「では父様、行ってきます!」
この後は実力テストがある。キスカを連れて講堂から運動場へ向かった。まずは実技からだな。
◇◇◇
結構な人数が運動場へ集まっていた。入学者はだいたい160人くらいはいるだろうか。教師の数も揃っているしそこまで時間はかからなそうだ。
「それでは今から試験を始める!試験と言ってもクラス別けのための物だ。自分の実力を出すことだけ考えていればいい!以上だ!」
教師の言葉で試験は始まった。
まずは10メートル先の大きさが5段階ある的に魔法を当てる試験だ。魔法の対物へ当てる正確性をみる試験ってとこかな?魔法の属性は何でもいいらしい。
「まずはあたしからだニャ」
「次は俺だな」
「上手く出来るかしら?」
にゃ?どこだ?今、にゃって聞こえたぞ!?
周りを良く見てみると亜人と呼ばれる者達の中でも獣人と呼ばれる種族の者達がいた。王都の中にも多いわけではないが亜人…獣人やエルフは結構見かける。西の大陸に亜人は多く住んでいて、西と中央大陸は戦争はしていないのでこの中央大陸にも亜人は移り住んでいたりする。
初めてこんな距離から見たが耳としっぽが生えてたりするだけで他は人族とさほど変わらないな?何か違いはあるんだろうか?
今度調べてみよう。
試験が始まり、全部当てられた者もいれば大きい的にしか当てられない者までピンきりだった。俺も大きい物から3つだけ当てといた。
次は魔法発動のスピードを測る試験で、これはどの属性魔法でも初級とされる、魔力をを球体にとどめ、それを放つ魔法を時間内にどれだけ多く放てるかという試験だ。これも周りの平均と並べよう。
そのあとは威力を測ったり、得意な武術へ別れての試験。最後に総合的な学問のテストが行われてクラス別の試験は終わった。ほどほどにしたよ、ほどほどに。
結局、午前中から日も暮れ始めるぐらいまで時間かかったな。
この後はそれぞれの寮へ行き1日目が終わる。クラス別けは明日発表されるみたいだ。
「寮ってここぁ~、おっきいなぁ」
「女子の寮な向こうなので今日はここでお別れですね。」
キスカと別れてもう一度寮を見直した。でけぇ。
この学園は5年生まで居り、学年別男女別で寮が別れており計10個の建物がある。
ちなみに寮の建物は卒業するまで同じところだ。残念な事に今年の1年生は校舎から1番離れた寮となっている。
中に入ると左手に寮の管理人室があり恰幅の良いおばちゃんと目があった。
「おやぁ~、見かけない顔さね。あたしはここの寮母のシャリミナさね。シャリーとでも呼ぶといいさね」
当然だろ今日来たばっかりだぞ。シャリーさんね。オーケーオーケー。
「新入生のタロウ=グラウェルです。シャリーさん、僕の部屋はどこになるのでしょうか?」
おばちゃんは名簿を見ながらタロウ、タロウって探している。
「あったあった!あんたの部屋は205号室。2階の1番奥の部屋さね。この建物は5階建てで上2階は平民用、下3階は貴族様用さね。」
どうやら、1フロアにつき5部屋のようで、平民は1部屋に何人か一緒で過ごす事になるらしい。
1人で部屋を使えるのはありがたいが、友達出来るかが心配だな…。いつでも呼べるように掃除はしっかりしておこう。
「食事の時間は食堂の開いてる時間ならいつでも利用して構わないよ。部屋で食べたかったらそう言いな。貴族様用だがそういうサービスもある。掃除も言えばメイドを寄越すさね。」
これが貴族と平民の差か。なるべく食堂を利用して友達との出会いを増やしておこう。
「ありがとうございました。では、これからよろしくお願いします。」
「あんた、貴族様には見えないさね。他の奴らはもっと傲慢とか強欲が人の姿をした様だったさね。ま、あんたの方が珍しいのかね。」
10歳にしてそんな奴もいるんだな。うちとは甘やかすのベクトルが違ったんだな。絡まれない様に気を付けよう。
「人それぞれじゃないですかね?では、失礼します。」
2階へ昇る階段へ歩き出すと、後ろから見ない顔さねと聞こえてきた。まさかみんなにボケをかましてる訳じゃないよな?
部屋はそこそこ広く、1人で住むには十分過ぎるくらいに広かった。
「とりあえず、今日はする事もないし。魔力操作の練習でもして早めに寝ますかね」
それから1時間ほど練習して風呂に入り、今日は寝ることにした。部屋に風呂が付いてるのはありがたかったな。
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