第113話 タロウ、海なのに…
お待たせしました!よろしくお願いします!
o(^-^o)(o^-^)o
「流石、お姉ちゃんの知ってる穴場!誰もいないねぇ~」
真夏の暑い中での修行に耐えながらこの日を楽しみにしていた。予定を調整したりしながら今日、ようやく海に遊びに来られたのだ。
「カルミナ、どこで着替えればいいの?」
「それなら、魔法で仕切りを作るから任せて!タロウ、お願い!」
「俺がやるのか……ほいっ!!」
カルミナ、マツリ様、桐華さん、桃さん、ベリー先生、晴海さんの6人分の仕切りと、少し離れた所に自分用の仕切りを作り出した。双葉さんは水着にはならないそうだから作ってない。
俺は脱いで海パンを履くだけだからすぐに着替え終わり外で皆の着替えが終わるのを少し楽しみにしながら待っていた。
「男。鼻の下が伸びてるぞ……貴様、殺されたいのか?」
「……すいません」
この人は相変わらずすぐに殺そうとしてくるな……。だが、楽しみなのだから多少は浮かれても仕方ないだろう。
「お待たせ!タロウ」
「おっ、カルミナが1番乗りか。うん!眩しいくらい似合ってるし可愛いよ」
「えへへ、ありがとうタロウ!」
この前一緒に買いに行った水着で、やはりよく似合っていた。これは他の人が見たら放っておかないだろうし、穴場で良かったと思う。ベリー先生には感謝だな。
そして、次に出てきたのはそのベリー先生だった。
「お待たせでござる!タロウ君とはいえ、男性の前でこんなに肌を晒すのは中々無いでござるよ?」
ベリー先生の水着は、いわゆるパレオと言われる腰に布を巻いて足がセクシーに見えるあれだ。緑の水着がベリー先生の引き締まった足をとてもセクシーに見せている……それに加えてあの胸のボリュームだ。『ござるノイローゼ』さえ無ければ、男性は絶対に放っておかないと思う。
「ベリー先生……ござるってやめません?」
「そうよ!綺麗だしスタイルも良いし!普通に砂浜を歩けば男から寄ってくるわよ?」
「そ、そうでござるか?嬉しいでござるが、これはやめないでござるよ!」
「ベリー殿、美しいが男には気を付けないといけませんよ。その恵体は下衆な男を呼び寄せてしまう。」
忠告は一応耳に通しているらしいが、満更でもない顔をしている。いや、本当に普通にしていれば男が寄って来るに違いないくらいの眩しさだ。胸とか。特に胸と足が美しい。
次に出てきたのは桃さんと晴海さんだ。ベリー先生ほど露出は少なく、タンクトップみたいな上半身に、下もビキニでは無く短パンのような物だ。
「少し……は、恥ずかしいですね」
「でして~」
「桃、よく似合ってるでござるよ!可愛いでござる!」
「晴海も似合ってる。髪は上げた方がいいだろう。やってやる」
ベリー先生と双葉さんの言う様に、ベリー先生の様なセクシーさは無いが可愛らしさがある。桃さんはピンクで晴海さんは水色の色違いのお揃いで、仲の良さがよく分かる。
「タロウさーん!タロウさん!見てくださいな!」
「ちょっ、マツリ様!?」
飛び出して来たマツリ様は、まさかのカルミナと同じくビキニタイプの水着だった。しかも黒。セクシーさは出ているが、1番肌の露出をしてはいけない人がビキニを選ぶとは……。カルミナも含めてだけど。
「大胆でござるなぁ~」
「麻津里様、大人ですね~凄いです!」
「よく似合ってるのでして~」
「麻津里!!なんて、格好してるんだ!そんな破廉恥な格好を許した覚えは無いぞ!?」
「双葉さんには怒られますが……それはそれです!タロウさん、タロウさん、どうですか?似合いますか?」
「に、似合ってます!似合ってますから、腕に抱きつかないでください!」
「そ、そうよ!マツリ様、慎みが無いですよ!?」
カルミナに引き剥がされる事でようやく離れてくれたけど、それにしても……攻めすぎではないだろうか?ビキニは攻めすぎだと思う。
「アピールなんですからこれくらいやらないと!カルミナさんがビキニなら、私もです!」
「ビキニ枠は私だけでいいの!マツリ様は何か着てください」
カルミナとマツリ様が言い争いをしてる内に、ベリー先生と桃さんと晴海さんは海へと入って行った。出遅れた二人も慌てて海へと走って行き、遊び始める。
「男、お前は海に行かないのか?」
「いや、まだ桐華さんが来てないですしね?少し遅い様な気がしますけど……」
「ま、待たせたわね!」
海で遊んでいる皆を見ながら話していた俺と双葉さんの後ろから声が聞こえた。桐華さんもようやく着替えが終わったのか。
「遅かったね、皆もう……スク水……だと!?」
「こ、これしか無かったのよ。お金も勿体無いし……」
スク水。この国には学校はあってもプールの時間とかあるとは思えない。だが、このデザインは間違いなくスク水だ。ちゃんと『きりか』と名前まで入っているしな。
それにしても……似合う!!とても似合う、めちゃくちゃ似合う、すこぶる似合う!胸が、控えめに言って小さい桐華さんとスク水の組み合わせは中々に良い。
ビキニやパレオはおそらく安倍ひかりさんが作ったのだろうが、スク水は徳川か九重のどちらかだったんだろうな……きっと。
「似合ってるよ?」
「そ、そう?……でも、あんまりジロジロ見ないでよねっ!結構体のラインとか出ちゃって……恥ずかしいんだから!」
これは、うん。あれだ。……桐華さんの親衛隊が今の桐華さんを見れば鼻血を出して倒れるだろうな。
「桐華さんはスリムなんだから気にしなくて良いと思うよ?ほら、カルミナが呼んでるぞ」
「お、おだてても何も出ないんだからね!……行ってくるけど、タロウくんは行かないの?」
俺はちょっと作りたい物があるから最初はそれをやらせて貰う。大丈夫と桐華さんを送り出して、俺は準備を始めた。
「召喚 アトラス ルミナス」
『おぉ~海だぞ~!』
『綺麗な砂浜ですね。それで、どうしたのですか?』
今回、俺が作ろうとしているのはプールでは定番のウォータースライダーだ。ここは海だけど楽しめる筈だ。アトラスを呼んだのは、前に土魔法が得意と言っていたのを思い出したからで、ルミナスは万能だからな。
とりあえずウォータースライダーの概要を二人に伝えて、さっそく土台から作り始めた。完成したらアクエスに水を流して貰おう。
「うーん。ルミナス、海にポーンっと飛ぶような終わりにしたいから最後の所はもっと上に曲げてくれ。アトラスは土台を硬くしてくれ。最後に水を流しても良いようにコーティングするけど土台はしっかりね」
『分かりました』
『頑張るぞ~』
途中にカルミナ達が何をしているのか聞きに来たが、後の楽しみと言って追い返した。滑り始める1番上まで行く階段も頑丈にしたり、細部まで拘った結果……完成したのはお昼を少し回った頃だった。
「お疲れ様、二人共!アクエス、頼む!」
『任せてなの!』
近くに海が在るため、今のアクエスにはこのウォータースライダーに流す水を扱う為の魔力なんて微々たる物だろう。
「よし、3人で滑ってみるか?」
『行きましょう。中々面白そうです』
『楽しみだぞ~!』
俺達3人は、地上から階段を上りスタート地点までやって来た。さっきも上っていたが、ここからは遠くの景色も見える……ほとんどは海だけど。それでも反対側を見れば離れた所にエドヌ城が見えた。
「アトラスは俺の足の間に座ってくれ。ぐるぐる回るから気を付けてな!最後は飛ぶから溺れない様にも気を付けて」
『私はタロウの肩に掴まっていますね』
『早く早く~』
準備も整い、俺達は――滑り出した。
◇◇◇
「これはいいでござる!楽しいでござるよ!桃、もう一度行くでござる!」
「ま、待ってよお姉ちゃん……階段が意外と足に来るの」
「桐華、マツリ様、私達も行きましょう?」
「えぇ!これは楽しいわね!」
「タロウさんは凄いのですわね~」
「双葉~替えの服はあるのですから一緒に滑るのでして~」
「……分かった。そこまで楽しいのならば行こう」
ウォータースライダーは好評だ。ベリー先生なんて何回目か分からないくらいに乗っていた。
最初、カルミナが滑って海へとダイブした時に上の水着がズレてしまったというハプニングがあったらしいが……残念な事にその場に居なかった為、見ていない。
そのハプニング以降は水着がずれない様に、皆も気を付けて滑っているらしい。その点、スク水という装備の桐華さんは滑り易いし、ズレないから1番良い選択と言えるだろうな。
「アトラス、もう少し削ってくれ」
『こうか~?』
「ルミナス、細かい所は頼むぞ」
『お任せください、タロウ』
「アクエス、水を含ませた土を準備してくれ」
『はいなの!』
皆がウォータースライダーを楽しんでいる頃、俺達は砂浜の醍醐味、『砂のお城』を作っていた。モデルはエドヌ城だ。ルミナスやアトラスのお陰で細かい作業は任せられるから、この時点でもかなりの出来になっている。
くそっ……これは完成したら何とか保存したいな。カメラ的な記録出来る物が有ればな。なんで作ってないんだ先祖達!――って、俺もカメラの仕組みなんて、凸レンズが何やかんやくらいにしか知らないしな。
「記憶に焼き付けるしか無いかぁ~」
『それが1番ですよ、タロウ』
“ひゃっほーでござる~”
“きゃあ~~”
楽しげな声が聞こえてくる中、俺達はせっせとエドヌ城を完成させた。
「ふぅ……!完成だな。お疲れ様、みんな」
『えぇ、私達の共同作業ですね』
『やったぁ~完成だぞ~』
俺達が城の完成を祝していると、そろそろウォータースライダーにも飽きてきた皆がやって来た。
「タ、タロウさん!これはまさしく、エドヌ城!!凄いです~!」
「器用ね、タロウは」
「晴海ちゃん、私達も何か作りましょう?」
「楽しそうなのでして~」
「拙者も力作を作るでござるよ!よ!双葉殿、手伝って欲しいでござる」
「ふむ、手伝おうか」
ウォータースライダーに飽きた皆は次、砂遊びへと興じる事になったみたいだ。
「そういえば……まだ海に入って無かったな!行くか!泳ぐか!」
『私は泳げないぞ~?』
「なら、練習しようか?手握ってあげるし」
『うん~!』
ルミナスは俺の頭の上で日光浴をするみたいで、グデっとしている。まずは浅瀬で顔を水につける練習から始めようかな。
◇◇◇
「もうちょっとだぞ!もうちょい!もう少し……はい!おめでとうアトラス!10メートルは進んだぞ~」
『ホント~?泳げた~?』
アトラスが嬉しそうだとこっちも嬉しくなってくるな。10メートルなんて俺達にしたら短い距離かも知れないが、山育ちで身長も低いアトラスからすれば大変な事だしな。
「うんうん。少し休憩しよっか?」
『かき氷食べたいぞ~』
「はいはい。じゃあ……あっちで座ってたべようか」
俺達がかき氷を食べながら皆の砂の作品を見ていると、1番上手なのは桃さん、晴海さんのペアの様だな。多分、何かしらの魚だと思う。冬になったら氷の彫刻でも挑戦――
「あっ……」
『どうしたのですか?タロウ』
どうしよう。漠然としか考えていなくて、今気付いた。偶々この近くに光の精霊が居たから契約しに行けたが……西の大陸にいる氷と雷。魔族の住む大陸にいる闇の精霊を探しに行ってる時間的な余裕は無いかも知れない。修行はしてもしても足りないのだ。
「残りの精霊をどうしようかと……。魔王ルウィンは竜の加護を集めているだろうし……探しに行くとしたら時間もかかるからな、と思って」
『なるほど。これもタロウの為、これもタロウの為、これもタロウの為……』
ルミナスな小声で何かを呟いている。何か考えてくれているのかも知れないな。
『タロウ、ピヨリを喚んで貰えますか?』
「ピヨリを?……召喚 ピヨリ」
『何用だッピ?』
『タロウ、しばらくピヨリと共に旅立ちます。私が出向きましょう、氷の精霊『アイガル』雷の精霊『サンドラ』闇の精霊『ダークレム』。彼女達を連れてきます』
「……良いのか?大変な旅路だと思うけど」
『えぇ、距離もありますし時間は掛かりますけど1年以内……いえ、半年以内には帰ってきます』
本当にありがたい申し出だった。本来なら時間を掛けてでも俺とカルミナで出向かないといけないが……ルミナスが出向いてくれるなら修行の期間も増やすことが出来るだろう。
ルミナスとピヨリに感謝の意味も込めて、俺は明日からの修行を頑張って行かないとな。
「ありがとう。ルミナス、ピヨリ。準備を整えたらお願いするよ。」
『お任せを。タロウ、たまに魔力をお借りしますが……』
遠慮せずにどんどん使って欲しい。それで少しでも移動速度が上がるのならば良い事だ。
「この話はまた後でするとして、せっかくだし……もっと遊ぼう!」
『はい!』
せっかくの海なのに女の子組とより、使い魔組とばかり遊んでしまった。でも、楽しければ何でもアリだよな。
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