第108話 タロウ、初戦の相手は
すいません、遅れに遅れましたが、ギリギリ…
よろしくお願いします!
屋台を見たり、実際に買って食べたりしていると剣舞祭の開会宣言があると言うことで選手の人達が集められた。
勿論、開会の宣言をするのは駿様だ。集まった選手たちは壇上に登った駿様を見つめていた。
「今日の良い日に…」
ようやくすると、剣舞際という年に1度のお祭りの日に天気にも恵まれた。大会への参加者は自分の力を精一杯発揮して頑張れって話だった。大会に参加しない者も祭りを大いに楽しんでくれ的な事も言っていた。
「やっと話が終わっ…」
「まてまて!カルミナ」
俺はカルミナの口を抑えて小声で注意する。
「ここに居る人達のまえでやっと終わったはまずい。将軍の話はありがたい。いいね?」
コクコクと頷いたのを確認して口から手を離した。このにいる人達はエドヌの人達だからな。自国で考えると分かりやすいだろう。カルミナの父親の話を聞いた後にやっと終わった…何て言ったら連行される。その後は知らないけど。
駿様の開会宣言の後は大会の関係者から再度、ルールの説明をされた。武器は大会側の用意した木刀の様な木製を扱う事。身体強化、魔法の使用は失格になる事。武士道精神的なのに則る事などなどだ。
木製の武器は刀、槍、薙刀は勿論あるし、槍と言っても一本槍から三又の槍とか…とにかく種類には困らない様にはなっていた。
「さて、お集まりの皆様。周囲を見ていただきますと分かると思いますが、今回、参加者が100名を越えております!それに伴いまして、多少の変更をお知らせ致します」
ざっと見渡しただけで確かに100名くらいは居そうである。これだと場所も限られている事だし、今日中には終わらないかもしれないな。
将軍の隣や近くに座ってる人達へのアピールもしたいだろうし、すぐに決着をつける者は少数になるだろうし…。
「変更する点は1点!1つ目はトーナメントを2つに別けさせて頂きます。今日はその半分、明日の午前中からもう半分を行い、それぞれのトーナメントで決勝まで…つまり最後の4人にとして残られた方で午後から試合をして頂きます。その際、決勝の4人は抽選で戦う相手を決めさせて頂きます!質問のある方はこの後、大会本部のテントまでお越し下さい。」
「カルミナ、理解できた?」
「勿論!勝てば良いって事でしょ?」
「……正解!」
「良いんですか…タロウさん?」
何も間違ってないんだ。カルミナは本質を見ているだけなんだよきっと…。
「それでは皆様がお待ちかねの本日のトーナメントの出場者を貼り出します!!」
係りの人が数人で大きい紙を貼り出した。
「本日の大会出場者は左の紙に載っているこの方々です!右の紙が明日の出場者となっております!ご確認くださいませ。もし、参加したけど名前が無いとおっしゃる方はこの後、大会本部までお問い合わせください!試合の順番は左からとなっております!10分後には開始とさせて頂きますのでよろしくお願い致します!」
開会式が終わると参加者達は掲示板の前に群がり、非参加者の人達は屋台で何かを買いに行ったり少し高い所や見易い席を確保しに動き出していた。
エドヌの城の前には2つの試合場所が準備されていた。半径10メートル四方の地面は砂の闘技場だ。1度に2試合が行われるみたいだな。
「そろそろ俺達の場所も確認しに行くか」
「そうね。どの位置なのかと対戦相手くらいは知っておかないと…2日目ならもっと調べられるのだけどね」
「初日だとそれも出来ないからなぁ。それと、皆バラバラだといいな」
俺達は人を掻き分け掲示板の前に躍り出た。1日目のトーナメント表を見てみると…
「あ、桃さん!最初!」
「え?…え!?本当ですか!!?」
「あら、ホントね。相手は…みちなか?」
「道中ってかいてありますね。強いでしょうか?」
「大丈夫ですよ!とりあえず俺達は自分の出来ることをやりましょう。ベリー先生もそう言っていましたしね」
「そうよ。…タロウの名前もあったわよ!」
「うぇ!?ホントか?…あるな。今日の一回戦の最後か…。カルミナは2日目みたいだな」
「まぁ、みんなバラバラになったって事でとりあえずは安心ね!」
「だな。というか、桃さんは武器を選びに行かないと!…とりあえず本部か?」
「そう…ですかね?行ってみます!」
「俺達もついて行くよ!」
「そうね、行きましょうか…あ、やっぱり私はベリー先生の所に知らせに行ってくるわ!タロウ、ついていってあげて」
「分かった。武器はいつから借りれるのかも聞いておくよ」
「お願いね」
カルミナはベリー先生の所に一足先に戻って、俺と桃さんは本部のテントまで向かった。
「混んでますね」
「混んでるな…。桃さんの一回までちょっとあんまり時間がないんだけど…」
「ど、どうしましょうか?」
「えーっと、えーっと…あっちだ!武器の貸し出しの所があったみたい」
「あ、1番左の列がそうなんですね。さっそく並んできますね!」
「結構、列の流れは速いみたいで良かったですね。ちょっと…僕は裏にいる係りの人に聞いてきますから並んでてください」
桃さんは列の最後尾に並んで、俺はせっせと動いてる人…ではなく、座ってる人に聞くことにした。
「あの、すいません」
「ん?どうしたのかな?」
「あ、1つ質問がありまして…お時間大丈夫ですか?」
「おぉ!良いとも良いとも。私はこう見えても本部の責任者なんだが…若い者達が働かせてくれんのでな。質問だね。何かな?」
「あ、はい。今日の一回戦最後の試合に出るんですが…武器はどの時間帯から借りられるのかと思いまして」
「はいはい。それなら5つ前くらいの試合の時には借りられる様に数も準備しておるよ。勿論、メンテナンスしてる間の事も考えてね。試合が終わったら借りた場所まで返しに来てくれれば良い。借用書に名前を書いてもらうから持ち逃げは出来るが…見付ければ罪に問われるから気を付けるのだぞ?」
「なるほど、助かりました。ありがとうございます」
「ほっほっ。気にしなくて構わんよ。頑張るのだぞタロウ君」
「!?…もしかして、参加者の名前を全員覚えているのですか?」
「年に1度の大会じゃからな。私も楽しみなのだよ。ほっほっ」
凄い爺さんなのかも知れない。ただならぬオーラを感じる気もするが…
「あの…実は凄い人だったりします?」
「ほっほっほっほっ」
あ、絶対に言う気無いな…。まぁ、それならそれでも構わないんだけど…。
「まぁ、いいですけど…。質問に答えて頂き、ありがとうございました」
「楽しみにさせてもらうよ」
謎の爺さんとの会話も切り上げ、列に戻ると桃さんが武器を借り受けている所だった。もうすぐ、試合も始まりそうだ…準備運動くらいはしておかないと。
「桃さん、とりあえずここでストレッチくらいしておこう。もう、出番が来るみたい!」
「は、早いですよー。くじ運無かったです~」
「それでは!一回戦最初の2組は闘技場へお集まりください!城を向いて右側が最初の組、左側2番目の組でお願いします!」
「ああああああ!どうしましょ…緊張して吐きそう」
「いや、気持ちは分からなくも無いけど!背中でもおもいっきり叩こうか?」
「き、気合いを入れるためにお願いします!」
実際におもいっきり叩くわけじゃないが、そこそこの力で叩いて上げた。
「いっつー…。あ、全然緊張してる…。痛い…」
ごめん、失敗みたいだな。
「大丈夫!桃さんなら大丈夫!とにかく大丈夫だから!!行ってきな」
「う、うん!行ってきます!お姉ちゃん達と応援しててくださいね!」
「勿論!」
桃さんは薙刀を持って闘技場へ向かった。今大会の参加者で勿論、女性の方も居るが最年少は桃さんだろうな。是非とも勝ってきて欲しい。…さて、俺も戻りますか。
「すいません、お待たせしました」
「タロウ君、こっちに座るでござるよ!ここなら少し高いでござるからちゃんと見えるでござる!」
「タロウ、どうだった?」
「あぁ、自分の戦う5つ前なら借りる事が出来るみたいだぞ。本部の横な。貸し出しの紙に名前を書いて、返す時もその借りた所に持っていけば手続きしてくれるみたいだ」
「分かったわ。ありがとう」
「拙者の参加した2つ前の時は自分で用意してたでござるよ!きっと前回に何かあったでござるなぁ」
「ベリー先生の時も木製は木製なんですよね?」
「それはそうでござるよ。きっと、前回の参加者の中で特殊なやつを仕込んでた奴が居たとかそんなんでござろう」
「ありそうですね。あっ、そうだ…ベリー先生、この大会、偽名もアリなのですか?」
「まぁ…別に大丈夫でござるが、アピールしたい人はちゃんと本名で参加してるでござる。後で偽名だと発覚すると印象が悪いでござるからな」
「じゃあ俺の対戦相手の人はいったい…ベリー先生、マスクグレプ…なんて人を知りませんよね?」
「あ、たしか2日目の対戦表の中で私の近くにもポピパルなんて名前の人が居たわよ?」
「うーん…マスクグレプとポピパルでござるか…何か引っ掛かりを覚えるでござるが記憶には無いでござるな」
「そうですか…そういう人は腕試しとかで参加してるんですかね?」
「面白半分でござろうて。お!桃が構えたでござるよ!始まるでござる!桃ー頑張るでござるーー!!」
「「桃さん頑張れーー!」」
俺達の応援…というよりはベリー先生の声が大きすぎて周りの人が退いていた。桃さんも恥ずかしいのかこちらを1度も見なかったが、日頃の成果を十二分に発揮して一回戦を突破した。
◇◇◇
「良くやったでござるよ!桃!」
「う、うん…お姉ちゃんの応援のお陰だよ…」
良い子だ…あんなに見向きもしなかったのに…戦いの最中、あちこち動いてたはずなのにこちらに背中を見せたままの状態を維持していた。あれ?そう考えるとだいぶ余裕があったのかな?
「桃さん、緊張は?」
「緊張より恥ずかし…応援の力が勝ちましたよ!」
「良い子だ…」
「良い子ね…」
「桃、さっき屋台で買ったこれでも食べるといいでござる!」
「あ、焼そば!ありがとうお姉ちゃん!」
「こっちは飲み物よ!」
「ありがとうございます、カルミナさん!」
「さて、試合の続きでも見るでござるよ!」
それから試合を見ていた。見ていると気付く事もある。例えば、強い人の試合は速く終わる事。攻めに行くよりカウンター狙いで決めようとする人が多く居たり。そして、刀はもちろん多いが、槍も負けずに多い事…とかだ。後は掛け声が面白い。何を言ってるかはわからないけど…。
「タロウ君、そろそろ武器を取りに行った方がいいでござるよ」
「ですね。ちょっと行ってきます」
そろそろ時間か。少し緊張しているけど、気合いを入れて行かないとな!
「すいません。一回戦最後の試合に出るタロウですけど、武器を貸していただけますか?」
「はいはい。どの武器をお使いですか?」
「刀です」
「刀ですね。ただいまお持ち致しますので、こちらの紙に名前と使用武器を書いてお待ち下さい」
「分かりました。えーっと、タロウ=グラ…タロウ。で、刀っと!」
「お待たせ致しました。ご確認ください」
「は、速いんですね…」
「まぁ、すぐそこに使えるものは置いてありますからね。それで…」
「すいません、長さってこれだけですか?いつも使ってるのがもう少しだけ長いので…」
「ご用意しております。どのくらい長さが足りないのでしょうか?」
「1センチですね。すいません、細かくて…」
「いえ、参加者の方が存分にご自身の力を発揮できる様に手助けするのが仕事ですから。…ただいまお持ちします」
凄い縁の下の力持ち感があるな。そして、速い。
「こちらでどうですか?」
「あ、良い感じです。ありがとうございます」
「では、刀の隣に94と、お書き頂いてよろしいですか?」
「はい…これで大丈夫ですか?」
「はい!試合後には1度、返却をお願いします。ご武運を!」
よし、武器は借りれたし時間も少しあるみたいだな。素振りしておくか…。
「お、やる気だねぇ~」
「はぁ、どうも」
何だ?目元以外は隠した怪しい奴だな。声からすると男のようだたが…。
「お前がタロウだろ?」
「…刀を借りる時に近くにでも居たんですか?」
「お、おう。そうだ」
「?そうですか。それであなたは?」
「マスクグレプ…俺の名はマスクグレプだ。お前の初戦の相手だよ」
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