第115話 タロウ、閉じ込める
すいません、お待たせ致しました!
よろしくお願いします!(´ω`)
俺達は安倍家の屋敷へと帰り、一先ず休むことにした。ルミナスやピヨリから旅の話を詳しく聞きたいからな。
ピヨリは座った俺の足の間へと位置取り、ルミナスは頭へと引っ付いてる。久しぶりの再開であるからそれも良いんだが、ピヨリはまた一回り大きくなっていた。
『それで、風が吹いて大変だったッピ!』
『えぇ、あの時は上手く飛行も出来ず大変でした』
「なるほど……それはそうと、ピヨリはご飯とか大丈夫だったの?」
ピヨリは体が大きくなって、大食いになっていた。この旅で更に大きくなっている事を思うと、食い物には困らなかった様だけど。
『野生の動物をいっぱい食べたッピ!』
『ピヨリはちゃんと自分で狩っていましたね』
「偉いぞ~ピヨリ~!」
肌触りの良い毛並みを整えるように撫でてあげると、ピヨリは嬉しそうに目を細めた。一体ピヨリは何の種族何だろうな。前にルミナスに聞いてみたが、大きくなるまでは分からないと言っていたし……そろそろ判るのかな?
「ルミナス、ピヨリってもっと大きくなるのか?あと、何の種族だか判ったりしない?」
『ピヨリは幻鳥の一種かと。まぁ、幻というか絶滅危惧種ですね。強い力を持ちながらもその繁殖力が弱いせいで数が少ない鳥です』
『ピヨ?』
おぉ……ピヨリ、お前ってヤツはそんに凄い鳥だったのか。そりゃ、口から氷の息吹きとか吹き出した時は驚いたけど……。
『ですから、まだピヨリは成長途中だと言えますね。成体となればワイバーンよりも大きな体躯となるでしょう』
『ピヨリもそんなに大きくなるッピ!?ご主人を乗せれるッピ?』
「なるらしいぞ。大きくなったら背中に乗せてくれるのかい?ピヨリは優しいなぁ~」
でも、食費の事を考えたら馬鹿にならないな……。野生の動物を食べ過ぎてもいけないし、そこも考えておかないとな。
それから眠くなる前まで、ルミナスとピヨリの話を聞かせて貰った。途中、カルミナが精霊の皆と部屋で寝ると言いに来たので俺達は同じ布団に一人と一神と一羽で入り、朝までぐっすり眠った。
◇◇◇
「カルミナ、おーい、カルミナさーん。起きてますかぁ?」
翌朝、最近は早起きになったカルミナが中々起きてこない為、俺が起こしに部屋の前まで来ていた。たぶん、昨日の夜に色々と話して夜更かししたんだろうな。カルミナのこの旅の目的に精霊と契約する……というモノも含まれている。念願が叶って嬉しいんだろうな。
「うぅ……ん、まだ眠いのよー?」
「……なら、もう少し寝るか?精霊との契約は午後からでいいだろう」
なんなら、先に俺だけアイガルとの契約をすれば良いしな。うん、そうだな。そうしよう。
「カルミナ、アイガルを呼んでくれ。先に契約してくる」
「分かったわぁ~アイガル~」
『何よ?あぁ……そういう事ね。いいわ、人が近くに来ないような場所へ案内しなさい』
台詞だけ聞くと何か如何わしい事が始まりそうな……いや、健全な俺はそんな事考えてない。とりあえず街の外までランニングしながら行くか。
◇◇
――季節は冬、夏の暑い日よりも氷の魔法は威力を増す。それはこの気温がイメージに結び付くからだと俺は考えている。だから、氷の魔法を精霊相手に試させて貰うのには最高の季節である。しかも、今日は特に寒い。寒い!!
「あ、ああ、アイガル。じゅ……準備は、い、良いか?」
『あんた、こんな寒さも駄目なの?はぁー……魔法でも何でも良いから動ける状態にしなさいよ』
白い髪と鋭い瞳で鋭い事を言ってくる。そうか……とりあえず水魔法で俺とアイガルを包む様に半円で囲み、その水を熱湯に変えて暖を取ろう。少しずつ半円の内側も温度が上がっていくだろう。
『へぇ……魔法の腕は飛び抜けてるわね。人間にしては、だけど』
「それはどうも。それで……俺はどう試されるのかな?」
たぶん、氷の魔法を見せてみろとかだろう。氷の魔法は学園に入る前から使っていたし、かなり自信はある。氷の彫刻を造れと言われても精巧な作品が出来るくらいには。つまり、どんな内容でもドンと来いって感じではある。
アイガルは数秒間鋭い目付きを更に鋭くし――俺を見て微笑んだ。
『決めたわ。きっと貴方には無理なお題かもしれないわよ?でも、達成出来たら契約してあげる。やる?』
「あぁ、アイガルの力を借りれるならどんなお題もとりあえず頑張るよ」
一般人を殺せなんて言われたら無理だが、俺の実力を測るモノならとりあえず頑張ってみるつもりだ。氷の精霊らしく、氷に関するモノになると思うんだが……無理と思うっていう発言が少し怖いな。
『……そう。人の良さそうな貴方には無理かもしれないわね。お題は――この私を殺してみなさい』
――な、なんだってぇぇぇぇぇぇぇ!?
◇◇◇
い、言ってやった。言ってやったわ!ずぅぅぅっと言ってみたかった台詞を!
人間なんて存在に精霊を殺せる力は無いはずよ!それ故の無理難題だわ。やっぱり力を与える時は無理難題を吹っ掛けなきゃよね!
このタロウと言う男はハルミナ様を召喚したらしい。ハルミナ様によると加護の影響らしいけど、難しい話はどうでもよくて、とりあえずハルミナ様に会わせてくれた事だけは感謝しているわ。この男の価値はそれで全てと言っても良いのよ。
私の力を欲しがると言うならば、この私が力を貸すに価する力を見せて貰わないと!
ふふーん、でも人間になんて無理よ、無理よ!ばーか!ばーか!
ふふっ、困っちゃったみたいね!せめてもの努力を見せてくれればすこーしくらい力を貸してあげてもいいのよー?
『ふん、流石に人間には無理よね?それでも挑戦するのかしら?』
無謀な挑戦よね!さっさと諦めた方が早いわよ?私の手下になるっていうのでも良いわよ?良いのよ?だからさっさ――
「じゃ……いくぞアイガル!!生も死も時間も止める……『氷葬百花』!!」
――一瞬。本当に一瞬。精霊であるこの私が、氷の精霊である私が……氷に閉じ込められ、意識を失った。
◇◇◇
よし、氷の精霊だから氷魔法が効くのかは分からなかったが……とりあえず閉じ込める事は出来たみたいだ。
でも、殺して見せろというお題には答えられてはいない。少しは動きが固まったかと思ったが、いきなりの事で驚いただけだろうし……。
「凝縮して固めた筈なんだけどな……流石だ。内側から氷に干渉して身動き出来る程度のスペースは確保したのか」
口を動かしてるから何か言ってるみたいだが……聞こえてはこないな。氷を砕かれ無い様に魔力を送り続けているからだけど。
くそ、このままでは殺した事にはならないな。どうする?考えろ……考えろ……考え……
「ダークラム!」
『うむむ……朝はキツい……』
夜型だもんな、闇属性だし。でも、さっそくだけど力を貸して欲しい。
「ごめんな、ダークラム。アイガルに殺して見せろと言われて困ってたんだ!力を貸してくれ!」
『うぬ……私は……何を?』
考えた結果に思い付いたのは、視界、音、振動、外的なモノを遮断する事だ。これでどうなるかは分からないが、真っ暗にしてやろうと思う。『死』とは恐ろしく、怖いものだ。個人的な感覚だけどイメージカラーはやはり黒だろうし。
俺がイメージする事をダークラムに伝えると、一言『分かった』とだけ言って実行してくれた。
『――!――――!?――――――!!!!?』
「ありがとう、ダークラム。なんか真っ黒な氷が太陽を反射して綺麗だな」
『お礼……に、魔力を少し余分に貰っておいた……から、気にしないで……』
うん、今は別に少しくらいなら構わないけど戦闘中は絶対に止めてよね?その余分に取られたのが勝敗の分け目になったりしたら笑えないからな?
『それにしても……いいの?』
「いいって?何が?」
真っ暗にした事だろうか?殺してみせろ……なんて言うくらいだし、このくらいでも足りないかもしれない。そもそも精霊を殺す事なんて出来るのだろうか?
『アイガル……1番最後に創られた、妹。普段……強気だけど、本当は怖がり……で、甘えん坊。暗いのとか……苦手』
「アイガル、ごめーーーーん!!解除!全部解除したからぁぁぁぁぁ!!」
『ヒック……ウッ、ヒッ……うぇえええええええん!!怖いよぉ!怖かったよぉ!!』
「アイガルごめんな、こっちおいで!……もう、大丈夫だから。暗くない、暗くない。俺もここに居るし!ね?」
まさか、そんなまさかだろ。クールに決めてるからこんな感じだと思わなかった!よしよし、ホントにごめんな。
見た目で決めつけてた俺が悪いけどで……見た目と口調は完全に、しっかりした出来る人って感じだったじゃんか!
『ホントォ?もう、暗くしない?』
「しないよ!」
『閉じ込めない?』
「約束する!」
『内心、馬鹿にしてた事を許してくれる?』
「えっ、馬鹿にして……いや、いいか。許すよ!」
こっちが素で、クールな方を強がりとして表に出していたのか。いたずらっ子で怖がりな本性を隠すためのクールで強い虚栄か。
今後の信頼関係を築く上での話をするならば、早めに本性を知れた事は予想してない嬉しい誤算だったな。
『難題を出した私の事嫌いになってない?』
「なってないよ」
『幻滅してない……?』
「うん、前のままだと打ち解けるのに時間が掛かりそうだと思っていたからね。幻滅なんてしてないよ」
『氷って好き?』
『もちろん!』
氷魔法には今までお世話になりっぱなしだからな。これからも使っていくし、大好きに決まっているだろ。
『わ、分かったわ!そそそ、そこまで言うのなら契約してあげるっ!』
「ありがとう、アイガル」
おでこにキスをされた事で右手の甲に波線がうかんだ。水色、黒色、そして白色の線だ。精霊との契約の証……なんだか、見ていると自然と笑みが溢れてしまうな。
「それじゃあ、せっかく誰も居ないし少し練習でもしておこうか」
『じゃ、じゃあ私はここに座らせてもらうわね!』
なんだか昨日のピヨリみたいだけど……別に良いか。少しヒンヤリしてるのは氷の精霊ならではかな?
◇◇◇
それから昼前まで魔法を試したり、遊んだり……ダークラムやアクエスも巻き込んで楽しんでいると、精霊達を引き連れたカルミナがやって来た。
精霊が見えない人からすると、ただカルミナが歩いているだけだが……見える人がこの光景をみたら腰を抜かすかもしれないな。
風、火、土、光、そして雷。その化身と言うべき上位精霊の姿。……荘厳だな。
「タロウ、無事に契約は出来たようね?」
「まぁ、なんとか。カルミナは今からだろ?」
アイガルは、クールなイメージを保ちたいらしくカルミナには内緒だと言われていた。
「いや、私は昨日のうちに終わったわよ?」
……はい?ドユコト?
「え?ちょ、終わったの!?」
「そうよ!昨日話してたら力を貸してあげるって言われたわ!」
……かぁ~。これだから加護持ちは……。俺が言えた事じゃないし、契約出来てるならそれでいいんだけどさ……なんだかなぁ?
「さ、タロウ!試合をしましょう!」
「おしっ!久しぶりにやろうか!」
俺達は距離を開けて、魔法のみの試合をする事になった。
誤字脱字がありましたら報告お願いします!
o(^-^o)(o^-^)o




