第106話 タロウ、剣武祭に出るつもり
よろしくお願いします!
(´ω`)
「じゃあ、次は身体強化の訓練に入るでござるよ!」
「は、はい…はぁ…はぁ」
「はい!」
「はぁ…はぁ…」
若干2名程、疲れてはいるが次の訓練が始まった。まぁ、俺と桃さんだが…。最近の身体強化の訓練はカルミナも無事に出来るようになった事もあり発動の速さに重点を置いていた。
「では、行くでござるよ。パッと強化して、パッと解除するでござるよ…」
右手、左手、右足、左足、ベリー先生がランダムに言った部位に魔力を流していく。反射のスピードと発動のスピードを鍛えられて良い練習方法だと思った。
「左手、右手、右足、左手、左足…はい。1分休憩でござる。だんだんと速さも上がってきたでござるな。そろそろ限界値ギリギリを維持する練習に入っても良さそうでござるな」
「ふぅ…カルミナ、調子はどう?」
「ギリギリよ、ギリギリ!何とか食らいついてるってレベルね。それでもすぐに追い付いてみせるわ」
「カルミナさんの向上心は私も見習わないとですね!頑張りましょ」
「では、また再開するでござるよ。せーのっ…」
それから手じゃなくて、指1本を強化するなどの更に細かい魔力操作の練習をしたりしたが、これは難し過ぎてベリー先生以外は上手く出来てなかった。
「じゃあ、本日最後の刀の練習に入るでござる!まずは攻撃の型の反復練習からでござる!!」
「「「はい!」」」
それぞれ3人共、教えて貰った型を繰り返し体に覚えさせていく。型も1つではなく幾つも在るためまだ完璧では無いがある程度は出来るようになっていた。
「タロウ君!刀の返しはもっと速くするでござる!カルミナさん、距離を離す時はもっと滑らかに!桃、勢いが足りてないでござるよ!」
それからも結構なスパルタが続き、今日の修行メニューが終わる頃にはいつもだけれど…みんなクタクタになっていた。まだ、最後の下山が残ってはいるけど…。
「さ、素早く帰るでござるよ!」
最近は枯れていた木々も葉っぱが付いていたり、一部では桜が咲き始めて山にピンク色が増えていた。ここから見える景色も少しずつ変わってるから、それを見るのが毎回楽しみだったしている。
「もう、春ですね」
「そのうちお花見でもするでござるよ!あ、春と言えば…」
「春に何かあるんですか?」
「剣武祭でござるよ!剣武祭!」
「「けんぶさい?」」
「あ、もうすぐその季節になるんだね。あのね、剣武祭っていうのは、年に1度行われるお祭りで、屋台とか沢山出るんだけど…1番の盛り上がる所は10歳以上なら参加が自由の剣の大会ですね!」
「剣、刀、槍…弓何かでもいいでござるよ、魔法と身体強化も無しでござる。剣技のみで戦う大会でござるよ!」
「へぇ~そんな大会?お祭り?も開催されてるんですね」
「前回は誰が優勝したの?」
「知らないでござる!」
まぁ、去年の今頃はベリー先生ルールトに居たもんな…。でも、ベリー先生が出てしまったらそれは…な。
「その前は?」
「拙者でござる!」
「え?まぁ、出てますよねその前…」
「拙者!」
「前…」
「拙…」
おぉ…う。どうやらここ去年より前の5年間はずっと優勝しているらしい…。流石に六道さんみたいな師範クラスは出て来なくて、門下生達の実力試しとして開催されているらしいのだが…。
「ベリー先生も師範代みたいな者ですよね」
「だから、今年は出ないでござるよ!その分、皆には頑張って貰うでござるけど」
「うーん…大丈夫ですかね?まだ技も途中ですし…」
「それはこれからの訓練に詰め込むでござるよ!勝てば賞金も出るでござるから、頑張ってみるでござる」
「タロウ!頑張るわよ!」
「お金に釣られるんじゃないよ…。でも、こういうのは積極的に参加しといた方が良さそうですね!カルミナ、桃さん、頑張ろう!」
「「「えい、えい、お~」」」
俺達は剣武祭を目指しての特訓もする事になった。
◇◇◇
「桜、綺麗ね」
「そうだな。コップの中に桜の花弁が落ちて入ると綺麗だけど、邪魔だな」
「タロウ!そういう事言わない!」
「ゴメンつい…。そうだよな、せっかくのお花見なんだもんな」
俺達と安倍家と九重家、それとマツリ様で桜が満開になってとても綺麗に見える今日、お花見に来ていた。お話と言ってもお酒はまだ呑めないしジュースと料理と景色を楽しんでるだけだ。
「タロウさん、ジュースを注ぎますよ」
「ありがとうございます」
「タ、タロウ!このおにぎりは私が!私が作ったのよ!」
「ありがとうございました」
「どういう反応よ!た、食べてよ!」
「大丈夫。俺には毒耐性や麻痺耐性、各種耐性がある……ぐぶっ」
「タロウ!どうして…イクラ納豆チーズおにぎりは美味しくなる予定なのに…スパイスのワサビがいけなかったのかしら」
違う、問題はそこじゃない。いや、それを作ろうと思った発想も凄いが…味見をしないのが1番の問題だ!作った段階で自分で作ったり食べていれば俺がこれを食べる必要は無かった筈だ!
「タ、タロウさん、大丈夫ですか!?とりあえず飲み物で流し込んでください!あと、こっちは私が作ったおにぎりです」
「あ、ありがとう。……うん、美味い。カルミナ…梅干しとか昆布とかそういうので良いんだ…」
「わ、分かってるわよ!ちょっと冒険してみただけよ!タロウが食べられないのがいけないんだから!」
えぇ…俺に非があるのか、これ?完全にカルミナの悪ふざけに巻き込まれた不幸な被害者だろ…。
「まぁ、カルミナさん…女で料理が苦手な方もいらっしゃいますし…気を落とさないでください。ちなみに私は簡単な物なら幾つか作れますけど」
「そう、まぁ作る相手が居ないでしょうし、料亭で働くといいんじゃないかしら?」
「い、居ますよ!タロウさんがいつでも幾らでもずっと、味見をしてくれるって約束してくれましたもん!」
いや、ずっととまでは言ってないと思う。
「タ~ロ~ウ~」
「いや、カルミナもマツリ様が頑張ってるの知ってるだろ?そろそろ、少しくらい認めてやったらいいんじゃないか?」
「ふん!ちゃんと強くなるまでは認めないわ」
「まぁ!なら、ちゃんと修行を積めば認めてくださいますのね!優しいカルミナさんも私は好きですよ!」
「ちょ、くっつかないの!」
「カルミナさ~ん!ふふっ」
うむ、素晴らしき景色かな。桜とは違う花…というか華だなこれは。
◇◇◇
剣武祭へ向けての練習を始めてからしばらく経って、剣武祭があと3日という所まで来ていた。街も年に1度のお祭りという事で浮き足だっていたり、準備に取り組んだりしていた。
門下生は必死に修行をしている事だろう。聞いた所によると、剣武祭というだけあって、武家の当主も観戦しに集まってくるらしく、武家の兵士の部隊長辺りに取り立てて貰えるチャンスだったりする。
俺やカルミナは出来れば賞金が欲しい…とは思うけど、普通に修行の一環くらいにしか思ってはいなかった。
「トーナメント方式でござるからみんなバラけるといいでござるな」
「そうですね、どうせなら他の門下生の方々と対戦してみたいですかね」
「とりあえず戦いになったら体が覚えてる動きをすればいいでござる。頭でこう来たらこう。とか、いちいち考えてる余裕は無いでござるからな!」
「そうよね、タロウ、桃さん、反復よ!反復練習で叩き込むのよ!」
「そうだな。…あと、明日は安倍家での修行だけど武器での練習にさせて貰おう」
「そうね。私は命先生に頼んでみるわ!双葉さん…はマツリ様の訓練があるから、緋鬼王とかにでも手伝って貰いましょうよ」
「あぁ、いいなそれ。明日は緋鬼王達と戦闘をして、明後日はベリー先生に最後の調整というか調子を見て貰おう」
「お姉ちゃん!私は明日、休みの予定だったけど…お姉ちゃんと修行する!」
「無理はしない程度にするでござるが…分かったでござるよ!付き合うでござる」
今日もひたすら教えて貰った型の練習を繰り返し繰り返し、繰り返していく。大会では身体強化も使えないという事で修行の時も身体強化を一旦止めて、その分も型の練習をしていった。
「ふぅ~今日も疲れた」
「でも、リュックを背負う事になった初日に比べるとだいぶ余裕が出てきたわ」
たしかに、初日は疲れ過ぎてこんな風に話す余裕も無かったな。そう考えると少しずつ成長しているみたいで嬉しく思える。
「だな。カルミナ、大会で当たったら手加減は無しだぞ」
「勿論よ。知ってるでしょ?私は手加減しないの」
「手加減しないって言うか、容赦ないって感じだけどな」
「ちょっと!今、少し格好良くキメたのに水を差さないでよ!」
「ゴメンゴメン。じゃ、さっさと寝ようか。というか、寝るから自分の部屋に戻ってくれ」
「い、いいじゃない別に同じ部屋でも!」
たしかに、慣れてはいる。慣れているからいいんだけど…最近、カルミナの発育が少し良い気がする。少し前まで胸もそこまで無かったのに腕に当たると柔らかさを感じる程度にはなっている訳で…。寝るとカルミナは何やかんやで俺に掴まって来る訳で…。
ちなみに、ギルドの受付の桐華さんの体型は相変わらず変わってなく一部にとても人気があるままだ。
「いいけど…ヨダレを俺の顔に落とさない事と、寒いから俺の腕にしがみつくのは良いけど、朝になって俺のせいにしない事を約束な」
「どっちも意識の無い時じゃない!無理だけどとりあえず了承しておくわ!」
「ま。どうせ何を言っても意味無いか…。体が冷える前に毛布を被って寝てしまおう」
「そうね。……もう、タロウと2年近く一緒に居るのよね」
「そういえばそうだな。何か早く感じるけどな」
「タロウと出会ってなかったら私の人生はどうなっていたのかしらね?」
「学園に入学した時は既に荒れてたからなぁ~」
「あ、荒れては無いでしょ!やさぐれてただけで…」
「俺もカルミナと出会って無かったらもしかしたら修行なんてしないでプラプラ旅でもしてたかもな」
「あら?ずいぶん平和そうじゃない?」
「いやいや、魔族が動き出して魔王に手も足も出ずに死んだだろうな。そう考えると、カルミナとの出会いって運命だったのかもね」
「そうね…運命かも。私もそう思うわ」
「これからもお世話になります」
「こちらこそ…ふふっ、変なの~」
たしかに、少しだけしんみりしちゃったかもな。明日も修行だ、さっさと寝よう。
「おやすみカルミナ」
「おやすみタロウ」
結局、翌朝にカルミナのヨダレは俺の顔に付いてあるし、腕は太ももに挟まれていた。
◇◇◇
「じゃあ、頼むぞ緋鬼王」
『主、パワータイプの選手でいいのですね?』
「あぁ、剛胆で屈強な感じでな。技巧派は蒼鬼王が担当してくれるからな」
『承知。では…』
「いくぞ!!」
「向こうは始まったようね。蒼鬼王、よろしく頼むわね」
『はい。私のご主人様からもお願いされましたし。私の武器は刀でよろしいのですか?』
「えぇ、やっぱりそれを使う人が多いからね。蒼鬼王には技術があるタイプでお願いするわ」
『分かりました。では、』
「行くわよ!!」
やべぇ…やべぇよ!鬼の力を舐めていた。一振りの風切り音が違いすぎる。まともに打ち合うと耐えきれない…。
「くっ…!」
『主、ムキになっては隙が出来るだけです。力で攻めてくる敵へは耐えて堪えて隙を見付けて反撃するのが定石です。が、我は隙など見せませんよ』
くっそ…。重い速い!!
『たしか、体術まではセーフでしたよ…ね!!』
「グハッ…!ゲホッ…グッ…」
『さぁ、続きと参りましょう』
「せいっ!!はぁ!やぁ!!!」
『悪くは無いですね。ですが、全然怖くないですよ?一撃一撃が甘く感じます』
「…ちっ、ひらひらと!!はぁぁぁ!!」
『攻撃を回避された、止められた後の動きが遅いですよ。だから…』
「いっっ……!」
『簡単に足元を掬われるのです。一瞬の判断、技の駆け引き、気迫…それを意識してもう一度です』
「ふぅぅぅ…。よし!行きます!!」
午前中は俺が緋鬼王にボコボコにされ、カルミナは蒼鬼王にボコボコにされていた。召喚者より強いって滅茶苦茶だと思う…魔法があれば…って、思うけどそれは今関係ないな。
『主、もっと積極性を出しても良いのでは無いのですか?主は自分から攻めて行く回数が少ない様に思えます』
「そ、そう言われてみると…相手が動いてから反撃するって形が多かったな…。そうか、自分から攻めて流を作る…か。ありがとう緋鬼王」
『カルミナは逆に相手の動きをもっとよく観察するべきですね。相手が1本引いた意味とか、剣先を下げた理由とかを考えると良いでしょう。今から間に合うかは分かりませんが…せめて、剣を握って間合いを確めるくらいはしてみる方が良いですね』
「なるほど、剣を…。そうね、剣を振る時の動きくらいは自分で体感しておいた方がいいわよね」
お昼休みの間に緋鬼王と蒼鬼王にアドバイスを貰い、午後は1時間毎に相手を交代して訓練を行った。休憩の時にはアドバイスを貰い、すぐに訓練に活かすやり方だ。
結局、終始ボコボコにされたが…それでも充実した訓練になった。緋鬼王と蒼鬼王にはお礼としてそろそろ少なくなきたエルフ産の果物を贈っておいた。
「カルミナ~大丈夫か~?」
「えぇ…明後日ですものね、頑張り時よ」
「だな、だけど…今日はもう飯食って寝よう」
「少しくらいはお喋りしましょうよ」
「じゃあ、飯食ってお喋りして…寝よう」
「賛成、じゃあ行きましょうか」
「おう!」
誤字脱字がありましたら報告お願いします!
(´ω`)




