第116話 タロウ、魔法のみの模擬戦をする
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俺とカルミナとの模擬戦。それも魔法となれば周囲への配慮も考えないといけないレベルになってくる。今回は身体強化での近接戦は魔法を使っているとはいえ、無しの方向だ。
とりあえずお互いに距離を取って、作戦会議に入っていた。俺の陣営には、ルミナス、アクエス、アイガル、ダークラムが居る。式神の緋鬼王や紅緋、アトラスやピヨリは今回お休みである。
「カルミナの所にはシェリーフ、フレイミア、ランディア、サンライカ、サンドラ……五体の上位精霊がいる。カルミナはその起点となって精霊魔法を使うから置いとくとして、俺とルミナスが魔法を使えばちょうど、五対五になる」
『属性が違いますから相性を考慮せねばなりませんね。ですが……それだと、タロウの負担が多いのではないですか?』
たしかに、俺も精霊達に魔力を渡して精霊魔法を発動して貰うから、実際には精霊魔法と普通の魔法を二重で使う事になる。
「流石に五体分を同時に相手取るのは厳しいから、皆に頑張って貰う事になるかな」
フレイミアにはアクエスを、ランディアにはアイガルを、サンライカにはダークラムを相対させるとして、風のシェリーフと雷のサンドラをどうするか……。シェリーフはともかくサンドラの魔法は見た事がないし、雷か……厄介そうだ。
俺は皆に、魔力と大雑把になるがイメージを送らないといけないから実はそこまで余裕は無いけど……頑張るしかないか。
「技のイメージは魔力を通じて見せるけど、大部分は皆の判断に任せる事になると思う。必要な技を必要な威力で。パスを通じて指示も出すが、絶対じゃない……臨機応変に頼むな!」
『任せて下さいタロウ。貴方の事は私が守り通します』
『頑張るの!』
『私が力を貸して上げるんだから、勝つのよ!』
『……日中はそこまで役に立たない……よ?』
よし!皆、やる気はある様だな。ダークラムも帰りたいとか言わないだけ、やる気があると思っていい筈だ。
前回、シェリーフと契約したての頃に戦った時は先制攻撃は受けたし、最後は魔力でのごり押しだったから……今回は技術でちゃんと勝負が出来たらいいな。
どうやら向こうは準備完了の様で、俺達を待っていた。よし、今回は先制攻撃は俺が頂こう。密かに魔力とイメージを練ってアイガルに任せる。
「おーい!待たせたな、カルミナ!」
「いいわよー!……じゃあ――始めましょうか!」
カルミナの台詞を聞き終えた瞬間に、魔法を発動させる。
「『氷棘砲』!!」
「『炎槍』!!」
何十もの氷の鋭い棘がカルミナ目掛けて発射されたが、同じ様に、炎の槍を型どった魔法が俺の方に飛んできて、中央でぶつかりあって爆発の様な現象を起こした。
やはり、先制攻撃はしてきたか……次だっ!
「伸びろ!『水の鞭』」
「散らしなさい!『風の千刃』」
ちっ、一定の範囲から先は切り刻まれるな。……次だ。
「闇魔法『闇の黒箱』……思い付きでやったけど真っ暗の中に閉じ込めただけだな」
『闇の黒箱』は、普通にサンライカの魔法で破壊された。これは俺のミスだな。だが、お試し期間はこれで終わりだ。
「タロウ、今度はこっちから仕掛けるわよー!シェリーフ、サンドラ!」
『分かりました』
『行っくよー!』
コンビ技……か?風と雷。この組み合わせはヤバイぞ!?
「二人共、広げなさい!『雷の通る風道』」
雷が、横へ上へと広がっていく。不規則な軌道ではなく、管の中を通っているかのように真っ直ぐ伸びたり、曲線を描いている。
「くそっ……アクエス!高い純度の水での結界を作れ天井は高くだ!アイガルは風を散らす為に吹雪を!」
『分かったの!』
『任せなさいっ!』
指示を出した俺は念のために土魔法の準備をしていた。
「行くわよっ!収縮、落ちろぉぉぉぉ!!」
横に伸びた雷は俺を目掛けて突き進み、上に伸びていた雷が一つの雷へと纏まり、雷撃として落ちてきた。
途中で、横に伸びた雷は吹雪のお陰でその威力を失ったが、上からの雷はすぐそこまで迫っていた。
「アクエス、水を回転させて威力を分散!」
『はいなの!』
バチィィィィィィィィィィン!!
雷が水へとぶつかり、水の流れによって多少は分散されたが突き抜けて来た。
止めるのは無理か……しょうがない――アレを使うか。
◇◇◇
少し威力を出しすぎた気もするけど、これはタロウを信じているからの攻撃だ。あの雷撃でもタロウは死にはしないという信頼。でも、流石にダメージすら無いとは思わなかった。
「いったいどういう手品よ!誰か解る!?」
『いえ、吹雪と水の結界で見にくい上に雷で眩しかったですからね』
『私もさ。やっぱりあの子も凄いね~』
『うむ。見事であるな!』
『ちゃんと対処すればちゃんとした結果になります。たしかに、初見で対処して見せたのは驚きですが』
『私の雷がぁ!びっくりだね!あの子かなぁ?ルミナス様かなぁ?』
ルミナスが補助するとしても、私はタロウが何かをしたと思っているわ。でも、まだ序盤なんだから……次よ、次!
「ランディア、地中からいくつもの小さい通り道をタロウの下まで繋げて、タイミングが整ったら一気に陥没させるわよ!フレイミアとサンドラは上からの陽動。シェリーフとサンライカは守りに。準備が整ったら一斉掃射!行くわよっ!」
この子達の力はとても強い。一体でも強い力を私は五体操って見せなければならない。これは私が今まで願い、想い続けてきた事でもある。
タロウが連れ出してくれたお陰で、こうして私の目的は完了した。だから、次はタロウの為に私が頑張る番。その為に私は強くなる。なってみせる。タロウに置いていかれない様に必死に食らいついて行かなければ……。
『カルミナ、繋がったさね!いつでもいけるよ!』
「ありがとうランディア。皆、今よ!」
◇◇◇
あばばばばばばばば!?
地面が急に凹むというか、ボロボロになった。こんな事もしていたのかと感心すると同時に危機感も覚える。たぶん、この為に俺のバランスを崩したのだろう。カルミナ側の精霊達が魔法を発動させようとしていた。
「スキル『内なる可能性』!!変われ……『冷徹の俺』」
スキル『内なる可能性』は自分の感情の一つを表に強く出すスキルだ。前に織田家四天王の一人と戦った時には『狂戦士の俺』となって倒した事がある。
あの時はまだ思い付きで行動にした為、制御も何も出来ずに暴れたが、今なら心のバランスも調整出来る様になり、上手く引き出せる様になっていた。
今の状況で落ち着いて思考を巡らせられるのは『冷徹の俺』のお陰だ。はて……どうするか。
とりあえず三体分は相殺を狙う。後の二体分は俺とルミナスで力を合わせて防御結界を練り上げるか?……駄目だな。弱い。防ぐ事しか考えられていない様では模擬戦の意味がない。
陥没した地面に着地するまであと一秒弱。考えろ。
「……決めた、叩き落とす。ルミナス、俺以外に防御結界を。アクエス、アイガル、ダークラムはその中で攻撃をやり過ごせ」
『分かりました』
『危ないの!』
『そうよ、貴方も結界の中に!』
『……避難……避難……』
やはり付き合いが長いだけ、ルミナスは理解が早い。口に出した以上、魔法の一つ一つに対処しなければ。目には目を歯には歯を、風には風を、火には火を……俺に使えない属性は無い。
最近は精霊魔法が強すぎて力を借りてばかりだったが、自分の力をもっと信じるべきだったな。俺には知識がある。精霊すら知らない事を知っている。もっと長所を活かすべきだったな。
――地面に着地した瞬間。カルミナ側から、魔法が放たれた。
すかさず俺も、魔力を操りイメージを擦り合わせ……頭上に魔法を準備し、それぞれに対応する魔法を……放つ。
「『神風連』『火焔斬』『岩石弾』『粒子砲』『紫電撃』……いけ」
それぞれの属性の精霊。そのトップに挑む様な形で俺は技をぶつける。集中力を途切れさせたら一気に押し返される緊張の一幕でも、冷徹さが俺を支配し、油断も隙も見せない。
「……このままじゃ、じり貧だな。精霊に頼ってないだけ俺の魔力が先に無くなるだろう。そうだな……仕方ない、カルミナを狙い撃つか。『水弾』『氷弾』」
俺が放った魔法、一発ずつだったが、それに反応したシェリーフとサンライカがカルミナを守りに入った。つまりは三体への対応で済むわけだ。つまり……
「アクエス!アイガル!ダークラム!」
「シェリーフ、サンライカ、戻りなさいっ!……きゃっ!?」
魔法を断ち切って、俺はカルミナが居る辺りの地面を隆起させ、カルミナバランスを崩した所へ向けて向けて走り出した。
『カルミナ!……させませんよ、タロウ!』
『ちゃんと対応する』
「……式札。『捕縛の鎖』。ルミナス、任せた。スキル『内なる可能性』解除」
『はい。……とは言ってもこの二人を抑えた時点で勝ちですがね』
……ふぅ。とは、言っても一応は最後までやらないとね!俺はカルミナの元に駆け寄って、頭に手を置いてから勝利宣言をした。
「今回は俺の勝ちだな!」
「うぅ~悔しい!悔しい!悔しいぃぃぃぃ!」
俺の勝利宣言により、精霊達も魔法を止めて集まってきた。
『やりましたね、タロウ。冷徹なタロウも格好良かったですよ』
「ありがとうルミナス。アクエスもアイガルもダークラムも助かったよ」
「皆もありがとうね!負けちゃったけど良い訓練にはなったわ!」
『次回は勝ちましょう、カルミナ』
そして、模擬戦の後は勿論反省会である。良かった所、悪かった所を言い合ってお互いに研鑽していく。
「ねぇ、タロウ。最後の式札……あれってアリなの?」
「一応、式札は触媒なだけで魔力とイメージが必要なのは変わらないし……見逃してくれ」
それが駄目なら、『内なる可能性』もエクストラスキルの派生だからギリギリアウトかもしれない。……これは黙っておこうかな。
「……そうね。分かったわ!今回は奥義を出す前に終わっちゃったわね。と、言っても五体分の奥義を出す魔力はまだ無いんだけどね~」
「そんな事したら地形変わっちゃうよ……今でさえボコボコにしちゃってんだしさ。ランディアに感謝だな」
俺達がボコボコにした地面をランディアが元の状態に近い、平らな状態へと均してくれていた。
「魔法だけってのもたまには良いわね!なんか、スッキリしたわ!」
「そうだな。おもいっきり出来たからかな?どう、今度は武器だけってのは?」
俺の提案に、カルミナが食い付いた事から週一の休みの日にここで模擬戦をする事になった。午前中に模擬戦で暴れた後、午後からは街で遊ぶという流れだ。
普段の修行の成果を試せる機会を作れたのは良かったし、俺もカルミナもお互いには負けたくない気持ちがある為、気合いも入る。週に一回という頻度も中々にちょうど良いし。
「今日、これからどうする?」
「そうね、まだ雷や光の魔法を上手く扱いきれて無いし、奥義も考えたいから……ここで少し練習していくわ!タロウは?」
……俺か。俺も氷魔法はともかく、闇魔法は全然使いこなせて無かったし、練習していこうかな?
「俺も練習していくよ。試したい事だけは沢山あるしね!」
「そう……なら、その前にお昼ご飯にしましょうか!」
もう時間だったのか。どうりでお腹が空いてる気がする訳だ!
カルミナが安倍家から持ってきてくれた料理を頂き、俺達は魔法の練習をし始めた。魔力が無くなりそうになるまで、ひたすら夢中になって魔法を使っていた。
◇◇◇
安倍家の家に帰って来た俺達は、くたくたになっていた。
「休みなのに頑張り過ぎちゃったな」
「そうね……でも、新しい事ってワクワクするし、仕方ないわよね!」
ダークラムの闇魔法を知れば知るほど色々と試したくなって……たしかにワクワクが止まらなかった気がする。
「明日からまた修行だし、今日は休みますか」
「そうね。じゃあ部屋へ行きましょう?」
「ん?今日は精霊の皆と話さないのか?」
「うん、大丈夫よ!今日はタロウと話すんだもーん」
そ、そうか。しっかりしてると思えば、急に無邪気になるカルミナだ。話が止まっても気まずくならないから良いんだけどね。
「でも、早めには寝るからな?」
「うん!疲れてるもんね。早く早く!」
部屋で話していたら、カルミナが先に寝てしまった。疲れが出たのだろうな。寒くない様にカルミナに布団をしっかり被せ、その隣で俺も眠りについた。寒いから二人で寝ると暖かくて良いな。
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